第十一管区海上保安本部との情報交換についてのレポート


平成11年11月5日、沖縄県を中心とした海域を担当する第十一管区海上保安本部と、ダイビングの安全に関する情報交換を行ってきました。
非常に有意義なものとなりました。

以下に、そのときに先方様から、事前にお送りしていた私の質問にご回答いただいた内容をご紹介します。これは、先方様が回答用に用意された文書からの口頭での回答を、私がその場でメモしたものからのものですので、もし、私のメモの間違いがあった場合には、その責は私にあります。

質問事項

1.昨今のダイビングの事故についてのご意見と今後の安全対策のための施策

 ・潜水環境に関する潮流などの情報は海上保安庁のホームページで事前に確認してほしい。
 ・セーフティグッズの携帯(特にダイビングサービスでは徹底して欲しい)
 ・ボートダイビング時には、専従監視員を必ず配置し、監視体制を整えること。船長一人で監視員を兼ねることは避けるように。
 ・異常事態の早期把握。事故は時間の経過と共に重大化する。事故の早期把握は「潜水計画の把握」と「定時連絡の励行」を確実にすることによって可能となる。早期把握と早期連絡により、レスキュー機関としても早急な立ち上がりができる。
 ・事故発生時の処置と連絡体制、つまり事故が起きたときにどうしたらよいか、のマニュアルを作っておくこと。
 ・ダイビング船の運航については、ポイントを通過する際には、減速して見張りを置いて航行すること。
 ・インストラクターやガイドダイバーにおいては、必ず専従監視員を置き、潜水計画の特に浮上ポイント、潜水時間をしっかりと打ち合わせておくこと。この潜水計画は、講習生やファンダイバーにガイドするときにはしっかりと説明(周知)すること。
 ・何かあったら、必ずただちに潜水を中止すること。
 ・漂流などのときに自分の存在を知らしめるためのセーフティグッズの活用ができるようにすること。

2.管区内の事故事例について特に気になるものについて

過去数年の事故発生推移を見ると、9月10月に事故が多い。今年10月27日には米軍関係者の事故も(3名が遭遇し、うち1名死亡)発生したが、平成6年にも同様の事態になり米軍に対しても注意を喚起したが、今後も米軍に対しても注意を喚起していきたい。

3.漂流者が発見されるために必要な器具などと、一般に言われているフローとや海面着色剤の効果やその使い方について・・・捜索する側の意見として

※第十一管区海上保安本部で実施した事故時の捜索実験の資料をご提供いただきました。ダイバーおよびダイビングショップの皆さんはぜひ参考にしてください。

4.ダイビング業者のあり方についてのご見解

 ・ダイバーの安全確保のために、事故防止のための強い配慮を望む。
 ・ダイビングが健全なレジャーとして普及できるようにして欲しい。
 ・スノーケルでの事故も多い(直接ダイビングとは関係ないが)ので、正しい使い方を説明して欲しい。(※特にコンビニで売っているスノーケルは危険である)

また先方様から、ダイバーに対しての注意喚起がなされていますので、お知らせします。
 ・自分は大丈夫という油断はしないこと
 ・一旦事故が起きると重大なことになるので充分訓練しておくこと
 ・自然環境に十分注意し、決して無謀なダイビングをしないこと。注意報・警報の出ているときに事故が多く見られる。また潮流への注意をすること
 ・器材の点検は、初心者ほどしっかりやること
 ・バディシステムの遵守
 ・体調・気象・海況を見て、潜水の開始や継続に不安を感じたら、ダイビングを止める勇気をもつこと
 ・ダイビングは高気圧下でのものになるので、生理的な影響に対する十分な知識をもってダイビングをする必要がある
 ・持病のある人、風邪気味の人などは決して無理をしないこと。これだけでも事故は防げる

以上になります。
なお、私が独自に調査した事例と分析資料を提出し、説明と協議を行いました。今後の事故防止のための資料として活用していただけるようです。

平成11年11月10日