覚えていることつらつらと書くことにしました。
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少しづつ実験してきたこと、アンプ屋さんとのコラボ、その他諸々すべて投入した機械です。
国内で59,800円、バーゲン価格です、海外用よりスペックアップしています。
ドイツで1,000DM、当時のレートで80,000円、適正価格です。
アメリカでは600ドル、ほぼ適正価格です。仕様と売れる価格のせめぎ合いという感じです。
さて、入口のほうから書いていきましょう。
アンテナ入力は2つあります。
その前に、操作はフルオート、フルマニュアル、無帰還アンプ、化粧美人でなくすっぴん美人の回路、というのがコンセプトです。
アンテナの切り替えはピンダイオードを使っています。
低周波用のリレーを使った製品がありましたが、切り替えてもせいぜい50dB、強入力では差が出ません。
100dBくらいの差が出るように頑張りましたが、周波数によってはそこまでいきませんでした。
マイナス電圧があると逆バイアスがかけられて切り替えが簡単なのですが、高周波回路用にはプラス電源しか用意していなかったので、ピンダイオードを2個直列にして逃げているという少々変な回路となりました。
フロントエンド、5連相当と謳っていますが発振回路のバッファに1連を使っている数字のマジックを行っています。
5連相当にするに当たってはアンテナ側のコイルを少しケチりモールドをしない銅線を巻いただけの物にしました。(注2)
又、フロントエンドはプラグイン式です。
量産ラインを意識した方式です。
プラグイン式にしていると最終ラインで合体すればよく、基板上に載せないので早く準備して作る必要がありません。
安くするためにフロントエンドをメイン基板内に作り込むと調整が大変になります。
フロントエンドがアンテナ入力から少し離れてしまうため、メイン基板側に小さいシールド板を付けています。
次にIF部です。
他社ではいろいろ工夫を凝らして狭帯域でも広帯域でも群遅延特性を良好に、という事を行っています。
ここではなるべく良いセラミックフィルターを使い特性の良いIF回路としました。
但し群遅延特性の良いフィルターはコスト高、ロスが多いのでなるべく使用は減らしています。
黄土色は汎用品、水色は中高級品ですが、上部に横線は比較的安い物(MMとMP)、丸点は特性最良な物(MX2、MZ2)です。
次は検波部です。
検波はフォスターシーレー(シーリー)ですが、レシオ検波回路のコイルはそのままに配線を変えた物です。
レシオ検波の配線を変えてフォスターシーリーにすると少しだけ検波出力が大きく取れます、後段の負担を減らすために採用しました。
但し、バンド幅は狭くなりますが、OKな範囲です。
なるべくロスを減らして出力レベルを大きくするためにショットキーダイオードを使用しています。
プラスマイナスのDC電圧がそのまま出ます。
IF部と検波部の他社の取り組みについては(注1)で。
次は、MPX(マルチプレックス)です。
まずプリアンプ、DCアンプです。
温度補償も何もないDCアンプで温度でDCレベルが変動しても離調してDC電圧が出てもそのまま出力に出すものです。
そのあとにスイッチング回路が続きますがCMOSスイッチングIC(双方向アナログスイッチ)でスイッチングを行っています。
4回路入りの物を使っていますのでAM/FMの切り替え、キャリブレーショントーンの注入もここで行っています。
マルチプレックスICにコンポジット信号を入れずにパイロット信号入力だけに信号を入れてやると38kHzのスイッチング信号が出てきます。
それでスイッチングICを駆動するわけです。
他社はフィードバックを掛ける、値をホールドする、正弦波スイッチングする等ですが、シンプルなアナログスイッチによるMPXとしています。
  最期にポストアンプに入ります。
DCアンプですが、DCサーボを掛けています。
DCサーボでこのDCアンプのDCドリフト、前段からのDC漏れ、全てを帳消しにするようにしています。
アンプのバイアスには緑のLEDを使用しています。
これは、アンプ屋さんからの情報で音が良いとの事で使用しています。
当時どの色が良いかと検討した結果、緑となったそうです
最近の製品でオレンジが使われているのを見ますが、当時の結論は緑でした。
  電源です。
海外では熱いのどうのと色々言われている電源ですが、各地域の安全規格は通っているものです。
予算の関係でギリになっていることは否めません。
コストは、温度よりも電源系統をたくさん作ることに振り向けています。
低周波系統のプラスマイナス電源、ヒートシンクは銅ヒートシンクです。
高周波系統で1つ、マイコン系統1つ、蛍光表示系統で2つ、チューニング電圧用に1つです。
それなりに温度は上がりますので、電解コンデンサを止めているボンドの変色があります。
それを電解液が漏れたと勘違いする人もいるようです。
問題ありません。
  シンセサイザーチューナーは音が良いか?
