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小説の書かせ方
1.小説

     「脱線先生」
                          6年5組 山川未央

 これは私がはじめて書いた小説です。冬休みに入るその前日、終業式の日、私のいる6年5組のホームルームを思い出しながら書きました。
 ここで登場する人物、団体名はすべて実在します。ここに書かれたことは私の記憶違いを除いて全て本当にあった出来事です。


 終業式のあと、2学期最後のホームルームが始まりました。今日はいつものジャージ姿ではなく、とてもフォーマルな服を着た百合子先生が教壇に立っています。
 百合子先生は休み中の注意事項をあれこれと連絡したあと、みんなが最も興奮する通知簿を一人ずつ呼んで手渡しました。みんなはそれを見せ合いながらワイワイ騒ぎます。
 でも教壇の上に積み残っている紙の山に、ちらちら視線を奪われていたのは私だけではありませんでした。

 「さて、2学期も今日で終わりです。明日から冬休みだといって浮かれすぎないように、それに宿題も忘れないように。いいですね?」
 「はーい」と学級のみんなは元気な返事を返します。
 「宿題は多いと思いますか?」
 「はーい」とまた返事を返したあと「はははは」と笑いが広がりました。百合子先生は困った顔になりました。
 「まったくみんな素直ね。でも多いといったって1教科に一つずつでしょ。その気になれば1日で終わっちゃうわよ。そんなにブーブー言って、どれくらい多いと思うの?」
 百合子先生の問いかけに、元気良く尾崎君が「はいっ」と手を上げました。
 「手に負えないくらいです!」
 学級がどっと湧きました。百合子先生は今度は手を腰に当てて下を向いてしまいました。心なしか体が引きつっていました。
 でもしばらくしたら元気を取り戻し、いつものようにニコニコ顔に戻りました。
 「じゃあ、そんなゆううつなみんなに、うれしいお知らせがあります。この学級の卒業記念に作るものが決まりました」
 ワーッと歓声が上がりました。そしてまた尾崎君が、
 「それは何ですか」
 とみんなの代表になって先生に聞きました。
 「文集を作ります。その文集に載せる文を、この冬休みに作ってきてください」
 「げえー」「やっぱりだー」「そうだと思ったー」「そんな気がしたー」
 みんなは薄々勘づいていたのです。教壇の紙の山はそのために先生が用意したものだという事を。
 百合子先生はみんなが露骨に嫌がる様子をニヤニヤしながら見ていました。
 「はい、騒がないでちょうだい。ただの文集じゃないのよ、いい? もっと驚く事を発表するわよ。それは……みんな、一本の小説を書きましょう!」
 「しょうせつー!」
 小説を書くだなんて、これにはみんな想像がつかなかったようです。教室は嵐のあとの静けさのようにしんと静まりかえりました。
 「題は自由です。卒業記念だからと言ってそれにこだわる必要はありません。はい、前からこれ配って」
 教壇に積まれていた紙の山は原稿用紙だったのです。先生は一人分が10枚にホチキスで留められたものを、適当に等分して席の一番前に配り始めました。
 「目標は400字詰め原稿用紙10枚よ。分かった、いいわね」
 「えーっ、先生、多すぎるよー」
 「何言ってるの。何事にもチャレンジよ。なんたって卒業記念なのよ。今はイヤでも10年後、20年後にはきっと書いて良かったと思うはずです。すばらしい思い出となることでしょう」
 そんな百合子先生の言葉にもみんなのブーイングはなかなか止みませんでした。さすがに百合子先生もこれには手を焼いたようです。
 「分かった分かった、もう騒がない……確かに初めての事だろうから……じゃあ少しまけて、5枚でもいい事にしましょう。最低で5枚以上、10枚が目標で多い分にはいくらでもいいわ。これでどう?」
 「うーん」とうなる声が聞こえました。
 書くことは免れなかったもののその枚数が減ったことでみんなは少し折れ始めました。でも私が思うに、真実は不明ですが、あとから思えば、これは百合子先生のうまい作戦だったのかも知れません。
 それでも食い下がる子がいて、「結局また作文ですよね」と、わざとイヤそうに聞きました。
 「違います」
 先生はきっぱりと否定しました。
 「――いつもの読書やビデオ鑑賞の感想文とは違うわよ、今度は逆。みんなも今まで読んだ本の中で好きだと思った小説があるでしょ? それを読んだ時どう思った? 面白かったとか、感動したとか、主人公の活躍にあこがれたとか、もう一度読みたいとか色々思ったでしょ? そのように小説には人の心を動かす力があるの。でも今度はね、そんな小説を自分で作り出すの。書いた小説は先生が全部読んで感想文を書きます。どう? 今度は人に感想文を書いてもらう番なのよ。すごいことだと思わない?」
 その時、教室の中でニコニコと目を輝かせているのは百合子先生ただ一人だけでした。
 「えー、でも小説なんて書き方分かりません」
 多恵ちゃんがそう言ったのは、みんなの気持ちを代表していました。
