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パワーアンプの発振防止回路の検討 のページ


パワーアンプの発振防止回路の検討、ページ1

発振防止回路のないパワーアンプを買ってしまったら   2019.9.19

 SOULNOTEのA-1,A-2プリメインアンプは、発振防止回路が省略されています。
音質上の措置だそうですが、A-2は、片チャンネルが発振して保護回路が働きます。
スピーカーケーブルを繋いだだけでスピーカーを接続していない場合です。
ケーブルの先に160Ω(手持ちの関係)を繋ぐと保護回路の動作は止まります。

調べましたら、ソースフォロアーが発振する、という症状そのものでした。
負荷にコンデンサがぶら下がるとコルピッツ発振回路になるんですね、確かにそうです。
ダーリントン接続だとさらに危ないそうで、片側だけが発振するのは、配線の影響のようです。

発振防止回路は、コイル(1μH)と抵抗(10Ω)のパラを出力に直列に入れるだけですが、音に影響するのでしょうか?
そこで、2Φの被覆無酸素銅線と5Wの酸金抵抗で回路を作ってスピーカー端子に取り付けて試聴してみました。
コイルは約20mmΦ14ターンです、LCメーターの10kHzで測定して微調整をしました。
酸金抵抗は、コイルの中側に仕込んであり写真では見えません。


右側の端子は、DINの2Pスピーカー端子です。
これをA-1(改)のスピーカー端子につないで音を聴くとフワッとした雰囲気を出している細かい音が消えます。
確かにコイルと抵抗の発振防止回路は音に影響があるようです。
では、コイルの線長が影響しているのであれば、短い線長で同じインダクタンスになるように改造してみました。
コイルを32mmΦ5ターンとしました。
やや良くなるようですが、やはりフワッとした雰囲気が無くなります。
やはりコイルの影響があるようで、これを同じ線材でショートすると元に戻ります。


又、ショートした線を外し、さらに抵抗も外してコイルのみにしても関係なくフワッとした雰囲気が無くなりました。
抵抗は、音の悪い(と言われている)酸金でも関係ないようです。

以上より、線長の短いコイルがあれば良さそうに思えました。

そこで、フェライトクランプを試してみることにしました。
A-1,A-2に使われているトランジスタのftは70MHzくらいなので、50MHzくらいまでのフェライトクランプがあれば使えそうです。
手持ちのフェライトクランプは、 寸法:18.5x15.5x14.5(mm)、 内径:6mm、 対応ケーブル最大径:Φ6mm
インピーダンス(最小値):60Ω(@25MHz)、80Ω(@100MHz) で、使えそうです。

簡易的に測定してみました。
SSGから信号を出し、オシロを50Ω入力にして接続しました。
先端ワニ口のケーブルを対抗させて接続し、ワニ口の線材むき出し部分にフェライトクランプを取り付けました。
 SSG---(50Ω同軸)---ワニ口---ワニ口---(フェライトクランプ)---(50Ω同軸)---オシロ(50Ω負荷)


上の2本の線は、フェライトクランプ無しのレベルを10とした時にフェライトクランプを1個ないしは2個付けた時の通過量を表しています。
測定系の負荷は50Ωで行いましたので、その値と通過量から等価抵抗を求めたものが下の2本です。
このフェライトクランプは、1MHzではほとんど役に立たず、10MHz以上で効果を発揮するようで、オーディオアンプに使うのにちょうど良さそうです。

通常使われているコイルはQが高いのですが、10Ωの抵抗でQダンプされ、最大抵抗値は、10Ωとなっています。
フェライトクランプ1個で同じような感じになりますので、実験はフェライトクランプ1個で行ってみました。


そうしますと、効果あり、雰囲気音は消えません。
それで、A-1,A-2共にスピーカー端子の部分にフェライトクランプを入れることにしました。
実験使ったのよりも短いアダプタに無理やり取り付けています。


実際に音出しをして驚いたことがあります。
A-2は、3WAYマルチの低音部に使用しているのですが、フェライトクランプを入れたら低音の音量が上がったように聴こえました。
波形確認はしていないのですが、寄生発振をしていたのかもしれません。
スピーカーが繋がれていて保護回路は働かなくても発振防止回路の無い悪さがあったのかもしれません。
いずれにしろ、フェライトクランプを付けた悪さは出ていないようです。
もちろん、A-2側片chのスピーカー端の160Ω無しでも保護回路が働きません。

以上、発振防止回路のないパワーアンプを買ってしまったら でした。

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