ブルガリア旅行3-リラ僧院
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6月24日(木)くもり 今日はリラ僧院ツアーを予約している.待ち合わせはアレクサンダル・ネフスキー寺院前,10時.予定より早めにホテルを出たので,30分歩いても1時間前に着いた.初日によく見ていなかったソフィア大学を見に行く.昨日トロリーバスで通り過ぎる時に見えたのは大学の緑色の丸屋根だった. ツアーのバスがアレクサンダル教会前に2台止まっている.ツアー予約確認書を一人の運転手に見せるが知らないと言われた.アレクサンダル教会を見に来た観光客を乗せた大型バスが2,3台到着するが,ツーリングサービスと書かれたバスは来ない.アレクサンダル教会を一周してみるが,それらしい車は見あたらない.一緒に行くツアー客らしい人も見あたらない.私たちの様子を気にしているらしい男性にツアー参加者か聞いてみたが,「自分はブルガリア人で,近くで土産物店を開いているので見に来ないか」と反対に誘われてしまった.断ったが親しげにまだ傍にいるので,ツアー連絡先の電話のかけ方を聞いて,正さんの携帯電話でかけてみる.ブルガリア語で何か言っているので,その人に聞いてもらったら,「この電話は使われていません」と言っているらしい.もう10分前なのに誰も現れない.また電話していたら,先ほどのツアーバスの運転手が「この手のツアーはホテルを回って客をピックアップしてから来るので,時間前から待っていることはないんじゃないか」と言ってくれる.「自分が以前日本のツアー会社に勤めていた時はそうだったよ」でも,10時過ぎてもそれらしい人も車も見あたらない.親しげな土産物店の男性が「ユーロが欲しいんだ.いいレートでチェンジするよ」と言ってきた.なんだ,それが目的だったのか.ツアーを待っているからと断固断る.違うと思いながら,周囲で英語を話している人に声を掛けてみるがやはり違う.「あー,リラ僧院は宿泊の連絡も取れなかったし,初めからついてないと思っていたけどやっぱりここでつまずいたか.失敗だ」とがっかりする. |
10時25分まで粘ってから又30分かけてホテルに帰る.道々「明日,バスでとんぼ返りでも,何とかしてリラ僧院へ行く方法がないか考えよう」などと考えを巡らせながら,黙って急いでホテルに帰る.フロントでツアーの待ち合わせに失敗したことを告げ,ツアー連絡先に電話をかけてもらう.すると,「ツアー側もアレクサンダル教会の正面で待っている」という話だ.「えーっ.ホント?」フロントの若い男性はてきぱきと話を聞いてくれて,すぐにタクシーを呼んでくれた.「今からはもうキャンセルできないと言っているけど行く?」「行っても見つけられないかもしれない」「向こうが見つけてくれるよ」「正面でしょう?」「入り口のある方が正面だよ」「1時間半も待ったのに」「向こうはもっと待ったと言ってるよ」寒空の中長い間待って冷えたので,ホテルのトイレに行って,呼んでくれたタクシーでアレクサンダル教会に向かう.タクシーが着くとすぐに2人の男性が寄って来た.実はツアーは私たちだけだった.車は黒のベンツで,ツーリストともサービスとも何も書いていない.旗を立てているわけでもない.これじゃあ見つけられないわけだ.入口のある正面とは金色や緑色の美しいドームの見える方ではなく,地味な感じの方だった.ホテルピックアップサービスを頼めばよかったと今更ながら後悔する. | ![]() |
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11時.まあやれやれ,1時間遅れだけれど,とにかく出発できる.一気に元気回復.それにしても,私たちだけでベンツで,運転手とガイドつきとは豪勢なツアーだ.ガイドは冗談が好きな人だけど聞き取りにくくて冗談がなかなか私たちに通じない.すると運転手が「実は彼はこう言いたかったのだ」と彼の冗談を解説してくれたりする.運転手は上品で感じのいい人だった.日本人はバラ祭りが好きだとか,琴欧州やブルガリアヨーグルトのことを話題にする.ガイドは車やサッカーなど男性向きの話題ばかりふってくる.正さんはあまり話に乗ってくれないので,だんだん話題は途切れてしまった.広い緑の中を車は快適に走る.赤い屋根の村々を通り過ぎて,次第に高い山へと入っていく. 1時半頃,レストランに寄って昼食となった.土日だと予約を入れておくのだそうだが,今日は平日で,それでも空いているかどうかガイドが先に確認に行った.先ほどから魚は好きかとかレインボートラウトや蜂蜜の話をするなと思っていたら,昼食のことだった.細かいチーズが一面にかかったサラダが美味しい.トマト,きゅうり,ピーマン,玉ねぎ,何かの実が入っている.にじますがメインで,デザートには蜂蜜のたっぷりかかったヨーグルト.正さんが頼んだワインだけ別料金で請求された.そう,昼食付きで1万円のツアーだった.ガイドは私たちと一緒のテーブルで食べたがメニューは別.ブルガリアシチューのようなもので,パンを何枚もぱくぱく食べていたが,運転手は別に食事をしているようだった.ここまで来ると僧院まではあと5分. |
リラの僧院はリラの山奥に建つブルガリア正教の総本山だ.10世紀に創建され,14世紀に今の形になる.オスマン朝の支配下でもキリスト教信仰とブルガリア語の書物を読むことがここでは黙認されていた.ユネスコの世界文化遺産に登録されている. 僧院ではガイドは立て板に水の早口でいろいろ説明してくれた.まるで出発の遅れを取り戻そうとしているかのよう.アーケードの外から中まで,壁面や天井一杯にフレスコ画が描かれている.さまざまな宗教神話がテーマになっている.アダムとイブの話,ぶどうの種を撒いてぶどうの木を育て,ワインを作って最初に酔っ払った神様の話.駆け足で歴史博物館や僧侶の宿泊所を見学した.古い聖書や十字架や衣装など諸々の展示物を見たような気がする.「20分間フリー,3時半出発」とガイドは言った.あとで,「土産物店でイコンとか何か土産を買ったか」と聞かれたが,「NO」私たちは夢中で写真を撮るばかりだった.ホテルまで送ってもらって,5時半無事帰着. |
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