 「自分の思ったように書けばそれでいいのよ。さっき言ったように題は特に指定しません。何でもいいんだから簡単でしょ?」
 「でもそう言われるとかえって何書いていいのか困ります」
 「とにかく何でも試してみなきゃあダメなのよ。そんな親心から考え出したことなのよ。成績とかには関係ないから気楽に受け取ってちょうだい」
 「でもー」
 「しょうがないわね……仕方ない、ヒントをあげるわ。はい、じゃあメモの用意」
 私達はランドセルにしまったノートと筆箱を引っ張り出し、先生のヒントをメモする用意をしました。中には「今日は持ってきてないよ」と騒ぎ立てる子がいました。私も終業式の今日、使うことはないだろうと思っていました。
 「鉛筆忘れた子は持ってる人に借りて、ノートのない子はこの原稿用紙の裏にでも書きましょう」
 教室の中がガタガタとざわめきました。
 「さあ言うわよ。一つ目は、普段興味のあることを思い浮かべてみましょう。お勉強に関係ないことでもいいわ」
 みんなは一斉に鉛筆を走らせました。
 「――ロボットアニメが好きな人は、自分がアニメを作るとしたら、どんなロボットが面白いか思い浮かべるのよ。そしてそのロボットが活躍するシーンを思い描いて、それを文章にするの。例えば……自分を人間だと思い込んだ女の子型ロボットがいて、ひょんな事から人間の男性に恋してしまう……とか、宇宙からまるで生命体のようなロボットがやってきて地球上で増殖してしまうとか。ねっ、どう? それだけでも原稿用紙の3枚や4枚は書けちゃいそうでしょ?」
 「せんせーあんまり面白くない」
 「たとえばの話です。あとそうね……テレビゲームの好きな子はテレビゲームの主人公を自分に見立ててとか、SFの好きな子は宇宙人が自分の所へ訪ねてくるとか、こんな事があったら面白いだろうと思ったことが一度はあるでしょ? 夢で見たこととか……夢そのものだって小説になるわよ。夢で見たことが本当に起こっちゃう話とか、同じ夢を見る二人の話とか。ま、文学小説を目指したって構わないけど、先生、無理は言わないわ。とにかく自分の好きな事を思い描くのよ」
 「せんせー、ボク、猫が好きなんですけど」と川口君が言いました。
 「じゃあ、猫が好きな人は、その猫が活躍するシーンを思い描いて……」
 「あはははは」と笑い声が広がりました「猫なんか寝てるだけで活躍しないよー」
 「そうね、そうよね」
 みんな「わっはは」と、もっと笑いました。
 「でもね」
 先生のその一言で笑いが止まりました。
 「――猫の活躍は難しいけど、みんなも聞いたことあるでしょ『吾輩は猫である』って。猫を主人公にした小説で、これで千円札になるほど夏目漱石は有名になったのよ」
 「へーえ」
 みんなはいいこと言うじゃないかと川口君の方を見ました。
 「例えば、博史君は何が好き?」
 急に呼ばれて博史君は慌てた様子でした。
 「ぼ、ボクは、女の子が好きです」
 「ぎゃはは、すけべー」と男子の誰かが声を上げました。
 私の隣の席の彩香ちゃんは、後ろに座っている優美ちゃんに振り向きました。振り向かれてビックリしたのか、優美ちゃんは目を白黒させていました。
 「はははは。だったら博史君の場合は恋愛小説ね。誰か好きな女の子がいるなら、その子のことを思ってそれを小説にしたらいいわ。先生は個人的に恋愛小説を読むのが好きだし」
 「じゃあ優美との恋愛小説だ」「そーだそーだ」
 そこでみんなは博史君と優美ちゃんを冷やかし始めました。
 博史君は「げえーっ」と言いながら大げさに嫌がるそぶりでした。でも隣の席の裕太君が「じゃあ、優美のこと嫌いなのか?」と聞いても、
 「優美は頭いいけど、顔も悪くないけど、性格もいいけど……」
 とは言うものの、決して「嫌いだ」という言葉は出てきませんでした。優美ちゃんはうつむいて顔を真っ赤にしていましたが、その博史君の反応にまんざらではない様子でした。
 百合子先生も、この二人がいい仲なのを薄々勘づいていたようです。時々見せるニヤニヤ顔で眺めていました。
 「さあ、そこで二つ目よ。小説を書くときのポイントは会話ね。カギカッコで結んだ会話文をふんだんに使うと書きやすいわよ。例えば博史君が恋愛小説を書こうとするなら、その好きな子と二人だけの会話を多く書くと、とても書きやすの」
 「どうしてですか?」と博史君が言いました。
 「だって自然に書けるでしょ。難しい言葉なんか書かずに済むし……みんな普段しゃべるときに文学小説みたいにしゃべる?」
 みんな、いっせいに首を横に振りました。
 「そんな人いないわよね?」
 今度はいっせいに縦に振りました。
 「しゃべれるってことは書けることなのよ。変に堅苦しく考えなくてもいいのよ。いつもの友達同士の会話だってそのまま小説にすることだって出来るんだから、先生が思うに、おしゃべりな人ほど小説家向きかもね」
 みんなは「ふーん」とうなずきます。
 「それにね、読む方だって読みやすいの。会話を通してストーリーを進めていく、書きやすいし読みやすい……この『奥の手』は売れっ子作家のテクニックなのよ。またそれが自分の意見を書きつづる作文とは大きく違う点ね」
 また「ふーん」とみんながうなずきます。みんなはだんだんその気にさせられていったようです。

