とよたま愛読会164回
「如意宝珠 21巻
14章 〜 22巻
3章」
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記:望月幹巳 メール:motomi@moon.nifty.jp
日 時 平成22年 5月23(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所 愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
連絡先 03-3321-3896、 03-3321-8644
参加費は無料です。事前のお申し込みも不要です。
霊界物語をお持ちでない方もご参加できます。
拝読箇所
如意宝珠 21巻(申の巻)14章 恩愛の涙 〜 22巻(酉の巻)3章 不知火
★ 報告
梅雨の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今日は鎌倉よりNMTさんご夫妻に御参加いただき、KWMさん、SOTさん、そして私望月の五名を集めまして無事に行われました。
第二十一巻は、高春山のアルプス教を三人の宣伝使と杢助・お初親子が言向け和す言霊戦の最後の部分です。旅の途上、さまざまな試練に会い、執着心を克服した玉治別、竜国別、国依別らは高春山に集います。
お初は六歳の少女にも似ず、さまざまな神変を現して宣伝使たちを諭し助けます。お初の作戦により、アルプス教のテーリスタンとカーリンスは鷹依姫に叛旗を翻し、高姫と黒姫が救出されます。
お初の諭しに鷹依姫も我を折って三五教に降伏します。また、高姫もお初によって呑み込んだ如意宝珠の玉と紫の玉を返却させられました。
その中で竜国別は、実は鷹依姫の息子であることがわかります。逐電した放蕩息子に心を痛め、再会したいという思いが、鷹依姫がバラモン教に入信したきっかけだったことが明らかになります。
三五教は二つの玉と、鷹依姫、テーリスタン、カーリンスらの帰順を得て高春山の言霊戦が集結します。
第二十二巻に入ると、総説では天地経綸の神業に携わる人はどのような資質を備えなければならないかが説諭されています。
そして物語は、高春山の言霊戦の後から始まります。太古からの神宝である黄金の玉、如意宝珠の玉、紫の玉が揃った聖地・錦の宮ですが、教主・言依別命から黄金の玉の保管を命じられた黒姫は、玉を紛失してしまい、騒動が勃発します。
この事件をきっかけに、黒姫、鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンスの五人が玉を捜すという名目で四方の国々に出かけて行き、魔神退治の神業に携わることとなります。
★ 拝読箇所で気のついたこと
霊界物語 第二十一巻 如意宝珠 申の巻
第三篇 男女同権
第十四章 恩愛の涙(六八八) :おんあいのなみだ
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玉治別と杢助・お初親子は、津田の湖水を渡って高春山の正面から攻め上った。三人は途中、一人の女がアルプス教の手の者たちに捕らえられて責められているところに出くわした。
- 杢助によってアルプス教の者たちは追い払われた。女は玉治別の妻・お勝であった。お勝は父の松鷹彦の病気を夫に知らせるためにやってきたのであった。
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しかし玉治別は今は宣伝使の使命として高春山の言霊戦に携わる身であり、女を連れることはできないと言い渡した。そして、自分の使命を知っていながら情に曇らされて行動するような女は自分の妻ではない、と厳しくお勝を諌めた。
- 玉治別の言葉にお勝は自分の非を悟り、帰って行った。杢助は玉治別の心中を察して慰めの言葉をかけ、三人は高春山へと登っていく。
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お勝は帰り道の道中、自分の非を悔い、夫の諭しに感謝をする宣伝歌を歌った。武志の宮に帰りつくと、父の松鷹彦は気分良く天の真浦に介抱されながら、お勝の帰りを出迎えた。
第四篇 反復無常
第十五章 化地蔵(六八九) :ばけぢざう
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国依別は六甲山の頂上を目指して登っている途上であった。枯れ草の中に地蔵が立っているところへやってきて、一休みするうち、動かず冷たい地蔵に対して、外面如菩薩内心如夜叉だと、文句を言い非難をし出した。
