とよたま愛読会133回
   「
霊主体従 8巻  21章 〜 38」   [前回 レポートへ] [次回レポートへ]
    記:望月幹巳 メール:motomi@moon.nifty.jp


日 時  平成19年10月28(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
      連絡先 03-3321-3896、  03-3321-8644
      
参加費は無料です。事前のお申し込みも不要です。霊界物語をお持ちでない方もご参加できます。
物 語   霊主体従 8巻(未の巻) 21章:
滝の村 〜 38章:華燭の典

★ 報告
 今回は三名にて行われました。

 物語は、宣伝使たちが巴留の国へ入り、最初の村で鷹取別の軍勢を言霊によって追い払った後、蚊ヶ虎が村人の喧嘩の仲裁をするところから始まります。
蚊ヶ虎の喧嘩騒ぎの中、淤藤山津見一行が後からやってきて、高彦の改心の演説により、村人たちは三五教の教えの力を目の当たりにし、次々に改心します。

村祭に紛れていた巴留の国の東の酋長・闇山津見の娘・五月姫に招かれて、一行は闇山津見の館に招かれます。
ここで闇山津見に三五教の教えを説くうち、蚊ヶ虎が神がかりして、伊弉冊命の行き先についてのご神策が漏らされます。
伊弉冊命は黄泉国、海底竜宮で曲津神軍を牽制するご神策を遂行された後、ロッキー山に行く振りをして、その実は天教山に戻り、伊弉諾命と合流されていたと言います。

闇山津見は娘・五月姫の宣伝への熱意を感じ、宣伝使一行について行くことを許します。
巴留の都では、日の出神の神力の助けを受け、鷹取別らを追い出し、高彦を原山津見と改名して、巴留の国の守護職として任命することになりました。

一行はさらに珍の国へ向けて進み、途中の峠の温泉で、鷹取別の軍によって瀕死の目にあっていた正鹿山津見を助けます。正鹿山津見は日の出神によって珍の国の守護職に任命されていましたが、巴留の国へ遠征して、災難にあってほうほうの体で逃げ出し、温泉に隠れて療養していました。

峠を越える途中、大蛇峠で蚊ヶ虎が大蛇を使役し、一行は大蛇に乗って一気に峠を下ります。
珍の国の館に安着した一行は、正鹿山津見のもてなしを受けます。
正鹿山津見に妻がいないことを見た蚊ヶ虎は、五月姫と正鹿山津見の婚姻をとりなしました。
その直会の最中、正鹿山津見の三人の娘が聖地エルサレムから訪ねて来て、親子の久しぶりの対面があり、慶事に慶事が重なります。
かつて桃上彦として聖地を混乱に陥れた正鹿山津見でしたが、海の藻屑となるところを琴平別神に救われ、竜宮の門番として長くつらい勤めを終えた後、日の出神に救い出されて珍の国の守護職・宣伝使となったのでした。

元気なお調子者と描かれていた蚊ヶ虎ですが、神がかりして伊弉冊命のご神策を漏らしたり、巴留の国では日の出神のご守護発動のきっかけとなり、珍山峠越えでは大蛇を使い、最後は皐月姫と正鹿山津見の婚姻を取り成すなど、次第に神力を発揮し始めます。
 自称・盤古大神の忘れ形見と名乗る蚊ヶ虎ですが、本当の神名は、婚姻の取り成しのときにちらりと自ら漏らし、故に自分は結婚できないのだ、と語っています。
 

★ 拝読箇所で気のついたこと
霊主体従 未の巻
第四篇 巴留の国
第二十一章 滝の村(371)

* 蚊ヶ虎は喧嘩虎に殴られながら、平然として宣伝歌を歌っていた。
 群衆の中から喧嘩芳という男が現れ、喧嘩虎の加勢をして、蚊ヶ虎に打ってかかった。

* しかし酔いどれの喧嘩芳の棒切れは、間違えて喧嘩虎の頭に命中した。
 それが元で虎と芳は激しい喧嘩を始めてしまった。

* 蚊ヶ虎は二人の間に割って入ったが、二人は再び蚊ヶ虎に殴りかかる。
 蚊ヶ虎はやはり平然として二人のなすがままにされている。
 群集は蚊ヶ虎の忍耐強さを見て、三五教を口々に褒めたたえた。

