≪物欲番長北海道旅行第5部≫


 やはり北海道の食は、うにとイクラが王様だ。これを食べると北海道に来た実感に浸れる。他にビールも欲しかったので「中生」を頼んだら、すごい量の「中」の「生寿司」が出てきてしまった。「ここでは中生はこれです。」店員かわいそうだったけど、食べきれないので断った。さすがの物欲軍団も食欲もそこまでは無い。でも「ちゅーなま」は普通は「中ジョッキ」の「生ビール」では無いのか!!


 うにイクラ丼でパワーアップした2人は、富良野のラベンダー畑に向かう。「ファーム冨田」が一番有名な場所だそうだ。ラベンダー飯田はさすがによく知っているのだ。

 
 10キロほどで到着。観光バスが来ていて、人で一杯だ。駐車場に車が入れず並んでいる。そんな中でもチャリンコはものともせず、すぐに駐車できた。中は家族づれから、女の子のグループ、カップルで一杯。汗臭い我々のような人たちは見当たらなかった。ここが目的の一つだったことを考えるとそれもいいだろう。


 ラベンダーが辺り一面に咲き乱れている。これだけの規模のラベンダー畑もそうは無いだろう。今がハイシーズンだけにきれいだった。恥ずかしかったけど写真をとる。さすがに二人並んでの写真をとるのはやめた。売店は、何でもラベンダーだ。アイス・お菓子・ぬいぐるみ・あのキティちゃんまでもが・・。


 しばしラベンダー畑の中で休んみながらキャンプの計画を立てた。キャンプ場着いたらテント張って温泉行こう!そして夜は、ビール飲みながら北海道ならではの何かをつくろう!!ワクワクしてきた。


 いざ出発だ!人に道を聞きながら10数キロで日の出公園キャンプ場につく。ここは無料キャンプ場。それほど期待していなかったけど、すごくきれいに整備されている。ライダー・自転車・オートキャンプとたくさんの人が来ていた。到着してテントを張っていると、「こんにちは」と声をかけられた。さっき湖であった人だ。何か昔からの知り合いに会ったように嬉しかった。温泉入ったら一緒にメシくおーぜ!!

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 自転車で数分の温泉に行き、北海道発の温泉につかる。ここは地図に載っているけどメロン屋も知らないといっていた。でもナカナカの温泉。硫黄の匂いが結構きつくて疲れに効きそうな温泉だ。気持ちよくて、入ったらしばらく出られなくなった。温泉でさっきのライダーの人と話をした。なまえは「Tさん」。神戸から来たそうだ。しかも入社10周年の休みで北海道をバイクを使って一人で周っている。休みは2週間あるそうだ。うらやましーー。


 ビールとジンギスカンのラム肉を大量に買ってテントに戻る。コンロと、コッヘル(キャンプ用なべセット)を使って肉を焼きながらビールを飲んだ。すげーうまさだ!うめー!これがやりたかったのだ!食うぜー!飲みまくるぜー!!


「ジャーンジャン食うぜー、おまえー!!」

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 調子に乗って肉を2キロも買ってしまい食いきれなくなった。こんなときに食いしん坊のAさんがいれば・・。


 やはりテントが一番楽しい。唯一、曇っていたので満天の星空でなかったことが残念だ。それは後日にお預けだ。重いキャンプ道具を持ってきた甲斐があった。キャンプしないで帰ったら、キャンプ道具はただのおもりにしかならない。やっと思い描いていた北海道旅行となり今後に期待が膨らむ。


2日目の走行距離114キロ。峠越え・ラベンダー畑・キャンプ・メロン・うにイクラ丼・ジンギスカン。そして、たくさんの親切な人にも会ったし、なかなかの日ジャーないかい!!



7月20日


 翌日、朝5時過ぎに起きて日の出公園の上まで行ってみる。展望台があり反対斜面には、ラベンダー畑が広がっていた。朝日に照らされてとても美しい。ここは、細かく管理されている昨日の畑よりも富良野らしさを感じさせる。良い日になりそーだ。


 朝食とっていると、おばあさんが散歩してこちらにきた。「孫に連れられて初めてキャンプしたんじゃ。」北海道は老人を含めて楽しくキャンプが出来る楽園だ。我々なら普通は出来ない発想だ。すげーぜ北海道!!


