とよたま愛読会116回
      「霊主体従 (1巻)16章〜34」   
[前回レポート] [次回レポート]
           記:望月幹巳 メール:motomi@moon.nifty.jp


日 時  平成18年5月28(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
      連絡先 03-3321-3896、  03-3321-8644
物 語   霊主体従 1巻 子の巻 第16章 〜 第34章

★ 報告

 物語はめまぐるしく展開します。前回に引き続いて神界旅行の道筋の途中から拝読を始めましたが、地の高天原がさまざまな邪霊に荒らされる場面を見せられて、ひとまず終了します。

そして聖師様の霊は宇宙の須弥山山に昇せられ、地上神界創造の有様を目撃することになります。
国祖・大国常立尊が竜体となり、さまざまな神々を生みつつ地上神界を固成して行きます。
地上神界の地上界、太陽界、太陰界をそれぞれ生みなし、太陽界は伊邪那岐命を主宰神に命じ、太陰界は伊邪那美命と月夜見命が主宰、そして地上界は自ら国常立尊となって治めることになります。

その後は地上神界の地上界の中心である地の高天原(エルサレム)の様子、国祖の太古のご神政、次第に悪神が反抗を始めることになった様子が語られます。  

そして国祖のご神政に反対する悪神たちは、組織だって地の高天原を占領しようと策謀を用いたり、武力攻撃を行うまでになりました。盤古大神、大自在天といった有力な神々を担いで、国祖を隠退させ、政権を奪おうとするようになったのです。  
こうして、地上神界における地の高天原を巡って、地上界の争闘が始まり、国祖がご隠退のやむなきに至るまでが語られることになります。

 

★ 拝読箇所で気のついたこと

霊主体従 子の巻
第2篇 神界より幽界へ
第16章 神界旅行の三(16)

* さらに進んでいくと、母や祖母や隣人の声と姿を使って、怒ったような泣いたような顔で、自分の神界行きを妨害しようとする者がある。

* そこへ「幸」という男が現れて助けてくれた。自分は執着を捨てて北へ北へと進んでいった。

* 川辺に老いた松が生え、左側には絶壁の山が立っている場所で、男女が道をふさいだ。そして、自分たちは幽界をしろしめす大王の肉身系統の者である、と語った。

* 男女は北へ行くと大王にあえるので、自分たちの言付けがあったと伝えてほしい、と言った。この者たちは信仰の強い者たちだが、恐ろしい顔の天狗と金毛九尾の白狐という容易ならない物に魅入られていた。

* さらに北に進むと、狐を殺した罪で畜生道に落ちた女に出会った。また、強欲のために多くの人を不幸や死に追いやった「横」という男が、怨霊に苦しめられていた。天照大御神に「惟神霊幸倍坐世」と唱えて天然笛を吹くと、怨霊たちは解脱することができた。

* 真西には、山猟で多くの狐を殺した男が、狐たちの怨霊に苦しめられていた。自分は狐たちに、復讐に走るよりも、めいめい改心して人界へ生まれ変わったらどうか、と諭した。狐たちに変わって天地へお詫びを申し上げると、狐たちはたちまち男女の姿に変わることができた。

* そのときの数十の狐の霊は、一部は今日でも神界の御用をしているものがある。途中で逃げてしまったものもあれば、再び畜生道に堕ちたものもあった。

第17章 神界旅行の四(17)
* 神界の場面がたちまち一変し、また自分は元の大橋のたもとに立っていた。大祓詞の声が聞こえて来る方に行くと、五十がらみの爺と四十がらみの女が背中合わせにひっついて、天狗と稲荷をそれぞれ拝んでいた。

* 自分は神様にお願いして祝詞を奏上すると、二人の体は分離した。二人は感謝して神業に参加しようとしたが、男の方は強欲のために地獄に堕ちて肉体は滅びてしまった。

* また光景が一変し、小さな十字街頭で、先ほど見た八つ頭八つ尾の霊が憑いた男が、車に乗るように進めてきたが、自分は断って徒歩で進んだ。

* 非常に険峻な山坂を三つ四つ越えると、そこには澄み切った河べりに、老いた松が青々と並んでいる景勝の地であった。自分はこここそ神界であると思った。またとぼとぼと進んでいくと、小さな町に出た。地形は蓮華台上にあり、高天原の中心と称してもよいような町であった。

* 山を下って少し北に進んだ小さな家で、かの幽庁におられた大王が、若い若い女の姿で自分を出迎えた。大王との再会を喜んで珍しい話を聞いていると、虎狼がうめくような声で祝詞が唱えられているのが聞こえた。

* その祝詞の声であたりは暗黒に閉ざされ、「足」という鬼に「黒」という古狐が憑いているのが見えた。河からは大きな竜体が、どこからともなく悪魔が現れてきた。自分は「天照大御神」「産土神」を念じて祝詞を唱えると、一天にわかに晴れ渡った。

