とよたま愛読会129回
   
霊主体従 6巻 33章 〜 6巻50   [前回レポート] [次回レポート]
      記:望月幹巳 メール:motomi@moon.nifty.jp


日 時  平成19年6月24(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
      連絡先 03-3321-3896、  03-3321-8644
物 語   霊主体従 6巻(巳の巻) 33章 :
五大教 〜  50章:大戸惑

★ 報告
洪水と伊邪那岐大神・伊邪那美大神・撞の大神(天照大御神)による大地球の修理固成後の世界は、長い年月を経て、ウラル教がはびこる弱肉強食の世界になってしまいました。

 そんな中、天教山の木花姫命の教えを復活させる二つの教えが誕生します。エルサレムの黄金山(=橄欖山)に現れた埴安彦という女神が、五大教を打ちたて、神が表に現れて善と悪とを立て別ける、と宣伝を始めます。

 一方、印度と西蔵の間に立つ高山・霊鷲山の麓・玉の井の郷には三葉彦命という男神が現れて、三大教を打ち立てます。三大教は、直日に見直せ聞き直せ、と宣伝を始めます。

 エデン川のほとりで、五大教の宣伝使東彦、三大教の宣伝使北光天使が出会ったのをきっかけに、両教は統一され、三五教となります。三葉彦は埴安姫と名を改めて、埴安彦の補佐神となります。

 青雲山に奉祭されていた黄金の玉は、三五教の宣伝使・高彦の活躍により、聖地エルサレムに遷座することになりました。しかしウラル彦が玉を狙っていることを憂慮した埴安彦・埴安姫は、黄金の玉と釜を、遠く東の淤能碁呂島の中心地・桶伏山に隠しました。

 三五教の宣伝使たちは、ローマにやってきます。ウラル彦の圧迫により臣従した元照別を改心させて、その過程で後に天岩戸開きに活躍する神人らを集めていきます。

★ 拝読箇所で気のついたこと

第六編 百舌鳥の囁
第33章 五大教(283)

  • ウラル教の治世を恨む歌を歌いながら、エデン川の岸辺を降る漂浪人の一団があった。そこへ、『神が面に現れて 善と悪とを立て別ける』と節面白く謡い来る宣伝使があった。

  • これは、混乱の世をただすべく黄金山の麓に現れた、埴安彦という大神が立てられた、五大教という教えの宣伝使・東彦であった。

  • 漂浪人たちは、宣伝使の歌う宣伝歌に興味を持ち、宣伝使を呼び止めた。宣伝使・東彦は路傍の平たい石に腰かけ、一同はその周りに座って問答を始めた。

  • 漂浪人の一人は、今の世の中は宣伝歌にあったような、公明正大な神様が現れて善と悪とを立て別ける、といったことがあるのでしょうか、と問いかけた。

  • 東彦はそれに答えて、今の世は神様の御用のために作られた、神の生宮であるはずの人間が汚れてしまっているので、それを清めるために、神様が諸方に宣伝使を派遣することになったのである、と答えた。

  • もう一人の漂浪人は、弱肉強食の世の中で一部の人間が財産を独占していることに対して、いつ神様が現れて善と悪とを立て別けてくれるのか、と質問した。

  • 東彦は、現世的な財産はかりそめの富であり、人間が死後にも滅ぶことがない宝とは、神の御国に積む誠という宝である、と諄々と説いた。

  • 一同は息をこらして東彦の教えに耳を傾けていた。そこへ、『ただ何事も人の世は 直日に見直せ聞き直せ 身の過ちは宣り直せ』と謡って来る宣伝使があった。

  • 第34章 三大教(284)

  • 漂浪人たちが東彦の宣伝使の教えを聞いているところへ、また白髪異様の宣伝使が、節面白く謡いながらやってきた。この宣伝使は、霊鷲山の山麓・玉の井の郷に現れた三葉彦神の教理・三大教を奉じる宣伝使・北光天使であった。

