煎餅好き

明日が地球最後の日、今夜あなたは宇宙船に乗って地球を脱出しなければなりません。地球でいただく最後の食事の「最後の一口」に何が食べたいですか?・・・・ありがちな質問ですが、さてあなたが選んだのは何でしょうか?極上のステーキ?それとも甘党のあなたなら北海道産大納言アズキの最中でしょうか。ああ、それよりもイヴに相応しくワインがよろしい?

わたしはですねぇ、煎餅を選びます。できれば「ぬれ煎餅」をお願いしたい(誰に頼んでるのだろう?>じぶん)。お醤油の染み込んだ、奥歯にねっとりとからみつくあの「ぬれ煎餅」。もし、さらにワガママを聞いてもらえるのならJRの構内で売っていたあの 栃木県のメーカー(会社の名前は失念)のやつがいいです。醤油の香りと生地(と言うのだろうか?)のお米の味のハーモニーが絶品なのよね。きっと煎餅用のお米を使っているんだろうなぁ。最近、売店を見かけないのが残念。

私は子供の頃からスナック菓子より煎餅が好きな、その点ではちょっと変わった子供でした。そして煎餅の中でも、特に「われせんべい」が好きだったんです。焦げていたり、割れたところに醤油が染みて黒くなっていたり、見た目はとてもお上品とは言えないけれど、その均質でない味わい、特に醤油が染みすぎて柔らかくなってしまったところが私にとっての「大当たり」でした。

最近は、どのメーカーの煎餅も煎餅自体の味がいまいちであまり美味しいものにはお目にかかれずにいました。美味しい煎餅を探して西ひがし・・・というのは大袈裟ですが、JRの駅構内の売店でこの煎餅を見つけた時は、小躍りして喜んだものです。

だって、袋ごしに見る姿からして違うんだもの。お醤油の艶といい密な肌合いといい・・・ちょっと高かったけど(1袋350円くらい)、海苔の付いたの、普通のと、ぬれ煎餅と全部で3袋も買って店のおじさんに「あんた"煎餅好き"だね?」って笑われちゃいました。「迷って最後に普通のを手にとる人は根っからの"煎餅好き"なんだよ」ですって・・・その日は家に帰っておもいっきりお煎餅を堪能しました。アゴが痛くなるまで噛み締めた"ぬれ煎餅"は、懐かしいわれせんべいの味がしました。

話が逸れちゃいましたね。・・・、なんで最後の一口が「煎餅」なのかというと、もちろん大好物だから、というのもあるのだけれど、煎餅は、たぶん宇宙空間で食べるより地球で食べた方が美味しくいただけるような気がするから・・・です。

和室で、ちゃぶ台(冬なら"おこた")で食べることができたら、もう心置きなく地球を後にできそうな気がします。あ、でもお茶が欲しくなるかもしれない。(笑)


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