とよたま愛読会128回
      「
霊主体従 6巻 10章 〜 32」  
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       記:望月幹巳 メール:motomi@moon.nifty.jp


日 時  平成19年5月27(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
      連絡先 03-3321-3896、  03-3321-8644
物 語   霊主体従 6巻(巳の巻)10章:四鳥の別れ 〜 32章:瓔珞の河越

★ 報告
 天教山の宣伝使たちが宣伝した予言のとおり、積もり積もった汚れによって宇宙の運行に異常が生じ、大洪水が発生します。

 太陽の炎熱によって地球を取り巻く氷山の水が溶けて流れ込み、五百六十七日間の大雨が降り続き、地球有数の高山の頂だけが水面に顔を出すほどになります。

 天教山の宣伝使たちは、天の浮橋の黄金橋の上から、正しい神人らを救い上げます。極悪人は、銅橋に救い上げられ、アルタイ山に下ろされて蟻の責め苦にあいました。

 古今未曾有の天変地異も、野立彦命・野立姫命が自らの身を犠牲にして大神にすべての生命の救済を祈願したおかげで、すべての生命は再生することを得ました。

 この大洪水によって国祖と豊国姫命は完全に根の国底の国に落ち行き、また大地球は地軸がずれて安定しない状態になってしまいます。大地球の修理固成を高皇産霊大御神・神皇産霊大御神に命じられたのが、神伊弉諾大神(天の御柱の神)、神伊弉冊大神(国の御柱の神)、天照大神(撞の御柱の神)でした。

 撞の御柱の大神を大御柱として、天の御柱の大神・国の御柱の大神は国生み・島生みの神業を行い、陰陽の水火を合せ調和させることにより、大地球を修理固成して行きます。

 最後に再び世界各地に国魂神を任命して、諾冊二尊の修理固成の神業は完成します。しかしこれによって再生された神国も、次第に時代が移るにつれて、国祖ご退隠のときにも勝る混乱の弱肉強食の世界になってしまいました。

 弱肉強食世界の一大勢力として君臨したのが、ほかならぬアーメニヤのウラル彦(=偽盤古大神)でした。ウラル彦は大中教という利己主義の教えを開き、世界中に広めてしまいました。

 今回の拝読箇所では、特に諾冊二尊の修理固成の経緯に即して、祓戸四柱神や現今の地球上の大陸の守護神、天教山の宣伝使たちが後の世に各地に聖者となって現れたことなど、重要な神界の消息が漏らされています。非常に学ぶところの多い箇所であったと思います。

★ 拝読箇所で気のついたこと

霊主体従 巳の巻
第二編 常世の波
第10章 四鳥の別れ

  • 春日姫は常世の国から出港する船に乗った。船の名前は偶然にも春日丸といった。

  • 港から離れていく船から、ふと常世の国を見ると、そこには夫である鷹住別が立っていた。

  • 船上の春日姫を認めた鷹住別は、行き違いになった妻の宣伝の無事を祈る歌を歌い見送った。

  • また、春日姫は船中で夫に対する惜別の歌を歌った。

  • 第11章 山中の邂逅(261)

  • 船で常世の国を去り、長白山を宣伝のため進んでいた春日姫は、毒蛇にかまれて行き倒れてしまった。そこに長白山を宣伝していた春姫が出会い、二人は偶然の出会いに涙した。

  • 久しぶりの邂逅の感慨に浸るまもなく、二人を山賊が取り囲んだ。山賊たちはウラル彦の手下であり、二人が天教山の宣伝使であると知ると、襲いかかろうとした。

  • しかし春日姫は宣伝歌の言霊で山賊たちを打ち倒し、春姫が指から霊光を放射すると、山賊たちは戦意を失ってしまった。また、そこへ日の出神の宣伝使が現れ、山賊たちは一目散に逃げ出した。

  • 第12章 起死回生(262)

  • 日の出神は薬草を探し出して、春日姫の毒を治した。そして、天恩郷で南天王の妃として君臨しているはずの春日姫が、なぜこのような山奥で宣伝使として旅をしているのか、問いただした。