  • 霊鷲山は、印度と西蔵の境に立つ高山であり、また黄金山は、聖地エルサレムの傍らに立つ橄欖山の別名である。

  • 白髪異様の老宣伝使・北光天使は、東彦天使が宣伝をしている傍らに立ち、聞き入っていた。東彦は北光天使が聞いていることも知らずに、一心不乱に五大教の教理を説いている。

  • 東彦はふと息をついたところで北光天使に気づき、お互いに名を交わした。東彦は、北光天使がどのような教理を奉じているのかを問いかけた。

  • 北光天使は、宣伝使とは、神がその口を借りて深甚微妙の教理を説示するものである。神の道は神人の知識考量でもって伝えるべきものではないはずだ、と答えた。

  • 東彦は、そのような宣伝使の重大なる意義を忘れて宗派の別を問うたことに恥じ入った。

  • 二人の宣伝使は岩の上に立ち、天津祝詞を奏上して天地の大神の洪徳を賛美し、三大教と五大教の宣伝歌を一つにして歌った。

  • 今度は北光天使が岩の上に坐を占めて、教えを説いた。

  • 漂浪人の一人は、東彦の教えは神が善と悪を立て別ける、という教えだったが、北光天使の教えは、直日に見直せ聞き直せ、と内省と諦めを促している。悪いのは自分たちではなく、この世を欲しいままにしている強者ではないか、と咬み付いた。

  • 北光天使は、どのような仕打ちを受けても、あくまで忍耐と寛容が肝心である、と返した。質問した男はこれを聞いて怒り、北光天使の背後に立って頭から小便をかけだした。

  • 北光天使は小便を浴びながらも泰然として講演を続けている。

  • 第35章 北光開眼(285)

  • 今度はもう一人の漂浪人が、自分は強者に片目をえぐられ、何とか敵を取ろうと旅をしているが、これを忘れて敵を赦すことができるでしょうか、と質問した。

  • 北光天使は答えて言う:

  • 憎しみが憎しみを生むことによって、鬼や悪魔が人間にとりつくのであり、そこをよく忍耐しなくてはならない。怨みは忘れなければならない。

  • 先方が悪いのであれば、神様はきっと敵を討ってくださる。

  • 人はただ、己を正しくして善をなせば、神様の御心にかなって幸福になるのである。

  • あなたが非道い目にあったのも、因縁であり、そこをよく直日に見直し聞き直さなければならない。善悪正邪の判断は、人間にはできないのであり、神の他力によって救われるにみである、と。
     

  • 最初に小便をかけた漂浪人の甲は、この教えを聞いて怒り心頭に達し、怒鳴り散らすと竹槍でもって北光天使の片目をぐさりと抉った。

  • 北光天使は泰然として竹槍を抜き取り、天に向かって感謝の祈りを捧げた。甲は北光天使を罵ると、竹槍でもう一つの目も突こうとした。

  • 東彦はとっさに甲の手を掴んで押しのけた。甲はよろよろとして倒れ、エデン川に真っ逆さまに転落してしまった。北光天使はとっさに河中に飛び込んで、甲を助け出した。

  • この北光天使の行為に、さしも猛悪な甲も慈心に感じて悔改め、弟子となった。宣伝使は甲に、清河彦と名を与えた。

  • 北光天使は、天岩戸開きにあたって偉勲を立てた、天の目一箇神の前身である。

  • 第36章 三五教(286)

  • 東彦は、北光天使の無限の忍耐と慈悲心に感服し、その徳を賛美した。漂浪人たちはそれぞれ、二人の宣伝使の弟子となった。宣伝使一向はそれぞれ、南と西へ、再開を約しつつ、宣伝の旅に出立した。

  • 東彦は黄金山に帰ると、五大教教主・埴安彦に、三大教の宣伝使・北光天使の神業と三大教の教理を奏上した。埴安彦は大いに感じるところあり、さっそく使いを霊鷲山に使わして、三葉彦神を黄金山に迎えた。

