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マトリクス4chデコーダ製作レポート 東京都 小高
マトリクス4chエンコードの種類は山水QS方式とCBSソニーSQ方式があり、現在でも4chエンコードされた音源がCDでも流通し、殆どの方は(エンコードに気付かず)お持ちの筈です。
然し、CBSソニーSQ方式は、(山水QS方式より多くの音楽ソフトが作成され主流となりましたが、)‘70年代後半に再生機材の提供は終了し、その後、山水QS方式も‘80年代後半に再生機材の提供は終了しました。
そして、現在の所、4chエンコードされた音源は、CBSソニーSQ方式の音源は、AVアンプにそれの再生機能が搭載されたものは存在せず再生は不可能となり、山水QS方式の音源も、AVアンプに搭載のドルビー機能では(QS方式のサブセット故、)それの再生は不完全となりました。
何れにせよ、マトリクス4chでエンコードされた音源はHIFI再生(正しく再生)できない状況となっています。
そこで、‘03年辺りから、この課題の解決の為、再生機材の開発に取り組んで来た訳ですが、今回は、その一環として、P板を起こしてのマトリクス4chデコーダを製作してみました。
回路としては、CBSソニーSQ方式は、ロジック無しでは全く分離しないので、前方左右の音量比、後方右左の音量比、及び、前方後方の音量比から音源方向を判別し、判別した音源が後方の場合は前方左右チャネル、前方の場合は後方左右チャネルを90度移相で逆相関係とし、クロストーク成分を加算キャンセルする事で音源方向を強調する独自方式の方向強調ロジックを搭載しました。
尚、今回の回路では、山水QS方式はロジックの有無の差が僅かであり、ロジック無しでも十分実用に耐えられるのでロジック無しとしています。
まとめ
今回、P板を起こしてみましたが、製作容易で、且つ、安定動作が得られました。(試聴会に於いても分離や音質に好評価が得られました)
これまで、音源の中で4chエンコードされたCD丈は事実上デコードが不可能故、オーディオ愛好家の方々に於いても、その殆どの方が、それのHIFI再生を諦めていたのが現状でした。
然し、今回のP板に依り、それの再生も、多少成りとも容易になり、"全てのCDのHIFI再生”
が可能になる道が開けた様に思います。
補足
基板設計は "KiCad"、回路シミュレーションは
"CircuitViewer"、回路図は "D2CAD"、計測は "DSSF3"、レタリングは
"LibreOfficeDraw"、を使用しました。
試聴音源
01.QS B.B. King - Ain't Nobody Home
(QS CD)
02.QS Barbra Streisand – People
(4ch効果大2chCD)
03.QS Christopher Hardy - Third
Stream (4ch効果大2chCD)
04.QS Herbie Hancock – Rockit
(4ch効果大2chCD)
05.QS Tomita Isao - Ballet Of The Chicks
In Their Shells(QS FM放送)
06.QS Tomita Isao - Snowflakes are
Dancing
(Dolby CD)
07.SQ Chase - Open Up Wide
(SQ CD)
08.SQ Chicago - Saturday In The
Park
(SQ LP)
09.SQ Deep Purple – Lazy
(SQ CD)
10.SQ Don Sebesky - Semi-Tough
(SQ CD)
11.SQ Joe Farrell - Geo Blue
(SQ CD)
12.SQ Pink Floyd – Eclipse
(SQ CD)
13.SQ Santana – Batuka
(SQ CD)
14.SQ Ten Years After - One Of These Days (SQ CD)