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すると地蔵は石から離れて飛び出し、国依別も心に鬼を飼う宣伝使だと悪口を言って返した。国依別は地蔵の口が悪いので、幽界で高利貸しをしているのではないか、と返す。
- 地蔵は話を合わせて高利貸しの苦労を語り、地蔵としてじっと立っている苦労を語った。そして国依別が宗彦時代に女を苦しめた罪を数えた。
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地蔵は国依別に、自分を背負って六甲山の上まで連れて行ってくれ、と頼み出した。渋る国依別に対して地蔵は、自分を背負って行くだけの甲斐性がなければ高春山の鷹依姫を言向け和すことはできない、と言い返す。
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そして竜国別はすでに鬼娘に喰われて他界したと言って国依別の意気をくじこうとした。国依別はその話を信じずに鎮魂を始めた。すると地蔵は国依別の昔の女・お市の姿と化した。そしてここは六甲山ではなく、すでに幽界だと国依別を脅す。
- 国依別はお市と言い争ううち、五六人の男の声で目を覚ました。国依別は石地蔵の前で寝込んで夢を見ていたのであった。
- 国依別に声をかけて起こしたのは、高春山のテーリスタンの部下たちであった。男たちは三五教の宣伝使を召捕りにやってきたのであった。
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しかし男たちの中に、国依別に妹を取られた常公がいて、見知っていた。そこで国依別は昔の女の一人である常公の妹・お松の消息を尋ねた。お松はその後、ウラナイ教に入って松姫として権勢を奮っていたという。
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国依別はお松が松姫となっていたことに感心し、一時は自分の女だったことを男たちに自慢してのろけて見せた。男たちはその語り口に呑まれ、すっかり国依別に惚れ込んでしまった。
- 国依別は男たちを言向け和して信者となすと、一行を引き連れて高春山を目指すこととなった。
第十六章 約束履行(六九〇) :やくそくりこう
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杢助・お初、玉治別は高春山の中腹・雨の森についた。ここで竜国別、国依別と落ち合う手はずになっていたため、三人は待っていたが、なかなか竜国別、国依別はやってこない。
- 玉治別はしきりに、二人が女難の相が出ていることを心配している。そこへ竜国別が登って来て合流した。
- 玉治別は竜国別の額に傷があることを見とがめ、わけを尋ねるが、竜国別は約束だから話すことはできない、と言って傷の由来を隠そうとする。
- しかし杢助はその傷の様子から、大谷山の鬼娘に地を吸われたことを見通してしまう。竜国別は仕方なく、鬼娘のお光と邂逅した有様を白状した。
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すると早速黒雲を起こして鬼娘がやってきた。竜国別は隠れて杢助が鬼娘の相手をする。鬼娘は竜国別を渡せとわめくが、杢助の楯にして竜国別は、約束は履行しないと宣言する。
- 鬼娘は悔しがって、杢助がいないときに竜国別を襲ってやると言う。しかしそのとき、お初が鬼娘を呼んで、自分を覚えているか、と話しかけた。
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鬼娘はお初の顔を見ると、一声叫んで白煙となって消滅してしまった。あたりを包んでいた黒雲は吹き払われてしまった。杢助はこれで鬼娘も成仏したと言って、竜国別を安堵させた。
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そこへ国依別が男たちを引き連れて登って来た。国依別はいきさつを一行に語る。するとお初が突然、作戦を申し伝える、と荘重な声で呼ばわった。宣伝使たち四人はハイと答えて大地に平伏し、お初の宣旨を待った。
第十七章 酒の息(六九一)
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アルプス教の本山・高春山では鷹依姫が、力と頼む臣下のテーリスタンとカーリンスに説教をしていた。二人が酒におぼれて酔っ払っているのを咎めていたのである。
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しかしテーリスタンとカーリンスは酔って鷹依姫の小言をまぜっかえしている。そこへお初がつかつかと入ってきて、テーリスタンとカーリンスのお酌をすると申し出た。