  • 春日姫は天恩郷を逐電してから今までの経緯を日の出神に語った。日の出神は春日姫の身の上を聞くと、両親に孝養を尽くし、夫の帰還を待つためには、モスコーに帰って家を守るのも努めである、と諭した。春姫もまた、日の出神の助言に従い、モスコーに春日姫を送っていこう、と諭した。

  • しかし春日姫は、いったん神の道に宣伝使として思い定めたからは、たとえ山野に屍をさらすとも、初心を枉げることはできない、と決心のほどを明らかにした。

  • 日の出神・春姫ともに、春日姫の決心の強さに感嘆し、それ以上は何も言わずに長白山を降り、また三人三方へと宣伝の旅に散っていった。

  • 第13章 谷間の囁(263)

  • 長白山では山人たちが、最近獣が取れないことを話の種に、四方山話にふけっていた。

  • そこへ、西方の谷間に大音響が響くと、黒と赤の二匹の巨大な大蛇が谷川めがけてまっしぐらに降ってくるのを目撃して、一同は肝を冷やした。

  • 第14章 黒竜赤竜(264)

  • 話は少しさかのぼり、ウラル山から盤古大神を脱出させ、エルサレムに奉安した日の出神は長白山に渡って宣伝を行っていた。

  • 長白山はかねてよりウラル彦に帰順していたが、ある日八王の有国彦は、長白山が大洪水に見舞われるという恐ろしい夢を見た。それより八王夫婦は長白山の国魂・白玉宮に詣でて神に祈願し、人々に警戒をするように命じた。しかし八頭の磐長彦をはじめ部下や国人たちは、誰も有国彦夫婦を信じなかった。

  • そこへ日の出神が長白山の宣伝に表れた。長白山の神人らはことごとく、日の出神の宣伝歌に苦痛を覚えた。磐長彦は日の出神に矢を射掛けたが、一矢も当たらず、日の出神はゆうゆうと宮殿に入った。

  • 喜んだ有国彦夫婦は日の出神を奥殿に導いた。日の出神は神の教えを懇切に説き、三年後に世界の終わりが来ることを教示すると、またどこへともなく去って行った。

  • 有国彦夫婦は世の終わりに備えて方舟を造るように神人らに命令したが、八頭の磐長彦に妨げられてしまった。そこで夫婦は百日百夜神に祈り続けると、その身は黒竜・赤竜と変じ、国魂である白色の玉を口に含むと鴨緑江を下って大海原を横切り、天教山に至って大神に奉仕することとなった。

  • 第三篇 大峠
    第15章 大洪水 一(265)

  • ついに五百六十七日の大洪水と大地震が続いてそのときがやってきた。神示の方舟を作っていた者は、ちょうど銀杏の実のように上面がすっかり板に覆われていたため、激しい豪雨にも船中に水が入って沈むことはなかった。

  • 宇宙の変事は、すべて地上神人の精神の悪化が妖邪の気を発生させて宇宙を混濁せしめた結果なのである。宇宙の縮図である人心の悪化によって、宇宙が悪化してしまうのである。

  • 人間とは、万物普遍の元霊である主神に代わって天地経綸の主宰者たるべき天職を賦与されていることを忘れてはならない。

  • 古今未曾有の天変地異が襲来したのも、まったく地上の人類が、悪霊に表意されて体主霊従の行動を敢えて行い、天地の神恩を忘却した結果なのである。

  • 大神は禽獣虫魚までも救うことを本願としているので、人民に改心をするように、神諭で警告をしているのである。

  • 第16章 大洪水 二(266)

  • 酷熱の太陽が一度に数個現れて、大地の氷山を溶解させた。水は大地の中心にある集まり来たり、地球の水位は刻々に増加して、高い山の上にまでも迫った。

  • 竜宮城の三重の金殿は、ふたたび中空に延長して金銀銅の天橋となり、霊線を垂らして正しい神人を引き上げて救い始めた。天教山の宣伝使たちは、黄金橋の上に立って洪水に漂流する神人を救いつつあった。

  • ウラル彦・ウラル姫もまたなぜか、銅橋の上に救われた。盤古神王と常世神王は黄金橋の上に救われた。しかしウラル彦・ウラル姫はアルタイ山に下ろされた。アルタイ山の山頂には多数の蟻が洪水を避けて非難していたため、ウラル彦らは蟻に身体をたかられて非常な苦痛を覚えた。