  • 三葉彦は北光天使とともに黄金山に参り上り、五大教の教理を聞いて互いに諒解し、ここに両教を統一して三五教と改称することとなった。

  • 埴安彦は女神であり、三葉彦は男神であった。三葉彦は名を改めて埴安姫神となり、埴安彦神を補佐して救いの道を天下に宣伝することとなった。

  • 東彦は、天岩戸の前に偉功を立てた石凝姥天使の前身である。

  • 第七篇 黄金の玉
    第37章 雲摑み(287)

  • 中津御国の天教山の木花姫命の御教えを伝える、黄金山・霊鷲山の埴安彦、三葉彦は、教えを一つにまとめて三五教を現した。

  • 黄金山の宣伝使・青雲別は、名を高彦と改めて、青雲山への宣教に旅立った。青雲山を上っていく高彦の耳にきこえて来たのは、ウラル教の宣伝歌を歌いながら道路を開鑿する工事人夫たちの声だった。

  • かまわず三五教の宣伝歌を歌いながら山上に進んでいく高彦を、ウラル教の人夫の頭・雲?がさえぎり、首筋を掴んで路上にねじ伏せた。しかし高彦は何とも感じず、平気で神言を小声に奏上し始めた。

  • 雲摑の体は次第に強直して地蔵のようにその場に固まってしまった。人足たちはこの様を見て、一斉に高彦に襲い掛かったが、高彦の神言に、みなやはり石像のように硬直してしまった。

  • 高彦は鎮魂を解いて、雲摑の霊縛を解除した。雲?は涙を浮かべて無礼を陳謝した。高彦は三五教の仁慈の教えをもって諭し、青雲山の吾妻彦がウラル教に恭順したことを問いただした。

  • 雲摑は吾妻彦がウラル彦に恭順した経緯を語り出した。

  • 第38章 黄金の宮(288)

  • 雲摑は、青雲山八王神の神澄彦が大洪水の前に、宣伝使となって当山を去って以来、八頭の吾妻彦が神政を司っていたが、ついにウラル彦の勢力の前に心ならずも屈したことを明かした。

  • そして、国治立命の命によって古来より青雲山に祭っていた黄金の玉を、ウラル彦が取りに来るため、山に道を通しているのだ、と白状した。

  • また、自分の正体は、吾妻彦の補佐をする雲別という神人である、と名乗った。

  • ただ、黄金の玉を管理する玉守彦夫婦がアーメニヤへの遷座に大反対しており、吾妻彦はウラル彦との板ばさみとなって苦しんでいることを明かした。

  • 高彦は、自分は黄金山に玉を移すために使わされたのであり、これはすべて伊邪那岐命のご守護があるため、何も心配することはない、と諭した。

  • 高彦は雲摑(雲別)の案内で吾妻別に面会した。そして三五教の教理と、伊邪那岐命の神徳を説き聞かせたところ、吾妻彦は三五教に恭順した。そして、黄金の玉は黄金山に遷座することになった。

  • 第39章 石仏の入水(289

  • 青雲山から流れ出る四恩河は雨水増して、架橋中の橋がまたしても流されてしまい、四恩郷の人々は交通に困っていた。

  • 人夫たちは、年に何度も四恩河の橋が流されてしまう事態を嘆いていた。また、ウラル彦が黄金の玉を取りに来るため、四恩河の架橋を急いで行うように命じられていたのである。

  • 人夫の一人は、黄金の玉がアーメニヤに取られることを神様が嘆いて、こんなに雨が降って橋が流されるのだ、と悲しそうに行った。

  • 人夫の戊は、皆が沈んでいる中、どうしたら橋を架けられようか、と歌いながら陽気に踊り出した。人夫の甲は、戊の能天気さに腹立ち、戊を河に突き落とした。しかし戊は増水の河水の中を平気で泳ぎ回り、岸に上がると、今度は甲を河に突き落とした。