 「ハーレクイン・ロマンスのような熱烈な恋愛ものでもいいですか?」
 こう聞いたのは私自身です。私もなんだかその気になって、思わず聞いてしまいました。
 実は知っていたのです。百合子先生がお昼休みや学校へ通うバスの中でいつも読んでいるのを。興味があったのでいつのまにか私も読むようになりました。なぜなら私は百合子先生のことが大好きだからなのです。
 「未央ちゃんも読んでるの? ハーレクイン。やっぱり女の子ね。いいけど、あんまりエッチなのはダメよ、ふふふ」
 他のみんなは「ハーレクイン・ロマンスって何だ?」とざわついています。
 ハーレクインには百合子先生のおっしゃるように、確かにちょっとエッチな場面もあります。でもこの会話が私と百合子先生だけに通じる共通の話題であったことに、少しの間、先生を独占できたような、そんなうれしい気持ちが起こりました。
 「未央が言うんだからヒクソン・グレイシーみたいなもんだろ?」
 「全然違うわよっ!」尾崎君のでたらめな意見に私は言い返しました。そう言う私は、ヒクソン・グレイシーが無敗を誇る有名な格闘家であることを知っていました。
 「せんせー、エッチってどの程度までですか?」そこへまた尾崎君が横槍を入れました。
 「どの程度って……それを説明する事自体がその程度を越えちゃうでしょ。こら尾崎君、困った質問しないように。……そうね、書くならプラトニックなものにしなさい」
 「わーっ、プラトニックだってー」
 学級は「わいわい」とまた騒ぎ始めました。
 「でも先生、プラトニックって何ですか?」
 百合子先生の肩がカクッと下がりました。
 「……そうね、みんなまだ子供だから恋愛小説なんか無理だったかな。だったら昆虫の観察記でもいいわよ。夏に飼っていたカブトムシに『大きくなれよ』と毎日言葉を掛けてやっていたこととか……ちょっと地味だけど、子供らしくていい小説が出来ると思うわ」
 「子供扱いしないでください」「やれば出来ます」「来年はもう中学生なんです」
 みんなから非難ごうごうの声が上がりました。この時点でみんなはもうやる気満々になっていました。
 やっぱり、今思えば、これは百合子先生のうまい作戦だったのかも知れません。
 「まあ、ませた口聞いて……。じゃあ君たちに聞くけど、恋を打ち明けようとする乙女の取る行動って分かる? どう尾崎君?」
 尾崎君は急に当てられてビクッとしながらも「ラブレターを書いたり、電話を掛けたりですか?」と答えました。
 「それもあるだろうけどちょっとあたりまえすぎかな。本当に純粋な乙女の心はね、気の毒なほど一途なものなのよ。ラブレターなんか恥ずかしくて書けないし電話も掛けられないの」
 百合子先生は水を得た魚のように生き生きと話し始めました。
 「――なぜなら、告白してもし自分のことを好きだと言ってくれなかったら、それっきりもう顔も合わせられなくなってしまう。だから好きで好きでたまらないあの人なのに打ち明けられない、その切ない気持ち……。いつもちょっとした機会を見つけて話しかけるんだけれど、鈍感な彼は気づいてくれない。それに、本当は好きなくせに反対の行動をとったり、いつもは口が悪いくせに、その人の前では急におとなしくなったり、不自然に丁寧語になったり、それでもなんとか恋を分かってもらうためにあの手この手を使ってみるものの、内気な子のそういう行動に限ってなかなか気づかれない。相手にしてみれば突然怒ったり、急におとなしくなったり、ただの変な行動としか捕らえられない。そうこうしているうちに、彼には既に彼女がいるらしいってうわさが流れてくる……ライバルの出現に自分のふがいなさにジレンマする乙女……と、とにかく複雑なものなのよ」
 「ふーん」
 学級はしーんと静まりかえりました。

