Re;警告:今年のダイビングの事故の実態と傾向
今年の事故犠牲者が既に昨年超えたことから、再度警告のために、一部改訂した速報(不完全ながら)をお伝えいたします。

このページ発表後も事故が増加し、平成15年は、平成時代最悪ともいえる事故多発年となってしまいました。■(平成17年2月23日付コメント)


 以下で紹介する感想などはあくまでも個人の感想に過ぎません。また調査についても個人でできるレベルにすぎません。よって至らない点についてご指導などをいただければ幸いです。


 私のホームページでは、これまで事故のレビューは1年分まとめてから公開しています。しかし今年の事故犠牲者数が昨年を越えてしまったことから、事故防止の注意を喚起することを目的として、8月下旬までの分で、あくまで私個人が知りえた不完全かもしれない暫定的な速報ベースで報告しました。
 なお、他にも事故情報をご存知でしたら、ぜひご一報ください。

平成15年 8月下旬までの暫定事故状況(速報)

発生場所 事故件数 事故者 死亡者
静岡県 6 6 1
沖縄県 9 36 5
北海道 1 1 0
東京都 1 1 1
千葉県 1 1 1
神奈川県 1 1 1
京都府 1 1 1
和歌山県 2 4 1
鹿児島県 1 1 1
長崎県 1 1 1
福井県 2 3 2
暫定小計 26 56 15

対前年人数別比較(前年は1年間の数字。今年は8月下旬までの数字)

発生場所 昨年 今年 昨年比
事故者数 39人 56人 144%
死亡 14人 15人 107%

対前年件数別比較(前年は1年間の数字。今年は8月下旬までの数字)

発生場所 昨年 今年 昨年比
事故件数 38件 26件 68%
死亡 14件 15件 107%

※沖縄で起きた、ダイビングボートと岸壁の間に落ちてケガをした事故と、ダイビング船でガス中毒死した事件は入れておりません。
※同じく沖縄で多発しているスノーケリング中の事故死についても入れておりません。
※上記の事故は、あくまで速報であり、これ以上の事故があった可能性も高いと思われます。

レビュー
 拙著(「ダイビング事故とリスクマネジメント」大修館書店 参照)でも報告していますが、ダイビングの事故は、事故が減った数年後に事故が増えるというパターンを繰り返しています。ここ何年かで事故が多かった平成11年に比べると、全体の傾向としては昨年まで事故が漸減していたことから、今年はそろそろそのパターンでは事故増加年だと心配していました。不幸にも現在、その心配が現実となりました。
 本来、悲惨な事故年だった平成11年(1999年)があったことから、ダイビング業界(業者の安全配慮向上、未熟インストラクターの現場からの退場、ダイバーを訓練する講習の質の劇的な向上、潜水技術を十分に習得していない者を認定しないというあたりまえのこと、そしてダイビング雑誌などでの事故防止のための本当の啓蒙活動など)が進歩していれば、これまでの事故のパターンが崩れて私の心配が杞憂と終わり、そして私が狼少年呼ばわりされて、あるいはバカの遠吠えと言われて笑われることになっていたはずです。またそうあるべきでした。
 
 今年の事故の特徴や傾向は、1度に複数の人が事故に遭った事故がいくつかあることです。このため事故遭遇者がすでに昨年1年間の144%にまで達しました。さらに事故の件数別という、事故の質の面から見ると、26件の事故数中、実に15件で死亡者が出ています。これは、記録に残るような事故が起きたとき、その実に半数以上で人が死んだということです。つまり現在のところ死亡事故発生件数の割合が58%ということです。この他にも、命は助かっていますが、救急車が駆けつけたときに事故者が意識不明だった事故も複数あり、これらは救急車に引き渡す時間が遅れれば、あるいはそれまでの対応に少しでも問題があればさらに大変なことになっていたことでしょう。

 さて、あるダイビング業者(会社)が中心となって、ここ数年、研究費が欠乏して苦心惨憺している私にとってみれば大きなお金まで投じて手先として働く人たちを雇い、執拗に私を社会的につぶそうと工作を行っています。しかもこのようなことを止めさせるような業界の自浄作用もありません。そうまでして事故の実態を隠したり研究者をつぶしてどうしようというのでしょうか。私は10年に渡って事故防止と、業界システムの劇的な改革を願ってきましたが、その間、数百人のダイバーが亡くなっています。その意味では、私のような脆弱な個人の願いは届きませんでした。今でも、事故問題に言及したり、あるいは私に係わった業者が裏切り者とされることもあるように思われます。詳しくは書けないですが。
 心有るダイビング業者の方が伸びるような業界になるといいのですが。

 私を嫌う業者の方が私を笑いものにしたければ、安全配慮を徹底して事故をなくし、また講習をしっかりと行えるインストラクターのみを養成し、講習後の技量を確認しないままに”認定”して金銭を要求することを止め、さらに一般ダイバーたちも自分の技量を過信せず、また若者は無謀なことをせず、高齢者は決して無理をせずに、事故をなくすか劇的に減らしていただきたいものだと思います。

 事故がなくなれば私の研究は意味がなくなり、それによって私を嫌うダイビング業者の望みもかなうと思うのですが・・・。
 
 どうかここで紹介したデータを警告として、また教訓として、今年の事故がもうこれ以上増えないようにしてください。私は皆さんが事故に遭わないことを心から祈ります。

 最後に、ひとつひとつの事故のデータには、事故者の苦しみと、遺族の深い悲しみがあることを忘れないで下さい。


平成15年7月31日
改訂版の内容は平成15年8月26日に掲載

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