 今日はどこまで行くのか?iモードの天気予報を見てみると、今日以降は道北は雨の確率が高い。帰りは、稚内空港にあさっての昼に着いてなければならなかった。島に渡りたいかがポイントになる。渡るなら電車でなければ周りきれないし、渡らないならこのまま頑張って宗谷岬まで自転車でチャレンジだ。それも雨が降っていたら、かなり根性入れて走らなければならない。観光は期待できない。


「んー・・・・・。」


 ポンチャンの「島にはこの機会を逃すと一生いけないかも?」という言葉に気持ちが揺れた。確かにフェリーで行かなければならないので、時間がかなり余裕がないと島に渡るは出来ない。


 十周年だ!旭川から稚内まで、電車だ!決定!!


 急に時間に余裕が出来た。旭川まで50キロほど。3時間あれば余裕だ。


 ゆっくり走ろう北海道。Tさんとは、携帯のメールアドレス交換して分かれる。頑張れよー!さて行くか。片付けて走り始めようとすると、俺の自転車がパンクしていた。リアのホイールバランスずれているのに無理に早く走ったので、リアブレーキとタイヤが擦れてバーストしていた。パンクはすぐ直せたけど、バランスがずれているのは直せないので、このままだと又パンクしてしまう。仕方なくリアブレーキはずして走ることにした。


 今後の計画だと、あと100キロちょっとしか走らないだろう。今までの旅行と違い自分の体力の限界を試すことはないだろう。このままでいいや。



 予定大幅変更。これからは食道楽の旅。北海道にはまだラーメンがあるのだ。美瑛(びえい)越えて、旭川でラーメンだー!食って食って食いまくるぜー!!


  やはり旅行にはラーメンが欠かせない。去年、広島から九州に行ったときは特にそうだった。九州は、福岡・熊本・鹿児島でラーメンの味ががそれぞれ違う。地元の人にも全部食べろと言われた。福岡は長浜ラーメン、熊本は味千ラーメンが有名、鹿児島は忘れた。こっちで思うほどコテコテでは無いけど、うまい!毎晩ラーメンと餃子とビールを注文し、昼もラーメン食べたので何食食べたかわからない。

 関係ないけど、このときの旅行はリラックスするためにサンダルをもっていった。本格的に休んでいるのに自転車の靴(ビンディング式で、小さいペダルの金具に合わせて靴にも金具がついている)は暑苦しいので、いいアイディアだと思って持って行ったのだが、肝心の自転車用の靴を忘れた。
 どこの自転車屋に聞いても「山口県にはそんな靴売ってねーよ」と言われて、サンダルで広島から九州の小倉まで走った。足の裏がつって、力が入らず辛い。やっと買えた時には、サンダルに大きな穴があいてしまった。(毎回順調に行かないんだよなー)

 いずれにせよラーメン大好きなので旭川のラーメンはとても楽しみだ。


 
 美瑛は色々な花がたくさん咲いている小さな丘が連続しているきれいな街である。ここを越えれば旭川。待望の旭川ラーメンだ!「頑張るぞー!」

 走り始めると自転車のペダルが嫌に軽かった。やはりタイヤがずっとブレーキにあたっていたからだったのかもしれない。リアブレーキは使えないけど、とても走りやすい。天気も良くてこの旅行で一番の青い空だ。

「きもちいーーー」


 対抗車線を走っているライダーも、みんな挨拶してくる。ちょっと暑いけど、夏の旅の中では今までで一番涼しい快適な旅。ずーと走っていたい衝動に駆られることもあるが、何しろ期間が決まっているのでそう言う訳にもいかない。それよりもこんな旅が出来ている自分に幸せを感じるべきなんだろう。みんな仕事しているときの旅行はたのしーなー!

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 美瑛はとてもきれいだ。景色の良い所で止まっては、景色を眺めたり写真をとった。「せっかくだから駅に寄ろう。」ポンチャンから言ってくるとは思わなかった。彼はもう立派なスタンパーなのだ。


 〔丘のまち・びえい〕短いけれど、全くそのとおりだ。富良野のへそ踊りよりは分かりやすいスタンプだ。


 昼ごろ旭川に到着。しばらくポンチャン来なかったので、あたりを散歩した。駅の周りは自転車置けなくて、置くと整理員が笛吹きながら走ってくる。俺も初めは気づか無くてひつこく追いかけられた。全国でも珍しい程に整備された街だ。札幌とも変らないほどの街の大きさを感じさせる。でも、北海道は街より自然だよなー。


