ブルガリア旅行9-バチコヴォ僧院

7月1日(木)晴れ
ホテルに朝食が付いていないので,8時過ぎに外に買いに出る.窓口だけのパン屋さんが一軒見つかった.ガラス越しに指差して,ごま付きのドーナツ型パンと白チーズ入りパンを買い,ホテルのフロントでジュースとコーヒーを買って,部屋に持って入る.
今日はバチコヴォ僧院に行く予定だ.バチコヴォ僧院は11世紀に建てられ,12世紀の第二次ブルガリア帝国時代に最も繁栄した.オスマン帝国の支配下にあった頃は政府に弾圧された芸術家や革命化が多く逃げ込む場所となった.
バス乗り場のある駅まで歩いて行く.中央広場までは歩行者天国で人通りも多いが,それから先はさびれた感じがする.街路樹は刈り込んでいないのでどこも大きく茂っていて,広く影を作っている.バスが見えてやっと駅に来たとわかった.道を尋ねながら歩道橋を通って道路1つとさらに線路を越えて,アフトガーラ・ロドピへ行く.次のバスは11時ということで,待ち時間は45分.小型バスだった.

歩行者天国

バチコヴォ僧院への道のみやげもの屋
私たちの前に座ったカップルの女性は外観から日本人のように見える.2人の会話は何語かわからない.
やがてバスは郊外へ出た.広いとうもろこし畑,ひまわり畑,紫色の畑は何だろう.米耕作地もある.町を過ぎ,山の中へ,川に沿って曲がりながら行く.乗客は途中で乗ってきたり降りて行ったり,そして,バスの運転手さんがバチコヴォ僧院は向こうだと指差して,降りる駅を教えてくれた.あのカップルはすでに降りている.バスは乗客を乗せてさらに先まで行く様子だった.
バチコヴォ僧院への道の両側にはみやげもの屋が並んでいる.ジャムの瓶をいっぱいに並べている店,陶器のつぼや皿を並べた店.この辺りで昼食にした方がいいだろう.テーブルと椅子が並んでいるので,食事できるか聞くと,店で買うように言われた.ミンチをソーセージ型やハンバーグ型にして鉄板で焼いている.とりあえず,これと飲み物にでもしようかと思って,ソーセージ型のを2つ注文すると,布の下からパンを取り出してこれに挟むかと手振りで聞いてくれた.よかった,パンがあった.それとコーヒーに水.コーヒーはエスプレッソで濃い.
僧院までは15分程の上り坂だった.天気がいいので青い空に僧院の茶色のドームが美しく映える.観光客も来ている.ガイドブックには無料とあったが,6レバーで中を見せてくれた.ダイニングルームのフレスコ画が美しい.大理石の長いテーブルが置いてあった.
帰りのバス停で,何時来るかわからないバスを待つ.来たときに一緒だった例のカップルもバス停にやって来た.しばらくして,そのカップルが合図をしてミニバスを止めた.運転手に「プロブディフステーション?」と聞くと「OK」ということで,私たちもそのバスに乗り込んだ.先に乗っていた乗客は5人程で,カップルと私が最後尾に座ると,バスはほぼ一杯になった.間もなく僧院の町を出る前にカップルは降りて行った.私が道をあけると,降りがけに男性の方が「すみませんね」と日本語で声を掛けてきたので「さようなら」と返事をする.女性の方は私たちには一言も発しないままだった.日本をあるいは日本人を好きではない事情でもあるのだろうか.

バチコヴォ僧院

ローマの公開会議場跡
バスは再びひまわり畑を越えてプロブディフに帰って来た.次のブルガスへ行くバスをチェックしておこう.若い女性を選んでバスステーションの場所を聞いたがわからなかった.思い出して,「アフトガーラ・ユク」と聞きなおして道を教えてもらう.かなり年配の人でも英語が流暢な半面,若い人でもほとんど英語が話せない人もいる.ブルガスへ行くバスは早朝6時45分と昼3時過ぎの2便しかなかった.着くのは8時になるが,このチケットを買っておく.
歩いて中央広場に戻り,ローマの公開会議場跡,ローマフォーラムを見る.ローマフォーラムは石垣の土台や建物の柱などが残っているが,きっちりとは保存されていなくて,遺跡の中央を大きな道路が通っていて遺跡を分断している.何時こんなことになったのか,もったいないなあと思う.
続いてトラカルト文化センターへ向かう.通りがかりの若い男性に道を聞くと,親切にも周囲の人に聞きながら私たちをそこまで連れて行ってくれた.そして,係員の女性に何か一生懸命に話して行った.係員の女性が私たちに遺跡の説明を始めたところをみると,先ほどの男性が私たちに説明するように頼んで行ったのに違いない.このショッピング街の地下道は3世紀に整備されたローマ街道で,ローマ人の邸宅跡があり,床のモザイクや下水跡が残されている.   
ローマ人の邸宅跡

ローマの円形劇場跡
次にまた,道を聞きながらローマの円形劇場跡へ向かう.初日に行った聖処女教会の横の道を登って行った所が入口だった.広い劇場が完璧に残されていて,今も野外劇や音楽会に使われている.入場料を払って中に入る.石の階段は怖いくらい急だ.中央の石段は使い古されてなんとすり減って修理されている程だった.遠くにプロブディフの町が見渡せる.とても暑く,ちょっと休憩してカプチーノと水を飲む.日本人観光ツアーらしき一団が通り過ぎて行った.ブルガリアで日本人を見かけるのは珍しかった.彼らはガイドの説明を聞いて,上からちょっと覗いて写真を撮って,私がトイレに行っている間にもう引き上げて行ったようだった.
5時半過ぎ,一旦ホテルに戻ってから,6時半に夕食に出る.聖処女教会の横で見つけた古いハウスを改造したレストランだ.ガイドブックにも載っている.
10時頃気が付いたら,外は雨だった.
戻る つづく