とよたま愛読会135回
「霊主体従 9巻
8章 〜 29章」
[前回
レポートへ] [次回レポートへ]
記:望月幹巳 メール:motomi@moon.nifty.jp
日 時 平成19年12月23(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所 愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
連絡先 03-3321-3896、 03-3321-8644
参加費は無料です。事前のお申し込みも不要です。霊界物語をお持ちでない方もご参加できます。
物 語 霊主体従 9巻(申の巻) 8章:再生の思 〜 29章:九人娘
★ 報告:
拝読会は六名を集めまして無事に行われました。
また拝読会の後の忘年会には、垣内さん、安倍さんが来てくださいました。
皆で楽しいひとときを過ごすことができました。
ありがとうございました。
物語は高砂洲の宣伝の様子が続きます。
桃上彦の三人の娘たちは、一度は父が死んだと聞かされるが、船に乗り合わせた大蛇彦という不思議な人物の導きで、無事に珍の国の宣伝使となっている父と再会することができました。
父・桃上彦は宣伝使・正鹿山津見となり、五月姫との婚礼の最中でした。
一同は祝歌を歌います。
長女・松代姫の祝歌の冒頭で、三五教の宣伝使・広道別は、三葉彦である、と歌われています。
三葉彦と言えば、オリオン星座から降された聖師様の身魂です。
そうであるとしますと、広道別は聖師様そのものであるということになります。
今後、物語中で広道別の言動には注意を払って読んで行きたいと思います。
桃上彦の娘たちは、宣伝使・淤藤山津見、珍山彦、駒山彦らと供に宣伝の旅にでることを願い出て、聞き入れられます。
しかし照山峠で神の戒めにあって宣伝使たちは各々ひとりひとり宣伝に旅立つことになります。
木花姫命の化身である珍山彦は、三姉妹を導いてカルの国に進んで行きました。
この高砂洲の物語では、大洪水以前に邪神として国祖のご神業を邪魔した神人たちが、日の出神や珍山彦らに救われ諭されて改心し、次々に三五教の宣伝使となっていく様が描かれています。
今回の拝読箇所でも、駒山彦が照山峠の谷底に百日座らされて業を積み、ついには立派な宣伝使となる場面や、高砂洲きっての悪人と自称する虎公や熊公が、珍山彦らの神徳によって改心し、琴平別神に救われて、高照山の岩窟で大蛇彦(珍山彦の化身)の厳しい教示を受けて宣伝使となっていきます。
宣伝使の心構えとしては、師匠や仲間を頼らずに、一人で行動するように、と繰り返し説かれています。
また知識や教えではなく、ひたすら神を祈る真心、すべての人に暖かく接すること、自らの身魂を省みること、が重要であると説かれています。
★ 拝読箇所で気のついたこと
第二篇 一陽来復
第八章 再生の思(401)
* 松代姫、竹野姫、梅ヶ香姫は、智利の港で男に、父・桃上彦が巴留の国で命を落としたと聞かされて、泣いていた。
*
従者の照彦は、三人の姫たちを励ましていた。
そこへ船中から大蛇彦と名乗る色の黒い男が現れて、桃上彦は珍の国で正鹿山津見という立派な神となって無事であることを告げた。一同は大蛇彦の話に勇気付けられた。
*
大蛇彦は珍の国まで道案内をしようと申し出た。
大蛇彦は、高砂洲での桃上彦の遍歴を歌に歌いこみながら一行を案内した。
*
大蛇彦が歌を歌い終わると、不思議にも大蛇彦の姿は煙のように消えうせていた。
そして一行はいつの間にか珍の国の正鹿山津見(桃上彦)の館の門前にたどり着いていた。
第九章 鴛鴦の衾(402)
*
正鹿山津見(桃上彦)は五月姫との婚礼の式を終えた。
