『カンマを伴う分詞句について』(野島明 著)
第二章 個々の読解の在り方を吟味する

第3節 【読解  その3】について


〔注2−10〕

   【読解その3】に拠れば、形容詞要素であることが明解な分詞句に出会っても、たじろぐこともその立場を修正する必要もないということにもなるかもしれない。例えば次のような例。

She glanced with disgust at the cat, stretched out on the rug.
〈彼女は胸糞悪そうにその猫を見やったが、猫は敷物の上に長々と寝そべっていた。〉
She glanced with disgust at the cat, mewing plaintively. (CGEL, 7.27)
〈彼女は胸糞悪そうにその猫を見やったが、猫は悲しげに鳴いていた。〉
(下線は引用者)(二番目の例文については更に[5−8]参照)
   それでは、このような分詞句と文例(1−1)中の分詞句はいずれも名詞を説明する要素であると判断する根拠は何か。これが、【読解その3】にとっての課題である。

(〔注2−10〕 了)

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