『カンマを伴う分詞句について』(野島明 著)
第六章 開かれた世界へ

第4節 「カンマを伴う分詞句」の「暗黙の主辞」の在り方について

その四 文形式②の場合


〔注6-33〕

   母節と分詞句に示されている二つの事態の間に時系列的連鎖を見出し得ない事例はいくらでも挙げることができる。本文に示した(6-18)(The siren sounded, indicating that the air raid was over. )と同様、以下の例のような場合にも、「時系列的連鎖」(時間的前後関係どころか、同時性すら)を見出し得ない。

The Air France Concorde crashed shortly after take-off, hitting a hotel in the northern suburb of Gonesse near Charles de Gaulle Airport.
〈フランス航空のコンコルド機が離陸直後墜落、シャルルドゴール空港近くパリ北東部の郊外の町ゴネスにあるホテルを直撃した。〉
(CONCORDE CRASHES, 113 DEAD, The Times Online, July 25 2000)

   この場合、「墜落」と同時に「直撃」したわけでもない。「墜落」は即ち「直撃」であった。こうした点については第七章第6節「その七」参照。

(〔注6-33〕 了)

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