* 祝詞も悪魔の口から唱えられると、かえって世の中は混乱する。言霊は身も魂も清浄となった人が使ってはじめて、世の中を清めることができるのである。

* 自分は八衢に帰っていた。さきほどの鬼、狐、悪竜は自分を追ってきた。鬼は眷属を引き連れて自分を八方より襲撃し、口中から何十万本もの針を吹きかけた。しかし自分の体は神明の加護を受けており、何の影響もなかった。そのありがたさに感謝の祝詞を唱えると、すべての悪魔は消えてしまった。

* 「足」という鬼は、一見神に仕えるかのような服装をしていた。河から上ってきた竜は竜女に姿を変え、本来は大神御経綸に参加すべき身魂であった。しかし、「足」の鬼と肉体上の関係を結び、使命を台無しにしてしまった。

 * 「足」の鬼は竜女と関係を持った罪のために滅びてしまった。

* 本来竜女は三千年の苦行を経て、ようやく人間として生まれてきたものであり、人間になった最初の一生は、男女の交わりを絶たなければ、再び竜体に堕ちてしまう。そのため、竜女を犯した者は竜神の祟りを受けて、末代まで苦しまなければならなくなるのである。

第18章 霊界の情勢(18)
 * 神界と幽界には、時間空間を超越している。過去・現在・未来が一度に鏡にかけたように見えるが、その区別は歴然と推断される。

 * 時間の差異こそあれ、霊界で目撃したことは、必ず現界に現れてくる。

* 天界は天照大御神のご支配であるが、これについては後述する。ここでは地上神界の紛乱状態を明らかにする。

 * 地上神界の主宰者は国常立尊であった。しかし事情によって引退せざるを得なくなった。その後を襲ったのは盤古大神という神である。盤古大神は悪神ではなく従順な神であった。

* 国常立尊の時代には国家のような境界はなかった。しかし天孫降臨以来、日本をはじめとしてさまざまな国家が誕生したのである。

* そして支那に生まれた盤古大神は、葦原中津国にやってきて国祖の後を襲った。そして八王大神という直属の番頭神を使って、地の世界の諸国を統括したのである。また、各国々には、それぞれの番頭神として、八王八頭という神々を配置した。

* これが、国常立尊後復権までの神界の有様である。

* 盤古大神の世になってから、各地に三種の悪霊・悪神が生じた。
 ◇ 露国のあたり:八頭八尾の大蛇(各国の八王八頭の番頭神の身魂を侵した)
 ◇ 印度:金毛九尾白面の悪狐(各国の八王八頭の番頭神の妻神に憑依)
 ◇ ユダヤ:邪鬼(すべての神界ならびに現界の組織を打ち壊して、自分が盟主となって全世界を妖魅界にしようともくろむ)

* 日本は神国であり、これらの悪神の影響を免れたが、地上神界はこれらの悪神たちによって混乱のきわみに陥った。

* ここにおいて天上にまします至仁至愛の大神は、このままでは神界、現界、幽界ともに破滅してしまうと思し召し、ふたたび国常立尊を召し出されて、神界および現界の建替を委任した。

* 坤之金神、金勝要神、竜宮乙姫、日出神が大神業の補佐に任じられた。また、天津神の嫡流である木花咲耶姫命、彦火々出見命が神業を手伝うことになった。

* そもそも太古、葦原瑞穂中津国は、大国主命が武力をもって天下を治めていたが、天祖が天使を使わして武力で大国主命の権力をけん制した。そのため、大国主神も力尽きて、現界の政権を天命にしたがって、天孫に奉還したのであった。

* この太古の時代の天孫のご降臨は、現在の日本のような小さな区画を支配するというのではなく、全地球の現界を治めるための降臨であったのである。しかしながら未完成な世界にはあらゆる邪悪が充満しているため、天の大神様のご大望が完成するにいたらなかった。

* それどころか、弱肉強食の修羅の巷と化してしまい、地上神界、現界がほとんどまったく崩壊しようという状態に立ち至ったのである。

* このような情勢に、天津神様は命令を下し給い、盤古大神に地上一切の幽政の権利を奉還させ、国常立尊に返すことになった。盤古大神は時節を知り、素直に大神様のご命令を奉戴することになった。

* しかし、八王大神以下の国魂は、邪神のために精霊が汚されていたので、このような時節においても、悪事を画策していた。

* かくして、国常立尊が地上の神界を統一する時節はすでに近づいている。神界平定後は、国常立尊は幽政を総覧し、大国主命は日本の幽政をつかさどるはずである。しかし現時点では、悪霊・悪神たちが、盤古大神を擁立して、幽界および現界を支配しようと悪計をめぐらしている。

* 天界では事態が容易でないことを見て取り、御三体の大神が地上に降臨して、国常立尊のご経綸に加勢することになった。国常立尊は、御三体の大神様のために仮の御息所を蓮華台上に建設してお迎え奉ることになる。

