ダイビングに内包する致死的な危険


 ダイビングには致死的な危険が内包しているという認識は、今回の海上保安庁の認識だけでなく、拙著(『ダイビングの事故・法的責任と問題』(杏林書院)、『ダイビング事故とリスクマネジメント』(大修館書店)でも紹介しているように、最高裁の判例を始めに、過去のいくつもの裁判例でも法的に確定している認識です。
 さらに同じく拙著で紹介しているように、それは日本の判例だけでなく、ダイビングビジネスを生み出したアメリカでも同様となっています。
 それだけでなく、ダイビング業界団体の中核でもある、スクーバダイビング事業協同組合ですらも、その発行した『21世紀・日本のダイビング業界はどうあるべきか』(1999年)という冊子でこの点に明確に触れています。(特に拙著『ダイビングの事故・法的責任と問題』参照)
 ここではダイビングの致死性について、「危険の程度にも致死的であるということは他とは質的に異なるものである」(25ページ)、「ダイビングの本質に危険性は深く関与している。一呼吸を間違えばパニックになって、その対処を誤れば生命の危機に直面する」(26ページ)と表明しております。
 この認識の事実は、本来ダイバーや、ダイビングを習う講習生にこそ優先して与えられるべき必要情報だと思います。この認識を業者と客のダイバーや講習生が共有してこそ、安全対策に効果が出てくるのだと私は思います。
 もしかしたら、ダイビングに内包する危険性について一番知らないのは、あるいは知らされないのは、ダイビングを始めようとしている人々かもしれません。そうそう、一部の御気楽なガイドやインストラクターにもそういう人がいて、その認識のなさが、講習生やファンダイバーに、最大、死を招く損害を与えているようにも感じます。
 これも勝手な感想ですが。

参考:海上保安庁より主要指導団体などに送付された重要文書


平成15年11月2日

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