春のようにぽかぽかと暖かい日あり,真冬のように寒い日もありと忙しいですがお元気でお過ごしでしょうか。
寒暖の繰り返しがあってだんだんと春になってゆくのでしょうが,ただボーッと暖かくなるのでない,この繰り返しがよけいに「早く春にならないかなぁ」という気持ちを強くしている様に感じます。春の暖かな日ざしが待ちどおしいですね。
先月,木陰浮月粋人盃のメンバー9名で東北の酒蔵見学に行ってまいりました。
見学させていただいたのは,青森の西田酒造店,秋田の喜久水酒造,刈穂酒造,出羽鶴酒造の四つの酒蔵です。
夜行列車で出発して1泊2日というちょっと忙しい日程でしたが,じっくりとお蔵の見学もできたし終わってしまうとアッという間,楽しかったです。この旅では大好きなお酒の造られている現場を訪ねて酒造りに携わる人々とお会いし,お話を聞くことで新しい発見あり,驚きあり,そして,それぞれの蔵のお酒がグッと身近に感じられる様になったのではないかと思います。
そして,手をかけ,時間をかけて大切に醸されている様子を見ると,飲み手の私たちもお酒を口にする時に少し身のひきしまる思いがしました。
参加者それぞれが,各お蔵の見学で感じたことは色々でしょうが,次からそれぞれのお蔵のお酒を楽しむ時には,それぞれ色々な情景が浮かんでくると思います。
帰途,東京駅に着いたとたんに「また行きたいね」という言葉が次々と。蔵元や酒蔵のみなさんに大変お世話になってそのおかげで,すばらしい酒蔵見学の旅になったのだと思います。
本当にありがとうございました。
2月19日(金)木陰浮月粋人盃のメンバー総勢9名で酒蔵訪問の旅はスタートした。
22時23分発「寝台特急はくつる」のプラットフォームは上野駅であることを忘れさせる様な田舎の雰囲気をかもし出している。
大寒波の影響で東北は大雪らしい。上野駅でも底冷えする。
粋人盃のメンバーの鈴木さんが、お見送りに来てくれた。今回,行かれないのがとても残念だ。
発車5分前に全員そろい車中宴会が始まる。
予習を含めて「喜久泉大吟醸斗瓶」で乾杯!
狭い客室に大吟醸の香りが広がる。3年物なのにまだ熟成の香りは余りなく,バランスよく飲み飽きしない。
あっという間に一升瓶が空になり各自が持ちこんだ地酒とビールで消灯後も声を小さくして?宴会。にもかかわらず何度か車賞さんに注意を受けた。興奮さめやらぬまま,12時頃みんな横になった。ガタン,列車が大きく揺れ「盛岡」のアナウンスが聞こえた。うとうとしながらトイレにいき車窓を見るとボソボソと雪が降っていて,いよいよ東北に来たぞ,と一人ブルッとしながら勝手に思う。またそそくさと横になる。野辺地駅あたりでみんな起き始め8時17分,青森に到着。
刺すような冷たい風と共に下から撒き上がるように雪が降っている。
駅前市場の食堂でしっかりとした朝食をとる。
にぎり鮨,刺身定食,市場定食とおのおの食べたいのを頼む。帆立貝の鮮度を満喫しながら少々オーバータイムになる。
時間を気にしながら,いそいそとタクシーに乗った。
さあいよいよ「田酒」を醸す西田酒造店だ。
タクシーの中で少し太陽が顔を出したが,すぐに大雪,路面の雪も寒さで溶けることを知らないのか真白な状態のままだ。途中,除雪車が作業していたが糠に釘。
20分程で西田酒造店「喜久泉・田酒」に到着した。市内でも海岸よりの大浜(蔵ある所)は,海に近いにも関わらず上質な湧き水に恵まれている。昭和4年にこの湧き水を譲り受け,銘酒「喜久泉」が生まれる。
蔵につくと既に秋田の「酒屋まるひこ」栗谷さんが到着しており,西田専務と歓談していた。
久しぶりの再開に思わず顔がほころぶ,お茶をごちそうになっていると,蒸かし(蒸米)があがったとの連絡があり,早速見学させてもらう。
蒸米(炊飯器のように炊くのではなく蒸す)は一つの蒸しではなく仕込みの種類ごとに酒米が重ねられており,それぞれの蒸しが加減されている。
次に精米所に案内していただく。途中6月に出荷される「善知鳥」の取りのタンクの小ささに個人的に驚く。
精米所ではコンピュータ精米機が音をあげていた。
精米所で,それぞれの精米された真白な米を見せていただく。60%に磨かれた米をさらに35%までに磨きあげるのに20時間費やしている事や,糠の種類ごとの説明をうける。
精米所から次に2階に上がり麹室へ,ピカピカの麹室で私をはじめみんな少々,緊張気味,室に入るとそこは出麹室になっていて急に外気温にさらされないように配慮されている。
麹米を見学しながら,手に取り香りを確かめ口にする。
突きハゼ麹の味は・・・
見学者の特権だから秘密。麹室は2部屋に仕切られていて床麹法と蓋麹法を行っている。
床麹法は,床台を一つの麹蓋と考えて貰えば理解しやすいだろう。麹の操作がしやすいという。
麹室の階段を降りて(麹室の下が酒母室と大吟醸の仕込み場になっている)遠巻きに辻村杜氏の作業を見ていると「こっちさこい」と嬉しいお言葉。ドタドタと山廃酒母室に入るり込み見学させていただく。
酒母の話を聞きながら私は一つだけ辻村杜氏にお願いした。「おやっつぁん,酒母の3〜4日目のちょいと甘いやつと,上がる寸前の思いっきり酸っぱいの,見せていただけないかな〜」「ほうほう,甘いのと酸っぱいのだなな!」嬉しい言葉が返ってきた。後でみんあびっくりするぞと一人でニヤニヤ・・・。
すぐ隣の部屋には,大吟醸の仕込タンクの脇に斗瓶がズラーリ,よだれが出そうになりながら見学する。
その後,絞り機を見学する。3機の槽で丁寧に搾っている。3機あると積み替え作業がとてもスムーズにこなせる。理想的だな〜とつくづく感じた。手造りのオイシイ酒を醸す環境には,妥協という「物」だけが無かった。
見学の後,今年の搾りをきき酒させていただいた。酒母の3日目モト(酉+元)・酒母当日モト上げ・純米(仕込)50号・51号・52号・53号・61号・純米吟醸(仕込)41号・42号・大吟醸(仕込)43号・40号・大吟もろみ1・大吟もろみ3。
「幻流」でみんな味をみる。「幻流」に吐器はいらない,丹精込められた酒,もったいなくて吐き出せるもんか!
