さあ4月,スタートの月ですね。
桜の花も開き,町の至る所で色々な花がいっせいに色づき始め活気が出てきました。
私たちを包んでいる風景も元気いっぱい,私たちの色々なスタートを応援してくれているのでしょうか。
入学を済ませた1年生の子供たちの背には,お日様に当たってピカピカと光るランドセル,とても重そうに見えるけれど,すてきな景色です。
さて,私たちの大好きな日本酒もピカピカの新酒が出揃う季節です。
この4月には各地方での新酒の鑑評会の地方選抜が行われ,全国へ向かっての準備が行われています。
私たちの気付かない所で日本酒も次の季節への新しいスタートが始まっているんですね。
さて今年のお酒はどんあ感動と楽しみを私たちファンに与えてくれるのしょうか?
もう,楽しみで,楽しみで・・・。
酒を楽しく飲む方法のひとつに,酒器にこだわってみる方法がある。
では,どのような酒器がいいのだろうか。まず頭に浮かんでくるのは,桃山時代の備前の芋徳利と斑唐津ぐいのみのセットである。
これらは多くの古陶磁コレクターが追い求めたものであり,おおかたの酒徒に異論はないと思う。しかし,両方とも高価で手に入りにくく,名品は美術館に収まっており,贋作が多いので気をつけてください。
備前の徳利は使い込むことによって,しっとりとした味わいが生まれるといわれ,徳利の口からたれた酒のしずくを焼きしめの肌に擦り付けて,より深い味わいを出すよう徳利を育てるのである。酒を飲み徳利を育てる間に愛着が沸き飽きがこないのである。
備前の徳利は燗の酒が冷めにくい性質があるらしく,「備前徳利おさけがうまい」と俗謡にも歌われ,昔から珍重されてきた。
斑唐津とは,ナマコ釉と呼ばれる白濁釉薬が厚くかかった唐津焼きのことである。
斑唐津のぐい飲みは酒を注いだときに,青い斑点がぼちhぼちときらめくように輝いて酒の映りがよく,また貫入(釉薬のひび)に酒が染み込んで薄茶色のシミができ全体がとろっとした肌合いになり,器を育てる楽しみもある。
使い込んだ器の味わいは,日本独自のやきものの鑑賞のしかたであり,酒徒の自慢の器なのである。
器の値段に関係なく,あなたの気に入った器で自慢の酒器を育ててみたらいかがでしょうか。
迷陶芸家 NOBU
蔵元に別れの挨拶をして,外へ出て驚いた。蔵に着いた時よりもさらに雪が強く降っている。私の幼い頃の新潟(上越地方,中魚沼津南)で体験した感覚と似ている。
私は東北はボソボソ降ると言うよりも刺すように横殴りに降るという感覚だと想っていた。雪の種類が違うと思っていた。しかし,今日の目の前の雪は,ボソボソと降っている。吹き荒れると言うより,どんどん積もっていく振りかただ。
深い雪が我々の前を,遮るように降りしきっている。西田専務でさえ行きなれているはずの「つの川」への道に迷うほどだ。少し雪に阻まれたが,無事に昼食に予定していた天婦羅「つの川」へ到着。西田専務を囲んで,ひとときの団欒。
秋田の大先輩「酒屋まるひこ」さんも同席だったので,私はまるひこさんに,どうしても聞きたかった事を迷わず尋ねた。故
池見元宏先生(*1)と私達吟醸酒ファンの神様
篠田次郎先生(*2)との出会いを。
まるひこさんは,何もためらわず,劇的な出会いの事を話してくれた。私の聞き間違いがなければ,
ある晩,池見先生と面識のあった まるひこさんの所へ,ジャズピアノを奏でる出入りの飲食店から閉店間際に電話がかかって来た。