良くできた新しいアナログチューナーのほうが音は良いと思います。
現存するアナログチューナーはほとんどシンセチューナーの初期の頃かそれ以前です、劣化しています。
部品をかなり交換しなければならないと思います。
その手間をいとわなければ良いはずです。
シンセはフロントエンドの局発の発振を電圧で行っており、その電圧はPLL回路で作っています。
きれいなDCになっているはずですが、そこに測定には表れない何かが乗るとそれでFM変調が掛けられてしまいます。
それが音を劣化させます。
試しにPLL回路からフロントエンドのコントロール電圧入力に行く間の線を外してみるとその変化がわかります。
ほんの10秒程度(あるいは30秒)だけですが、その状態で音を聴くことができます。
PLL回路の出力R140からJ2の3番ピンまでにあるJW18をカットすれば一瞬良い音が聴けるはずです。
DCサーボのDCアンプは音が良いか?
DCサーボは、非常に低い周波数だけをフィルターして初段に戻しています。
その周波数以下DCまではフィードバックアンプでその周波数以上は無帰還(自己帰還)アンプです。
戻しているのはオペアンプで行っています、それは、オペアンプが温度特性が良いからです。
極低い周波数だけ戻しているので、オペアンプの影響がないと思いきや少しあります。
出てくる音にオペアンプの音が少し乗ります、電源共通の影響かもしれません。
ですので、厳密な意味ではディスクリートアンプにはなっていません。
FMチューナーはDC付近まで周波数特性を伸ばす必要はありません。
せいぜい30Hzくらいまでがフラットに出ていれば十分です。
オペアンプをやめて、ACアンプにすれば音は良くなります。
サーボ回路の部分にある2.2μFを出力カットに使えばそれで実現できます。
受け側が10kΩとすると7Hzくらいのカットオフになり十分に実用になります。
製品は、「検波段より出力まで全てのカップリングコンデンサーを排除」という目標があったので、DCサーボとなりました。
音だけを考えた製品ならば、コンデンサカットのACディスクリートアンプのほうが良好です。
生産台数は、国内向けは非常に少ないはずで、初回ロット千台で終わりだったのではないかと思います。
そもそもバーゲン価格だったので、売っても儲けは無かったと思われます。
特に量販店向けはディスカウントして出したでしょうから営業利益は無かったかもしれません。
海外向けは2年か3年続いたと思います。
金型がダメになって終了しました。
フィルムコンデンサについて
EROは当時の代理店から売り込みがありました。
緑色の物は音が自然で情報量もまあまあだったのでアンプ屋さんが採用しました。
そのおこぼれを頂戴しています。
青色の物は高域がものすごくきれいな音になります。
赤はその中間、緑の入荷が滞った時に代わりに使ったことがあります。
青は何かの展示会でSONYのスピーカーのカットモデルのネットワークに使われていたのを見たことがあります。
マークレビンソンのプリには赤が使われていましたが、不思議とWIMAが大量に使われていました(音が悪いのに)。
このEROは、後日電子楽器に多く使われたと聞いています。
S1000の内部写真では黄色の電解コンデンサは大量に見えましたが、緑色のキャラメルは見えませんでした。
銅箔コンデンサについて
スチコンの代わりに使っています、ポリプロピレンコンデンサです。
はっきりした音がします。
電解コンデンサについて
某社とアンプ屋さんのコラボで専用に作ってもらったものです。
外装フィルムの色は透明のほうが良かったのですが、アルミキャップに油が付いたときに見えるとかで透けている黄色になりました。
アルミ電極のエッチング、電解液が考慮されていたようです。
AS1(あかいスペシャル1)という製品番号にしたために他社には使ってもらえなかったようです。
他社に営業に行ってたら、あかいさんのでしょ、と言われたそうです。
外装フィルムの色を変えて出せばよいのにと思っていました。
このコンデンサは、情報量の多さ、低音の押し出し、よりも音の立ち上がり感を重視して音決めしたものです。
