ブルガリア旅行7-アルバナシ
6月28日(月)晴れ 朝起きたら一面の霧で窓からの視界はゼロだった.列車の音だけが聞こえる. 9時,今日はアルバナシへ行く予定で,ミニバスに乗ろうとセントラルの方へ降りて行く.街の中央の方が空き店舗もなく,壁の崩れた家もなく,ましな様子だ.ブルガリアの母広場の先にオプシュティンスキ・バザル市場がある.市場は大勢の人で賑わっていた.新鮮な果物や野菜が並んでいる.今の季節はチェリーがいっぱい.緑色のなすがある.ハーブの臭いがする.「ドーバルデン」と挨拶すると,人々の表情が一気にゆるんでにこやかに話しかけてくれた. |
![]() オプシュティンスキ・バザル市場 |
![]() アルバナシ ![]() コンスタンツェリエフ・ハウス |
市場の横がバス停だったが,ミニバスは出たところだったので,タクシーでアルバナシへ行く.ホテルの方へ戻り,ツァレヴェッツの丘の横の道,昨日教会へ行くために歩いた道を行く.40人教会の横の橋を渡り,上の道を登ってさらに奥の丘に向かう.すぐにアルバナシのバス停広場に着いた.広場には郵便局,ホテル,レストラン,そして土産物屋が一軒.バス停横に地図が出ているが,実際の道は複雑で,道路の高低と道幅の違いのせいでわかりにくい.とりあえず,バス停横のレストランでお昼にした.食器も花瓶もテーブルクロスもブルガリア模様.おすすめのブルガリア料理を食べていると,さわやかな風が吹いてきて気持ちいい. オスマン朝時代の19世紀,裕福な職人や商人たちがここアルバナシに立派な美しい屋敷を建てて住んでいた.これらの家が今,国の文化財に指定されている.コンスタンツェリエフ・ハウスを目指す.道はわかりにくい.大きな案内表示のあるのはホテルだと気がつく.レストランや部屋など内部の写真を貼った看板が出ている.多くの屋敷がプール付き豪華ホテルになっていた.行き過ぎたらしく,通りがかりの人に「そちらは違うよ」と教えられる.戻ってよく見ると表示は全く小さくてわかりにくかった.小さなプレートにブルガリア語と英語の説明がある.この入口の向かいに女性が座って,大きなレース編みの敷物を壁にたくさん広げて売っている.肝心な所まで来て,そちらに目がいっていたのだ.なるほど,観光客がよく来る所で店を広げているという訳だ. |
中庭でコーヒーを飲んでいた4人の内の1人が来て,鍵を開けてくれる.多くの部屋があり,部屋の端から端までの大きなベッドがある.大家族で住んでいたとのことで,いくつもの部屋にいくつものベッドがあった.なべ,ストーブ,小型手動ミシン,糸紡ぎ機,アイロンが並んでいる.トイレはトルコ式で,三角の穴が開いているだけだ. 次に,アルバナシで最も古い教会,聖誕教会に行く.この教会の真向かいにも大きなレースの敷物の店が出ていた.ここ,ここ.今度は反対にこれが目印だ.一面のイコンと壁画が美しい. 聖ニコラ修道院へ向かう.歩いているうちにだんだん暑くなってきたので,水を買い,タルノヴォの町が見下ろせる外のテーブルで休憩する.風が吹いてきて気持ちよかった.聖ニコラ修道院は無料だった.庭にはぶどう棚があり,きゅうりや花など良く手入れされている.誰もいなかったが,通りがかりの男性が中に声をかけてくれ,黒い衣装の女性が出てきて鍵を開けてくれた.イコンがたくさん並べてある. |
![]() ![]() ![]() 聖誕教会 |
![]() 聖大天使ミハイル・ガブライル教会 |