新酒のはち切れんばかりの若さと共にしっかりとした味の深さに声がでない,唯一,酒母の甘いのと酸っぱいのに,みんな仰天。
きき酒の後,西田専務の酒に対するポリシーを教わる。みんな,酒造りの原点を感じたことだろう。原点と言えば,昭和46年にさかのぼる。
大手の三増酒が世の中を席巻しているころ,西田興太郎蔵元は,酒の原点を模索し「田」すなわち「稲」で醸した米だけの酒,純米酒「田酒」を世の中に問うた。純米酒のこだわりを世に説いて苦節10余年,57年秋,情報誌「T」が純米酒「田酒」に最高の評価をあたえ磨きあげられた純米酒造りの腕は、一躍,銘酒の名をほしいままにする。旨い物には,それなりの深い歴史が潜んでいる。西田興太郎蔵元の心の中には,今も純粋な酒に対する熱き思いがたぎっていることだろう。
ものごしの優しい蔵元と玄関先で話している時に,ふと気づいた。
数年前まで残っていた,玄関先から米を引き込んでいたトロッコの引き込みレールの後が無くなって奇麗にコンクリートで馴されていることに・・・少し寂しく感じてしまった。
ただ秋田地震の際,残った黒光りした柱の,米を引き込むための「鎌」の傷跡が,私達に歴史を語っていた。
おいとまの時が来てしまった。なごり惜しいが昼食の予定の天婦羅「つの川」へ向かう。
「田酒」の搾りたて無印原酒とともに。
桜だよ!
桜の開花が今月の24日頃と予報が・・・。
こんなニュースを耳にすると,わくわく!するのは私だけでしょうか。
桜の花を求め屋外でお酒を楽しみながら自然の美しさを愛でるという風習が日本にあってよかった〜
華やかでフルーティな香り,また,その香りに負けない味のふくらみ,若々しくて,力強いお酒です。
ラベルも桜色で春のイメージがいっぱいです。
「花見のオトモ」という事で4月号の料理王国にも紹介されていますヨ。
1.8リットルのみ・・・3,850円
グリーンの1升瓶の半分ほど白くにごっており,少し揺するとそこから,小さな泡が少しづつプチプチと口元に向かって上がっていきます。見た目もすごくキレイでおいしそう。
さて開栓! しかしここで焦らずご注意ください。
にごり酒といっても火入れをしていないので瓶の中で酵母が生きていて発酵を続けており,発酵によって生まれた炭酸ガスは外に逃げ出せず,お酒の中に溶けこんでゆきます。ですから開栓の時にフタが飛んだり,中身が吹き出すことがあります。強く振らずに静かに開栓。フタの上に親指をきっちり置いて,いつでもフタを押えられる様にしてから少しづつ瓶の中のガスをぬく様に開けて下さい。うまく開けられましたか・・お疲れ様でした。この飲めるまでの作業もまた楽しいんですよね。
きめの細かな口当たりと,シュワッとした炭酸がお酒をよりキリッとさせる。味のある辛口の酒です。
飲みすぎ注意...
1.8リットルのみ・・・3,400円
香り高く華やか,のびやかでバランス良く厚みのある酒質。満寿泉のお蔵から華やかな”春の便り”が届いた。そんな感じのお酒です。
さぁ今日はこの一杯で終わりにしようと思いつつも,なかなかこの幸せ感からやめられないそんなお酒です。
1.8リットルのみ・・・5,050円
毎年お待ちかねの真白ラベルの田植酒。
田植酒は酒一筋ファンが赤磐雄町の「田植」から「稲刈」「仕込」に参加してできあがったお酒です。
フルーティな香りとバランス良く引きしまった酒質,今年も旨い。昨年の6月,粋人盃メンバー石毛さん,中川さん,渡辺さん,石澤2名が田植に参加。稲刈には石毛さん,中川さん,池田さんが参加しました。
720ml・・・1,800円, 1.8リットル・・・3,800円
今年も6月に田植があります!参加,大カンゲイ!