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お初は、父の杢助が雨の森までやってきて、アルプス教をやっつけようとしていることを話した。テーリスタンとカーリンスは、杢助の子分になった方がいいと思い直し、酔ったまま鷹依姫にあからさまに反抗しだした。
- 鷹依姫は自分に忠誠を誓ったことを持ち出して、テーリスタンとカーリンスを非難する。すると二人は、拳を固めて鷹依姫に殴りかかろうとした。
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お初は鷹依姫に対して、悪い奴を信用したものだ、と同情する。テーリスタンとカーリンスは聞きとがめてお初に言い訳をするが、お初は、自分は子供だから思ったことを口にするのだ、と言う。
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テーリスタンとカーリンスは、杢助に取り入ろうとお初に胡麻をする。そして、杢助がやってくる前に、高姫と黒姫を岩戸から救出しておこうと相談し、テーリスタンが鷹依姫を見張り、カーリンスは岩窟に向かって走っていった。
第十八章 解決(六九二)
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高姫と黒姫を閉じ込めた岩窟の前にやってきたテーリスタンは、二人に外へ出るように言って錠を開ける。高姫は鷹依姫を言向け和すのだから案内しろ、とテーリスタンに命じる。
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道々、高姫はなぜテーリスタンが三五教に味方するようになったかと問いかけた。テーリスタンは、子供ながら二人を岩窟から救い出すためにやってきたお初に降参したのだ、と語る。
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高姫は感心しながら鷹依姫の居間にやってきた。高姫は、自分たちを岩窟に閉じ込めて飢えさせた鷹依姫を非難する。鷹依姫は、食事を与えなかったのはテーリスタンとカーリンスだと責任を転嫁し、二人と言い争う。
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テーリスタンとカーリンスは、お初に仲裁を頼むが、お初は鷹依姫も、テーリスタンもカーリンスも善人ではないから改心するように、と言い聞かせる。テーリスタンとカーリンスは赤面して反省する。
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そこへ杢助、玉治別、竜国別、国依別の四人がやってきた。お初は鷹依姫に向かって底力のある声で改心を迫ると、鷹依姫ははらはらと涙を流して、遂には声を放ってその場に泣き伏した。
- 次にお初は高姫に向かって、改心して呑み込んだ二つの玉を返すように、と言い渡した。高姫は観念し、お初が腰を打つと、紫の玉と如意宝珠の玉を吐き出した。
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お初は紫の玉を鷹依姫に返そうとするが、鷹依姫は改心した以上、玉は三五教へ献上すると答えた。そして、自分は行方をくらました極道息子との再会を願ってバラモン教に入信したが、遂には一派を立ててアルプス教を開くまでになってしまったのだ、と身の上を明かした。
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鷹依姫の息子の特徴は、竜国別と一致した。お初は、竜国別は確かに鷹依姫の息子に違いないと明らかにし、高春山の途上の社で竜国別に試練を与えた女は、自分の化身であったことを明かした。
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鷹依姫と竜国別は、親子の対面を果たした。お初は竜国別は額の傷によって身魂の罪は取り払われて水晶の魂となったことを宣言した。そして天津祝詞を捧げて聖地に帰るようにと一行を促した。
- 一同はこの言葉にはっと頭を下げ、口をすすいで天津祝詞を奏上した。そして宣伝歌を玉治別の音頭により高唱した。
霊界物語 第二十二巻 如意宝珠 酉の巻
序文
- 過去・現在・未来を通じ宇宙精神の片鱗を漏らした霊界物語も二十二巻に達した。本巻は中でも執着心を戒めたものである。
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なるべく誤りないように焦慮して口述したものの、凡夫の身をもって広大無辺の宇宙の意思を述べるので、口述者が霊界に至ったとき、神々から天下に誤謬を伝えたとお目玉を頂戴することの恐ろしさに沈みながら、やむを得ず口述したものである。