  • 甲はおぼれて沈んでしまったが、戊が飛び込んで救い上げた。と見る間に、戊は大きな亀となって河の中に姿を隠してしまった。果たしてこの亀は何神の化身であろうか。

  • 第40章 琴平橋(290)

  • 人馬の音騒がしく、ついにウラル彦が青雲山に現れた。そして四恩郷に入ると、酋長を呼びつけた。

  • ウラル彦の部下・猛将の鬼摑は居丈高となり、期日になっても四恩河に橋が架けられていないことを酋長に詰問した。

  • 酋長は畏れにぶるぶると震えていたが、そこへどこからともなく人夫の戊が現れて、滑稽な歌を歌うと、鬼摑をはじめウラル軍は笑い出し、一緒に踊り出した。

  • 戊が一同を案内すると、不思議にも四恩河には立派な広い橋がちゃんと架けられていた。

  • ウラル彦は機嫌を直して橋を渡り始めたが、一隊が全部橋の上に乗ったと見ると、突然橋は音を立てて崩れ落ち、皆河の中に落ちて流されてしまった。不思議にも、ウラル彦一隊が流されてしまうと、また元の立派な橋が河に架かった。

  • 青雲山からは、黄金の玉を黄金山に遷座するために、吾妻彦らの一隊が下ってきて、この橋を無事に渡った。ふと後を振り返ると、橋は跡形もなく、巨大な亀が幾百となく甲を並べて浮かんでいた。

  • これはまさしく琴平別神の化身であり、黄金の玉を守護する活動であったのである。

  • 第41章 桶伏山(291)

  • 吾妻彦は長旅の末、ようやく玉を奉じてエルサレムに着いた。エルサレムは昔の面影はなかったが、美しい神殿を造り、黄金の玉を奉安して聖地の守り神となした。

  • ウラル彦はこの様子を知って、聖地に数多の探女醜女を参拝者に仕立てて送り込んだ。玉守彦は霊夢に感じて、黄金の玉を人目を避けるために釜の中に隠した。

  • そのまま数年経つと、釜は非常な音響を立てて唸るようになった。玉守彦は宝庫の戸を開いてみると、鉄の釜はいつのまにか純金の釜となってまばゆいばかりに辺りを照らしていた。

  • 釜のまわりには、自然に登り竜・下り竜が現れており、玉の表面にも多くの竜体が現れていた。また、玉はますます光り輝いて唸りを上げていた。

  • 玉の唸りは大きいが遠くまで響かず、純金の釜はまた唸りを上げ、これは小さかったが遠くまでよく響いた。

  • 玉守彦は、ウラル彦が玉を狙っているという暗示を受け、埴安彦神・埴安姫神とはかり、玉の隠し場所を変えることにした。粗末な唐櫃を作って黄金の玉と釜を納め、遠く東の淤能碁呂島の中心地・桶伏山(一名、圓山)の麓に隠し納め、圓山姫に密かに守護を命じた。

  • いつの代にこの神宝が世に出て、混濁の世を照らすことになるのだろうか。

  • 第八篇 五伴緒神
    第42章 途上の邂逅(292)

  • 三五教の宣伝使・久方彦、またの名を雲路別天使は、元照別が治めるローマの都を指して進んで行った。

  • 雲路別天使はふと路傍に腰掛けて、妻子への思いに駆られて身を休めていたところ、もう一人の宣伝使が宣伝歌を歌いながらやって来た。

  • その歌によると、ローマを治める元照別はウラル彦の勢力に屈した、と歌われていた。

  • この宣伝使は、広道別天使であった。雲路別天使は、広道別天使に声をかけた。二神司は相携えて、ローマの都に入ることとなった。そして元照別を帰順させることになる。

  • 広道別天使は、天岩戸開きの際に、岩戸の前に太玉串を捧げて神慮を慰めた、太玉命の前身である。

  • 第43章 猫の手(293)

