/// 葵祭と御蔭祭  ///  (02/05/09)

奥深い山中での神事
 今年の斎王代は京都出身で東京在住の
大学生となりましたが、京都以外に
在住で選ばれたのは初めてではないか
と思います。
その葵祭の路頭の儀は15日に行われ
ますが、その日に前後して競馬
(くらべうま)、流鏑馬、歩射神事、
御禊(ごけい)の儀、御蔭祭、
御阿礼祭など種々の神事、祭事があり
ます。

馬、弓に関わる行事が多いことが判り
ますが、きっと場を清め邪気を祓う
意味合いがあるのでしょうね。
御禊の儀とは斎王代が往時の鴨川では
なく御手洗川、上賀茂神社では楢の
小川、下鴨神社では瀬見の小川と云い
ますが、その御手洗川に手を浸して
清め、形代(かたしろ)で胸を撫でて
息を吹きかけ、その形代を御手洗川に
流して心身の罪穢れを清め祓う行事です。
普段は人の気配もない御蔭神社です。
なお、御禊は”みそぎの”と読ませる
場合もあるようです。

源氏物語ではこの御禊の儀の折りに、
光源氏の正妻である葵上(あおいの
うえ)と六条御息所(みやすどころ)
との間に引き起こされる「葵祭、
車争い」が物語の大きな展開の節目とも
なって取り上げられています。
今では7月の土用の丑の日に行われる
下鴨神社の「御手洗川足つけ神事」に
身を清める行事が庶民の間に受け継が
れています。

12日には下鴨神社では御蔭祭、
上賀茂神社では御阿礼(みあれ)祭が
行われますが、共に賀茂の神々の神霊を
迎えて、両社に留まり頂き、本祭を
見守るとされます。
糺の森では切芝神事
御蔭祭は八瀬の奥深い山中の御蔭神社、
御阿礼祭は上賀茂神社本殿北側に
御阿礼所が設けられ執り行われますが、
御阿礼祭は夜中でしかも神職以外見る
ことが出来ないので、あまり知られる
ことはありません。

一方の御蔭祭は御蔭神社で執り行われ
ますが、元々は高野川沿いにあった社殿は
江戸時代に土砂に埋まり、現在は叡山電鉄
の八瀬駅から南へ20分ほどの山中に
あります。この御蔭神社でも神霊を迎える
神事が行われ、神霊櫃に移された神霊と
共に山道を下る行列を見ることが出来ます。

普段は人気もない小さな社があるだけの
御蔭神社です。女性の一人歩きはやめた
方が賢明です。
かつては氏子地域を巡行していたそう
ですが、現在は自動車に乗って下鴨神社
へと向かいます。地域住民からは例え
一部路程でも巡行の復活を望んでいる
ようですが、色々な問題もあって実現
していないようです。

車に乗った神霊は下鴨神社の糺の森で
降りて、神馬に遷されます。
神職に綱を引かれて糺の森を進み、
中程の切芝(祭祀場のこと)では俗に云う
切芝神事が執り行われます。
神を讃える「三代詠」などが東遊の舞と
共に奉納されます。
この切芝神事は自由に見学できますので、
平安の優雅な舞いを楽しんで下さい。
切芝神事を終えると神霊は本宮へと
遷され15日の本祭を待つこととなります。

なお、今年の行列コース、時間に変更は
ありませんので、葵祭のページを参考に
して下さい。

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