* そこへ淤藤山津見が高彦(荒熊)を従えて、宣伝歌を歌いながらやってきた。
 淤藤山津見は蚊ヶ虎が血を流しているのを見て心配して声をかけるが、蚊ヶ虎は『血をもって世界を洗うのだ』とにこにこしている。

* 高彦(荒熊)は声を張り上げて、自分の改心を引き合いに、群集たちに三五教への改心を呼びかけた。

* 群衆は悪名高い関守だった荒熊が三五教に改心して力ある言葉で人々に語りかけるのを聞き、三五教を褒めたたえるのであった。

* 淤藤山津見は中央の高座に登って三五教の教理を説き始めた。
 これよりこの群集の七、八分は一度に三五教の信者となった。
 たくさんの駱駝を宣伝使に送り、巴留の都行きを助けた。
 この村は滝の村という。
 

第二十二章 五月姫(372)
* この日は巴留の国の国魂の祭の後、群集が直会の酒に酔いつぶれていたところ、蚊ヶ虎をやってきて、喧嘩虎との騒ぎに発展したのであった。

* 淤藤山津見の演説が終わり、宣伝歌を歌っていると、群衆の中から天女のような美人が現れ、地方の酋長の娘・五月姫であると名乗った。五月姫は宣伝使のお供をしたいと申し出た。

* 五月姫は巴留の国の東半分を治める闇山津見の娘であった。
 群集は威勢ある闇山津見の娘が宣伝使の供を申し出たことで、三五教の徳をますます思い知った。

* 蚊ヶ虎と高彦は五月姫と滑稽な問答をするが、五月姫は三人を館に招いて、教えを聞きたいと申し出た。
 三人は五月姫について闇山津見の館に進んで行った。


第二十三章 黒頭巾(373)
* 蚊ヶ虎と高彦は、五月姫の心中を忖度しながら滑稽な問答を交わしている。
 淤藤山津見と五月姫が門内に入った後、蚊ヶ虎と高彦は締め出されてしまうが、再び招き入れられて館に入った。
 

第二十四章 盲目審神(374)
* 一行は夕食を振舞われた後、祝詞を奏上した。
 闇山津見は改めて宣伝使一向に向かい、黄泉国に行かれたはずの伊弉冊命が、ロッキー山に現れたということを巴留の国の棟梁・鷹取別(大自在天の部下)から聞いて、その真偽を確かめたいのだ、と切り出した。

* 淤藤山津見は竜宮から日の出神とともに伊弉冊命のお供をしてきた際、確かにロッキー山に行くということを聞いた、と話した。すると蚊ヶ虎の身体はにわかに振動し始め、口を切り出した。

* 神懸りした蚊ヶ虎は淤藤山津見の報告を否定し、ロッキー山に現れたのは大自在天・常世神王の妻、大国姫が化けたものだ、と託宣した。

* 淤藤山津見は審神にかかり、蚊ヶ虎に懸った神を霊縛しようとしたが、一向に効果がない。淤藤山津見はこれは邪神であるして伊弉冊命はロッキー山にいらっしゃると請合うが、蚊ヶ虎に憑いた神は言霊を使って淤藤山津見をしかりつけた。

* 淤藤山津見はたまらず神に許しを請うが、どうしても伊弉冊命がロッキー山にいることは確かであると主張した。
 蚊ヶ虎に懸った神は呆れて立ち去った。

* 淤藤山津見は自身が見聞きしたこととして、伊弉冊命がロッキー山に鎮まりいますことを闇山津見に請合った。
 その世は一同は三五教の教えの話に世を明かした。
 

* 伊弉冊命は火の神を生みました後、黄泉国にお出でになられたのは、黄泉国から荒び来る曲津神を封じるご神策であった。
 そのため黄泉国の曲津神たちは海底の竜宮に居所を変えて、再び葦原の瑞穂の国を狙っていた。

* そこで伊弉冊命は今度は竜宮にお出でになって曲津神たちを封じていた。
 乙米姫を身代わりとして曲津神たちを封じた伊弉冊命は、日の出神に迎えられてロッキー山に立て籠もると言い置き、その実は天教山にお帰りになって、伊弉諾大神と合流していたのである。

* この間のご経綸を知らない世の神人たちは、伊弉冊命がロッキー山に現れたと思っていたが、その実これは常世神王の妻・大国姫に悪霊が憑依して、伊弉冊命の名を騙っていたのであった。