  • アルタイ山には、極悪の神ばかりが送られたのである。平素利己主義によって甘い汁を吸った悪者は、蟻に身体を破られたのである。

  • 第17章 極仁極徳(267)

  • 琴平別神は、眷属を従えて漂流する地上の神人らをその背に乗せて、高山の頂に救いつつあった。金銀橋は、もう救う神人が絶えたため、合一して一つの橋になってしまった。銅の橋は、引き続き霊線で神人らを救いつつあった。

  • 地教山の野立姫命は天橋を伝って天教山に渡ると、野立彦命とともに、主神・大国治立尊に祈願し、日の神・月の神の精霊に対して、自分たちが責任を取って無限の苦しみを受ける代わりに、地上万類の罪を赦し給え、と願をかけると、天教山の火口に身を投じて神去りましました。

  • 第18章 天の瓊矛(268

  • この大異変により、天柱は砕けて地軸は裂け、宇宙大地の位置は、やや西南に傾斜して天上の星の位置も変化してしまった。

  • 大国治立尊は、この海月成す漂える国を修理固成しようとして、日月界の主宰神である伊邪那岐尊および伊邪那美尊に命じて、天の瓊矛を賜り、天の浮き橋に立たせて地上の海原を掻きなさしめた。

  • 天の瓊矛とは、今の北斗星である。北極星は宇宙の中空の位置を占めて月の呼吸を助け、地上の水を盛んに吸引させた。北斗星の先端にある天教山は次第に水かさを減じた。

  • 数年を経て洪水は減じ、地上は再びもとの陸地を現した。神典に「矛の先より滴る雫凝りて、一つの島を成す」というのは、北斗星の切っ先の真下の国土から、修理固成が行われた、という意味である。

  • 水が引くと一切の草木は蘇生し、地上の万物は、野立彦命・野立姫命の犠牲的な仁慈の徳によって、残らず救われたのである。

  • 第四篇 立花の小戸
    第19章 祓戸四柱(269)

  • 大国治立尊の左守神である高皇産霊大御神と、右守神である神皇産霊大神は、自らの精霊である神伊弉諾の大神、撞の御柱大御神、神伊弉冊大神に天の瓊矛を授け、天の浮橋である黄金橋の上に立たせた。

  • 天の瓊矛によってくらげのように漂う大洪水の海を掻き鳴らし、日の大神の伊吹によって宇宙に清鮮の息を起こして地上一切を乾燥させ、すべての汚れを払いのけさせたもうた。日の大神の息からなりませる神を、伊吹戸主神という。

  • 泥にまみれた地上の草木をきれいにするために、風を起こし雨を添えた。この水火から現れた神を、速秋津比売神という。また山々の間に河川を流して、一切の汚物を退けさせた。この御息を瀬織津比売神という。

  • 瀬織津比売神は地上各地からすべての汚れを大海原に持ち去る。この汚れをさらに地底の国に持ち去り、さすらい失う御息を、速佐須良比売神という。

  • 以上、四柱の神を祓戸神と称し、宇宙一切の新陳代謝=神界の大機関となしたもうた。この機関により、宇宙一切のものは完全に呼吸することができ、新陳代謝の機能がまったく完備したのである。

  • この神業を、九山八海(つくし)の火燃輝(ひむか)のアオウエイ(たちばな)の緒所(おど=臍)の青木原(あはぎはら)に御禊払いたまう、というのである。この神示については言霊学上、深遠微妙な意味があるが、これは後日述べることとする。

  • 第20章 善悪不測(270)

  • 国祖はご退隠されてからも、神界現界の大災害が近づいていることを座視するに忍びず、天教山・地教山に野立彦命・野立姫命と現れて、しばらく救世の神業に携わっていたのであった。

  • しかし撞の御柱の神、天の御柱の神、国の御柱の神がご降臨されて、修理固成の神業を成すことを見定めると、地上一切のものの大洪水からの贖いのために、天教山の噴火口に身を投げて根底の国・地汐の国へとそれぞれ下っていった。