 「分かったあ。じゃあ、プラトニックって、百合子先生と鈴木先生のようなことなんだ!」
 こんな事を言い出すのは学級の中では尾崎君と決まっています。しかも学級のみんなは一斉に「そうだそうだ」と声を上げました。
 「なっ、なっ……ど、どうしてそう思うの?」
 明らかに百合子先生はうろたえた様子です。
 「だって百合子先生って、さっき言ったまんまだよ」
 「そ、そんなことないでしょー」
 「だって百合子先生、鈴木先生の前では別人のようになるもの……声もドスが利かなくなるし、しかめっ面がニコニコ顔になるし、急に歩幅が小さく内股歩きになるし、急にそわそわして鼻をすすり始めるし」
 「まあ、普段のわたしは変な人みたいじゃない」
 「『みたい』なんてもんじゃなーい」とみんなが言いました。
 「んまっ」
 「せんせー、鈴木先生が4年の美由紀先生といっしょに歩いてるのを見たことあるよ。そんなプラトニックなままで大丈夫ですか」
 「ちょっと、き、君たち……」
 そのあとなぜか百合子先生はおとなしくなりました。それをいいことに、教室はだんだん収拾がつかない状況になっていきました。誰が何を言ってるのか分からなくなってきました。中には百合子先生を励まそうと気を遣う子もいました。
 「先生、大丈夫だって、安心しなよ。そんなのたまたまだよ。だって美由紀先生には既に結婚を誓った恋人がいるんだってうわさだし」
 「ど、どこからそれを……」
 「それに鈴木先生は百合子先生のことが好きに決まってるじゃん」
 「えっ、どうして?」
 「だって百合子先生の方がボインじゃん?」
 「まっ」
 「えぇー、似たり寄ったりじゃないの?」
 「……」
 「ボクが言ったのは、身長の割にボインだってことだよ」
 「それって結局、誉めてないじゃん」
 「でも知ってるよ、百合子先生は足が太いの気にしてるんだぜ。さっき階段のところで自分の後ろ姿を鏡に映して見てたんだ」
 もうみんな好き勝手に話し始めています。
 「こら、そんなこと……今日は先生スカートだったから……」
 「でもさあ、結婚するなら百合子先生みたいな人がいいって誰か言ってたじゃん」
 「そりゃあ百合子先生の方がいいよ」
 「どうしてだよ」
 「こら、みんな」
 「お前だってそう思ってるくせに……美人だって」
 「ま、まあ……」
 「せんせー聞いて、1組の久美ちゃんが鈴木先生に百合子先生のことどう思ってるのか聞いてみたんだって」
 「ええっ、ええっ、まあ、なんてことを聞くの。鈴木先生に迷惑でしょ……何だが話がどんどん脱線してきたわね、もうっ! ……でも聞かせて」
 先生はその話に興味を示しました。
 「そしたらね、『百合子先生は児童思いの良い先生』だって誉めてたって」
 「あ、あら、そうなの……」
 「そうなのって、あれ? それってほめ言葉ですよね」
 「ええ、そうね」
 「でも百合子先生、誉められたのにどうしてがっかりしてるんですか?」
 「……」