* したがって、天の御三体の大神様の御息所ができれば、神界の経綸がいっそう進んだ証拠であると拝察することができるのである。

第19章 盲目の神使(19)
* 自分は清い水の河で漁をしていたところ、河岸から眼がふさがった男がしきりに呼びかけている。盲目の男は、自分は地の高天原の使いであると名乗り、迎えに来たのだ、と告げた。

* 先に地の高天原の悲惨な様子を見ていたので拒否したが、にわかに行きたい気になって産土神に祈ると、産土神が現れて、世界を救済する御用だから行くがよい、と述べた。

* 暗黒で大蛇、毒蛇、狼が跋扈する道を、盲目の使いは平気で進んでいく。盲目の使いは、地の高天原が悪魔の邪魔によって黒雲に包まれているので、ひそかにお迎えに上がって連れてきた次第である、と語った。

* 果たして、地の高天原では悪魔が自分の来着を知って、狼狽し、反抗運動の真っ最中であった。

 

第三篇 天地の剖判
第20章 日地月の発生(20)

* 盲目の神使に迎えられて地の高天原に着くと、大地の主宰神である国常立大神と、稚姫君命が現れた。自分はこの両神から天眼鏡を賜って、神界探検の命を拝受したのである。

* 眼前の光景が変じて、すばらしく高い山がそびえ立ち、山にはケーブルカーのようなものが架かっていた。山に登ろうと踏み込むと、自分の体は何物かに引き上げられるようにすうっと昇っていった。

* これは仏教で言うところの須弥仙山であり、宇宙の中心に無辺の高さで立っているのだが、霊界の山であって物質的な山ではない。自分も、霊で登ったのである。

* 須弥仙山の頂上に立って、天眼鏡で八方を眺めた。すると、茫々たる宇宙の混沌の中に、ひとつの丸い塊ができるのが見えた。鞠のような形で、周辺には泥水が漂っている。

* みるみるその丸い塊は膨大になり、宇宙全体に広がるかと思われるほどであった。眼も届かないほどの広がりに達すると、球形の真ん中に鮮やかな金色をしたひとつの円柱が立っていた。

* 円柱はしばらくすると、自然に左旋運動を始めた。周辺の泥は、円柱の回転につれて渦巻きを描いた。渦巻きは次第に外側へと大きな輪に広がっていった。

* はじめは直立して緩やかに回転していた円柱は、その速度が加わって行くにつれて傾斜していき、目にもとまらない速さで回転し始めた。

* すると大きな丸い球の中から、暗黒色の小さな塊が、振り放たれたようにポツポツと飛び出して、宇宙全体に散乱した。それは、無数の光のない黒い星となって、あるものは近く、あるものは遠く位置して、左に旋回しているように見える。

* 後方に太陽が輝き始めるとともに、星たちはいっせいに輝き始めた。

* 一方、金色の円柱は竜体に変化した。そして、丸い球体の大地の上を東西南北に馳せめぐり始めた。すると竜体の腹、口、そして全身から、大小無数の竜体が生まれ出た。

* 金色の竜体と、それから生まれた種々の色彩を持った大小無数の竜体は、球の地上の各所を泳ぎ始めた。もっとも大きな竜体の泳ぐ波動で、泥の部分は次第に固くなり始め、水の部分は希薄となり、水蒸気が昇っていった。

* 竜体が尾を振り回すごとに、泥に波の形ができ、大きな竜体は大山脈を、中小の竜体はそれぞれ相応の大きさの山脈が形造られた。また低いところに水が集まり、自然に海も出来てきた。

* このもっとも大いなる御竜体を大国常立命と称え奉ることを知った。

* 宇宙はそのとき、朧月夜の少し暗い状態であったが、海原の真ん中に忽然として銀色の柱が突出してきた。銀の柱は右回りに旋回し、柱の各所からさまざまな種が飛び散って山野河海のいたるところに撒き散らされた。しかしまだこのときは、生き物の類は一切発生していない。

* 銀の柱がたちまち倒れたと思う見る間に、銀色の大きな竜体に変じ、海上を進み始めた。この銀色の竜神が、坤金神と申し上げるのである。

* 金の竜体である国祖大国常立命と、坤金神は双方から顔を向き合わせて何事かをしめし合わされた様子であった。金色の竜体は左へ、銀色の竜体は右へ旋回し始めると、地上は恐ろしい音響を発して振動し、大地はその振動によって非常な光輝を発射してきた。

* このとき、金色の竜体の口からは、大きな赤い色の玉が大音響とともに飛び出して、天に昇って太陽となった。

* 銀色の竜体は口から霧のような清水を噴出し、水は天地の間にわたした虹の橋のような形になって、その上を白色の球体が上っていく。この白色の球体が太陰(月)となって、虹のような尾を垂れて地上の水を吸い上げた。すると地上の水はその容量を減じた。

* 金竜が天に向かって息吹を放つと、その形は虹のようになった。すると太陽はにわかに光が強くなり、熱を地上に放射し始めた。

* 水が引いてくると、柔らかい山野は次第に固まり、銀竜がまいた種が芽を出してきた。一番には山に松が生え、原野に竹が生え、あちこちには梅が生え始めた。ついでその他の木々が生じてきた。山々はにわかに青々として美しい景色を呈してきた。