「悪いがこれから,飛良泉の吟醸を3本届けてくれないか」。まるひこさんは「えっ吟醸を」と思いつつも「何だよ,こんな時間に」と思ったという。しかし,まるひこさんも一人でも多くの人に吟醸酒を解ってもらいたいと暗中模索していたころ,しぶしぶ「飛良泉吟醸」を3本抱えて店に向かった。
そこで,面識のあった池見先生の横でグラスを傾けていたのが篠田先生,
それが篠田先生との出会いだったと言う。
吟醸にとりつかれている2人を目の前にしたときの緊張は,私の想像の域をこえている。
少し話が横道にそれてしまった。
気がつくと「田酒」無印生原酒は半分ほどになっていた。新酒の持つ若々しさと,えぐみが天婦羅と良く合った。
酒が足りなくなりそうなので「喜久泉吟醸」を頼む。生酒とは対照的に滑らかな舌触りと共に,スルスルと喉に消えていく。熟成のなせる技なのだろう。
場が和み始めた頃,西田専務と別れの挨拶をした。私達一行は,青森発13時48分発「特急かもしか4号」発車時刻ギリギリまで,楽しませて頂いた。残念だが,まるひこさんともここでお別れ。またの再会を約束し,私達は雪に埋もれた青森を後にした。
昼間の酒が効いてきて,車中はことのほか静かだった。東能代に着く少し前に,小島さんが車窓から「喜久水トンネル研究所」の看板を発見! 一気に盛り上がった。
「ひがしのしろ〜」のアナウンスに,みんな少々浮き足立っている。
15時34分,何事もなく東能代に到着した。
さあ,いよいよ「能代喜久水」だ。
天洋酒店の浅野さんが,べらぼうの大将が,そして喜久水の社長が,私達を待っていてくれる。(次へ)
*1: ご存命であれば現代吟醸酒の神様かもしれない
*2: 幻の日本酒を飲む会・会長
粋人盃の高井克政様が「寄りみち」へ,お酒の話を書いてくださいました。数回に分けてご紹介したいと思います。酒の奥行きを楽しんで下さい。
これは,酒を飲まない人に対するのんべえの言い訳である。
酒飲みを上戸,酒を飲めない人を下戸,併せて酒戸という。下戸から見た上戸は,酔っ払っておだをあげ,昼とは異なる夜の顔を見せるから,その人格に疑問を持つと同時に,自分達とは違う世界の図式として映っているに違いない。
逆に上戸のほうも,大伴旅人のようにここまで言い切って下戸を酷評する。
あなみにく 賢しらすと酒のまぬ 人をよく見ば 猿にかも似む
酒を飲まない奴の面は,猿に似ているというから下戸にすればたまったものではない。
上戸,下戸それぞれに言い分はあるであろうが,それはさておき,古来から酒と文化の繋がりには深いものがあったのは事実である。
昔も今も,洋の東西を問わず,芸術家といわれる人達は無類の酒好きが多い。
芭蕉のように酒をたしなまない人もいるにはいたが,もし芭蕉が酒を飲ったとしたら,もう少し違った作品ができ上がっていたに違いない。
中国でも,陶淵明は無類の酒客であったし,杜甫,李白,白楽天は,酒好きにかけては人後に落ちない酒仙であった。
これらの人物から酒をとりあげてしまったらおそらく,後世にその名を止めなかったであろうし,唐詩選も極めて味わいの薄い作品に仕上がってしまったであろう。
また我が国でも,若山牧水や吉井勇が酒を飲まなかったとしたら,彼等の特集は出来上がらなかったであろう。
柳沢淇園は「ひとりね」のなかでこう言う。
酒といふものほどかはりし物はなし。一ツ二ツ三ツまでいとおもしろくのみなし。はや七ツ八ツのとつづけざまにのみなしぬれば,いか成そこなしといはるる人にても,うまそふにも見えず。惣じて底なしといはるる人にても,酒がうまふて呑むものにあらず。少しも人より多く呑みて,なんともないけしきじまんにするものなれば,脾胃のつようふ,肺の慥なる人ならでは呑む事ならぬもの也。
