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DA−F9000紹介、ページ2

FM部の測定方法です。   以下のレシピでの調整を請け負います。詳しくは、こちらです。

 このチューナのサービスは三菱が行っていたはずですが、もう調整すらも受け付けてくれないようです(2007年)。
車ですと異なるディーラーに持ち込んでもなんとかなります。
同じような事がオーディオのサービスでも起きるのを期待して、その時にこの調整方法が一助になればと思います。

 (1)用意するもの。

高周波信号発生器、ステレオ信号発生器、オシロ、歪率計、ミリバル、デジタルテスター、調整用ドライバー。
このチューナは、スペックがかなり良いので、信号発生器もスペックの良いものが必要です。
そうでないと、送り出し側の特性をキャンセルするように調整されてしまい正しい調整が出来ません。
又、この調整方法は、ほぼ問題なく動いているものを調整する時に有効です。

 (2)まずはフロントエンド関係です。

 バリコンですと容量変化が決まっていますが、バリキャップは、電圧によって決まるのでその調整が必要です。
但し、サービスマニュアルが無い為、正規の電圧値がわかりませんので、確認だけにします。
メイン基板のフロントエンド用コネクタJ2(6P)のそばのJW18の電圧を確認します。
実測値は下記となりました。

   76MHz:7.3V  90MHz:25.0V
もう一台はそれぞれ、7.4V、25.2V でした。

90MHzの25Vが変化の最大電圧ですが、電源電圧が実測31.6Vなので余裕があり問題なさそうです。
76MHzの下限の電圧もそれなりで問題はなさそうです。
RFアンプとOSCバッファのコイルとトリマーを調整してみて調整範囲内であれば良しとします。
もし、調整範囲を超えた場合、76MHzでの電圧を0.5V程度変化させてみます。
その場合、フロントエンドのOSCコイル(L6)を回して電圧を変えます。
そうすると、上限の電圧も変わりますので、90MHzでの電圧をVC5で元の電圧にします。
さらに下限の電圧が変わりますのでこれを繰り返して希望の電圧に調整します。

 次にOSCバッファのコイルとトリマーを調整をします。
フロントエンドのTP1にオシロのプローブを接続します。
その波形が最大になるように、76MHzではOSCバッファコイル(L7)を、90MHzでトリマー(VC6)を調整します。
VC6は、ちょうど中間付近ですが、L7はコアが出気味になりましたが、良しとします。
この調整は、オシロに50MHz以上の帯域のものが必要です。
用意できない場合は、下記と同じ方法で行うか、ほとんど変化しないのでそのままでも良いでしょう。

 次にRFアンプのコイル、トリマーを調整します。
アンテナAから信号を入力しますが、信号はモノで無変調のキャリア(30dBμV以下)とします。
オシロのプローブは、メイン基板のC37に接続します。
周波数78MHzを受信し、L2、L4、L5を調整して波形を最大にします。
L2は、調整がやや難しいのでご注意下さい。
次に、周波数を88MHzにしてVC1、VC3、VC4を調整して波形を最大にします。
さらに78MHzの調整がずれますのでこれを繰り返して両方の周波数で波形最大に調整します。
プローブをはずします。

 (3)これで高周波系は終わりで、IF系に移ります。

 RF信号にFMモノ変調をかけ、周波数を83MHzにします。
受信波形が出力に現れているはずですので、RF信号を弱め、ノイズ混じりの波形にします。
フロントエンドのT1とメイン基板のT1を回して波形のノイズが減るように調整します。

 次に、T2の調整をします。
入力レベルを30dBμV以上に上げて、R43の両端の電圧が0Vとなるようにします。
周波数が10kHzずれると電圧が0.3V変化しますので0.1V以内なら良いでしょう。