  • 淤能碁呂島の本体ともいうべき国祖と豊国姫命の身魂は、自身の一部ともいうべき天教山の烈火の中にもまったく損なわれることはなかったのである。

  • 知恵暗く力弱い人間は、どうしても偉大なる神の救いを求めなければ、自力で吾が身の犯した罪を償うことはできない。善をなそうとしても悪を知らず知らずのなすのが有限たる人間である。

  • だから、人生には絶対的の善もなければ、絶対的の悪もないのである。これは、神は霊力体をもって万物を造ったが、霊は善・体は悪・力は善悪混合であるからである。善悪不二、美醜一如であるのは、宇宙の真相なのである。

  • 天地陰陽相い和して、宇宙一切が保持されるのである。また善悪は時所位によって変わるのであるから、本当に善悪の審判ができる権限を持つのは、ひとり宇宙の大元霊である大神のみなのである。

  • 人はだから、吾が身の悪を改め、善に遷ることのみを考えるべきであり、いたずらに他人を裁くべきではない。善悪愛憎の外に超然として、惟神の道を遵奉することのみである。

  • 第21章 真木柱(271)

  • 神伊弉諾大神のまたの御名を天の御柱の神という。神伊弉冊大神のまたの御名を国の御柱の神という。天照大神のまたの御名を、撞の御柱の神という。

  • 三柱の神は天教山の青木ヶ原に出でまして、撞の御柱神を真木柱となして八尋殿を見立てたまい、天津神祖の大神を祭った。そして、月照彦神を斎主とし、宣伝使の神人らを集えて天津祝詞を詔らせたもうた。

  • 天津御空も大海原に漂う葦原の瑞穂の国も、清く明く澄み渡り、祓戸四柱の神のはたらきにより、再び美しい神の御国は建てられた。

  • 神伊弉諾神は撞の御柱を中心に、左から行きめぐり、伊弉冊神は右から行きめぐった。そして、天地を造り固めなし、国生み、島生み、神生み、人生み、山河草木の神を生み成した善言美詞を歌った。

  • 柱をめぐって双方出会ったとき、国の御柱の神は、天の御柱の神の雄雄しい姿に喜びの御歌を歌った。このとき生まれたのが、淡島である。淡島には、少彦名神が国魂神として任命された。

  • しかしこの島は御子のうちに入らなかった。そのため少彦名神は、野立彦神を慕って幽界探検に旅立っていくことになった。

  • 第22章 神業無辺(272)

  • 天の御柱の神は、天地に上下ある以上、国の御柱の神が先に歌を歌いかけたことに怒り、過ちの罪を詫び、御柱巡りをやりなおすように、国の御柱の神に諭した。

  • このとき太平洋上の真ん中に生まれた淡島は、根底が緩んで漂流し、南端に流れていわゆる南極の不毛の島になった。

  • 淡島の国魂神として任命された少彦名神もこうなってはどうしようもなく、蛭子の神となって常世の国に永く留まり、またその身魂の半分は根底の国に行って幽界の救済に奉仕することとなった。

  • 少彦名神はこの因縁により、後世ユダヤの国に救世主として現れた。撞の御柱の巡り合いの過ちの因縁によって、十字架の苦しみを負い、万民の贖い主となったのである。

  • 諾冊二尊は御柱巡りをやり直し、今度は天の御柱の神が先に歌いかけた。

  • 第23章 万教同根(273)

  • 国の御柱の神が歌い返して、二尊は青木ヶ原の真ん中の八尋殿に帰り、休息した。

  • ここに月照彦神、足真彦、弘子彦、祝部、岩戸別の諸神は、野立彦神・野立姫神を慕って天教山の噴火口に飛び込み、大地の中心である火球の世界(=根底の国)に至って、幽界の諸霊を安息する神業に奉仕した。

  • これらの諸神は幽界を修理固成し、ふたたび地上に出生して、月照彦神は印度の国の浄飯王の太子と生まれて釈迦となった。足真彦司は、月照彦神を追って印度に生まれ、達磨となった。

  • 天道別命はやはり根底の国で修業した後、地上に出てふたたび天地の律法をひろめた。これをモーゼの司という。天真道彦命も根底の国を探検し火の洗礼を受け、地上に出生してエリヤの司と生まれ、福音を宣伝した。