私たちのこれまでの人生には数多くの酒席があった。若い頃には酔うためには,アルコールならなんでもござれだったが,30歳を過ぎる頃になると日本人としてのからだが欲するのか,嗜好が合ってきたせいなのか,いつのまにか日本酒党になっていた。これまでのウン十年の間に飲んだ酒量は凡そ50石,1万リットルくらいになるであろうか。
この傾けた盃に免じて「酒」談義をこころみることにした。
酒に敬意を表するなら,何を措いてもこれしかない。
酒を飲むなら大丈夫(おとこ)と飲みやれ 十年かけた読書に勝る
この句は一夕,竹中半兵衛と黒田如水が酒席を共にしたとき半兵衛が扇子にこの句をしたためて贈ったものである。出典は明末(1630年頃)に陸紹行(「王」+「行」)(りくしょうこう)が編纂した酔古堂剣掃(すいこどうけんすい)巻12「倩」(せん)に収録されているもので,その原典は二程(程明堂(ていめいどう)),程伊川(ていいせん)のこと)全書巻19に「古人云 共君一夕話 勝読十年書」とあるのでおそらく陳継嬬「書蕉」から採録されたものではなかろうか。また西暦1000年頃の宋時代の初めのころに著された魏野(ぎや)の一節には「間聴一夕話 勝読十年書」とみえるので中国では古くから言い習わされてきた言葉なのかもしれない。先の句に,負けず劣らずの句がある。琵琶記にみえるこの句である。
酒 知己ニ逢ハバ千鐘モ少ナシ 話 機ニ投ゼザレバ半句モ多シ
(次へ)
お待たせしました。
昨年に大好評だったお酒の入荷ですょ。
去年の熟成と飲みくらべられる様に少し蔵で取っておいていただいた9BYもいっしょに入荷です。
9BYはかどが取れて,米の旨みがぐっと広がる感じです。日本酒度が−3とは思えない,ちょうどよい旨みでここちよい酸がお酒を引きしめています。ビンにうっすら汗が・・・が飲み頃。
10BYは味ののりがよく,どっしりと口中に広がります。去年よりも辛口に仕上がっておりますが純米原酒にしてはアルコールの強さをさほど感じずに楽しめます。ただし19度ありますのでどちらもお気をつけて・・・。
去年同様,納得していただける1本です。
9BY,10BYとも1.8リットルのみ2,500円
入荷から大好評の「渡舟ふなしぼり純吟」の無炉過の原酒の入荷です。
香り華やか,ふくらみがあり,ガッチリとした味わい,ついフルーティーで力強いお酒が好きな方,ぜひ楽しんでみて下さい。
720ミリリットル・・・2,300円,1.8リットル・・・4,600円
本醸造,純米,純米吟醸,純米大吟醸と本生の原酒が入荷してまいりました。
今年も全体に味ののりが良く,力強さがありながらとてもキレイに消えてゆく。盃が進みますヨ。
それぞれの造りのちがいを楽しめます。また,特に純米大吟は”雄町米”で純米吟醸は地元の”蔵の華”と楽しみがまた増えました。1.8リットルのみ
本醸造・・・1,835円,純米酒・・・2,427円,
純米吟醸・・・3,000円,純米大吟醸・・・4,500円
本年度は遂にちゃんとした商品となって(去年はまだラベルがなかった)発売となりました。去年,お飲みになった方はぜひ楽しんで下さい。強力は1年間熟成してから出荷されるお酒です。
口中に含むと,一気に味が広がりまだ若々しさを感じますが,五味のバランスが良く,キレの良い酒です。
720ミリリットル・・・2,000円,1.8リットル・・・4,000円
それぞれ1.8リットルのみの
発売です。
1.8リットルのみ・・・3,000円
入荷中!
赤磐雄町純米大吟と純米吟醸