  • 二柱の宣伝使はローマを目指して進んできた。おりしも、郊外の村では農民たちが田植えの真っ最中であった。

  • 農民たちは忙しく働きながら、強者に搾取される自分たちの境遇を嘆き、また最近現れた三五教の教理について、話し合っていた。三五教は皇祖教である、というのである。

  • そこへ『神が表に現れて 善と悪とを立て別ける』と大声に呼ばわりながら、二人の宣伝使がやってきた。

  • 第44章 俄百姓(294)

  • 広道別と雲路別は、百姓たちが忙しく働いている様を見て感心し、また感謝のためにひとつ農作業を手伝おうということになった。

  • 農民の中に喧嘩を始める者がいたが、そこへ宣伝使が仲裁に入り、農作業の手伝いを申し出た。

  • 広道別と雲路別は汗みどろになって、田植えが済むまであちこちを手伝いまわった。このことが百姓たちに感謝され、早苗饗祭まで、田んぼの中での生活を続けた。

  • 早苗饗祭では宣伝使たちも招かれて、餅を振舞われた。このとき、二人の宣伝使は三五教の教理を説き諭した。このため、この村一村は神の恩恵に浴することになった。

  • 第45章 大歳神(295)

  • 田植えの最中に喧嘩をしていた男・虎公は、中でも図抜けた大男で大食らいであった。早苗饗祭でも酒を飲んでウラル教の歌を歌い、他愛ない口争いをしていたが、雲路別はウラル教の替え歌を節面白く歌ってたしなめた。

  • この歌の節に一同は踊り狂って喜び、祝宴は無事に終わった。

  • 宣伝使たちがこの村に三五教と農業の改善を伝えたため、以降村では年々豊作が続くことになった。雲路別は百姓の神と尊敬され、ついには大歳神となった。

  • 虎公は力が強く、醜悪な面相であったが、至って正直な男であった。広道別の弟子となり、宣伝使にしたがってローマをはじめ、世界の宣伝に努めた。ついに立派な宣伝使となり、天岩戸開きの際には岩戸を押し開いた手力男神となった。

  • 第46章 若年神(296)

  • ある年、御年村の二三の百姓たちが、木陰で話をしていた。大歳神様が黄金山に帰られてから、三五教の教えに必ずしも従わない者多く、それがためか、作物の実りがよくなくなってきた、というのである。

  • そこへ容色端麗な女宣伝使が通りかかった。百姓たちが呼び止めると、女宣伝使は、正に教えを守っていないことが、不作の原因である、と指摘した。

  • そして、傍らの長い草をむしって男根の形を作ると、清めのまじないを行った。すると不思議にも、たちまち田から害虫はいなくなり、稲は青々と繁茂した。

  • 百姓たちは喜んだが、いつのまにか女宣伝使は姿を消していた。これは若年神の変化であった。

  • 第47章 仁王と観音(297)

  • 広道別天使は、虎公に岩彦という名を与えて、宣伝歌を歌いながらローマの都の中心に進んでいった。今日はローマを治める元照別天使の誕生日祭で、家々に紅、白、青の旗を掲げて祝意を表していた。

  • 群集は祭の出で立ちで、ワッショワッショと鐘やブリキ缶のようなものをたたきながら、練り歩く。そうして、ウラル教の宣伝歌を歌っている。

  • 広道別は三五教の宣伝歌を歌いながら進んでいる。すると、群衆の中の祭頭らしき男が、広道別に拳固を固めて殴りかかった。

  • 岩彦はこの様子に地団駄を踏みつつ、三五教の教えを守り、歯を食いしばって仁王立ちになって我慢している。祭の群集は、岩彦の仁王立ちに行く手をふさがれて、遅れだした。