  • また、高皇産霊神の御子である大道別は、日の出神となって神界・現界に救いの道を宣伝し、天教山から天の浮橋を渡って日の御国に至り、大日如来となった。

  • 豊国姫命は地中の火球・汐球を守り、罪ある身魂の無差別的な救済に神力を発揮した。仏教で言うところの地蔵尊である。

  • 天教山は後にシナイ山とも呼ばれるようになったが、一巻に登場したシナイ山とは別のものである。

  • 弘子彦命は閻羅王となった野立彦命の命によって何度も地上に出生し、ついに支那の国に孔子と生まれて治国安民の道を、天下にひろめた。しかしその教えがあまりに現世的だったため、野立彦命は我が身魂の一部を分けて、老子として出生させたのである。

  • 第24章 富士鳴門(274

  • さて、諾冊二尊は撞の御柱を巡り合い、八尋殿を見立てたまい、美斗能麻具波比(みとのまぐはひ)の神業を開かせた。美斗能麻具波比とは、火と水の息を調節して、宇宙万有一切に対して活きた生命を賦与する尊い神業である。

  • 撞の御柱の根には、清い水が湛えられた。これを後世、琵琶湖という。撞の御柱のまたの御名を、伊吹の御山という。

  • 天の御柱神は九山八海(はちす)の山を御柱とし、国の御柱の神は泡立つ海の鳴門灘を胞衣として地の世界を守護した。

  • 鳴り鳴りて鳴りあまれる、九山八海(つくし)の火燃輝(ひむか)のアオウエウ(たちばな)の緒戸(おど)というのは、不二山である。鳴り鳴りて鳴り合わざるは、阿波の鳴門である。

  • 富士と鳴門の経綸と神諭にあるのは、陰陽合致の天地経綸の微妙なる神業を指しているのである。鳴門は地球上の海洋の水を地中に間断なく吸入して散布し、天の岩戸の神業を補佐している。九山八海の山は、地球の火熱を表面に噴出することで、地中寒暑の調節を保っている。こうして水火がそれぞれ相和して、大地全体の呼吸を永遠に営んでいるのである。

  • 九山八海の山とは、蓮華台上という意味である。九山八海(つくし)のアオウエイ(たちばな)とは、高く九天に突出する山、という意味である。富士の山とは、火を吹く山という意味である。

  • 富士山の神霊である木花姫は、三界に出没して三十三相に身を変じ、衆生を救済しつつ国祖の再出現を待っているのである。これを仏教では観世音菩薩という。

  • 木花とは梅の花であり、三千世界一度に開く梅の花と示されているのは、再び時節が到来して、国祖以下の神人らが、節分の夜に地獄の釜の蓋を開けてふたたび神国の御世を建てさせたまうことである。

  • 霊山高熊山の所在地である穴太の里に、聖観世音が祭られているのも、神界における深い因縁であろう。瑞月が幼少よりこの観世音を信仰し、また産土の小幡神社を無意識的に信仰していたのも、何かの神のお引き合わせと思われるのである。

  • 第五篇 一霊四魂
    第25章 金勝要大神(275)

  • 高照姫命、言霊姫命、真澄姫命、竜世姫命、純世姫命の五柱の女神は、野立姫命の後を追って根底の国に至った。野立彦命・野立姫命の命を奉じて地汐・地星の世界を遍歴し、再び天教山に登って大海原の守り神となった。

  • 天の御柱の神・国の御柱の神は伊予の二名島を生んだ。これを愛媛という。またの名を竜宮島といい、今日の豪州大陸である。わが四国はその胞衣である。真澄姫神が国魂として任命された。

  • 次に、純世姫は筑紫の守り神とされ、多計依姫となった。筑紫の島は、現代のアフリカ大陸である。九州はこの大陸の胞衣である。

  • 言霊姫神は、蝦夷の島の守り神とされた。現代の北米であり、北海道がその胞衣である。

  • 竜世姫神は高砂島の守り神とされた。ゆえに、またの名を高砂姫という。高砂の島は南米大陸であり、台湾島はその胞衣である。

  • 高照姫神は葦原の瑞穂国の守り神とされた。これは欧亜大陸であり、大和の国はその胞衣である。

  • 五柱の女神は、永遠にそれぞれの国土を守護することになったが、これは霊界におけるご守護であり、現界の守護ではない。女神はおのおのその国の神人の霊魂を主宰している。天国へ送り、地上に出生させ、また幽界に落ち行く者を救済している。