* 地上に樹木が青々と生え始めると、今まで赤褐色であった天は、青く藍色に澄み渡ってきた。そして、にごって黄色じみていた海水も、天の色を映すように青くなってきた。

* 地上が造られると、元祖の神様も竜体である必要はなくなり、荘厳尊貴な人間の姿に変化された。これは肉体を持った人間でなく、霊体のお姿である。

* このとき太陽の世界に伊邪那岐命が霊体の人体姿として現れた。伊邪那岐命は天に昇って撞の大神となり、天上の主宰神となりたもうた。

* 白色の竜体から発生された一番力のある竜神は、男神として現れ給うた。容貌うるわしく、色白く、黒髪は地上に引くほど長く垂れ、髭は腹まで伸び、大英雄の素質を備えていた。この男神を素盞嗚大神と申し上げる。素盞嗚大神は白い光を発すると、天に昇って月界へとお上りになった。これを月界の主宰神で月夜見尊と申し上げるのである。

* 大国常立命は、太陽と太陰の主宰神が決まったので、ご自身は地上の神界を主宰したまうことになった。須佐之男大神は、地上物質界の主宰となった。

第21章 大地の修理固成(21)
* 大国常立尊は地の世界最高の山頂に登って四方を見渡せば、日月星辰は顕現し、地に山川草木は発生してたとは言え、樹草の類はまだか弱い柔らかいものであった。そこで息吹を放つと、十二の神々が御出現した。

* 十二の神々の起こした風で樹木は吹き倒されたので、大国常立尊はご自身の骨を粉々に噛み砕き、四方に散布された。その骨の粉末を吸収して、動物には骨が出来、植物は特有の形を取ることになった。また、岩石鉱物が発生した。これが岩の神である。

* 依然として太陽は強烈な光熱を放射し、月が地上の水を吸収し続けているので、大国常立尊はもろもろの竜神に命じて、海水を持ってこさせた。国祖が海水を天に息吹くと、雲が起こり雨が降り始めた。この竜神たちを雨の神と名づけられた。

* 国祖は、雨を調節するために太陽の熱を吸って放射した。この熱から火竜神が生まれた。

* ここまで書いた天地造成には、数十億年の歳月を要しているのである。

* 国祖は人類を始め動物、植物をおつくりになられた。人間には日の大神と月の大神の霊魂を付与し、肉体は国常立尊の主宰とした。そして、神のご意思を実行する機関とされた。これが人生の目的である。神示に『神は万物普遍の霊にして人は天地経綸の大司宰なり』とあるのも、この理によっているのである。

* 地の一方では、天地間にかすのように残っていた邪気が凝って、悪竜、悪蛇、悪狐、邪鬼、妖魅となって人間に憑依し、邪霊の世界を作ることを企て始めた。大国常立大神は憤りから深い吐息を吐き給い、八種の雷神や荒れの神が生まれた。

* 荒れの神、地震の神が発動するのは、人類への警告である。

* 大国常立尊が天地を修理固成してからほとんど十万年の期間は、区画された国家もなかった。しかし世がだんだんと悪化して、大神のご神慮にかなわぬことが始まった。そこで大神は再び地上の修理固成を企画し、大声を発して地団駄を踏んだ。これにより現今のアフリカ、南北アメリカの大陸が出現した。また、太平洋ができ、そこに竜形の島が現れた。

* 日本の国土は大国常立尊の竜体の形そのものである。もと黄金の柱が立っていた場所にあり、柱が東北から西南に倒れた場所である。そこで、自転倒嶋(おのころじま)と言う。

* この嶋が四方を海に囲まれているのは、神々のお休みどころとするためであり、日本の土地全体は、大神の御肉体である。

* それから大神は、太陽と太陰から陽気と陰気を吸い込んで、息吹の狭霧を吐き出した。この狭霧から、稚姫君命が現れた。

* この再度の修理固成により、地上の生き物はほとんど絶滅した。そこで大神は、再び神々と人間を生む必要を感じ、稚姫君命は天稚彦という夫神をもって、三男五女の神を生みたもうた。

* 再度の修理固成を行うに至ったのは、天が乱れると地が乱れ、地が乱れると天が乱れることで、その乱れが互いに現れて来るからである。

第22章 国祖御隠退の御因縁(22)
* 太陽霊界:伊邪那岐命の主宰、現界の太陽界:天照大御神の主宰。

* 太陰霊界:伊邪那美命の主宰、現界の太陰界:月夜見之命の主宰。

* 大地の霊界:大国常立命の主宰、大海原:須佐之男命の主宰。

* しかしながら、太陽界と大地球界(大地の霊界、地上霊界)は、鏡を合わせたように、混乱紛糾の状態となった。太陰の世界のみは、現幽いずれも平和に治まっている。

* 後に稚姫君命は、天稚彦とともに天界に神政を司ろうとしたが、付き従っていた邪神たちに誤られて天地経綸の仕組みを損じることとなり、ついに国常立命とともに地底に潜まざるを得ない事になったのである。この物語は後に詳述する。