 しばらくすると、ポンチャンが到着。彼が知っているラーメン屋に向かう。「子熊ラーメンて、来る途中にもあったチェーン店では?」でもその辺は、全部彼のパートなので任せることにした。しばらく歩いて発見。「全然並んでねーぞ、うまいのかなー?」中に入るとすいていたが、取り敢えずお勧めの子熊ラーメンを頼んだ。

 うまいじゃねーか。しょうゆ味のちぢれ麺は、なかなかの味。ポンチャンガイドはさすがだった。ビールも飲んで、まったりした雰囲気の中行き場所を選定。サロベツ湿原でキャンプしてから稚内に向かうコースも考えたが、やはり島に渡るのを第一にして稚内までそのまま行くことにした。

 駅の戻り、笛吹き整理員に利尻島と礼文島はどちらがいいか訪ねると「利尻島」との答え。行き先決定!!利尻島ジャー!!


 切符買って電車に乗る。旭川から稚内は3時間ぐらいかと思ったら、5時間半もかかる。着いたら夕方では無いかい。考えてもしょうがないので、自由席に乗った。中に入ると電車はなんとお座敷列車。すげー!初めてだー!


 これだけで電車の移動の意味を感じてしまう単純さがこの旅を支えている。良い天気の中ゆっくり電車で移動するのもなかなかオツなもんですなー。今日は温泉入ってキャンプをしよう。


 電車に乗りながら、いろいろ考えた。こんな旅行は今後無いかもしれない。きっと次からは又一人で旅行するんだろう。俺はいったいいつまでこんな旅行できるのかなー。15周年もこんな風に旅行するんだろうか?もうその頃には40歳になっている。でも、そんな時も同じように旅行できる自分でいたい。年齢を考えたら35歳でやっている今も5年後40歳でやっていても同じだろう。年齢は関係ない。いつも物事に感動できる気持ちを持ちつづけられるかが問題だ。昔はこうゆう事をしてましたではなく、いつでも現在進行形でいたい。気持ちはいつまでも変らないようにしよう。


 景色を見ながら稚内に向かった。稚内はやはりウニしかない。北海道の中でも特に新鮮でおいしいと聞く。楽しみだぞー!ウニー!


 日本で最北端の駅稚内駅に到着。すぐキャンプ出来ると地図に書いてあったところに向かう。場所は近い。さあテント張って、温泉・ビールコースだー。


 「あれー?」

 テントはれる場所が工事していて誰もいない。

 「おかしーな?」

 どう見てもテント張ったら怒られそうだ。


 仕方なく駅に戻っていく。安そうな宿があったので「さいはて」と言う名前が気に入ってそこに泊まる事にした。キャンプできないのはとても残念だったが、もう時間も6時を過ぎていてこれから探す気にはなれなかった。しかも、ここのおばちゃんも良い人で「3000円で良いよ」と言ってくれたので決定した。キャンプできなかったことを伝えると、おばちゃんが「あそこは、若い男女で色々あってだめになったのよ。」と教えてくれた。


 なるほどー。若い男女には色々あるよなー。(我々も若い男性なのだ)


 てきとーに自転車止めようとすると、「そこに止めちゃ駄目!」とおばちゃんに怒られた。東京以外ならほとんどどこでも盗まれることは無い。こんなに強く何で言われるのだろうと思っていると「前もあったけど、ロシア人がもってっちゃうよ。」と話してくれた。ここのおばちゃんロシア人を毛嫌いしているらしい。

 なるほどー。ここはロシア人が多いんだー!自慢の自転車に乗っているポンチャンがその言葉に特に不安を感じたのは言うまでも無い。でも国際問題に発展しそうな差別発言だよなー。


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 その後自転車で海沿いを走りながら温泉に行った。走っていても気温が低くてさむい。冷え切った体で温泉に入ると気持ちよくてよだれが出そうになるほど。よく見るとロシア人が温泉にいて、2人ともなんとなく警戒ムードになってしまった(でも俺にとっては、新得の宇宙人のほうが怖かったぜ)。戻ってからおばちゃんお勧めの居酒屋に直行。当然ウニイクラ丼や刺身類など大量に注文。安い!うまい!食いすぎで苦しい!


 明日は利尻島に渡るのだ。

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