  • しかし、五柱の女神が国魂神となるまでの時日は、数万年の長い年月を要したのである。この五柱の女神を総称して、金勝要神という。天は男系、地は女系というのは、霊界のこの消息を洩らしたものである。

  • 金勝要神が、神諭で『雪隠の中に落とされた神』とあるのは、すべての地上の罪悪を持ちさすらい失うところの鳴門の意味である。天教山は地球の口であり、鳴門が肛門にあたるのである。

  • 神の出口入口というのは、この富士と鳴門の御経綸の意味である。大地の金神を金勝要神というのは、大地の金気の大徳によって固成され、この神の身魂に金気が凝縮保維されているためである。

  • 第26章 体五霊五(276)

  • 天帝・大六合治立尊(おおくにはるたちのみこと)は、一霊四魂三元八力をもって万物を創造した。そして、万物を自ら直接保護するのではなく、各自に守り神を定めて、これを管掌せしめたもうた。

  • 太陽、大地、太陰をはじめその他万物に、霊魂・霊力・霊体が賦与されているのである。ここではそのうち、一霊四魂について大略を述べるにとどめる。

  • 大宇宙には、一霊四魂が原動力となって、活気凛々として活動している。小宇宙の一霊四魂とは、太陽が一霊=直霊である。これを大直日神とも言う。

  • 小宇宙の一霊である太陽自身にもまた、一霊四魂が存在しているのである。そして、太陽の一霊四魂それぞれに、また一霊四魂が存在する、という入れ子のような構造になっている。

  • 太陽の一霊四魂を特に、厳の身魂を総称する。また、霊主体従の身魂ともいう。ゆえに、大空は霊を主とし体を従としている。一方、大地は体を主とし、霊を従として形成されている。

  • 地の霊は瑞の身魂といい、体主霊従の身魂という。大地球の一霊=直霊を特に、大曲津日の神という。大地球内にもそれぞれ一霊四魂がある。大地球の荒魂・奇魂・幸魂・和魂の各直霊を、八十曲津日の神という。

  • 重く濁ったものが地を形成したがゆえに、地上に棲息する限りは、体主霊従の身魂に制御されるものなのである。だからこそ、体主霊従を調和して、霊体一致の美しい身魂を作る必要があるのである。

  • 体主霊従とは、決して体が霊に勝った状態を言うのではなく、天の命じる体主霊従とは、体五霊五の状態である。この状態から、体六霊四などの体が勝った状態に超過するとき、それが罪となるのである。

  • 体五霊五の天測を破った身魂を、大曲津神という。また、体が超過した状態に導こうとする身魂を八十曲津神という。

  • 大曲津日の神(大地球の直霊)・八十曲津日の神(大地球の四魂の各直霊)は、体主霊従の大地球の悪を制御する直日の神である。これと、曲津神を混同してはならない。

  • 厳の身魂は荒魂、和魂に重きをおく。瑞の身魂は奇魂、幸魂に重きをおいている。

  • 次に、伊都能売の身魂について簡単に述べると、この身魂は月の霊魂ともいい、五六七(みろく)の身魂といわれている。伊都能売の身魂は厳にも瑞にも偏らず、厳・瑞の身魂を相調和した完全無欠の身魂である。

  • 伊都能売の身魂は時々刻々、形を変えて同じところに固着することがない、反省力の強い活動を備えている。このように身魂が活用できれば、それは伊都能売の身魂と言えるのである。これは、善悪正邪を超えて自由自在の活動をなしうる、至粋至純の神霊の活用なのである。

  • 伊都能売の身魂の活用を会得して、自由自在の神人となることができれば、初めて五六七の活動をなすことができるのである。

  • 月にもまた、一霊四魂がある。月球を保持しているのは、北斗星・北極星・オリオン星・三角星の四大星体である。四大星体は月球を直接保護しており、瑞の身魂の活用を主としつつ、大空、大地の中間を調節する重要な職務を果たしているのである。

  • 「体主霊従」という言葉は、体が勝った天則違反の行動を行う身魂を指していう場合がある。ここで言う大地球の「体主霊従」とは、体が五・霊が五という霊魂の組織構成上の説明である。両者を混同してはならない。