* 常世神王は自ら日の出神を偽称して、種々の作戦を立てていた。
 これが後に、黄泉比良坂の戦いにつながるのである。

* ゆえに、黄泉比良坂の故事に伊弉冊命とあるは、真の伊弉冊命ではなく、大国姫の化身なのである。
 

第二十五章 火の車(375)
* 淤藤山津見一行は三五教の教えを闇山津見に詳細に説き明かし、夜明けを迎えた。
 寝室で休もうとしていた三人の耳に、宣伝歌が聞こえてきた。

* 闇山津見の館に迎えられた宣伝使は、駒山彦であった。

* 駒山彦は死んだものと思っていた蚊ヶ虎は、幽霊だと思って恐れるが、駒山彦、淤藤山津見、高彦はそれをからかっている。

* 駒山彦は、筑紫の国からの船中で日の出神に出会い、三五教に改心した経緯を一同に語った。
 そして、淤藤山津見一行に加えてくれるようにと頼んだ。

* そのとき、門外に幾百人もの人声が聞こえた。
 

第二十六章 讃嘆(376)
* 一行はすわ敵軍かと警戒するが、これは巴留の国の人民たちが、宣伝使がやってきてから鷹取別の軍勢が退却して行ったので、感謝のために貢物を持ってやって来たのであった。

* 蚊ヶ虎はこの騒ぎの中でまたもや滑稽なやり取りをして一同を煙に巻いている。
 

第二十七章 沙漠(377)
* 空には一点の雲もない青空の下、四人の宣伝使は数十頭の駱駝に荷物を積んで、闇山津見夫婦に別れを告げ、大沙漠を横断して巴留の都に進もうとしていた。

* そのとき五月姫は見送りの歌を歌ったが、そこには、神の教えを伝えるために一緒に宣伝の旅に出たいという思いが込められていた。

* 闇山津見は娘の心を察して、五月姫に駱駝を引き出して与え、宣伝使たちとともに宣伝の旅に行くことを許した。

* 蚊ヶ虎が出任せの宣伝歌を歌うと、沙漠に吹いていた風はぴたりと止んだ。一行は雑談にふけり、あるいは宣伝歌を歌いながら沙漠を横断し、巴留の都に到着した。


第二十八章 玉詩異(378)
* 一行は巴留の都の入口の森林に駱駝をつないて休息し、作戦を立てていた。
 淤藤山津見は大軍を持つ敵を言向け和す宣伝使の氏名について語り始めるが、蚊ヶ虎が茶々を入れておかしな問答にしてしまう。

* そこへ長剣を提げ甲冑に身を固めた荒武者数十名の駱駝体が現れて、三五教の宣伝使を槍で突こうとする。

* 蚊ヶ虎は自分は盤古神王の忘れ形見・常照彦であると名乗り、武者たちに向かって大音声で怒鳴り名乗りを上げた。

* その権幕に恐れてか、一目散に逃げ帰ってしまった。
 一同はその場で神言を奏上し、宣伝歌を歌いながら城下に向かって進んで行く。
 

第二十九章 原山祇(379)
* 五人の宣伝使は、蚊ヶ虎を先頭に宣伝歌を歌いながら城下に進んで行く。

* 城下の人々はこの様を見て、噂話をしている。
 それによると、さいぜん巴留の都へやってきた三五教の宣伝使は、鷹取別の手下によって瀕死の目に合わされた上、沙漠に埋められてしまった、という。

* また、先ほど戻ってきた駱駝隊は、真っ青な顔で火の玉が出た、と言って逃げ帰ってきたという。

* 宣伝歌を歌いながら城下に迫ると、幾千とも数え切れないほどの天磐船が、北方指して逃げていくのが見えた。

* 高彦が見上げると、城のやぐらには、巨大な火の玉が五色の輝きを見せて空中に揺らいでいた。
 一同は思わず大地に平伏し、拍手をして天津祝詞を奏上した。

* 淤藤山津見は高彦を巴留の国の守護に任命し、原山津見と命名した。
 そして天教山に急使を馳せて、木花姫の認許を奏上した。
 

第五篇 宇都の国
第三十章 珍山峠(380)

* 高彦は、巴留の国の西部の守護職となって、国魂・竜世姫神の神霊を奉斎し、鷹取別の後を継ぐことになった。

* 一行は数日間滞在して国人たちに宣伝歌を教えた後、珍の国へさして進んでいった。
 蚊ヶ虎が珍山峠で川の水を飲んだ際、熱くて妙な味がすることから、上流に温泉が湧いていることを知った。