そこへ、故郷に残してきた三人の娘が訪ねて来たとの報せが届いた。
*
正鹿山津見と三人の娘は再会を果たし、親子はうれし涙に咽んでいた。
*
珍山彦は慶事重なるめでたい日を祝して、皆で歌を披露しあおう、と提案した。
そして、美しい声で先を切って祝歌を歌い始めた。
*
続いて淤藤山津見司が歌った。珍山彦は続いて、五月姫に歌を促した。
第十章 言葉の車(403)
*
五月姫は四十五清音を読み込んだ契りの歌を歌った。
珍山彦は駒山彦に祝歌を促す。駒山彦が祝歌を披露した後は、正鹿山津見が珍山彦に促されて歌を歌った。
*
その歌には、かつて聖地エルサレムでの自らの悪政の失敗と、日の出神の救い、海底竜宮での苦労、高砂洲での宣伝から今に至るまでの経歴と、改心の誓いと喜びが読み込まれていた。
*
珍山彦は松代姫に親子対面の祝いの歌を促す。
第十一章 蓬莱山(404)
*
松代姫は、三五教が黄金山に現れた経緯から歌い始めた。
厳のみろくの守り神が瑞霊と現れて、三五教の宣伝使・三葉彦の神魂となった。
三葉彦は広道別と名を改めて、黄金山に宮柱を立てた、という。
*
そして、三五教の神のよさしによって、高砂洲への長旅を無事に終え、親子の対面を果たすことのできた喜びを歌いこんだ。
*
竹野姫と梅ヶ香姫も、言霊歌の慶歌を披露した。
最後に従者の照彦が祝歌を歌い終わると、珍山彦は天晴と手を打って祝いの口上を述べた。
第三篇 天涯万里
第十二章 鹿島立(405)
*
数日滞在の後、淤藤山津見は、正鹿山津見に珍の国の後事を託して、珍山彦・駒山彦を従えて再び宣伝の旅に出ようとしていた。
*
松代姫は淤藤山津見に、自分たち三姉妹も宣伝使としてお供に連れて行ってもらえるように頼み込んだ。
父・正鹿山津見も娘たちの決心に感じ、珍山彦に娘を託した。
*
珍山彦は、照山峠を越えてハラの港、智利、秘露、カル、目の国を越えて、遠く常世の国へと進んで行くのだ、と宣伝の道筋を一同に示した。
また正鹿山津見は照彦を宣伝使一行の供として行くことを許した。
第十三章 訣別の歌(406)
*
照山峠に上った一行は休息を取った。
淤藤山津見は智利には狭依彦が宣伝し、秘露には紅葉彦が宣伝をしているので、自分たちはハラの港から直接カルの国へ渡ろう、と提案した。
*
三姉妹は峠の上から、父親のいる珍の都へ別れを告げる歌を歌った。
第十四章 闇の谷底(407)
*
一行は照山峠を東に向かって下っていった。
智利の国の里近くまで降りてきたところで、不思議にも一行の足は一歩も進むことができなくなってしまった。
*
かたわらの鬱蒼たる森林の中からは、淤藤山津見、駒山彦、照彦を呼ぶ破れ鐘のような声が響いてきた。
三人はその声に、ひきつけられるようにして森の中へ入ってしまった。
*
後には、珍山彦と三姉妹が残された。珍山彦は、これから四人でハラの港からアタルの都に入り、常世の国へ渡って黄泉島の宣伝をするのだ、と伝えた。そして、宣伝使の実地教育を珍山彦自ら行うのだ、と諭した。
*
珍山彦は三姉妹に、九死に一生の困難を克服しなければ誠の道は開けない、その後は各自宣伝使となってばらばらになり、神業に奉仕するのだ、師匠兄弟を杖に付くようなことでは神界の奉仕はできない、と心構えを伝えた。
*
四人はハラの港に向かって進んで行く。
*
一方、淤藤山津見、駒山彦、照彦は怪しい声にひきつけられて谷川をさかのぼり、数里山奥に分け入っていた。
高山と高山の深い谷間には月影もささず、夜はおいおいと更けていくばかりであった。
*
三人の身体はまたもや強直して動くことができなくなった。
照彦は神懸りし、月照彦命である、と口を切った。