* さて、大国常立命はまず、混乱を収めて邪悪分子を一掃するために、幽政を敷こうとされた。坤金神を内助の役とし、大八洲彦命を天使長兼宰相とした。非常に厳格な規則に基づき、天の律法を制定した。これにより数百年は立派に神政が治まっていた。

* しかし次第にご神政に反抗する神々が現れたため、大八洲彦命は宥和的な政で世を治めようとした。このとき霊界はほとんど四分五裂の勢いとなった。

* 一方には盤古大神(塩長彦)を擁立する一派、他方には大自在天大国彦を推す一派が、地の高天原を占領しようと画策するに至っていた。

* 国常立尊は天の御三体の大神様、天照大御神、伊邪那岐尊、伊邪那美尊にご降臨を願って助けを求めたが、盤古大神、大自在天それぞれを擁立する勢力の勢いははなはだしく、御三体の大神様でも言向け和すことができなかった。

* そこで天の御三体の大神様は国常立尊に退去を命じた。国常立尊は自ら髪を抜き、手を切り取り骨を絶ち、筋を千切って残酷な処刑を甘んじて受け、尊の退陣を要求する神々にやむを得ず屈したのであった。

* 天の御三体の大神様が君系であるのに対し、国常立尊は臣系である。しかしながら、地上神界においては、天の御三体の大神様といえども国常立尊が生みたもうたのであり、親神であるのだが、混乱を収めるためにやむを得ず、大神様も尊に退去を命じたのであった。しかしながらこのとき、天の大神様たちは、尊に後日の再起を以心伝心的に伝えて、天にご帰還された。

* その後盤古大神一派と大自在天一派は激しく争い、ついに盤古大神派が勝って幽政の全権を握ることとなった。

* 地上神界の主宰神がご引退され、地上の主宰であった須佐之男命もまた、神々に追われて自転倒嶋に至り、世界のはしばしに流離うこととなった。しかし須佐之男命は現界で八岐大蛇を平らげたように神界においても、すべての悪神を掃討して地上を天下泰平に治め、地上の主宰の大神に戻るというのである。

* これから国常立尊に随従する神々のご活動を述べ、盤古大神派や大自在天派の暴動ぶりを、神界で目撃したように述べていく。

第23章 黄金の大橋(23)
* 地の高天原にはヨルダン河(またはイスラエルの河、五十鈴河という)が流れており、そこには非常に大きな黄金の反り橋がかかっている。非常に勾配が急で渡るに難しく、また金に身魂が映って本性を表すので、悪魔はこの橋を渡れない。

* 自分は橋を渡ってエルサレムの聖地(地の高天原)に着いた。そこには荘厳な大神の宮殿が造られていた。宮殿のあるところは蓮華台上である。四方は青山に囲まれ、ヨルダン河と湖水が麓にある。湖水には大小無数の島があり、檜作りの宮が建てられている。

* 湖にも黄金の橋がかけられており、黄金造りの高殿に通じている。これが竜宮城である。

* 盤古大神一派、大自在天一派は竜宮城を占領して地の高天原の主権を握ろうとたくらみ、潜入しつつあった。

* 蓮華台上の珍の宮に登ることができる身魂は、神界から大使命を帯びた神人である。竜宮に至ることができるのは、中位の神の身魂である。竜宮には竜神が集まり、解脱して人間に生まれ変わる神界の修行の場所でもある。

* 竜宮の宝は麻邇の珠であり、風雨雷電を叱咤するという神宝である。珍の宮には真澄の珠という宝がある。

* 竜神は畜生の部類をまだ脱することができない身魂であり、人間よりも一段下の位である。しかしながら、人間界が堕落するにつれて、下位の竜神を崇める人間が出てくるという身魂の転倒が起こったのである。

第24章 神世開基(ヨハ子)と神息統合(キリスト)(24)
 * 神界においては、国常立尊が厳の御魂として顕現し、神政発揚直(ヨハ子)の御魂変性男子を機関とする。豊雲野尊は神息統合(キリスト)の御魂を機関とする。そして、地の高天原から三千世界を修理固成するために、竜宮館に現れた。

* 竜宮界においては、三千年の長い間に艱難苦労をなめた竜神の乙米姫命が、変性男子の系統の肉体の腹を借りて現れ、二度目の世の立替のために、すべての珍宝を授けられた。

* 乙米姫は元来貪欲な竜神であったが、宝を捨てて大神に帰順したため、罪を許されて日の出神の配偶神として顕現された。

* 次に、地底の暗黒に押し込められていた大地の金神、金勝要神が竜宮館に顕現した。この神は稚姫君命の第五女の神である。金勝要神が地球中心界の全権を掌握して国常立尊に奉呈し、国祖は地の幽界を総覧する、という御経綸である。