* 一行は旅の疲れを癒すために、温泉を訪ねることにした。するとはるか向こうに宣伝歌を歌う声が聞こえてくる。
 蚊ヶ虎は先に立って声のする方に行ってしまった。
 そして、後から来る宣伝使たち一行をしきりに呼びたてている。


第三十一章 谷間の温泉(381)
* 蚊ヶ虎の後を追ってやって来た宣伝使たちは、温泉が煙を上げてもうもうと湧き出ているところにやってきた。
 見れば、蚊ヶ虎は倒れている男の前で神言を奏上し、鎮魂を施している。

* 蚊ヶ虎は自分の鎮魂が効を奏さないので、淤藤山津見に鎮魂を頼もうと呼んでいたのであった。
 淤藤山津見は天の数歌を歌い、もろ手を組んでウンと一声息をかけると、倒れていた男は起き上がり、宣伝使たちに礼を述べた。

* 倒れていたのは、正鹿山津見(桃上彦)であった。
 正鹿山津見はこれまでの経緯を一行に語った。

* 正鹿山津見は、秘露の都を宣伝した後、巴留の国へ宣伝に向かったところが、鷹取別の手下によって重傷を負い、沙漠に葬られた。
 そこから夜陰にまぎれて逃げ出し、峠を越えようとして温泉があることを知り、傷を癒していたが、湯にあたって倒れてしまったところに、一行が来て助けてくれたのだ、と語り、改めて感謝の意を表した。

* 淤藤山津見は何事も神様のお引き合わせであると語り、一同は温泉の周囲に端座して神言を奏上した。
 

第三十二章 朝の紅顔(382)
* 珍山峠の温泉に一同は七日間休息し、またもや珍の国を指して進んで行く。
 蚊ヶ虎は駒山彦と軽口を叩きながら進んで行く。

* 正鹿山津見は、珍の国が見える峠に立って、日の出神から珍の国を守るようにと厳命を受けたにも関わらず、巴留の国へ宣伝に旅立ってしまったために、このような目に合い、命を危険にさらしたことの反省を語った。

* 蚊ヶ虎は五月姫の気を探るようなたとえ話を面白おかしく話して一同の旅の慰めをしている。
 

第三十三章 天上眉毛(383)
* 日が暮れてきたところで、一同は夜を明かすことになった。
 正鹿山津見によると、この先は大蛇峠と言って大蛇がたくさん出るところで、夜に越えるのは危ないという。

* 一行は宣伝歌を歌い、野宿することになった。

* 蚊ヶ虎は目を覚まして、寝ている一同の顔を評論しながら、草の汁で落書きを始めた。
 そして自分には「世界一の色男」と書いて面白がっている。
 駒山彦が蚊ヶ虎の笑い声に目を覚まして蚊ヶ虎をたしなめるた。
 

第三十四章 烏天狗(384)
* 夜更けに吹く風が松を揺らす音に五月姫は目を覚ました。
 そして寝ている一同の顔を批評し始めたが、みな顔になにやら落書きがしてあるのを見て、思わず笑ってしまった。

* 蚊ヶ虎は寝た振りをして、五月姫の声におかしさをこらえている。
 駒山彦は五月姫の笑い声に目を覚まして怒ってしかりつけた。
 蚊ヶ虎はついにこらえきれず、大笑いをしてしまう。

* その声に淤藤山津見と正鹿山津見も目を覚ましてしまった。
 そうこうするうちに夜が明けて来たが、それで一同は、それぞれの顔に落書きがされていることに気がついた。

* 一同は蚊ヶ虎のいたずらだとわかって呆れている。
 水のあるところまで行かないと、落書きを落とせないので、仕方なくこのまま大蛇峠へと進んでいった。
 

第三十五章 一二三世(385)
* 夏の炎天に険しい坂を登って行き、一同の顔は汗によって蚊ヶ虎の落書きも落ちてしまった。
 山頂には腰を下ろすのにちょうどよい岩があちこちにあった。

* 一行は岩に座って休んだ。
 蚊ヶ虎は、『親子は一世、夫婦は二世、主従は三世』と殊勝なことを言うが、その意味として、おかしな解説を始める。

* 曰く、親子は一回限り、夫婦は二回まで換えてもよいから二世、主従は三回まで換えられるが、それ以上は換えられないから三世だ、という。

* 蚊ヶ虎の解説に一同は声を揃えて笑った。
 

第三十六章 大蛇の背(386)
* 一同が蚊ヶ虎の講釈に笑っていると、どこからともなく青臭い風が吹いてきた。
 駒山彦は大蛇が近づいてきたかと警戒している。

* 駒山彦は空元気を出して、蚊ヶ虎と先を争って峠を下っていった。
 すると、ものすごい大蛇が道をふさいで横たわっている。
 淤藤山津見も近くまで寄ってみたが、あまりに大きさに越えることもならず、思案に暮れ、蚊ヶ虎に妙案がないか、と問いかけた。

