第三章 《分詞構文》という副詞要素、これで不都合はなかった
第3節 やはり不都合は全く生じなかった…文中の-ed分詞句の場合

  主辞[=分詞の暗黙の主辞]+,-ed分詞句,+V…」という視覚的形態で現れる「文中の-ed分詞句」の場合、《分詞構文》(副詞要素)であったり「名詞修飾要素」であったりという《揺れ》を体験することさえなかった。一律に副詞要素であると受け止めて、不都合とも不安とも無縁であった。

(3-4)
Tom, horrified at what he had done, could at first say nothing. (PEG, 280)
〈トムは、自分がやってしまったことが恐ろしく(…恐ろしくて/…恐ろしかったのだが/…恐ろしかったので)、初めは何も言えなかった。〉(下線は引用者)[3-4]
   "horrified"の暗黙の主辞は"Tom"であり、"horrified at what he had done"に「…恐ろしくて/…恐ろしかったのだが/…恐ろしかったので」のいずれの日本語表現を充てようが、この-ed分詞句に副詞要素的機能を読みとって不都合の生じるはずもなかった。

   非制限的関係詞節に書き換えられるという感じをもちながらも、この分詞句を迷いもなく《分詞構文》(副詞要素)であると判断して、どんな不都合に行き当たることもなかった[3-5]

  

(第三章 第3節 了)


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© Nojima Akira