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霊界に行ったときに大神様に平身低頭の覚悟を持って、舎身的に何神様かに口を貸して使ってもらっているばかりであるから、各階級の神々が思い思いの物語をして、当世の智者学者を失笑せしめ、軽侮の念を抱かせることもあるかもしれません。
- 前言美辞が脱線しました。皆様ご用心あれ。
総説
- 天下万物の中で、もっとも身魂が優れている存在である人間は、天から上中下三段の御魂を授けられて各自の御魂相応に世界経綸の神業を負わせているのである。
- しかし今の世は身魂の位置が転倒していて、悪霊などが人類の霊魂を狂惑している。そのために地上は霊主体従・弱肉強食の暗黒世界となってしまっている。
- 天下経綸の神業に奉仕すべき人類の御魂が抜けてしまい獣の心になってしまっていては、世界は行き詰まり、急変事が突発しないとも限らない。
- 世界の人類は一日も早く目を覚まし、誠一つの麻柱の道によって霊魂を磨き、神心に立ち返られなければならない。
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真心とは、天地の先祖の大神の大精神に合致した清浄心である。至仁至愛にして万事に心を配り、泰然として動かず焦らず、物質欲に淡く心神を安静に保ち、天意を本として人と争わずよく耐え忍ぶ。
- 宇宙一切を我が身魂の所有となして春夏秋冬、昼夜風雨雷電霜雪、いずれも言霊の御稜威に服従するまでに至るならば、初めて神心を発揚したと言えるのである。
- 災難や艱難苦難に会っても意に介せず、幸運に会っても油断せず、生死を一如と見、世事一切を神明の御心に任せる。
- 心魂常に安静にして小さな我を捨てて大我に合し、天の時・神意に従って天下公共のために舎身の活躍をなす。
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善を思い善を言い善を行い、奇魂の真智を照らして大人の行いを備える。意思を常に内に向かわせて、自己独り知ることを慎み、力量才覚を人にひけらかすことを望まない。
- 神明の代表者たる品位を保ち、自然にして世界を光輝かし、一点の私心もなき時は、その胸中に永遠無窮の神国がある。
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善者・老者を友として悪人愚者劣者を憐れみ、精神上・物質上に恵み救い、富貴をうらやまず貧賤をいとわず、富貴に処しては神国のために心魂を傾け、貧に処しては簡易なる生活に感謝する。
- 我心我欲を戒めて他を害せず傷つけず、失敗しても自暴自棄とならず、天命を楽しみ人としての天職を尽くし自己の生業に励む。
- 天下修斎の大神業に参加するときも頭脳を冷静にして騒がず、心魂洋々として不動にして寛仁大度の精神を養い、神政成就を補佐する。
- 神界の律法に照らして善悪を判断し、天意にしたがって一々最善の行動を取り、至仁至愛の真心を持って万有を守る。公平な精神を持つ人格を備える。
- これらが備わったとき、すなわち神人にしての心魂は真心なのである。
- 逆に利害得失のために精神を左右して、体主霊従・利己主義を標榜するのは小人の魔心なのである。
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魔心の帰結として、執着心強くして自ら地獄道を造り邪気を生み出し、自ら苦しむ者が天下に充満する。この阿鼻叫喚の惨状を座視するに忍びず、大神は苦集滅道を説き道法礼節を開示し給うたのである。それがこの物語である。
- 非は理に勝たず、理は法に勝たず、法は権に勝たず、権は天に勝たず。天定まって人を制するという真諦を神のまにまに二十二巻まで口述し終わった次第である。
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いよいよ大正十年九月八日に神命が降り十日間の斎戒沐浴を終わって、同十八日より口述を始め、大正十一年旧三月三日までに五百六十七章を、続いて五月五日までに王仁に因んだ七百十二章を述べ終わった。神界経綸の少しも違算のないことに驚くばかりである。
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瑞月が本書を口述始めるや、パリサイ人の非難攻撃現れ、編集者以下筆録者もずいぶん苦しんだが、神助のもとにかろうじて本巻まで口述筆記を終わり、神竜の片鱗をここに開示することができたことを、大教祖の神霊に謹んで感謝し奉る。