* 蚊ヶ虎は大蛇につかつかと進みよると、拳を固めて大蛇の腹を叩きながら、説教を始めた。
 そして、天津祝詞を奏上して立派な人間にしてやるから、その代わりに一同を乗せて珍の国まで送ってくれ、と語りかけた。

* 大蛇は涙を流し、幾度となく頭を下げている。
 蚊ヶ虎は一同を招いて、大蛇に乗るようにと促した。
 一同は舌を巻いて呆然としていたが、蚊ヶ虎がひらりと大蛇に乗ると、五月姫が続いた。それを見た一行も大蛇の背に飛び乗った。

* 蚊ヶ虎は出放題の歌を歌っている。
 大蛇は勢いよく山を降って行った。
 

第三十七章 珍山彦(387)
* 大蛇に乗った宣伝使たちは、ものすごい勢いで山麓に降ってきた。
 気がつけば、一同は広い芝生の上に下ろされており、大蛇は影も形も見えなくなっていた。

* 大蛇を使う蚊ヶ虎の神力に、淤藤山津見、正鹿山津見、五月姫は驚き感心している。
 淤藤山津見は、これは蚊ヶ虎という名を宣り直さなければ、と言う。

* 正鹿山津見は、大蛇を使ったから大蛇彦という名を提案した。
 蚊ヶ虎は珍山彦という名を自ら提案し、一同は賛成した。

* 正鹿山津見はもうすぐ珍の都が近いことから、神言を奏上して宣伝歌を歌いながら行きましょう、と促した。
 正鹿山津見は節面白く宣伝歌を歌いながら進んで行く。

* ようやく一行は、正鹿山津見の館に着いた。
 主の正鹿山津見が到着すると、中からは数多の僕が走り出て迎えた。
 淤藤山津見らは館に世話になることにした。

* 一同は湯船で旅の疲れを癒し、また珍味佳肴を振舞われ、正鹿山津見の厚意に感謝した。
 その夜は正鹿山津見を中心に、国魂の神を祀る神前に向かって天津祝詞を奏上し、宣伝歌を歌った。
 一同は疲れて熟睡し、あくる朝目が覚めると、また旅の四方山話にふけっていた。
 

第三十八章 華燭の典(388)
* 一同は神前に神言を奏上し、賛美歌を唱えて休息していた。
 正鹿山津見はふすまを開けて入り来た。
 そして御飯の用意ができたことを告げた。

* 蚊ヶ虎は妻のない正鹿山津見の様子を見て、一国の守護職であり宣伝使でもある正鹿山津見に、女房を世話しよう、と申し出た。そして、候補に五月姫を挙げた。

* 淤藤山津見が正鹿山津見にこのことを伝えた。
 また、蚊ヶ虎の説き諭しに五月姫は涙を流して感謝の意を表し、承諾した。

* ここに一同は盛大な結婚の式を挙げた。
 直会の宴のさなか、番頭の国彦がやってきて、聖地エルサレムから正鹿山津見を訪ねて三人の娘、松代姫、竹野姫、梅ヶ香姫がやってきた、と伝えた。
 正鹿山津見は嬉しいことは重なるものだと言って喜んだ。

* 正鹿山津見はかつて聖地の天使長・桃上彦であった。
 兄・広宗彦や行成彦の神政を奪って体主霊従の限りを尽くし、地の高天原は混乱の極みに陥った。
 妻は病死し、自分は常世彦・常世姫によって追放されたのである。

* 船に乗っていたところ暴風にあって船は転覆したが、琴平別の亀に救われて竜宮城にいたり、門番となって長い間艱難辛苦を嘗めたが、日の出神に救われて、珍の国の守護職となった。

* 正鹿山津見の三人の娘は、神夢に感じてはるばるここに訪ねて来た。
 黄泉比良坂の上で黄泉軍を待ち討った伊弉諾命の三個の桃の実とは、すなわち桃上彦の三人の娘の活動を示したものである。
 

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