寄りみち(Vol.58,98年2月号)

この冬はインフルエンザ大流行です!まめまき

 毎日,寒い日が続いています。また,インフルエンザがとても流行っていますがみなさん,だいじょうぶですか?
 昨年は暖かな冬だったので今年はよけい寒く感じてしまうのでしょうか。ここのところの冷たい風で外出するのがイヤになります。店の前を通る人も背中を丸めて早足です。なにしろ早く暖かくなって欲しいですね。2月になって長野オリンピックも始まり,毎日・毎日楽しみです。

 テレビの前から離れられずに家事も手抜き状態。夜の「オリンピックハイライト」を見ながら一杯が我家の最近の楽しみです。主人は高校の頃にやっていたとかでアルペンの競技から眼が離せないようです。

大雪に誘われて 職人の町,加茂へ

 1月○日,新潟県をはじめ日本海側は随分と雪が続いているよう。まぁこれでオリンピックの開催は心配なさそうだ。
 こちらでも2週間続けての大雪が降り首都圏をはじめ交通は大混乱。
 私は雪かき,雪かき,で少々ハードに動いて筋肉痛。
 なんとなく「萬寿鏡」の社長と専務の寿夫さんに会いたくなり,連絡もせず加茂へむかった。

 遠いと言っても新潟は近い,楽に日帰りが出来る。その日加茂もちらちらと雪が降っていた。
 加茂はとても情緒のある町並みで小京都とはよく言ったもので,ちらちら降る雪がいっそう雰囲気を高めてくれる。
 タクシーで商店街を進んでいくと突如として眼の前に独特の雰囲気を持った酒蔵が現れる,それが「萬寿鏡」。

 正面玄関の大きな水車と杉玉,小さな水路のせせらふが,重苦しいぐらいの感じで水車を回している。その水面には,朱塗りされた小さな可愛らしい太鼓端がかかり,水路のゆっくりした流れに身を任せる様に鯉が泳いでいて,言葉に出来ない風情を感じる。

 引き戸を背理右側が事務所になっている。
 「川崎の石澤です。突然ですが,社長と寿夫さんに会いたくなり本日勝手に伺いました。どうかお取り次ぎを」
 「少しお待ち下さい」
 一昨年と事務所の様子が変わっていた。人を寄せ付けるのを拒んでいる様な何とも言えない威圧感,重圧感が拭い去られこざっぱりときれいになっている。奥の方から「川崎の石澤,ちょっと待ってもらってくれ」と声が聞こえる。「あっ社長の声だ」事務所の左奥が応接室になっているようだ。

 以前事務所の脇にあった茶机でお茶をご馳走になるのを楽しみにしていた自分は,少し拍子抜け。5分ほどで先客が帰られ社長そして寿夫さんと2年ぶりの再会,とても暖かく迎えられ,少々戸惑う¥いながら話が始まった。勿論,吟醸酒論から純米,本醸,と実に楽しく面白い,そして蔵元自らが本当に酒造りに燃えている。昨年から酒造りの実務を任されているのは,ご子息の寿夫さんで,ヒシヒシと造りへの情熱が伝わってくる。
 精米一つとっても黙って去年よりも5%平均精米歩合を上げている。一言で言うとすれば,ますます酒に透明感が出てくることになろう。

 また社長の遊び心が生んだ酒,室町古備前大甕仕込の酒,通称「道楽仕込」(非売品)でも更に面白い情報をキャッチ,近いうちに皆さんに秘密を明かせるかもしれない。2時間ほど話し込んで,あたりはもう真暗,事務所の明かりも消され静まりかえっている。
 萬寿鏡にいると時間を忘れてしまう。
 社長が突然「今日,帰られるのか?」
 「はい,今日中に帰れれば・・・」
 寿夫さんが時刻表をチェック,加茂○時○分。
 「じゃあ後2時間ほどあるな,一杯行こう」の一言で,そのまま寿司屋へ直行。ウレシイ。

 第二ラウンドの開始,いよいよ酒を交わしながらの本番。
 社長の言葉からも寿夫さんの言葉からも本音がビシビシ。

 本当に楽しい,ずっとこうしていたい衝動に駆られる。定められた時間もあっと言う間に過ぎ,心地よい酔いと共においとまの時が来てしまった。
 「社長,寿夫さん,また来ます。楽しい時間をありがとうございました」
 帰りの車窓を眺めながら一人,旨い酒の余韻をいつまでも楽しみました。心和むお蔵元の情熱を伝えられるように頑張らなくっちゃ!ようし,またお蔵へ行かなくっちゃ・・・。

萬寿鏡蔵元
大吟醸 蔵之主
厳封を切る
満ち満ちる感動の香気
言葉を喪失すること暫し
沈黙の陶酔は更に深まり
至福の時は流るゝ
吟醸酒,これぞ日本酒の精華
其の名も蔵之主
今しも酌まんとする人々に祝福あれ

☆ さぁて!!
  今年の萬寿鏡じっくりとご賞味あれ!




今月の酒・味だより

満寿泉・花一献

 富山の吟醸蔵・満寿泉の春限定の吟醸生酒です。
 「花一献」入荷すると,もうすぐ暖かくなるんだなぁ・・・。という気持ちになる,とても季節感のあるお酒です。華やかな香り,やわらかくふくらむ味わい若々しく,いきおいのある酒質。一足早く春の訪れを感じてみてはいかがでしょうか?
 720ミリリットル・・・1,750円, 1.8リットル・・・3,250円

手取川吟醸あらばしり<生>

 待ってました!の1本です。
 口に含んだ時にフワッと吟醸香が広がります。新酒ですがバランス良くふくらんでサッと消えてゆきます。フレッシュできれいな酒。おかわりお待ちしています。
 720ミリリットル・・・1,457円, 1.8リットル・・・2,913円

梵・純米吟醸

 五百万石50%の純米大吟醸を0度で2年間熟成させています。
 旨みも十二分,落ちつきがあり,やわらかな酒質で飲み手を本当にやさしく包んでくれます。おいしいものと,ゆっくりと一杯やりたい,とっておきの1本です。
 720ミリリットル・・・1,900円, 1.8リットル・・・3.800円

酒一筋・田植酒・純米吟醸

 昨年(1997年)の6月「寄りみちVol.51」で紹介した岡山・利守酒造の酒米研究会の雄町米の田植の様子,覚えていらっしゃいますか?
 11月,稲刈り,そしてやっとお酒になりました。特別のお酒です。
 華やかでフルーティーな香りとやわらかく味があり,しかもキレイな味わいです。手に入れた方はラッキーです。冷蔵庫の無地ラベル,それが田植酒です。参加は粋人盃の石毛さん,中川さん,石澤です。
 1.8リットル・・・3,600円

WakuWaku!情報

 昨年飲んで驚きましたね!
 2月下旬!入荷で〜〜す。
 府中誉”純米吟醸”  と  渡舟純米吟醸原酒<生>1.8リットル
 広島 富久長の新酒です。

 今年もすごいよ。おなじみの吟刻のしぼりたてと純米吟醸”むく”のしぼりたてです。

<地ビール入荷状況>

 新潟エチゴビール  ペールエール 330ミリリットル瓶 850円
 新潟燦地麦酒  ファイン/ビクトリア/キングダム 330ミリリットル瓶 各660円
 駿河ビール(富士市)  アルトビール/ピルスビール 330ミリリットル瓶 各480円
 南信州ビール  アンバーエール/ゴールデンエール 330ミリリットル瓶 各572円(2/28入荷予定)


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