移動介護における電車の中で思うこと

電動車椅子でも介護式手動車椅子でもヘルパーさんの介護は大変だ。


自宅から駅までの移動、切符の購入、駅員さんとのやりとり。


最近は駅のバリアフリー化が進んだので、エレベーターやエスカレーターがあるから、これは一見簡単そうに思えるが、エレベーターは車椅子を押しながらスイッチを押したり、人の流れをよんだり、ドアの開閉に気をつけながらエレベーターの中の位置取り、これらの声掛けも必要だ。


エスカレーターならどのタイプなのか、どこが何枚平になるのか、この駅員さんに任せて大丈夫なのか判断が必要になる。もちろん、ホーム上での待機のとき、電車に乗り込むときなど。

このように、ヘルパーさんが気を使う事はたくさんある。こんな大変な思いをして、電車に乗せてもらうのだが、車椅子には、車内での位置取りという問題がある。


目的地に着けばどこだっていいと言う事もあるだろうが、車椅子に乗っている者は、実はこんな事を考えている。

①乗りなれていない路線の場合は、路線図が見たい。

②進行方向を向いて乗りたい(斜めは気持ち悪くなるから)

③車椅子スペースに位置取りたい。

④車椅子だからと言って、他の乗客に迷惑はかけたくない。

⑤でも安全は優先して欲しい。


しかしだからと言ってこれらを全て行って欲しいと言う訳ではない。車椅子スペースで正面を向いて、陣取った場合で、正面のすぐ前に、人の横顔がある場合は車椅子は横に向けたいと思う。

また 車椅子スペースに人が占拠している場合、車内が混んでいないのであれば、わざわざ車椅子スペースに位置どらなくても良いと思う。まして、いくら進行方向を向くのが習慣だとしても正面を向いたそのまん前に他の乗客がいるのであればそれは斜めのままでも良いと思う。


と言うのは、人には、いや動物にはパーソナルスペースと言うものがあり、心理学的に心を許しているもの以外に侵入を許せないテリトリーがあるというのだ。

このパーソナルスペースは楕円形であり、その人間にとって縦方向に長い。

大きさや楕円の程度は人によってまちまちであるが、およそ以下のようになっている。


■「パーソナルスペース」における物理的距離感
ゾーン 自分との距離 あてはまる人 心理的特徴
親密
ゾーン
50cm くらい 恋人や家族などごく親しい人だけが許される。 心から受け入れられる人だけに許すゾーン。
対人的
ゾーン
50cm~1mくらい プライベートな関係で親しい人と交友関係を楽しむゾーン。 多少の身体的接触があっても許される。手をのばせば届く距離。
社会的
ゾーン
1m~3mくらい 個人的人間関係は成立するが、フォーマルな人間関係の相手。 身体的接触は不可能。相手の細かい表情は見えない。
社会的
ゾーン
3m以上 相手と個人的な関係はなし。 大勢の中のひとり、公衆・大衆。
※ 参考文献:「イラストレート 人間関係の心理学」斉藤勇 著 (外部リンク)

これを見ると様々な段階でそのゾーンが決定されているが、電車のなかと言う限られた空間ではあるから混雑していれば、どうしても相手のテリトリーに入ってしまう事になる。

しかしながら私は車椅子だ。相手にどうしても、不安感を与えてしまう。だからせめてもの工夫をしたいと思う。

幸いパーソナルスペースは、縦長の楕円状であると言う事だから車椅子の向きを、ちょっと斜めにすれば良いだけなのだ。

普段私がヘルパーさんに希望している事と異なるが、こう言った事もヘルパーさんに実行してもらいたいと思う。


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