日本縦断の道・・その参
士別まではあんなに天気持っていたのに・・・。
もう待ってられない!レインスーツを着て、再度出発!
「今日どこまで走れるんだ?」
台風が迫る中、半分ヤケクソになりながら走る。水しぶきが激しく体に打ち付ける。何故かこれが心地よく感じる。子供のころに、雨の中を疾走して、ずぶ濡れを楽しんでいたころを思い出す。これはこれで良いのだ!風が無いのが何より助かっている。
「明日は、こんなもんじゃないかも知れない。今、走れるだけ走るんだ!」
半分狂ったようにペダルを踏みしめ続けた。後ろから抜いていく車が全部反対車線まで大きく避けていく。水しぶきを立てないように、皆が気を使ってくれている。彼らもツーリングの自転車が減っていることを、寂しく感じているに違いない。
「俺しかいない!俺が皆に根性を見せつけてやる。こんな馬鹿を見た若者たちが、いつかはツーリングの魅力を感じ戻ってくるはずだ!」
いつの間にか、狂った伝道師気取りで走った。
「きたぞー!名寄だー!」
駅でスタンプを押して自転車のテントを見つめる。
「・・・・・・」
「朝までに台風で水死体になるかな???」
「・・・・・・」
目の前にビジネスホテルがあった。
[38歳のおじさん何を考えたか台風の中1人でテントで水死。]
いいやこんなんで。取りあえず、テントは明日の新聞紙面を賑わす事になると困るので。
本日81KM。午後からなのに、雨の中良くがんばった。めでたしメデタシ!
おじさんは、水死体を免れたのだった・・・。