* 瑞の御魂は国常立尊のご神業の補佐役となって、金勝要神と相並んで活動される、ということになった。ここまでのことは、数千年の太古の地上神界における有様である。

* 盤古大神一派と大自在天一派の悪神たちは、地の高天原に潜入するに際して黄金の大橋に阻まれていた。そこでこの大橋を破壊しようと攻撃したが、橋は金輪際の地底から湧き出たもので、びくともしなかった。

* そこで、大地の霊である金勝要神を手に入れようとしたが、この計略は瑞の御魂の防御により失敗した。また、悪神たちは瑞の御魂を讒訴したが、悪神の正体は神鏡に照らされて敗走した。

* そこで、悪神たちは第二の計略に移ることになったのである。

 

第四篇 竜宮占領戦
第25章 武蔵彦一派の悪計(25)

 * 武蔵彦、春子姫、足長彦ら悪神は、小金橋破壊に失敗したため、魔軍を組織して竜宮上を占領しようと画策していた。

* このためには、地の高天原を内部的に瓦解させることが必要と感じ、探女を放って瑞の御魂の肉体を陥れようとしていた。

* 瑞の御魂は霊を降して大八洲彦命と現れて、探女を追い払って悪神の企みを打ち砕いた。

* 春子姫は竜宮の従臣神である小島別を説きつけて竜宮を攻めようとしたが、これも大八洲彦命に見破られ、小島別の立ち戻りもあって、春子姫は悶死して根底の国に堕ちて行った。

* 春子姫の親である武蔵彦は筑波仙人の肉体を借りて、竜宮城の占領を企て、盤古大神を押し立てようとしていた。武蔵彦は竹熊を使って大八洲彦命を襲わせた。大八洲彦命は雷のごとき言霊を駆使して敵を追い払った。このとき、地の高天原では稚姫君命が不思議な神術を実行されて神助を現した。

* 敗走した竹熊一派は、稚姫君命の前に表面改心を現して謝罪したため、許されたが、心の底では悪計を企んでいた。大江山から現れた邪神の頭領・鬼熊は、竹熊を密議をこらしていた。

* しかし竹熊の参謀である木常姫は鬼熊と意見の相違から大争闘を始め、鬼熊は大打撃を受けた。これはすべて、邪神の権力争いから起こったのである。

第26章 魔軍の敗戦(26)
* 竹熊らは懲りずに目的を達しようとし、今度は金勝要神を手に入れようとしていた。足長彦も金勝要神を狙い、寅熊もこれを狙っていた。また魔子彦は大八洲彦命に近づいてすきあらば刺し殺そうとしていた。

* 元の謀主は竹熊であったが、邪神たちはおのおの野望を秘めて、互いに自己本位の計画を立てていた。これらの魔軍は表面一致して竜宮占領の計画をしていたが、やがていま一息というところで四分五裂してしまった。

* 竹熊は足長彦を遠くに追いやり、魔子彦に監視させた。魔子彦の同僚である熊彦の部下たちが、魔子彦の悪事に愛想をつかし、足長彦に魔子彦の悪事を報告したり、魔子彦をヨルダン河に沈め殺そうという者が出てきた。

* また、中でも梅若彦、八島姫、高山彦らは魔子彦のきたないやり方に憤り、善心に立ち返って邪神の行いを大八洲彦命に報告し、帰順した。 * 大八洲彦命は魔子彦を帰順させ、また杉山彦の帰順によって竹熊の謀計をさとり、竹熊軍が待ち伏せをする橄欖山を取り囲み、一挙に天の磐船から火弾を投げつけた。竹熊軍はたちまち敗走した。

第27章 竜宮城の死守(27)
* 竹熊、魔子彦、熊彦の同盟は内部分裂により統制を失って離散した。竹熊は厳の御魂の信任を得る作戦に出た。厳の御魂は竹熊が改心したものと思い、安堵をしていた。

* 竹熊は厳の御魂の系統である木常姫と力を合わせて、竜宮城を内部から瓦解させようとしていた。そのために、自分の妻・菊姫を離縁して、猿飛彦の妻であった木常姫を奪おうとした。

* 猿飛彦は木常姫の陰謀を知ると、怒ってこれを追い出した。竹熊と木常姫はこれ幸いと猿飛彦と菊姫を讒言した。厳の御魂は竹熊と木常姫を信任していたので、両者の結婚をやむを得ず承諾した。

* 金勝要神は猿飛彦と菊姫の陳情によって、竹熊・木常姫の悪事を知った。また大八洲彦命は彼らの陰謀を見破っていたので、金勝要神とともに、厳の御魂に彼らの悪事を知らせて、二人の結婚を破棄するようにと諫言した。

