/// 欣浄寺も小町ゆかりの寺 ///  (01/06/25)

小野小町供養塔・深草少将供養塔
 京阪電車の墨染駅を降りて徒歩5分ほど、
深草少将の屋敷跡だった場所と云われる
所に欣浄寺(ごんじょうじ)はあります。
今は清涼山と号する曹洞宗の寺院ですが、
曹洞宗と云う禅宗のイメージは境内を
見た限りではうかがえないです。
寺伝によれば応仁の乱(1467)までは
真言宗の寺院だったと伝わります。
でもその真言密教のイメージでもない寺院
です。

よくよく聞くと天正・文禄年間に浄土宗に
改宗しています。元々は深草の興聖寺内に
あった安養院と云うお寺で、天正年間に
この地に移っているようです。
雰囲気としては浄土宗がぴったりの欣浄寺
ですが、さらに時を経て文化年間と云う
から1800年頃に今の曹洞宗に落ち着きます。
深草少将遺愛の井戸
寺伝によれば鎌倉時代の寛喜2年(1230)
頃に道元禅師が布教に務めた地とも伝わり
ます。曹洞宗では道元禅師ゆかりの地で
あり、「深草閑居の史跡」としての聖地と
示しているようです。

本堂はコンクリート造りになっていて、
ここに丈六の毘廬遮那仏(びるしゃなぶつ)、
俗に云う伏見大仏が安置されています。
他に阿弥陀如来像、道元禅師石像なども
安置されています。

ここ欣浄寺も小野小町、深草少将ゆかりの
地として知られます。
本堂前に広がる境内には「小町姿見の池」が
遺り、池の東の藪陰の道は「少将の通い道」
と云われ、願いある者がこの道を通ると願いも
失せると伝わりますが、もはやその小道は
住宅街で途切れてしまっています。
本堂前には小町姿見の池
そして池の畔には深草少将遺愛の墨染井
(すみぞめい)が湧いていたりと伝説を裏付け
たりもします。

深草の欣浄寺と小野の随心院が地理的関係、
地名の名残からは小野小町、深草少将伝説の
地として最有力候補なのでしょうか。
いずれにせよ今にロマンを伝える二人の関係は
いつまでも語られることでしょう。

欣浄寺前の道は墨染街道、桜の隠れた名所、
墨染寺も近くにあります。今では両寺共に
町中の小さなお寺ですが、残された伝説は
興味深いものがあります。

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