/// 真如堂 ///  (00/06/12)

 真如堂は正しくは新正極楽寺、比叡山延暦寺を
本山とする天台宗のお寺です。
今から千年あまり前に、比叡山常行堂の本尊で
あった阿弥陀如来立像を東三條女院の離宮に
安置したのがその始まりと伝わります。

応仁の乱では東軍の陣となったため、堂宇は
ことごとく焼失しますが、本尊は難を逃れ、
比叡山や大津などを転々とし、江戸時代になって、
旧地である現在の地に落ち着きます。
本尊の阿弥陀如来立像は「うなずきの弥陀」と
呼ばれ、京都六阿弥陀仏のひとつに数えられます。
慈覚大師円仁が阿弥陀仏の完成後、「修行者のための
本尊となって下さい」と言って、眉の間に白毫を
入れようとすると、阿弥陀は頭を横に振られたので、
しばらくして、「それでは山を下って、一切の
人々を救済して下さい、中でも女性をお救い下さい」と
言うとうなずかれたと伝わり、「うなずきの弥陀」と
呼ばれます。
来迎形式の阿弥陀立像では最古の仏像で重要文化財に
指定されています。

また宝暦年間(1751〜64)に建立と伝わる三重塔は
真如堂のアクセント、シンボルです。
この三重塔の脇には殺生石、鎌倉地蔵伝説の残る
鎌倉地蔵堂があります。
真如堂は平安時代の引声念仏でも有名です。
また十一月の十日十夜別時念仏会の発祥の地でも
あります。私の家でも「ガン、ガン」と鉦を叩く音が
聞こえてくることがあります。
私の地域では、お十夜(おじゅうや)と呼んでいます。

 真如堂は普段は静かな境内です。ときおり訪れる
観光の方と、地元の人の散歩道です。今でこそ
紅葉の時期には訪れる人も多くなりましたが、
まだまだ静かな真如堂です。桜も少しですが
楽しめます。三重塔の前に花の木があって紅葉の
時期にはオレンジ、赤、黄色と日々色を変える
木があります。一番上の写真の右の大きな木は
菩提樹の木で、紅葉の時期には実を付け、
幸福をもたらすと云うので、実を拾う人の姿も
多いです。また境内には鎌倉地蔵堂の他に
新長谷寺、石薬師堂など曰くありげなお堂も
点在します。

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