* 竹熊と木常姫は怒って魔軍を駆り、大八洲彦命と金勝要神を攻撃した。竜宮城の戦闘は激烈を極め、地の高天原も竜宮城も暗雲に包まれてしまった。

* 厳の御魂は驚いて竜宮城を立ち去り、シナイ山に避難した。竜宮城は金勝要神がわずかな武将とともに死守していたが、ほとんど全滅に近い打撃を受けていた。

第28章 崑崙山の戦闘(28)
* 大八洲彦命は、元彦に命じて橄欖山を守らせた。この山はエルサレムの西方にある高山で、竜宮城防衛のための要所である。

* 竹熊は魔軍を率いて橄欖山の背後から襲撃を行った。大八洲彦命は天の高天原に裁断を仰ぐべく、太陰界に昇って月の大神に援軍を要請した。しかし天上においても正神・邪神両軍が戦闘中であり、大神に拝謁することはかなわなかった。

* 大八洲彦命はやむを得ず地上に戻り、天山の頂に降った。ここで邪神・胸長彦の伏兵にあったが、天上から『崑崙山に移れ』という神命が下り、天の羽衣を賜った。羽衣によって大八洲彦命以下の従神たちは、伏兵の難を逃れて崑崙山に難を避けることができた。

* 崑崙山は険峻であるが、山頂には広い平原が開けて、草花が咲き、果物がたくさん実っている。胸長彦の軍勢は崑崙山に攻め寄せたが、大八洲彦命たちは桃の実を取って打ちつけると、敵軍は雪崩のように山麓に落ち、敗退した。

* このとき空中からは大自在天の部下の軍勢が、妖雲に乗って攻めかけてきた。大八洲彦命は桃の枝を折って左右に打ち払えば、たちまち妖雲は払われて、大自在天の軍勢は消えうせた。

* 一方、山麓からは胸長彦の軍勢が、体勢を立て直して再挙を図る声が聞こえてきた。大八洲彦命以下は、天に向かって天津祝詞を奏上した。すの清めの祝詞に、敵軍の声も大自在天のささやきも、風と消えうせた。

 

第29章 天津神の神算鬼謀(29)
* 大八洲彦命は少数の神軍とともに、広大な原野を東に進軍していた。すると、常世彦が魔軍を指揮して四方から火を放った。

* 進退きわまった大八洲彦命は真澄の珠を空中に投げた。珠は爆裂して数十万の星となった。星は地上に落下すると数十万の神軍となった。神軍の発射する言霊によって火炎は消滅し、後には魔軍の死骸が累々と横たわっていた。

* 大八洲彦命は、胸長彦の残党が立て籠もる天保山を討とうとしていた。しかし真澄の珠から現れた神軍は、残らず天に帰ってしまった。

* 大八洲彦命は多いに落胆したが、そこに二柱の女神が命の前に降り、加勢を頼むような心持では、到底このたびの神業はならない、これは天の大神の試練である、と神示を下した。

* 大八洲彦命は援軍が来ないことを観念したが、天教山に八島別が球援軍を組織していることを知らなかった。一方胸長彦は天保山が攻撃されることを恐れ、大八洲彦命に偽って一度帰順して、天教山の八島別軍を殲滅しようと計画を立てた。そして、天教山に敵軍が現れたと大八洲彦命を欺こうとした。

* 大八洲彦命は胸長彦一派の偽りの帰順を受け入れ、両軍あわせて天教山に攻め込んだ。しかし、先鋒の胸長彦軍は八島別軍によって殲滅されてしまった。

* この様子を見た大八洲彦命は、天教山に帰順の神書を送った。この神書を見て、八島別は大八洲彦命の消息を知り、自分は命の救援軍を組織してきたのだ、と命に伝えた。 * 大八洲彦命は真相を知って喜び、天に向かって神言を奏上した。こうして、敵軍を殲滅した天津神の神算鬼謀は実に感嘆の次第である。

第30章 黄河畔の戦闘(30)
* 大八洲彦命は黄河のほとりに進軍し、竜宮城に帰還しようとしていた。しかしそこには金毛九尾の一派の武将・稲山彦が城を構えて守っていた。

* 大八洲彦命はこれに気づかずに城下を通過しようとするのを、稲山彦は殲滅しようとしていた。シナイ山の厳の御魂はこれをみそなわすと、天の磐船に載せて救援軍を派遣した。

* 救援軍は空中から襲い掛かり、敵城を粉砕した。そこへ蒙古から数万の魔軍を指揮して大虎彦という悪神が襲い掛かってきた。

* このとき、天から竜神・乙米姫が現れて、大八洲彦命に麻邇の珠を渡した。命はシナイ山からの応援軍の田子彦、牧屋彦に麻邇の珠を預けたが、田子彦、牧屋彦は裏切って敵軍についてしまった。

* このために大八洲彦命軍は、敵軍に散々に打ち悩まされてしまった。

第31章 九山八海(31)
* 大八洲彦命は一度天教山に退却した。稲山彦は潮満の珠をもって天教山を水没させようとした。地上はたちまち泥の海と化した。

* このとき天神が雲間より現れて、魔軍に火弾を投げて発射し、天教山の神軍を応援した。泥海に火弾は効果を発揮しなかったが、白煙が立ち上ってそれが敵軍を悩ませた。

* 稲山彦は潮満の珠によってますます水かさを増して、天教山は危機に瀕した。ここにおいて稲山彦は降伏の文書を天教山に送り、大八洲彦命が竜宮の職をなげうつか、自殺するか選択を迫った。

