「指導団体」や「指導機関」の売り上げと税引き後利益について考える

〜悪い冗談、あるいは夏の怪談〜?

優良ダイビング業者の方々の経営と利益、そしてリスク配分を考える際のご参考になれば幸いです。


儲かっているようです。

 昨今の経済状態の中、商品スポーツの元締めの利益はどうなっているのでしょうか。

 まじめに努力する現場の優良業者の皆様の事業収益やビジネスリスクの重さと比べてどうなのでしょうか。

 業界の収益の実態はなかなか明らかにされていないと思いますが、参考までに、ここ10年で最大の事故多発年であった平成22年(2010年)の、某「指導団体(機関)」のビジネスの内容を見てみ ましょう。

 昨年は、一昨年よりさらにダイビングビジネスの現場が大変になってきていると感じているプロの方は少なからずいらっしゃるでしょう。
 このような中、某大手指導団体(そのブランドの関係した人身事故が業界で最も多いと見られている。)は、前年より大きく売り上げを下げていながら、なんと利益を増やしました。

 某「指導団体(機関)」は、平成22年12月決算で、26人の社員で10億5千9百万円の売り上げ(対前年3千6百万円売り上げ減)となりましたが、その税引き後利益という純粋の利益が1億5千3百万円対前年4百万円純益増加)となっていました。この税引き後利益率14.4%(前年は13.5%)は、大企業も及ばないほどの利益率で はないでしょうか。もしダイビングビジネスが不況に影響されている大変な状況にあるとしたなら、これはどういうことでしょうか。

 社員一人あたりで、不況のさなか年間約4千百万円の売り上げを揚げ、税金や諸経費を全部引いた後の、本当に残りった社員一人あたり純利益が約5百85万円なのです。サラリーマンなら、 一人が1年間働いて、税金を払って、公共料金や保険を払って、衣食住の経費を全部払ったあとに、現金で約5百85万円も手元に残った、と考えると、その一人当たりの売り上げや税引き後利益のすごさが理解しやすいかも知れません。

 もう一つ、3月決算のため、まだ平成22年のデータが入手できていないですが、最初の某「指導団体(機関)」のビジネスモデルに追従し、某と同じようなビジネスを展開していると言われている別の 某「指導団体」、便宜的に某2としますが、この平成21年3月の決算データを見てみましょう。
 ここは7人の社員で2億3千万の売り上げを上げ、1千4百618,000円の税引き後利益を揚げていました。実はここの10年前(2000年3月期)の売り上げは4億3千9百万円で、税引き後利益は1千978,000円でした。つまりこの10年で売り上げが54%も減ったのに、純利益が133%以上伸びているのです。利益率は2.5%から7.2%に上がり、売り上げ当たりの利益率の伸びは288%と、約3倍になっています。現在の一人あたり売り上げは約2千9百万円で、税引き後利益は約2百8万円となっています。サラリーマンなら、1年間働いて、10年前と比べて収入が半分以下になったのに、年度の終わりには、仕事とサラリーマンとして生きていくための衣食住の全部の経費を精算した上で手元には10年前の1.3倍以上の現金が残ったということです。素晴らしい(?)ですね。

 現場で命がけで客の安全のために汗を流している優良業者の方は、一人で某や某2のような売り上げや純利益を確保できていますか?もしこれより少なかったとしたら、それは何故でしょうか?それは すべてがあなたのせいでしょうか?体を張って守っている客の安全のための手間と経費は、全部あなた持ちなのでいいのでしょうか? 事故が起きたら、それが「規準」の不適切さにあったとしても、全部その責任はあなたが負うということでいいのでしょうか?ちゃんと「指導団体(機関)」は、あなたのビジネス上の本当のリスク情報を開示してくれていますでしょうか?

 .... ※これはリスク情報の一つです。10年間で218人が死亡・行方不明となっています。なおこの数字は判明した数字だけに過ぎません。
関連があるかどうかは不明ですが、某や某2の利益率の大幅な伸張と重大事故者数の伸張は似た傾向を示しているように感じます。
売り上げが減っているということやダイバーの数が減っていることも似た傾向のように感じます。
 
これも某などから知らされるべきだったリスク情報です→初級者講習における人数比に関する最新の司法判断
  

 現場のダイビングショップのうち、安全対策に手間暇と経費を掛けている優良業者が相次いで経営難となったり廃業していると聞かれる中で、この高い利益率 と手にした利益の金額は、きっと全て社会的に誉れとなるような企業努力だけで達成されたと考えることが自然なのでしょう。(え?)

 これだけ経済的に余裕があるのなら、ぜひ、優良業者の足を引っ張っている手抜き業者や低レベルの業者の活動を停止させるかそのレベルを上げるための努力 (インストラクター資格のリコールなど。製造業なら当然のこと。そのビジネスにおける消費者の致死性が高いけれどもサービス業というだけでそれをしなくてもいいと考えるのは・・・)し、あるいは低レベル事業者の支援を止め、こういった業者からの手抜きで養成されたダイバーの再教育などに努め、さらに客のダイバーの安全強化対策費という、自らの事業で営利を挙げる過程で生じる客の命の損耗(人命損失)を全力を挙げて阻止しようと努力していただきたいと、切に願 います。宣伝目的の公共奉仕イベントは現状レベルでもう十分です。それにダイビング事故を減らしたいと考えている地方の私への協力者(複数)に対して、「なんで中田なんかとつきあうんだ。」などという圧力を掛け 続ける暇と経費があったら、ぜひ、一般ダイバーやまじめな優良業者にとって、人命損耗とならないように力を尽くしていただければと願います。それが達成できれば、 何もしなくても私を“ぎゃふん”とさせることができます。きっと痛快でしょう。 また自らを公共性のある存在・組織・機関などと社会に見て欲しいなら、非営利事業として利益を放棄す るか全額社会に還元すれば良いのではないかと思います。 そうすれば、恣意的なイメージコントロールに走る必要はなくなります。社会も感謝するでしょう。
 今のように多額の利益を懸命に追求するようでは、公益性のある存在と自称するにはとても不自然です。

 一般のダイバーの方々も、某の純利益からさらに利益を得ている(表現が美しくありませんね。正しくは株主配当をしっかりいただいていると言うべきでしょう。品位に欠けていて済みません。)、社会的におしゃれなイメージの超有名会社様も、 会社の株式の52%を持って、役員に同族を入れていると見られる某2の偉い様も、どうか自らの利益の 発生理由に問題がなきよう、思慮深く、かつ深刻に考えていただければと希望します。

 この夏からのシーズンも、ぜひ優良業者の発展を後押ししましょう!


平成23年7月18日
 

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