本州制覇への道!(仙台〜函館編)そのA
消灯後も、明日は早朝出発しないので入り口に並んでいた平泉の資料を部屋で読んだ。一人部屋だったので、全く民宿と変らない。自分のペースで快適で過ごせる。何で今までユースを使わなかったのか不思議だ。
平泉は藤原氏3代のゆかりの地。特に中尊寺の金色堂は日本最初に国宝に指定されている。さらに今泊まっている毛越寺内にある庭園は、平安庭園をそのまま残す日本唯一の庭園。今でも京都から学者が研究に訪れるらしい。さらに義経堂は、源義経が暗殺された場所。途中で「弁慶もち」とかが、売っていたのは、この理由だったわけだ。義経のことは、大好きなので以前からたくさん本を読んでいた。天狗に剣術を習い、弁慶を五条大橋で破り弟子とする。武功が頼朝の脅威となり平泉で暗殺される。
そうか!ここがその平泉なんだ。平泉市でなくて、平泉町だったのでたいした街ではないと、勝手に感じていたけど実は歴史のある街だったのだ。義経と聞くと、義経伝説を思い出す。
{本当は義経は生きていてジンギスカンになった。}という伝説。異論を唱える人も多いが、昔読んだ本によると本当かも・・・と、思わせる。まずは、義経の首は、通常なら1週間ほどで鎌倉につくはずなのに、約1ヶ月をかけて運んでいる。当然腐ってしまうので判別はつかなくなる。このことの意味する事は・・・。から始まり、東北には義経をイメージさせる史跡が点在している事。ジンギスカンは2m程の大男だった。そして鎧を人前で脱ぐ事はなかった。死後ジンギスカンは小柄になった。と記されている。これは、弁慶が先にモンゴルに渡り途中から義経と入れ替わったためだとのこと。(記憶違いもあるかな?)
本当かどうかは分からないけどとても夢がある話だ。何だか面白いところに泊まった。のんびりしているうちに、12時を回ってしまった。外は雨の音がする。雨やまねーかなー!もう寝よう。明日は6時起きだ。
8月11日(土)
朝起きると雨はすでにやんでいた。6時半から座禅なので、急いでカップヌードルを食る。時間ちょっと前ぐらいに2階の部屋から1階の居間に下りて行った。どんなふうにするんだろう。楽しみ!楽しみ!
昨日の夜話していた人達もかなり人数減っていた。と言うよりも座禅に興味ある人少ないと言う事かな?すでに出発している人もいるらしい。みんなでお坊さんに連れられてお堂に向かう。手は胸のところで合わせて1列になってゆっくり歩く。お坊さんの手にもって鳴らす鈴の音が響いて心地よい。お遍路さんの時を思い出す。あの時は俺自身が鈴を持って歩いた。心が落ち着くいい音色だ。
お堂に入ると、座禅についての説明があった。足を組み、丹田の位置に手を置き、半目にして、背筋を伸ばす。座禅はてっきり目を閉じてるのかと思っていたけど、実は軽く見える程度目を明けているようだ。ふーんそうか。
よく見るお坊さんが持ってる杖も、お仕置きのためでなく座禅を受ける人の座禅を助けるものであるらしい。その為、自ら進んで打たれる事をお願いする。手を胸の位置にもって来ると背中を打ってくれる。自分が雑念にさいなまれた時にお願いするのだ。
座禅はこの状態で進められる。雑念を持たずにゆっくり100まで数える。しかし、これが出来ないともう一度数えなおすのだ。100まで数えても同様に繰り返す。
静まり返った中。座禅を始めた。鳥の声がお堂の中に響いている。心の静まりを感じながらの座禅。全然数えられない!途中で旅のことや、鳥の声についてついつい考えてしまう。イカン!イカン!数えるのだ!
別に、数えられなくても鳥の声を聞いているだけで、気持ちが落ち着く。でも、数を数えなければいけないのだ。俺には気持ちを静かに出来れば良い様な気がする。これも雑念なのか。別にイージャン!!
せっかくなので、手を合わせ背を打ってもらう。いい音がして気持ちいい!(Mではないぞ)何度も繰り返し、だんだん数えられるようになったが、50ぐらいまでしか数えられなかった。
座禅は簡単な事しかしない割に難しい。こんな簡単な事も出来ない。しかも時間が経ってくると足が痛くなるので又、更なる雑念が入ってくる。むずかしー!