地図を見ると聖大天使ミハイル・ガブライル教会が近くのようだ.少し行くと道を尋ねているらしい人に出会った.私たちもその人に尋ねると「わあ,みんな同じ所へ行くようだ」ということになり,並んで歩いた.実際,道はわかりにくい.そして,男性が地元の女性3人に道を尋ねていたのかと思ったらその反対で,その男性が壁にある門の鍵を開けて中へ導いてくれた.女性3人は,アメリカに住んでいる娘が母親の元に帰ってきて,孫娘と一緒に見学に来ているということだった.彼らは無料だった.私たち外国人旅行者からだけ入場料を取るということか.これまでの美術館や博物館も同じだろうか.タクシー代や食事代に比べて入場料は確かに高いと感じていた. 聖大天使ミハイル・ガブライル教会は3つの部屋に分かれていた.いずれの部屋もイコンと壁画がすばらしい.一番大きな部屋の祭壇の前には石が丸く敷いてあって,その中心はとても意味のある場所らしい.ドームもそこが最も高く,天から啓示が降りてくるという場所のようだ. バス停に戻ると客待ちのタクシーがいて寄ってくる.「まだすぐには帰らない」と断って,昼食を食べたレストランでカプチーノを飲んでゆっくりする.4時ごろタクシーでホテルに帰る. 今日は月曜日なので光のショーはもうないかと思っていたら,今晩もショーは始まった.色とりどりの光のきらめき.今日が一番きれいに見えた. |
6月29日(火)雨のち晴れ,また雨からくもり 今朝も霧が出ている.部屋でゆっくりしていると霧が上がり始めた.雨も小降りになったようなので,散歩しようかと傘を持って出かける.しばらく職人の通りを行くが,また雨が降ってくるようなので,ホテルに引き返す.雨の中を散歩したいほど美しい街でもない.ただ,この辺りは桑,マロニエ,プラム,チェリー,洋ナシ,ぶどうなどがどこにでも自然に生えている. ホテルの窓から見えるトラペジッツァの丘の向こうの山の上に見える家々が,方角から考えて,昨日行ったアルバナシのようだ.つばめが沢山飛んでいる. チェックアウトしてから荷物を持ってホテルのカフェバーで昼食を取る.おつりの3レバーが無いのか,馴染みになったウエイトレスはホテルのフロントに向かった.そして戻ってきてから渡してくれたおつりはなんと2レバー札の他は小銭の山.日本円でいうと百円を1円玉で渡してくれたようなものだ.あきれて「えー,こんなの使えない」と言うと,ご丁寧に封筒をくれてお店で使ってくれと言う.タクシーだって1レバー以下は切り上げてチップにするのに.トイレだって1レバーかせいぜい0.5レバーだ.ウエイトレスがフロントの人に意地悪されたのだろうかと想像したり...そのまま席を立ったが,後から考えると,フロントに文句を言いに行けば良かったと悔しくなった. |
![]() ホテルの窓から |
![]() ツァレヴェッツの丘 |
ホテル前にいつもいるタクシーでホテルエタルに行く.ここからソフィア行きのバスが出ているのだ.バスの時間までここで待つ.雨がどっと降って,また日が射す程からりと上がる.バス停横に音と光のショーのインフォーメーションが立っている.1985年アッセン王の800年記念行事の時に始まったもので,ブルガリアとチェコのアーティストが創作したものらしい. エタップバスは60人乗り位で,どこかから来たものらしく,すでに何人か乗客が乗っていた.道路の舗装はそれ程良くなくてがたがたいうが,バスが大きいせいであまり疲れない.道路脇に水たまりがいくつも出来ている.道路が一面水浸しになっている所もあった.茶色い濁流になっている川を渡った.トンネルも越える. ソフィア近くも水が溜まっていて,こちらも大分降った様子だ. 6時過ぎにソフィアに着き,タクシーでホテルに行った.馴染みになったボーイがにっこり迎えてくれる.ソフィアではずっと同じホテルを予約している. レストランでは医師か薬剤師の集まりがあるようだったが,少し横に席を作ってくれる.パソコンから大きなスクリーンにウインドウズの映像を映し出して集会のリハーサルをしていた. |
戻る | つづく |