『カンマを伴う分詞句について』(野島明 著)
第七章 開かれた世界から

第6節 何が曖昧なのか

その七 「相[aspect]」の曖昧さ


〔注7−78〕

   カンマを伴う分詞句の場合に限らず、相は「直示的[deictic]」ではないがゆえに、その解読はしばしば個々の受け手の受感に委ねられることになる。

ASPECTという語は、動詞の表す活動作用[verb action]が時間との関連でどのように見なされるのかあるいは経験されるのかを反映する文法的範疇のことを言う。時制とは違って、相は、発話が行われる時と関連していないという点で、直示的[deictic]ではない。
(CGEL, 4.17)(太字体部は原文では斜体)

Deutschbeinのように、Aktionsartは客観的、外部的事象に関するものであるが、Aspectは主観的観照の形であって、話者ができごとをどうみるか、どういう受け取り方をするかを示すものとして、AktionsartとAspectを区別し、二本立てにする学者もある。
(清水護 編『英文法辞典』Aspect(相)の項)(下線は引用者)("Aktionsart"は"Aspect"に相当するドイツ語)

   相については更に[7−74]参照。

(〔注7−78〕 了)

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