雄町とは・・・
山田錦が酒米の王とするならば,もう一つの酒米の帝王と呼ばれる赤磐雄町がある。
品種は山田錦の親になる古い品種で戦前は山田錦よりも雄町の評価が高かったという。秋に品評会が開かれていた当時,雄町が手に入らなければ山田錦を代用に使えと言われたほどである。
また特に赤磐郡の雄町は最高のものであると評されていた。
だが戦争で衰微し岡山市雄町の篤農家の手で維持されてきた。
6月6日(土),川崎は昨日からひき続き雨,外気は少々どころか肌寒い。午前4時20分起床し,昨夜から我家にザコ寝していた海鮮山鮮の大将,渡辺栄治さんと粋人盃の熱烈な吟醸酒ファン代表中川昌士さん,そして私たち夫婦の計4名で赤磐雄町のふる里へ向かった。
・・・ん!1名たりないんじゃないかって・・・そのその人・石毛浩之さんは,昨晩から夜行バスで岡山へと向かっている。
われわれ一行は昨日は2時間ほどしか寝ていない。4人ともボーッとした状態のまま羽田空港から岡山空港へ,約1時間のフライトで岡山へ到着。
岡山は川崎と違って,ド・ピーカン,すこぶる快晴だ,ねむかった我々にも気合が入り始める。
岡山空港に利守酒造さんの親戚の方が迎えに来てくださった。タクシーで行けば良かったのに少々悪いことをしてしまった。行きの車の中でありがたさをかみしめる。
蔵に着くと,すでに石毛さんが到着していた。少々早く着いた我々が着替えを終える頃に続々と田植の参加者が集まってきた。
今年は50名を超す大人数となり,ジワジワと参加人数が増えている「田植祭り」の盛りあがりを肌で感じる。
予定時間より少し早く田植が始まった。
一転の曇りもない青空で気持ちがいい。寝不足でふらつかない様に気を引き締める。
すでに田おこしは済んでおり,いつでも植えて下さいと田圃が待っている様だ。横一列に田に並んで田植が始まった。
苗床の苗をそれぞれが手に持てる量に分け,それを2株,3株くらいに取り分ける時の手の感触はなんとも言えない。小さいとはいっても張り付くように苗の根が複雑にからみ合っているのを少し強引にズ・ズ・ズとはがす感じ。田に植えてもなんだか頼りなく感じる。「これでいいのか?」なんて思うくらいだ。
順調に田植が進むなか,今年は自分自身を田植してしまった人が2名ほどいた。苗を植えるためにかがんでいる横でバッシャーンとすごい音が・・・
ふっと見上げると全身泥んこになっている人がいるではないか,数分もしないうちに,また一人がバッシャーン,きっと苗も笑って見ていただろう。
和やかな中,先ほど植えた苗が太陽に向かってピンと上を向いている。生命力の強さをひしひしと感じる。
さて今,酒米の王といえば「山田錦」という事になる。北の酒蔵から南の酒蔵まで山田錦の入手ルートに手をやいたりしているのは事実である。東日本,特に木谷向かうほど山田錦の作付けには向かない。出来のよくない山田錦をゆずってもらうくらいなら,それに代わる品種をという事になる。
食米の米どころと言われる所に必ずしも最高の酒米があるとは言い切れないのだ。
山田錦は兵庫県「灘」のお蔵がある意味守って来たと言っても過言ではないだろう。
たとえば「菊正宗」の村米と言えば名高い吉川町があげられる。
特A地区と言うように,しっかりとした格付けがある。それが更に山田錦の名声を高めた一端になったのではないだろうか。また,こだわりの銘醸蔵の中でも特に石川県鶴来町の菊姫酒造はこの吉川町産特A山田錦をフルに使って酒造りを行なっている。
では,酒米の帝王の名前を欲しいままにしている雄町米には残念ながらその格付けがしっかりとない。
永谷正治先生の「酒米」((株)醸界タイムス刊)の中にはこんな一文がある。『・・・数年前,田村氏(酒一筋杜氏)と私(著者)が収穫直前の田を眺めていた。利守酒造へ納める田である。そこへ60代くらいのお百姓が現れて一緒に稲の作柄を批評し始めた。そのうち「雄町の値段は検査じゃなくて酒を造るあんたが決めたらいいんだ」と発言した。田村氏は生返事・・・私が引き取って「やがてそうなりますよ」と言ったところ「やがてじゃ面白くない。今年からやってもらいたい」
これが米を作る火との気持ちであろう・・・』
裏をかえせば,雄町米はそれほど少ない米,また酒造りに適した雄町は栽培の難しい米であったという事になる。
酒一筋・利守酒造は赤磐郡赤坂町に位置しており雄町の郷里と言っても過言ではない。雄町米も現在,各県に出回っている様だが赤磐雄町を名乗れる蔵は少ない。
利守社長と田村杜氏が二人三脚で篤農家をくどき絶滅寸前であったこの米を昭和50年代初頭から生産量ゼロであったこの赤磐郡に復活栽培してきたのだ。
この酒米「赤磐雄町」さらなる格付けが生まれる事を一酒徒として望んでやまない。
雄町米も山田錦もブランド的にその名前が付いていればというのは許されないのではないだろうか。お蔵元は、よく一麹・二モト・三造りとうたうが,ちょっと待って,一水・一米,そして醸造ということも忘れてはならない気がする。
鳥取は因幡地方にあった幻の酒米,強力は栽培されている絶対量はまだまだとても少なく,幻の米として鳥取でも二蔵ほどで大吟醸や純米大吟醸として醸している。
諏訪泉さんでも研究用にと3年前から試験的に醸造してきましたが試験用ということで本醸造などにブレンドしていたそうです。醸造スタッフはこの大吟醸をもったいなくて発売したかった。
1昨年に醸造した強力大吟醸,1年の熟成をへてデビュー。なんと南條社長の「研究用だから」の一言で1升3,000円という超お値打ちとなりました。数が少ないのでお早めに・・・。
1.8リットル・・・3,000円, 720ml・・・1,500円 やさしくてふくらみのある酒1升で5,000円クラスの味わいダヨ
ますますやわらかく,おいしくなって来ました。
本来出荷される時にすでに1年間ゆっくりと熟成させているのでとてもバランスの良い酒です。このお酒は12月に限定出荷されているお酒です。
じゃあ何で今ごろ店にあるの? と聞きたいでしょう。そうなんですヨ・・・当店ではこの旨酒を1年を通して楽しんで頂きたいので(1年間はとてもムリですが)12月にたくさん分けてもらって倉庫の冷蔵庫にしまってあるのです・・・ウヒヒ・・・
このやわらかく,なめらかな旨酒,ゆっくりと味わってみて下さい。
1.8リットル・・・2,916円
南部美人の久慈さんの所から「限定無濾過大吟生原酒」という長〜い名前のお酒が入荷して来ました。
鑑評会用に仕立てたタンクのお酒ですので数には限りがあります・・・ゴメンナサイ・・・
飲み口は濾過などをしていないぶん,味おたっぷりとふくらみ,奥行きがあります。口に含んだ時にプラムを思わせる様な香りを感じます。飲んで旨い1本です。お楽しみ下さい。
花垣の限定品が入荷しております・・・お待ちの方はお早めにね・・・
たくさんの予約をいただいている満寿泉の純米大吟醸ワインたる貯蔵は9月に入会してくる予定です・・・入荷次第ご連絡いたします・・・
ここのところ店でよく聞かれる府中酒造の渡舟純米大吟醸(生)は次回は9月に入荷する予定です・・・待っててね〜