ブルガリア旅行5-ヴェリコタルノヴォ

6月26日(土)くもりのち晴れ
ホテルのフロントで「ブルガリアでは列車の切符のキャンセルができるのかどうか」聞いたが知らないという返事だった.タクシーで駅まで行く.運転手に「バスステーションとは違うんだね」と念をおされる.やはりバスがポピュラーなのだ.
駅のインフォーメーションで切符のキャンセルができるかどうか聞いたが「わからないので窓口に行くように」と言われる.昨日あまりうろうろと捜しまわったので,切符を買った窓口の場所を忘れてしまった.切符を持って歩いていると,男性が寄ってきて,親切に乗り場とか時間とか教えてくれようとする.「切符をキャンセルしたいのだ」と言っても,てんで聞いていない様子.ていねいに断って,やっとチケット予約購入窓口に辿りついた.「昨日買った切符をキャンセルしたいのだ」と言うが,何かわからない様子.「チケットをマネーにチェンジしてほしい」と言うと,「なんとまあ!そんなこと」といった様子で断られた.仕方ない,時間と乗り場,乗り換えの心配を考えると33レバーは捨てるに値する.中央アフトガーラではすぐにヴェリコタルノヴォ行き,9時45分のチケットが手に入った.座席も指定されている.乗り場は7番.それでOKだ.スーツケースも預かってくれる.乗客はいるのだろうかと余計な心配をしてみたが,座席はほとんど埋まった.みんな大きな荷物を抱えている.出発前にトイレに行って,水を買った.新しい大型バスは座席もきれいでゆったりしている.テレビも付いている.間もなく映画が始まった.バス専用らしく,画面の下に字幕が付いている.車掌も乗っていて安心.

ヴェリコタルノヴォのホテルの窓から
 
ヴェリコタルノヴォのホテルの窓から
  バスは広い野原の中の道を走る.時々細い道と合流したり分かれたり.速度制限だろうか80の標識が見えた.周囲は丸みを帯びた山々が連なり,バスはその山をまっすぐに,ほとんど頂上近くを突っ切っていく.バルカン山脈だ.列車よりバスの方が早いのは何故だろうという疑問が常に頭を離れない.途中で見かけた線路は単線だった.架線がないので,ジーゼル車なのだろう.標高の高い所にとうもろこし畑,収穫直前か菜種の枯れて茶色くなった畑,濃い緑色の畑は何だろう.ひまわり畑はちらほら花が咲き始めたところだ.畑で作業している人を見かけたが,何か手作業をしている様子だ.
バスはヴェリコタルノヴォ行きだが,2人ほどは途中下車していった.3時間後,ヴェリコタルノヴォに到着.タクシーでホテルに行く.タクシーはバス停近くに何台も止まっていた.ホテル・ヤントラはヴェリコタルノヴォの中では最高級のホテルだ.英語でアクセスできるところとなると,こうなる.部屋は広いし,トイレも広い.バスタブもある.ジャグジーもありますよという説明だった.1時過ぎ,ほっと落ち着いた.窓からの眺めも美しい.緑の木々が広がる中,川は蛇行して流れ,道路と線路が並行して走っているのが見下ろせる.線路は単線だった.
食事をしに出たが,近くにレストランはなく,ホテルの地下レストランで昼食を食べてから散策に出た.サモヴォドスカタ・チャルシャには土産物屋が軒を連ねている.石畳の坂道で,店の奥ではおじさんが根気よく銀細工を作っていたり,真鍮を折り曲げていたりする.坂道を登って聖ニコラ教会まで歩いたが,教会は閉まっていた.今度はヤントラ川の中州にあるヴェリコタルノヴォ美術館が見えるところまで下って行った.美術館の近くにはアッセン王のモニュメントがあり,川から高々と突き立っている.12世紀ブルガリアは東ローマ帝国に支配されていたが,1187年アッセン王が東ローマ帝国に勝利して第二次ブルガリア帝国を築いた.ヴェリコタルノヴォの繁栄はオスマン帝国によって滅ぼされるまで続く.ヤントラ川は幾重にも蛇行し,丘はいくつも重なって地形は複雑だ.行く道に少し思案していると,正さんは「地図をもらったら」と言うので「どうせもらったって読めないし,ガイドブックの地図で十分」と言うと彼はむくれた.地図くらい自分でもらえばいいのに.旅行の前に何か準備したりガイドブックを読んだりもしないで発言するから私と食い違うのだ.結局,フロントに地図はなく,勧められたホテルの土産物店では高い本の後ろに付録のように付いている地図しか売っていなかった.いつものもめごとだけれど,今回の旅行では夜中に携帯が鳴らないだけ随分ましというものだ.
サモヴォドスカタ・チャルシャ
夕食をとろうとホテルのレストランに行くと,「予約客か?」と聞かれる.フロントに戻って,「ここのレストランでは予約が必要なのか」と聞くと「え,何の話?」という感じだったが,どこかに電話したあと「今日は土曜日で,レストランは結婚式の客を受け入れていて一杯なので,一階のカフェバーで食事してほしい」ということだった.昼食用メニューのようだったが仕方ない.
夜1時,気がつくとホテルから見えるツァレヴェッツの丘の教会や城壁が明るくライトアップされていてとてもきれいだった.夜までホテルの外で音楽が聞こえてくるのは,土曜日の夜だからなのだろうか.
戻る つづく