減圧症と保険の再掲

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減圧症が増えていますが保険は出ていますか?

このページは、以前掲示して、実際に保険請求に効果があったと報告があったページの編集再掲です。

減圧症が減りません。理由はいろいろあるでしょうが、起きた減圧症の治療には費用がかかります。
ダイビングをする方は、まず減圧症にならない潜水計画を立ててそれを順守し、減圧症にならないバディ潜水を互いに履行し、減圧症のリスクを感じたらダイビングを止める勇気などを持ってください。
これらを踏まえた上で、それでも減圧症になった時には、適切な治療を行けられるように保険金を請求しなくてはならなくなるでしょう。
その時に減圧症を潜水病だとか減圧病などと言われ、「病気だから保険は適用できません」と言われたときのためにこの内容を思い出してください。

しかし、最も大事なことは、減圧症になるようなダイビングをしないことと、水圧の増減に体質が合わない人は、ダイビングを止める勇気を持つことです。

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減圧症(潜水病)は、一般ダイバーにとって病気なのか事故なのか

 レクリエーション(レジャー)としてダイビングを行なったことで起きる減圧症(潜水病)は、急激・偶然の原因に起因する事故の結果であるということは、ダイビングに関心がある人にとっては当然のこと思われますが、日本語の減圧症(潜水病)には、「症」「病」という字がついていることで、これを「病気」とされることがあります。
 この考えは、保険金請求の時に、支払わない理由とされてしまう可能性があります。
 では、減圧症は、一般のダイバーにとっては保険金が支払われないような「病気」なのでしょうか。

減圧症が保険金支払い対象とされる可能性の高い資料の列挙

 (1)「日本高気圧環境医学界雑誌 2002 Vol. 37 No.2」(2002年6月)に興味深い論文が掲載されています。[レジャーダイバーの潜水障害罹患割合]です。
 この論文の70ページでは、「調査した潜水障害は4項目で、その頻度は窒素酔いが最も多く(12.2%)、耳圧外傷(10.2%)、副鼻腔圧外傷(5.5%)、減圧症(1.9%)の順であった(表2)」とし、71ページにある表2 レジャーダイバーの潜水障害(1996〜2000, n=2688)でも、潜水障害として挙げた名称として、「窒素酔い」「耳圧外傷」「副鼻腔圧外傷」「減圧症」としています。
 この論文では「障害」として、「外傷」と「減圧症」を同一分類として扱っていることから、「減圧症」は医学的に見て、怪我と同類の事故と見ていることがわかります。

 (2)「第5回安全潜水を考える会」(2002年11月16日)の「研究集会 発表集」の3ページでは、[潜水事故の予防−その基本的マニュアル−]で、「減圧症」を「潜水事故」の主要なものとして分析されています。

 (3)「第4回安全潜水を考える会」(2001年10月27日)の「研究集会 発表集」の9ページからの[レジャーダイバーの耳と副鼻腔は大丈夫?]という発表では、10ページの表1で潜水障害の一覧を示して「減圧症」を、「歯の傷害」などと同じグループに分類しています。

 (4)「第3回安全潜水を考える会」(2000年11月18日)の「研究集会 発表集」の12ページには[DAN Japanの保険適用の事例]が掲載されており、この15ページの「12.事故状況と傷害分類」の「事故原因別、分析表では、一番多いのは、減圧傷害、耳の傷害、外傷、その他となっています。」としています。
 これらは当時保険を引き受けていた19社が傷害保険を実際に支払った事例の紹介です。

 (5)平成16年1月28日に確認できたDAN JAPANの保険に関するwebページ(当時のURL。現在は削除されている。 www.danjapan.gr.jp/dan/danho/index.shtml)では、DAN保険の内容の説明の中の「給付事例」で、「日本国内外におけるレジャー・スキューバダイビング中に急激・偶然・外来の事故により傷害を被った場合および・・・保険金が支払われます。給付の対象となる事故例は、以下のとおりです。」として「潜水病で治療を受けた」を挙げていました。
 さらにこのwebページでは、「DAN潜水事故における酸素供給法講習」の説明の中で、「減圧症を始めとする潜水事故・・・」と明確に記していました。

 (6)私が過去に見たことがあるPADIの「事故報告書」には「減圧症」の報告も記されていました。つまりこれを書いた側(当然プロダイバー)も「減圧症」を事故扱いしてたことが分かります。

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減圧症になるようなダイビングはしないこと、プロやパーティ企画者は参加者にこれをさせないこと、レジャーとしてのダイビングで、減圧症になるようなダイビングするダイバーを持ち上げない、こういったダイビング文化の定着は、ダイビングの社会的印象の上方修正促進効果をもたらすことでしょう。


平成26年2月2日

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