そして淤藤山津見と駒山彦の心構えの甘さを厳しく問い詰め始めた。
第十五章 団子理屈(408)
*
照彦に憑いた月照彦命は、谷底で淤藤山津見と駒山彦に説教を続けている。
駒山彦はそれにいちいち口答えをしていたが、淤藤山津見はじっと聞いていた。
*
淤藤山津見は足が立つようになった。
そして照彦に憑いた神に、教訓への感謝を捧げた。
照彦の神は淤藤山津見に、カルの国に一人だけで進んで行くように、と命じた。
*
淤藤山津見が谷を立ち去ろうとするとき、ちょうど三五の明月が山頂に昇り、谷間を照らし出した。
* 淤藤山津見は月光に力を得て、宣伝歌を歌いながら元来た道を帰って行った。
第十六章 蛸釣られ(409)
*
駒山彦は淤藤山津見をしきりに呼び止めていたが、体が動かない。ふと見ると、月光に照らされた照彦は、珍山彦の姿に変わっていた。照彦の神は引き続き、駒山彦への説教を続ける。
*
そして最後に、ここで駒山彦に修行するように、と言い渡すと、照彦は宣伝歌を歌いながら去ってしまった。
*
駒山彦はこの谷間に百日百夜座らされて断食の行を積んだ。日夜神の教訓を受けて、立派な宣伝使となった。
そして名を羽山津見司を改めて、黄泉比良坂の神業に参加することになる。
*
実は照彦は、ある尊い神の分霊であった。
後に戸山津見司となる。
第十七章 甦生(410)
*
駒山彦は日々教訓の歌を神から聞きつつ谷間に百日の行をなし、心魂清まり、ここに羽山津見司となった。
心身健やかに、宣伝歌を歌いながらカルの都を指して進んでいった。
*
宣伝歌を歌いながら道々国人たちに神の教えを伝えながら進んで行く。
第四篇 千山万水
第十八章 初陣(411)
*
一方、珍山彦と三姉妹は智利の国の南方にあるハラの港に着いた。
一行は船に乗り込んだ。船の名はアタル丸と言い、アタルの港に帰るところであった。
*
船中では、熊公と虎公が雑談話をしていた。
虎公は自らの犯してきた悪を自慢していた。
智利の港で、桃上彦は死んだ、と嘘の情報を話して三姉妹一行から金を詐取したのは、実はこの虎公であった。
*
珍山彦は虎公と熊公の会話を聞いて、松代姫に、二人の改心を促す宣伝を命じた。
松代姫は船中に立って、しとやかに二人を諭す宣伝歌を歌い始めた。
*
松代姫はその宣伝歌に自分の身の上を読み込み、また人間は、神から身魂を与えられた神に等しき存在であり、直日に見直し聞きなおして心の玉を取り戻すように、と語りかけた。
*
船中の人々はこの声に耳を澄ませて静かに聞き入り、また感嘆している。
虎公は以前の威勢のよさにも似ず、この歌に感じて大声をあげて泣き伏した。
第十九章 悔悟の涙(412)
* 黒雲に包まれていた空は雲も晴れ、十三夜の月がアタル丸の船中を照らし出した。
珍山彦は、熊公に向かって霊をかけた。
すると熊公は神懸りになって口を切り、大蛇彦命と名乗った。
*
そして虎公に対して、これまでの悪の心を改めるよう諭し、改心を促した。説示が終わると、熊公の神懸りは元に戻った。
*
虎公は大蛇彦命の教訓に胸を打たれて断腸の念に苦しみ、煩悶した挙句、海に向かって身を投げてしまった。
これを見た熊公は、虎公を助けようと続いて海に飛び込んだ。
*
先客は総立ちとなって二人の行方を探している。
第二十章 心の鏡(412)
*
三姉妹は月に照らされて崇高な面持ちで船のへさきに立ち、海面に向かって拍手し、虎公と熊公の身の安全を琴平別大神に祈願する歌を歌い、また元の座に復した。
*
船客たちは、松代姫の宣伝歌や熊公の神懸りの宣示について、雑談にふけっている。
自らの身の上を見直したり、虎公は神の教示に感じて海に飛び込んだところから、意外にも根は善人であった、などと話あっている。
