前回: http://www.hi-ho.ne.jp/odaka/quad/sando7.html
次回: http://www.hi-ho.ne.jp/odaka/quad/sando9.html
マトリクス4chデコーダ製作レポート2 東京都 小高
前回は、SQ方式にオリジナルのステアリングロジックを搭載したSQ/QSの4chデコーダにてサラウンドのデモをしましたが、QS方式はステアリングロジックが搭載されていませんでしたので、両者を公平に比較評価するまでには至りませんでした。
そこで、今回、QS方式にステアリングロジックを搭載したQS4ch専用デコーダのP板も起こし、それを前回のデコーダ筐体内に追加する事で、QSとSQ双方にステアリングロジック搭載のデコーダとし、両方式の比較を可能としてみました。
尚、部品点数も920点程で収まり、製作も容易でした。
今回のQSステアリングのロジックは、前方左と後方右の音量比、前方右と後方左の音量比、から音源方向を判別し、前方左と後方右同士、前方右と後方左同士、を適宜、加算・減算し、クロストーク成分をキャンセルする方式で、これにより音源方向を強調しました。
資料
補足
基板設計は前回同様、"KiCad"、回路シミュレーションは
"CircuitViewer"、回路図は "D2CAD"、計測は "DSSF3"、レタリングは
"LibreOfficeDraw"、を使用しました。
試聴
ステアリングロジックの効果確認。
前方中央、右前、右後、後方中央、左後、左前、デッドセンター(中央)を移動するピンクノイズ音源を再生しました。
→SQ方式では全チャネル同一信号(デッドセンター)の音は原理的に正しく伝送できず、左前右後に偏る事を確認しました。
上記要因に依る録音ミス盤?の紹介。
Simon & Garfunkel/Bye Bye Love:Bridge Over
Troubled Water
SOPM 105(SQ LP)
Simon & Garfunkel/Bye Bye Love:Bridge Over Troubled Water
COLUMBIA CK 66004 (Stereo CD)
→SQ盤では、拍手がモノに近く、それを全チャネルにミックスした為か、上記の理由で、それが偏って再生されて仕舞うのですが、ステレオ盤の方は(拍手が偏らず、そのレベルも高く)返ってサラウンド効果が良好である事を確認しました。
QS盤とSQ盤の再生音場の傾向の違い。
Zubin Mehta/Uranus,The magician:Holst The Planets
KING KICC 8474 (QS CD)
Leonard Bernstein/Uranus,The Magician:Holst The Planets SONY
SMK 63087 (SQ CD)
→マトリクス方式の違いに依り、左右の楽器の定位感に差が生じる事を確認しました。
定番サラウンド音源。
Chase/Open Up Wide:Chase
Sony Music A 26660 (SQ CD)
Chicago/Saturday In The Park:Greatest Hits
COLUMBIA
PCQ 33900 (SQ LP)
Herbie Hancock/Rockit:Future Shock
COLUMBIA CK 65962 (Stereo CD)
→これら音源でステアリングロジックの有無に依る分離(音場の広がり)の違いを確認しました。
その他、サラウンド音源の紹介。
Herbert
Von Karajan / 4th Movement:Dvorak From The New World
EMI TOCE 9011 (SQ CD)
Jimmy Smith / Killing Me Softly With His Songs:Testifyin' GROOVE
HUG RECORDS GH 66710 (SQ CD)
時間まで聞いて頂きました。
追伸
今回、堀さんもQSバリオマトリクスICを使った自作QSデコーダを持参して頂きましたが、動作不調で残念乍、比較試聴はお預けになりました。