- また筆録者一同、関係者一同にここに謹んで感謝する次第である。
第一篇 暗雲低迷
第一章 玉騒疑(六九三) :たまさわぎ
- 天地の元津御親である国治立大神は、醜の曲津の猛びによってぜひ無く豊国姫命とともに独身神となって御身を隠したもうた。
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大国治立尊の御子である神伊弉諾大神、神伊弉冊大神の二柱は、神勅を奉じて海月なす漂へる国を造り固めようとした。木花姫命や日の出神とはかって神国成就のために尽くしたのだが、天足彦・胞場姫の霊から現れ出た曲津見が荒れ狂い、八百万の神人たちの心は再びねじけて、世は常闇となってしまった。
- 神伊弉諾命の御子と生まれた天照大御神と神素盞嗚大神は、天津神・国津神たちに道を説き諭したが、日に世に穢れが積もって多くの罪が出で来た。
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素盞嗚大神は葦原国を治めるべく心を砕いたが、治めるすべもなく泣き叫んだ。神伊弉諾命はこれを見咎めて、葦原国を治める資格がないので母の治める地下の国へ行くように、と申し渡した。
- 素盞嗚尊は姉神・天照大御神に事と次第を申し上げようと高天原に上ったが、天照大御神は素盞嗚尊が高天原を奪いに来たのではないか、と真意を疑った。
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素盞嗚尊の疑いは、誓約によって晴れたが、素盞嗚尊の従神たちが怒って暴れたために、素盞嗚尊は千座の置戸を背負って高天原を追われ、地上の国々にはびこる邪神たちを言向け和す漂浪の旅を続けることとなった。
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大洪水以前はエルサレムが神業の中心地であった。その後、国治立尊の分霊・国武彦が自転倒島に現れて、神素盞嗚大神と共に五六七神政の基礎を築いた。それより自転倒島は世界統一の神業地と定まった。
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顕国玉の精より現れた如意宝珠の玉、黄金の玉、紫の玉は神界における三種の神宝として最も貴重なものとされている。この三つの玉を称して瑞の御魂という。この玉が納まる国は、豊葦原の瑞穂国を統一すべき神憲が備わっているのである。
- 国治立命は天教山を出入り口となし、豊国姫神は鳴門を出入り口として、地上の経綸を行い、長く世に隠れて五六七神政成就の時機を待った。
- 素盞嗚尊は分霊・少彦名命として神業に参加していたが、今また言依別命と現れて三種の神宝を保護することとなった。
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三種の神宝は錦の宮に納まったが、国治立命・豊国姫神の命によって、いまだ時期尚早なれば三千世界一度に開く梅の花の春を待って三個の神宝を世に表すべし、とあったため、言依別命はひそかに自転倒島のある地点に深く隠した。
- 本巻はその神業の由来を口述する。有形にして無形、有声にして無声なる神変不可思議の神宝なので、凡眼では見ることができないものである。
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黒姫は、言依別命から黄金の玉を守る役目を与えられていた。黒姫は黄金の玉を四尾山の麓の一つ松の下に埋めて隠し、ときどき密かにその無事を確認にやってきていた。
- ある晩、黒姫がしばしばこそこそとどこかへ出かけていくのを不審に思ったテーリスタンとカーリンスは、黒姫のあとをつけて四尾山の麓までやってきた。
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すると黒姫は、一つ松の下から石びつを掘り出して、その蓋を開けて中をのぞいていた。しかし黒姫は中が空っぽであることに驚いてどっと打ち倒れてしまった。黒姫は人の足音を聞きつけて気を取り直し、木陰に姿を隠した。
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テーリスタンとカーリンスは、黒姫が去った後に一つ松の下に来て、石びつを確認し、言依別命が黒姫に託した黄金の玉は、ここに隠されてあったことを悟った。しかし先ほど見た黒姫の様子が変だったので、二人は黒姫の姿を辺りに探す。
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すると下手のため池に人が飛び込んだ音がした。二人は駆けつけると、池の縁に履物が脱ぎ捨ててあるのが見えた。黒姫が身投げしたことを悟り、カーリンスは池に飛び込んで黒姫を救出した。