そのあとの講話で、お坊さんでも300ぐらいしか数えられないと言っていた。座禅は本当に難しいのだ。俺はヤッパリお坊さんには向かないようだ。ここの庭についても、説明された。ここの庭は別称「極楽庭園」と呼ばれているらしい。世間から極楽まですべてこの庭で表現されているようだ。あとで散歩するか!ナカナカ出来ない体験で満足した。
座禅終わってから、庭を散歩する。早朝と言う事もあり、人もまばらで静かでとてもきれいだ。よく整備された庭園で空気もうまい!雨のはずの天気も、曇りで走るにはもってこいの天気。今日もいい日になるかな!期待が高まった。
「ヨシ!出かけよう!」
お坊さんに挨拶して、出発!
中尊寺と義経堂は、寄ってから行こう!それぞれの史跡を簡単に見学すると、ますます満足度アップ!走るぞ!
「昼は花巻にしよう。」
花巻に向かいながら、宮沢賢治の事を考えた。行った事のある賢治の資料館はやめて、イギリス海岸(賢治が銀河鉄道の夜を考えた場所)のみに行こう!川なのだが勝手に賢治がつけた名前の場所。そこで昼寝でもするか?
今日は昨日より調子いいのだが、気持ちがゆっくり走りたかった。走っていることの幸せを感じながら、イギリス海岸に到着。日も出てきてとても気持ちいい。川の流れが、とても気持ちを落ち着かす。芝生に寝転び、開放感を感じた。水とタバコ。それだけで、気分は良かった。そしてしばらく川の流れを見つめていた。
「腹減ったなー!」
「そうだ!まだ冷麺食ってねーぞ!盛岡冷麺食わねばならぬ!」
食は、俺の旅行にはものすごく重要なのだ。昨日からろくなもの食べてなかったので、盛岡冷麺の重要度はすごく高いのだ!早速店を探しながら走り始める。
「あった!おいしい冷麺ありますだ!!」
冷麺は東京のとは違うらしいぐらいしか知らない。何が違うのだろう。出された冷麺は、東京のものと見た目は変らない。何が違うのだ。めんを食べてみる。
「これは蕎麦か?」
なるほど、日本人には硬い冷麺よりも蕎麦風の冷麺のほうが食べやすい!でも、これはちょっと変った冷やし蕎麦じゃないの?
それなりに、蕎麦冷麺に納得して再度走りだした。
「とりあえず、今日の目標はどうするんだ?」
盛岡から八幡平を通り十和田湖行って、奥入瀬川行くのがベストだ。きれいなとこばかりで、感動する事間違いなし!しかし盛岡から先すべて山道だし、函館の朝市にはとても間に合わせる自信がない。あと一日足りないのだ。青森〜函館にフェリーで行くには、約4時間かかる。朝市に行くには青森に明日の夜に着かねばならない。もう午後なのに連なる山道合わせてこれから2日で200Km以上走らねば・・・。
「いやだー!!もっとゆっくり走りてー!!」
走ったり地図見たり考えたり・・・・・。何だか体が山道拒否してる。他のルートは???そのまま4号線だ!4号線なら山道ない筈なので明日1日で青森着ける筈だ。それっきゃねー!今回は朝市丼の方が優先されるのだ!!きめた!!
盛岡にYHがある。今日も100kmだけどいいや!細かな計算もせず楽な道を選ぶ根性無しには、後でしっぺ返しがあるとも知らずに、またYHの楽しみを選んでしまうのだった。
今日も102km楽な旅行だ!YHは、平泉より横柄な感じもあったが家主がギターを持ってないのが、何よりだった。ここは1泊3000円。さらに安い!相部屋であることはさらに大勢の旅人と出会いをつくってくれる。そしてみんなと焼肉屋へ向った。今回もいろんな旅をする人たちや、初めての一人旅でどうすればいいか分からなくて人までいて楽しい!楽しすぎるぞ!青森は明日。アサッテは朝市丼。完璧な旅行だ!
戻ってから地図を見る。走行距離を暗算しながら目の前が真っ黒になった。4号線は思いの他、トオマアリだったのだ。山道はないものの信じられない距離。今回のペースでは考えられん!優雅に朝市丼を食う自分が遠ざかる。
「青森まで約210kmもあるじゃねーか!!この2日間分の距離!朝市丼は食えんのかよー!」
通常約20kmのペースで、走りっぱなしでも10時間以上はかかる。絶望的な距離にそのまま気絶するように寝てしまった。明日は5時起きだ!本当に着くのカー!!
つづく