  • 広道別は、殴られながら小声に宣伝歌、天津祝詞を奏上する。すると殴りかかった男はたちまち、拳を振り上げたまま全身強直してしまった。

  • ローマの十字街頭には、岩彦とこの殴りかかった男と、二人が仁王のように立ちふさがってしまった。そこへ美しい女宣伝使が宣伝歌を歌いながらやってきた。群衆はこの様に野次馬のように集まってきた。

  • 中には罵詈雑言を浴びせる群集もいたが、女宣伝使が手を左右左に振ると、そうした群集はたちまち強直してしまった。

  • そこへ、ローマの主・元照別の行列がやってきた。誕生祭にあわせて、地中海の一つ島へ参拝に出かけるのである。しかし二人の仁王が十字街頭をふさいで立っており、行列の先触れの男たちは恐々と立ち止まってしまった。

  • 行列の後ろからは、進め進め、と声がする。と、岩彦の仁王は、『通ること罷りならぬ』と怒鳴りつけた。

  • 第48章 鈿女命(298)

  • 岩彦の怒声に逃げ散った群集は、またもや十字街頭に集まってきて、今度はそこかしこで喧嘩を始めた。元照別の従者らは、喧嘩を制止にかかっている。

  • そこへ先ほどの美しい女宣伝使が長袖を振りながら、悠々として歌い舞い始めた。その歌は、元照別がウラル彦に臣従したことを厳しく戒める歌であった。岩彦も、拳を固めた大男も、この歌にぐにゃぐにゃとなってしまった。

  • 広道別は、この女宣伝使が出雲姫であることを知った。互いに挨拶を交わしていると、元照別の従者たちが、宣伝使たちを丁重に迎えにやってきた。

  • 群集の祭頭で広道別に殴りかかって強直していた男(熊彦)は、いよいよ改心して宣伝使となった。これは、天岩戸開きで手力男と並んで岩戸を開いた、岩戸別神の前身である。

  • 手力男神のまたの名を豊岩窓神という。岩戸別神のまたの名を櫛岩窓神という。そして出雲姫は、天宇受売命の前身である。

  • 第49章 膝栗毛(299)

  • 宣伝使たちは、元照別従者とともに、都大路を城に向かって進んでいった。都の人々は、この様子を見て口々に噂をしあっている。

  • 第50章 大戸惑(300)

  • 元照別は宣伝使たちを城の高殿に招き、豪華なご馳走でもてなした。

  • 出雲姫は、強者に搾取されている民衆の様子を思うと、もったいなくてこのようなご馳走を食べるわけにはいかない、と高殿から膳を城の堀に投げ込んでしまった。

  • 広道別もまた同様に、元照別に戒めの言葉をかけながら、膳を投げ捨ててしまった。

  • 元照別はただ、己の身を恥じて、うつむいて涙を流すのみであった。

  • 岩彦と熊彦は広道別、出雲姫に遠慮しながらも、出された膳をすっかり平らげてしまった。

  • 出雲姫は、元照別の誕生を祝す、といって歌い舞い始めた。その歌には、元照別の戒めと、神の道への立ち返りが歌い込められていた。

  • 宣伝使たちの実地的訓戒により、心ならずもウラル彦の強圧に服していた元照別夫婦は改心し、伊弉諾大神の神政に参加することとなった。

  • 元照別、元照姫は、誰言うとなく、大戸惑子神、大戸惑女神といわれることになった。

  • 出雲姫の歌舞曲に広道別は知らず立ち上がり、高殿の欄干に身を預けて見とれていたが、たちまち手すりは音を立てて崩れ、眼下の堀に落下してしまった。その寒さに震えて気がつけば、王仁は高熊山の方形の岩の上に、寒風にさらされていた。

  • <道の栞り>

  • 天帝は、瑞の霊に限りなき直日魂を与え給うた。

  • そして、暗い世を照らし、垢を去り、泥を清め、鬼を亡ぼさしめるために、瑞の魂を深い御心によって降し給うたのである。

  • 天国に救われようと欲する者は救われる。

  • 瑞霊に叛く者は、自ら亡びを招くことになるのである。

  •  

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