  • 第27章 神生み(277)

  • 天の御柱大御神、国の御柱大御神は、陰と陽の水火を合わせて淡路島、大倭島、伊予の二名島、筑紫島、隠岐、佐渡、越の洲などの国々・島々を生みたもうた。

  • 大八洲の国とは、地球全体の海陸の総称なのである。国生み・島生みが完了した伊邪那岐命は、次に世界各所に国魂を任命した。

  • 長白山は磐長彦・玉世姫、万寿山は瑞穂別・瑞穂姫、青雲山には吾妻彦・吾妻姫、地教山にはヒマラヤ彦・ヒマラヤ姫、天山は谷山彦・谷山姫、崑崙山は磐玉彦・磐玉姫、タコマ山は吾妻別・吾妻姫、ロッキー山は国玉別・国玉姫、ローマは元照別・元照姫、モスコーは夕日別・夕照姫、新高山は花森彦・花森姫、常世の都は貴治彦・貴治姫が、それぞれ国魂神・補佐神として任命された。

  • 鷲霊山は神教を宣布する神界の根本霊場として、白雲別・圓山姫、久方彦、三葉彦が永遠の守り神として任命された。

  • また黄金山は東雲別・青雲別・青雲姫・機照彦・機照姫を神教護持のために、永遠に任命した。

  • 第28章 身変定(278)

  • 諾冊二尊は陰陽水火の呼吸を合して七十五声を鳴り出したまい、スの言霊でこれを統一した。七十五声の中でも五大父音を、立花の小戸という。

  • 祝詞に『筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に御禊ぎ祓い給う時に生坐る』とあるのは、このアオウエイの五大父音によって、以下の七十五声を生み出し、新陳代謝の機能である祓戸四柱の神を生み成して、宇宙の修祓神としたことを表しているのである。

  • 五大父音を地名に当てると、アは天=アジヤ、オは地=オーストラリヤ、ウは結び=アフリカ、エは水=エウロッパ、イは火=アメリカ、となる。そしてこれら五大大陸はすべて、アに返る。

  • 七十五声はすべて、アオウエイのどれかに返り、アオウエイはすべてアに返るので、言霊学上は、アに当たるアジヤにすべてのものは統一されるべき、ということになるのである。

  • アとウの大根源はスである。ス声が凝結した至粋至純の神国は、すなわち皇御国である。諾冊二尊は天地の修理固成のために、アオウエイの五大父音の言霊によったが、スの言霊が凝結する神国の水火は、もっとも円満晴朗である大神そのままの正音を使用することができたのである。

  • 神が神力を発揮するときは、言霊の武器を使うのである。古書には「ミカエル」の言霊の威力が示されている。ミカエルの言霊をもっとも完全に使用することができる神人は、スの言霊が凝った皇御国から出現するはずなのである。

  • ミカエルとは、天地人、現幽神の三大界(=ミ)を立替える神人、という意味である。また、男体にして女霊の活用をなし、女体にして男霊の活用をなす神人を、「身変定(ミカエル)」というのである。

  • ここに七十五声の言霊の活用および結声の方法について、言霊の釈歌を添付する。

  • 五大父音については、主神による天地創造と三元八力との関連性が歌いこまれている。また、諾冊二尊による天地修理固成の過程が、言霊学的に説明されている。

  • その後、諾冊二尊による国生み島生みが、マ行までの音と、半濁音・濁音と結び付けられて歌によって解釈されている。

  • ワ行とヤ行は、各言霊の精神的な働きが神名? と結び付けられて解釈されている。

  • ワ行ヤ行の十柱の神々、十の声の精神的作用は、いわゆる大八嶋国の活用、つまり世界的経綸の活機を顕す本能を、生まれながらに持っている言霊である、と説明されている。

  • 第29章 泣沢女(279)

  • 諾冊二尊の修理固成も、時が経つに連れて神人らが増えるに従い、呼吸の穢れが広がった。人の心は曇り穢れ、金山彦の神が鋼鉄を取り武器を作り始めた。人々が互いに争う大宜津姫の世となってしまった。

