芹沢流の『狭き門』(アンドレ・ジイド)のような作品。この作品の主な登場人物は、青木家(年夫、すみ子、愛子(兄嫁、未亡人)、父母)、岩田家(節三、兄夫婦)、星島家(節子、兄(戦死)、父母)、上田、富子、大谷房子で、メインとなるのは、尼になろうとするすみ子、音楽を志しながら恋愛に揺れる節子、絵を志しているが何事にも中途半端な節三の3人です。これらの人物の他に、八百屋の親父なり大工なり地に足をつけて生きる人たちがいて、すみ子と生きるということの意義を対話してくれたら面白かっただろうと思います。

清き泉を掘らん
全239頁
1954年1月31日 発行
定価 220円
北辰堂
絶版



【 掲載作品 】

清き泉を掘らん