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カーリンスは、二人分の着物を取りに行き、その間にテーリスタンが火を起こして黒姫の体を温めた。そのうちに黒姫は気が付くが、死なしてくれ、と言ってテーリスタンとカーリンスを困らせる。
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テーリスタンは、黒姫が黄金の玉を紛失したのだろう、と推測する。黒姫は図星を指されて、自分を助けてくれたテーリスタンとカーリンスが、てっきり玉を盗んだものと疑い始め、二人を厳しく詰問しだした。
- テーリスタンとカーリンスは、親切心が仇となってあらぬ疑いをかけられたことに困惑している。
第二章 探り合ひ(六九四)
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黒姫は二人を自分の館に連れて帰った。テーリスタンとカーリンスが黄金の玉を盗んだと疑ってきかない黒姫は、二人に滔々と心を入れ替えて玉を差し出すようにと説教をしている。
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テーリスタンとカーリンスは自分たちではないと抗弁するが、黒姫は一向に信用しない。そのうちに、テーリスタンとカーリンスが、お互いに相棒が玉を盗んだのではないかと疑い出して、喧嘩を始めた。
第三章 不知火(六九五) :しらぬひ
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黒姫は今度は、テーリスタンとカーリンスの主人だった鷹依姫に疑いをかける。朝参の後に竜国別の家に立ち寄り、鷹依姫に対して、テーリスタンとカーリンスに盗み出させた黄金の玉を返せ、と詰め寄る。
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鷹依姫は必死に抗弁するが、黒姫はあくまで鷹依姫を疑って聞かない。鷹依姫は居丈高に尋問する黒姫の態度に、腹立たしくなり泣いている。そこへ竜国別が帰ってきた。
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そこへテーリスタンとカーリンスが入ってきた。カーリンスは竜国別らに、黒姫が黄金の玉を紛失し、自分たちが池に身投げした黒姫を助けたのがあべこべに、玉盗人の疑いをかけられてしまっている顛末を語った。
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竜国別は黄金の玉が紛失したこと、黒姫がその疑いをテーリスタン、カーリンス、鷹依姫にかけていることを知ると、ご神前にお伺いを立てに行った。戻ってきた竜国別は、「時節を待て」という神示があったことを告げた。
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黒姫はあくまで鷹依姫を疑い、憎まれ口を叩いた後、懐剣を抜いて自害しようとする。するとテーリスタンとカーリンスは突然、玉を盗んだのは自分たち二人であり、玉はすでにバラモン教の蜈蚣姫に渡したのだ、と狂言を始めた。
- 黒姫、鷹依姫、竜国別は、てっきり真犯人が自白したと思い、二人を相手に大喧嘩を始める。そこへ言依別命が館の前を通りかかり、騒ぎを聞きつけた。
- 言依別命が訳を尋ねると、黒姫はテーリスタンとカーリンスが黄金の玉を盗んだことを白状したのだ、と説明した。
- 言依別命はテーリスタンとカーリンスが、黒姫の疑いが鷹依姫や竜国別に飛び火するのを防ぐために、自ら濡れ衣を着たことを悟って二人を褒めた。
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言依別命は一同に対して、玉が紛失した責任はすべて自分が負うので、もうこれ限りこのことは水に流してくれ、と言ってその場を祓い清めた。黒姫は言依別命が玉の紛失を追及しないので肝を抜かれて唖然としている。
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この後、黒姫、鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンスの五人は、神界の仕組の糸に操られて、黄金の玉探索という名目で四方の国々を訪ね、悪魔退治の旅を行うことになるのであった。
以上
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