  • 火の神が現れて山や野を焼き払い、恐ろしい迦具槌の荒ぶる世となってしまった。国の御柱の大神は、この有様に身魂の限りの方策を尽くしたが、ついに魔神の勢いに虐げられて、黄泉御国に出でてしまった。

  • 糞になる埴安彦神、埴安姫神が世を治めようと力を尽くし、和久産霊、罔象女(みずはのめ)神が身を尽くして奉仕し、この世を救う豊受姫神が現れる世となった。

  • 伊邪那岐神は、伊邪那美神が地上世界の混乱によって黄泉国(=地中地汐の世界)に逃げてしまったことを嘆き、再び淤能碁呂島に帰ってくることを願う歌を歌った。

  • 伊邪那岐神は一時悄然として力を落としたが、荒魂を振起し、自ら鋼鉄を掘って十握の剣をたくさん作り、荒ぶる神共を武力を持って打ち罰しようと計ったのである。

  • 第30章 罔象神(280)

  • 諾冊二尊は撞の大御神を豊葦原の瑞穂国の大御柱となし、自らは左守・右守の神となって、漂える大海原を修理固成し、各国魂を任命して完全な神国を一時は樹立した。

  • しかし天の益人は次第に生まれ増して、ついに優勝劣敗、弱肉強食の暗黒世界となり、その混乱は国祖ご退隠の前に比べて何十倍にも達した。

  • 人間というものがここに生まれて、土地を独占するようになった。そして互いに争奪を試み、強いものが弱いものを倒し、武器を製造し金銀を掘り出し、貧富の差は激しく、さながら修羅の世界を現出した。

  • 神々も人々も、救世主の出現を待ち望む世になった。人間の中でももっとも虐げられた者の中から、埴安彦神・埴安姫神の二神が現れ、吾久産霊(わくむすび)なる仁慈の神々を多く率いて、救いの道を宣伝した。そして水波廼女(みずはのめ)すなわち正しい人間を救うことになる。

  • また、諾冊二尊がこの混乱に際して、各地の国魂に命じて曲津神を武力で掃討しようとした御神業を、「御子迦具槌の神の御首を斬り給う」というのである。

  • 第六篇 百舌鳥の囁
    第31章 襤褸の錦(281)

  • ウラル山の麓アーメニヤに勢力を振るったウラル彦は、大洪水に大神の大慈大悲に救われ、アルタイ山で蟻の責め苦を受けて一時は改心した。しかし年月を経るにしたがって再び、ウラル彦夫婦は色食の道に耽溺し、大蛇の霊魂に憑依された。

  • 大洪水によって活動を抑えられていた悪霊たちも、世が泰平となり人の心が馴れるにしたがって、再び跋扈跳梁するようになってしまった。

  • 盤古神王を偽称したウラル彦は、大中教という教えを興した。これは極端な個人主義、利己主義の教えである。

  • 自分ひとりを中心とする、というもともとの意義は、ウラル彦のみを世界の最大主権者と認める、というものであった。しかしこれもまた大中教の宣伝使たち自身によって誤解され、自分ひとりを中心とする、利己主義の教えとなってしまった。

  • 大中教は葦原の瑞穂国(地球上)に広く行き渡った。

  • アーメニヤの都の南にカイン河という広い河が流れている。そのほとりで、乞食たちが盤古神王(=ウラル彦)と大中教の利己主義のやり方に不平を語らいあっていた。

  • そこへ盤古神王の手下の目付がやってきて、乞食たちの話の内容を問いただした。目付たちは、盤古神王の悪口を言うものを捕らえて危害迫害を加えていたのである。

  • 乞食の一人が耳が聞こえない振りをして滑稽な応答で返し、その場をごまかして目付を退散させた。

  • 第32章 瓔珞の河越(282)

  • 目付を追い返した乞食たちは、今の世の中に悪霊がはびこっているため、勢力ある神人らは憑依されており、偉い神様だと思ったら大間違いという有様を嘆き憤慨した。そして河を渡ってアーメニヤの向こう岸に逃げようとした。

  • そこへ、乞食に変装した目付が近づいてきた。乞食たちは警戒して我先にと河を渡って逃げ出した。変装した偽乞食は、逃げていく乞食たちを捕らえろと叫んでいた。

  • 以上。   [前回レポート] [次回レポート]


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