文京グリーンコート 

 生かされた緑 

科研製薬の跡地に建てられた、
高層オフィスと中層オフィスビル、
2棟の高層住宅、商業ビルからなる
総合的なプロジェクトのこちら。
こちらは「建物が…」と言うより、
こちらの計画がとても良いのです。
もともと敷地内にあった
豊かな<既存樹木を最大限残し、
緑と水の豊かな環境が作られ、
敷地全体が一つの街として
機能する多彩で充実した施設。

緑多い周囲のそれぞれの広場には、
多くの人が集い賑わい、交流し、
体を休め、寛ぎ、行き交い、
自然に人が集まる空間が、ここに存在します。
単純にデザイン性の高い建築を、
造っただけでは、この空間までは、
創る事は出来ないもの。
どうしてこの空間が出来たのか?
一番には、既存樹木を残した事かも…。

後から改めて造られた緑の空間は、
樹木がその土地に馴染むまでは、
何処かよそよそしい感じがしません?
でも、既にその土地に馴染んだ樹木は、
どんなに周囲の様子が変わっても、
変わらぬ安定感を持っている。
そんな緑の傍だから人も安心して集う。

……のかなぁ??
なーんて思いました。
やっぱり樹木の持つパワーは、
大きくて、神秘であります…。
それに加えて、
その計画の携わる人々の情熱も、
良い空間作りに表れてるのかな?
その辺の事に関しては、
私のヒイキ目が入っちゃうもんで、
「そうであって欲しい」って所
かもしれないのですが(笑)。
(でも「良い空間」である事には、
間違いはありませんわよー!)

ちなみに、この一体で、私が
一番好きな建物の部分がここ→
最初から"見せる"つもりで、
設計したのではなく、
細かい部分も丁寧に考えてったら、
こうなりました。って感じ。
だから、凄くキレイに出来てるのに、
それが生えるよう場所に
面してないのが、勿体無いよぉ…。
この一体、メインとなるデザインは、
「ん〜?」な感じだけど、細かい
デザインの丁寧さからくる美しさが、
いろんな所で見られます。

そんな細かい部分への拘りの
積み重が、全体を良い感じに
仕上げてくれたりしますよね。

んで、この丸いもんは何?!
エレベーターの到着ランプです。
建物全体のイメージと違って、
ここだけツルっとしてて、
なんか可愛げを感じちゃう。
そんなギャップから来る
微妙なバランスの可愛げが、
これを選んで付けた人間に、
なんか似てて好きなのかも(笑)。

先に見えている建物は、
全然関係のない公団アパート。
だけど、偶然(?)にも、
柱がフレームとなって、上手く
絵の中に収まって来ています。
直ぐ近くで見てみると
只のぼろアパートみたいなのに、
ここから見ると、そのボロさ加減が、
私の好みのイイ感じに見えちゃう。
新しい物の影になっている事で、
ノスタルジックな風景を
そこに見てしまうのかも。
ちょっとしたマジックみたい…。

手前が中層のオフィスビル。
こちらは完全に一社利用の、
情報管理の為のビルなので、
全然中に入れないのです。
うぅーん詰まらない!
奥のは2棟の高層住宅の一つ。
ちょっとデザインの変わった
普通のマンションに見えるけど、
細かいディテールなんかで、
何気に違いが見られます。

- 文京グリーンコート -
" 久米設計 "
竣工:1998年

「久米設計」他作品

日光金谷ホテル(1893年)久米権九郎
銀座テアトルビル(1987年)
上越市立高田図書館(1990年)
仙台市科学館(1990年)
滋賀県立長浜ドーム(1992年)
久米設計本社ビル(江東区1993年)
恵比寿ガーデンプレイス(1994年)
湯河原厚生年金会館(1995年)
釧路アイスアリーナ(1996年)
四日市ドーム(1997年)、
戸板女子短期大学(1995年)
フィットヴィレッジ河口湖(1998年)
愛知県立大学(1998年)
都営住宅北青山1丁目団地(2000年)
茅野市尖石縄文考古館(2000年)、他


|| HOME || | | top | next |