 なんということでしょう、そこへ鈴木先生が扉をガラガラと開けて登場したのです。学級のみんな、あまりのタイミングの良さにビックリしました。それは百合子先生にもだったようです。
 「す、鈴木先生……」
 「わあ、赤くなった!」百合子先生の急激な変化を学級のみんなは見逃しませんでした。
 「どうしたんです? 残っているのはこの学級だけですよ。……この騒ぎ、どうしたんですか? ボクの名前が聞こえたからちょっと覗いてみたんですが……ははは、また脱線ですね?」
 「い、いえ別に……さあみなさん、鈴木先生のおっしゃるとおり、もう下校の時間ですよ。さあ支度して、先生の課題、忘れないでくださいね」
 「あっ、急に丁寧語になった!」
 「もうっ、脱線はおしまいよ!」
 「わー、複雑な反応だ!」
 「……」
 百合子先生は声も出せなくなり、もっと赤くなりました。
 鈴木先生は訳が分からない様子で「丁寧語? 複雑? 百合子先生の学級は、もうそんなところまで進んでるんですか?」と相変わらず教育熱心一筋の態度をやめない様子でした。
 「いえ、先日ご相談させてもらった、あの件で……」
 「ああ、確か冬休みの課題に小説を書かせようと……その説明でしたか」
 納得する鈴木先生に尾崎君は「それに鈴木先生ったら、鈍感だ!」と言いました。
 「鈍感? この学級の子は、難しい言葉を知ってるんだね」
 「こらっ、もうやめなさいっ!」
 そのドスの利いた声に、鈴木先生がビクッとなりました。百合子先生のこんな声を初めて聞くかのようでした。
 「あっ……」
 百合子先生は急に内股になり、おどおどして、私達以上に鈴木先生の顔色をうかがっていたのが手に取るようによく分かりました。
 いつも脱線する百合子先生。それが元で今日も大失敗だったようです。
 このあと私達は家へ帰ったのでどうなったのかは知りません。

 私はこの時点で百合子先生の小説を書こうと思いました。そんなちょっとトンマな百合子先生を、私も、学級のみんなも大好きだからです。
 そして、鈴木先生もそうだといいのにな……

                         終わり


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