また、智利のアリナの滝に現れた宣伝使・狭依彦の噂をなし、鏡の池の洗礼を受けに行こう、と神徳話にふけっている。
船客たちは海に飛び込んだ虎公・熊公の身の上についても心配をしているが、珍山彦はにこにこしながらその話を聞いているのみであった。
*
アタル丸がようやく港に安着すると、波止場には虎公・熊公が無事に立ってこの船を待ち迎えていた。
第二十一章 志芸山祇(414)
*
港についたアタル丸の船客たちに、虎公は自分の悪事を懺悔し、亀に救われたことを話した。
また、亀の背で熊公に懸った神様から、志芸山津見命という名を賜り、カルの国で宣伝使となるように、と告げられたことを語った。
*
船客たちは虎公の話を聞いて、おのおの神徳話にふけっている。
第二十二章 晩夏の風(415)
*
一行はアタルの港で群集に向かって宣伝歌を歌い、宣伝を行った。
不思議にも珍山彦の腰はまっすぐになり、若々しくうるわしく輝き始めた。
*
宣伝使一行は市中を抜けて、玉山のふもとで休息した。
虎公、熊公の二人は一行の前に現れてひれ伏し、改心の色を表した。
松代姫は虎公を許し、珍山彦は二人の改心を褒め称え、宣伝使として尽くすように、と諭した。
*
虎公は珍山彦について宣伝使として教えを受けたい、と願うが、珍山彦は、難しい教理を学ぶ必要はない、ただ心から誠を祈り悔改めることだ、神の道は入り易く歩み易いものだ、と諭した。
*
おとなしく柔らかく湯のような温情をもってすべての人々に臨むのが、宣伝使の第一の任務である。
また、腹を立てるな、偽るな、飾るな、誠の心で日々自身の身魂を省みること、それが立派な神の道の宣伝使であり、難しい理屈を言うには及ばない、と諭した。
*
そして、虎公と熊公はカルとヒルの国境にそびえる高照山で禊をなし、その後にカルの国を宣伝せよ、と任命した。
*
珍山彦は三姉妹を伴って北へ北へと進んで行く。
その後姿を虎公と熊公は伏し拝み、神恩に感謝してその場に泣き伏した。
第二十三章 高照山(416)
*
虎公、熊公が神恩に感じ入って感謝を述べているところへ、四五人の荒男がやってきた。
それは旧知の鹿公一行であった。
*
鹿公は高照山の岩窟に、八岐の大蛇という神が現れて、結構な御神徳を下さっている、という話をして、去っていく。
虎公、熊公はその神を見定めようと、岩窟に向かって谷道を進んでいった。
* 岩窟の前にはたくさんの参詣人が祈っている。
岩窟からはいやらしい笑い声が聞こえ、信徒に悪をなし弱肉強食を進めるようにと託宣を垂れている。
*
虎公は立ち上がって名乗りを上げ、岩窟の神に向かって挑戦し始めた。
熊公も、改心を勧告する。
しかし岩窟の声は逆に、二人の過去の罪を責め、宣伝使としての未熟さを言霊を駆使してなじり始めた。
第二十四章 玉川の滝(417)
*
虎公は、岩窟の神が邪神ではないのではないかと思い始め、拍手再拝して敬意を表し、教えを乞うた。
*
岩窟の神は宣伝使としての心構えを虎公、熊公に伝えた。
そして、自分は実は八岐の大蛇ではなく、大蛇彦命である、と伝えた。
*
虎公(志芸山津見)はこれよりますます心を改め、カルの国一円を宣伝し、熊公と供に功を表した。
そして黄泉比良坂の神軍に参加して勇名をとどろかした。
第二十五章 窟の宿替(418)
*
岩窟の前で記念していた志芸山津見は、大蛇彦と何かを申し合わせると、谷川を渡って反対側の西の岩窟の中に入っていった。
*
熊公が追って行こうとすると、岩窟から大蛇彦の声が出て熊公を霊縛してその場にとどめた。
そして、志芸山津見を頼らずに自力で宣伝するように、と諭した。
*
そこへ鹿公がやってきて熊公に声をかけた。
大蛇彦は、熊公の霊縛を解いた。