現在ではもう一般品(にちょっと毛が生えた)のような音です。EROも一昔前の音になっています。
抵抗について
某社とアンプ屋さんのコラボで専用に作ってもらったものです。
コーティングの色は茶系が良かったです。
内部のセラミックの組成がノウハウのようです。
カーボン抵抗にしては割と良いと思います。
このノウハウを金被に応用すれば良いものが出来たと思います。
トランジスタとオペアンプについて
カセットデッキ部門が半導体メーカーとコラボして開発されたと聞いています。
2SC3383/2SA1392とM5238です。
フルオート、フルマニュアルについて
記憶があいまいですが、電子通信学会誌(当時の名称)にシャープの家電設計の人が寄稿していた内容だと思います。
家電製品の理想は何でもオートでできる、手動設定は細かく何でも全て設定出来る、と書いてありました。
おおそうか、と思って採用したものです。
細かく設定できてもメモリー呼び出しで消えていては意味がないので全てメモリーするようにしています。
ソフト屋さんは面倒くさかったと思います。
AUTOのスイッチの幅は当初、他のスイッチと同じ幅でした。
当時のデザインコンセプトはスイッチの存在を消す方向でした。
それではオートの機能をアピールできないので、変更してもらいましたがデザイン担当者は嫌がっていましたね。
一悶着ありましたが、修正してもらってよかったと思います。
留守録のチャンネルずらしについて
当時は留守録が流行っていましたので、何度も同じチャンネルを呼び出すのでは芸がないので、考えました。
ネーミングは企画屋さんが行いました、センスの良い名前だと思います。
チャンネル数、2度押しで倍のチャンネル数について
以前は10個のボタンにシフトスイッチで20チャンネルに対応していました。
2度押しにして倍のチャンネルにし、2色LEDがありましたのでそれで区別するようにしました。
(注1):KENWOODの部長さん(?)が色々と書いています。
当時はどういうことかわかりませんでした。
特許も調べませんでした。
こちらです。
山水の取り組み(SLDD)も報道発表だけで中身はわかりませんでした。
階段状のスイッチング波形を本当に作るのかと思っていました。
後日SANYOがそれを利用してMPX ICを出しましたが、それの解説を読んでなるほどと思いました。
こちらにも解説があります。
マネしようとは思いませんでした。
オーディオ製品は性能が上がっただけでは音は良くなりません。
ひずみ感が減ってスムーズな音にはなります。
DA-F9000は、うまくバランスをとるようにしています。
FMチューナーは高周波製品で高周波屋さんが設計しているのが多いと思います。
全く音には興味がないので、オーディオ部分はオペアンプ1個で終わり、安いものだとトランジスタ1石で終わりです。
良くてもアンプ屋さんにちょっと聞いてきて電解コンデンサを良いものに変える程度です。
このDA-F9000、今の部品、もしくは音の良いと言われている部品に変えるとさらに良くなります。
その一例がこれです。
シンセをアナログに変えて、部品の一部をかえています、今どきのデジタル(FPGA)チューナーとの比較をしています。
(注2):このコストダウン、もう1つ方策を執っていてそれは発注先です。
以前よりフロントエンドの内製は行っていて、その時にコストダウンで裸のコイルを使っています。
コイルですからコイル屋さんに発注するのですが、コイルはコイルでもバネ(スプリング)屋さんに発注しています。
バネ屋さんの受注を増やしたい事とこちらは安く買いたいという事が合致した結果でした。
その代わり、仕様はコイルの電気性能は一切なく、サイズのみで規定しています。
又、スペース巻きだとトラブルが起きやすいので、全てエナメル(ポリウレタン?)線密巻きとしていました。
端子部分のはんだあげは手作業でやっていたようです、大変だったと思います。
以上です。
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