* 大八洲彦命は天運ここに尽きたと覚悟を決めて、まさに自殺をしようとしたその刹那、東の空から天教山に下ってきた足玉彦、斎代姫、磐楠彦の三部将は風軍を引き連れ、大風を引き起こした。

* 水は天教山からさかしまに、稲山彦の陣取る天保山に打ち寄せた。さらに竜神を引き連れた部将神たちが、水を天保山に発射して応援した。

* 稲山彦は潮満の珠を取り出して、再び天教山に水をあふれさせた。水はたちまち大八洲彦命の首の辺りまでも浸すほどになってしまった。

* このとき突然、天教山は大音響とともに高く突出し、逆に邪神の陣取る天保山は水中深く没してしまった。天教山は、富士の神山となった。

* 天教山の頂上から鮮麗な光輝が立ち上ると、木花姫命を頭とする天人たちが現れ、大八洲彦命に真澄の珠を与えた。

* 天教山が天高く突出したのは、国常立尊が蓮華台上で雄たけびしたもうた神業の結果である。天保山の陥落した跡が、今の日本海となった。

* 九山とは、九天に届くばかりの高山を意味し、八海とは、八方に海をめぐらした国土の意味である。ゆえに、秋津島根の国土を、九山八海の霊地と称するのである。

第32章 三個の宝珠(32)
* 天保山が陥落して海底に沈んだ稲山彦は悪竜と変じて、海底に沈んだ潮満、潮干の麻邇の珠を奪おうと海上を探っていた。大八洲彦命は悪竜に岩石を投げつけたが、悪竜は海底に隠れ潜んでしまった。

* このとき命が投げた石が、佐渡、壱岐、対馬の島となった。

* 竜宮からは乙米姫の竜神が現れ、悪竜と争って勝ち、麻邇の両珠を奪い返し、木花姫命に奉呈した。木花姫命は乙米姫の殊勲を激賞し、罪を許された。

* 大八洲彦命は真澄の珠、潮満の珠、潮干の珠の三個の宝珠を木花姫命より授けられ、天地の修理固成を命ぜられた。大八洲彦命は三個の珠により神力旺盛となり、ついに三ツの御魂大神という御名がついた。

第33章 エデンの焼尽(33)
* 大八洲彦命は三個の宝珠を捧持して、竜宮城に帰還した。竹熊、木常姫らの邪神は、大八洲彦命が無事に帰還したことを知って狼狽し、にわかに改心の状を表した。

* そして、自分たちが割拠するエデンの園で、命の凱旋を祝うために宴会を開いた。

* 実は、大八洲彦命を酒に酔わせて、八尋殿に宿泊したところを火を放って焼き殺そうとしたのである。

* このとき真澄の珠から大風が起こり、潮満の珠から竜水がほとばしった。またたくまに八尋殿の火炎は打ち消された。また潮干の珠から猛火が噴出し、エデンの城は瞬く間に焼け落ちてしまった。

* 竹熊一派はヨルダン河を渡って遠く北方に逃れた。

第34章 シナイ山の戦闘(34)
* エデンの野で破れた竹熊一派は、堂山の峡谷に身を潜めた。竹熊はふたたび魔軍を招集し始め、シナイ山を攻撃することを企んだ。そして大虎彦に援軍を頼み、蒙古から数万の軍を集結した。

* 大八洲彦命は竹熊軍を掃討してシナイ山の厳の御魂を救おうと、少数の神軍を率いて出陣した。金勝要神は出陣を思いとどまるように命に懇願した。それというのも、竜宮城内に身を潜める木常姫一派が、着々と謀計を進めていることを察知していたからである。

* 大八洲彦命は金勝要神の請いを容れて、出陣を思いとどまった。そこへ、大虎彦は大群を率いてシナイ山に攻めかかった。

* 厳の御魂は配下の神軍に命じて防戦に努めたが、衆寡敵し難く、陥落も間近と思われるほどになった。さらに天空からは、大自在天の部下の魔軍が現れて火弾を投下し、厳の御魂の神軍は窮地に陥った。

* 厳の御魂は鷹取、雁姫を急使として、竜宮城の金勝要神に援軍を要請した。

* 大八洲彦命は考えに考えた末、真澄の珠を鷹取、雁姫に託した。鷹取と雁姫は帰還し、真澄の珠を厳の御魂に奉った。厳の御魂は喜び勇んで珠を手に取り、珠を口にあてると、力をこめて敵軍に向かって息吹きの神業を行った。

* すると魔軍はたちまちに壊走し、姿を消してしまった。シナイ山の神軍は隊伍を整えて堂々と無事に竜宮城に帰還することを得た。

以上  [前回レポート] [次回レポート]


  [拝読箇所一覧] [愛読会の紹介] オニ(王仁)の道ページ