そして、これから西の岩窟に宿替えするから、鹿公と供に谷川を渡って西の岩窟の前に行くように、と命じた。
*
西の岩窟の前に着くと、岩窟から声が聞こえてきて、鹿公の悪事を責め、改心を迫る説教を始めた。
鹿公は大蛇彦の声ではないと疑って岩窟の中に入ろうとしたが、大音響が響いてきて驚き、その場に平伏してしまった。
第二十六章 巴の舞(419)
*
西の岩窟の大蛇彦の説教は続き、三五教の教えを熊公、鹿公に授けた。熊公と鹿公は岩窟の前で、大蛇彦の神徳をたたえる歌を節面白く歌った。
すると、この歌につられて岩窟の中から志芸山津見が現れ、三人は吾を忘れて踊り狂った。
*
三人は日夜滝に禊をなし、おのおの手分けして三五教の教えを伝えた。
熊公は石柝の司、鹿公は根柝の司の活動をなし、黄泉比良坂の神業に参加して大功を立てることになる。
第五篇 百花爛漫
第二十七章 月光照梅(420)
*
カルの国をただ一人で宣伝して回っていた梅ヶ香姫は、はざまの森に着いた。
疲れ果てて一歩も進むことができない身の上を一人嘆いている。
*
はざまの森では鷹取別の密偵たちが、三五教の宣伝使を捉えようと潜んでいたが、梅ヶ香姫の様子が幽霊のようにも見え、おびえている。
一人が梅ヶ香姫に声をかけたが、梅ヶ香姫は幽霊の振りをして密偵たちを追い払った。
*
梅ヶ香姫が一人祝詞を上げていると、そこへ先ほどの密偵たちの一人がやってきた。
そして、自分はカルの国の役人だが、実は三五教を密かに奉じる者であり、ぜひ家に泊まっていただきたい、と申し出た。
*
また、鷹取別は桃上彦の三人の娘が三五教の宣伝使となって北上していることを察知し、捉えようと多くの密偵を放っていることを明かし、梅ヶ香姫に注意を促した。
*
梅ヶ香姫は親切に感謝し、この役人の家に世話になることにした。
第二十八章 窟の邂逅(421)
*
梅ヶ香姫に宿を申し出た男は、春山彦と名乗った。
春山彦の妻・夏姫と、三人の娘たちが梅ヶ香姫を出迎えて食事を供した。
*
夏姫は、後ろの山に密かに石室を築いて大神様を祭っているという。
梅ヶ香姫に、宣伝歌と神言の奏上を依頼した。
案内されて行くと、石室の中からしとやかな宣伝歌が聞こえる。
梅ヶ香姫は宣伝歌に聞き入っていた。
*
そこにいたのは二人の姉・松代姫と竹野姫であった。
三人が再開に嬉し涙を流す間に、表からは騒々しい物音が聞こえてきた。
第二十九章 九人娘(422)
*
春山彦が三人の宣伝使をかくまっていることが知れて、同僚の照山彦、竹山彦が家来を引き連れて、捕縛にやってきたのであった。
*
春山彦は、照山彦・竹山彦を待たせておいて、その間に妻の夏姫を呼び、自分の娘たち、秋月姫・深雪姫・橘姫を宣伝使の変わりに差し出そうと提案した。
*
夏姫はただ涙にくれていたが、そこへ娘たちはいつの間にか宣伝使の服をつけて両親の前に現れ、自ら身代わりになろうと決心の色を表した。
*
そこへ松・竹・梅の三姉妹の宣伝使が現れ、春山彦一家の心遣いに感謝しつつも、やはり自分たちが自ら縄につこうと、縛吏の待つ部屋に行こうとする。親子は宣伝使にすがって止めようとする。
*
照山彦、竹山彦は待ちきれずに春山彦を呼びたてて、宣伝使の引渡しを要求した。
松・竹・梅の三姉妹はその場に現れて、自ら縄につき、引かれて行った。
春山彦と夏姫はわっとその場に泣き伏した。
*
そこへ、春山彦の三人の娘と、今引かれて行ったはずの三姉妹の宣伝使が、何事かとやってきた。
春山彦夫婦は自分の娘たちも三宣伝使も無事でいることに驚き、思案にくれている。
*
果たして、捕縛されて行った三姉妹の宣伝使は、何神の化身であろうか。
[拝読箇所一覧] [愛読会の紹介] [オニ(王仁)の道ページ]