 次に検波コイルの調整をします。
通常は、検波出力そのものの電圧で調整しますが、ここではDCサーボの掛からない前段のアンプ出力で調整します。
デジタルテスターは、R168の手前側に接続します。メイン基板中央付近のLEDのそばです。
又、信号の変調は、モノ、60dBμV、歪率計も出力に接続します。受信はWIDEです。
調整するコイルは、T3、T4の2つですが、これを交互に調整することで、R168電圧を0Vにし、歪率最低にします。
2つのコイルは別々の役目にします。T3を歪率、T4を電圧0Vとしました。
同調時にここに電圧が出ているのは精神上良くないので、電圧は、30mV以下とします。
10kHzの周波数ずれで、60mVの電圧変動でした。歪率は、0.036%でした。

 さらに歪率を追い込みます。
前に調整したT1(メイン基板とフロントエンドの両方)を4分の1回転を目途に動かして歪率最低とします。
メイン基板側のT1はほとんど変化しませんでしたが、フロントエンド側で歪率は、0.024%となりました。
ほとんどが3倍の高調波成分でした。
この時、感度の低下がないか、あっても1〜2dB程度かを確認します。
NARROWの歪率も確認します。0.14%でした。
VC1を回すと0.12%となりました。

 次にNARROWゲインの調整をします。VR1です。
WIDE時にシグナルメーターの5点目が点灯開始するRF信号入力とします。
NARROWに切り替えて、同じレベルで点灯するようにVR1(NARROW GAIN)を合わせます。
これはほとんど合っていました。元々の差は、1dBでした。
5点目が点灯しない場合には4点目で合わせます。

 (4)いよいよステレオ調整に入ります。

 信号の変調は、ステレオ、パイロット信号のみ、60dBμV。受信はWIDEです。

2現象以上のオシロがあればステレオスイッチング信号とR168の波形の位相ずれをVR4(PILOT)で修正すればOKです。
ない場合は、R168の波形に現れるひげが波形(パイロット信号)の0V点と上下のピークの位置となるようにすればOKです。

 次はパイロットキャンセルです。
出力を確認すると、パイロット信号の漏れが見えます。
これをVR5(P.C.)で最小にしますが、LRチャンネルで同じ位のレベルとなるようにします。。

 その次にステレオ歪率を確認します。
まずステレオ変調をLchのみでかけ、Lchの歪率をみます。0.092%でした。
次はRchのみのステレオ変調でRchの歪率をみます。0.11%でした。
まずまずですので良しとします。念のためNARROW時のステレオ歪率も測定します。
L:0.31%、R:0.32%でした。
歪率を下げるにはフロントエンドのT1を少し動かしてみます。それぞれ、0.25%、0.26%まで改善されました。
WIDEでの歪率は、LRでのバランスがやや崩れました。0.082%と0.12%でした。

 さて、ステレオセパレーションの調整に入ります。まずWIDEです。
信号をLchのみ変調し、Rchへの漏れが最小になるようにVR6(WIDE L->R)を調整します。
次に信号をRchのみ変調とし、Lchへの漏れが最小になるようにVR7(R->L)を調整します。
結果は、それぞれ、59dB、57dBでした。
NARROWも調整します。NARROWは、VRが1つ、VR8(NW)だけです。
LRで均等になるように調整します。51dBでした。

 (5)最後に近づきました。アンプのDCバランスを調整します。
変調は無変調とし、VR9(DC L)、VR10(R)で出力電圧を0Vとします。
温度等で変化するでしょうが、簡単に1mV以下に出来ました。

 (6)いよいよ最後、シグナルメーター点灯レベルを合わせます。
ステレオとモノで信号の点灯開始が異なるのでこれを合わせます。
まず、ステレオ信号、変調はメイン(L=R)とします。
この時点灯開始は、26dBμVでした。これを是としてモノ時の点灯レベルを合わせます。
ですが、VRの位置が悪くなったので、23dBとして再調整しました。
但し、1点目を合わせても3点目では変わってきてしまうので、適当なところにしました。
又、VR11(FM)は、5点目点灯レベルですが、当初のままとしました。

 (6)残りの調整ポイントです。
VR3は、21dBμV入力で、R77のVR3寄り側の電圧が5Vの半分の2.5Vに変化します。ここは、そのままとします。
VR14は、RECレベルの調整ですが、これもそのままとしました。

 調整ポイントは、こちらです。

 次のページは、基本スペックの実測値とカタログ値の比較です。

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