あとがきには、作者が肺気腫にかかって、それが喘息患者の墓場に向かう最後にかかる運命的な老人病であると知らされ、死への準備をしていたが、死の床である大学病院が学生運動で騒々しいために入院を待っているところに、娘の友人から東洋医学の先生を紹介されて、その医師が出してくれた煎じ薬で肺気腫から脱したという顛末が書いてあります。本作は「人間の運命」の続編と位置付け、山辺を森次郎として、吉田万寿子を高場加寿子として読み、森次郎の世代と子どもの世代の出会いを読み取ってもらいたいとも。

われに背くとも
全272頁
1970年6月15日 発行
定価 500円
株式会社新潮社
絶版



【 掲載作品 】

われに背くとも