平成18年事故数速報
− 今年の注意のために −

現在まで確認できた(公的記録に記録された事例)数値を開示します。この内容を、今年の事故防止のために記憶していただければと願います。

安全は、まず自らの意識です。そして良い意味での臆病さです。


対前年比較(速報値) 件数

事故発生件数 死亡事故件数 生存件数
平成17年 47件 20件 27件
平成18年 53件 12件 41件

※「死亡事故」には、「行方不明事故」も含みます。
※生存したという統計に入る事故数また事故者数には、日常生活ができない、あるいは非常に困難となる重度後遺障害を負われた方がいる事例を含みます。
※過去、生存しているという統計上の分析(行政機関による統計上は、例えば入院後10日以上などの一定期間後に死亡した場合は、公的記録のルール上では「生存」という分類がなされます。実際にこのような事例は、分かったたけで過去何例かありましたが、平成18年の事例については現在不明です。
※このほかに、複数のダイビングボートの事故があり、多くの方々がこの事故に遭遇しましたが、このデータにはそれらは入れておりません。
※このデータは個人ベースで調べ得た中での速報値であり、今後、一部訂正も在り得ますのでご了承ください。
※もし皆さんがご体験して、あるいは知っていて、それが外部に知られていなかったり、あるいは私が知ることができる形で記録が成されていなそうな事故事例がありましたら、それを証明できるようにしてお教えいただければ助かります。事故予防には、できるだけ事故の実態に迫る数値が必要となります。


対前年比較(速報値) 人数

事故遭遇者数 死亡者数 生存者数
平成17年 54人 21人 33人
平成18年 67人 13人 54人

レビュー

 これらを見ると、事故は件数ベースで増加しました。しかし死亡・行方不明事故件数は大きく減りました。
ただし注意すべきことは、生存とされている事故の中には、重度の後遺障害を負って日常生活を送るのにさえ著しく困難となっている方の事例もあります。事態を安閑に見ることや、それを促すようなイメージコントロールにかからないように注意してください。

 事故遭遇者の年齢層ですが、これまで以上に中高年層が多かったように感じます。

 次にこれは私の印象ですが、昨年は同行していたインストラクターの機敏な対応などによって死亡となることが防げた事例が例年以上に多かったように感じています。
 これは、事故が起きる背景にインストラクターやガイドの技量(潜水技量全般と潜水計画立案実効能力)に問題がある事例が少なくないことを否定できません(技量不足のままにプロと認定されてしまったということもあるので。)が、そのような状況下でも、彼らの懸命な努力の結果、命が助かった事例が例年以上にあったような印象を受けたということです。(現状ではまだ詳細は分析はできていません。)
 私は客の命を救ったインストラクターやガイドの方々の行動を賞賛させていただき、また尊敬いたします。

 昨年は全体として事故件数と人数が増加しました。これは従来の状況から推定すると、きっとさらに多数のダイバーたちが通院せざるを得ない状況になっていることを示唆しています。またここ1年程度で、複数のダイビング事故裁判で業者の有罪判決も出ています。しかしそれでもマスコミの基本的な無関心はいまだに続いています。
 皆さんはこういった無関心を利用するイメージコントロールによって正常化の偏見を助長され、それが商業利用されないように注意してください。

 ところで昨年、ある地域に対して事故情報の開示をしないようにという働きかけがなされました。
 私は、消費者の安全にかかわる情報を隠すことで客を安心させて誘客するビジネス感覚に驚きを禁じ得ませんでしたが、それ以上にこのような、消費者の安全(しかも命にかかわる)にかかわる情報を外部に知られないようにすることを、業務の一環として行うビジネス手法に深く驚きました。
 人間の安全にかかわる情報は正しく開示するという現在の一般社会の求める手法でダイビングを盛んにすることはできないのでしょうか。残念です。

 皆さんも、情報の開示を通じての安全を追求する良い業者の下で安全で楽しいダイビングを楽しんでください。


平成19年4月11日

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