とよたま愛読会165回
「如意宝珠 22巻 4章 〜
15章」
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記:望月幹巳 メール:motomi@moon.nifty.jp
日 時 平成22年 6月27(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所 愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
連絡先 03-3321-3896、 03-3321-8644
参加費は無料です。事前のお申し込みも不要です。
霊界物語をお持ちでない方もご参加できます。
拝読箇所
如意宝珠 22巻(酉の巻) 第4章:玉探志 〜 15章:情の鞭
★ 報告:
今回の拝読会は、MGRさん、SOTさん、SRWさん、NMTさん、KKUさんの五名を集めまして無事に行われました。
物語は二十二巻の続きになります。
黄金の玉、如意宝珠の玉、紫の玉という三個の神宝が揃った三五教の聖地・錦の宮は大いに発展します。しかし、黒姫が守護していた黄金の玉、高姫が守護していた如意宝珠の玉が紛失し、大騒動が始まりました。
高姫は玉の執着に囚われて、黄金の玉紛失の責を黒姫、鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンスの五人にかぶせて、聖地から放逐同然にして玉探しに出かけさせます。
一方で自分の守っていた如意宝珠の玉も消えてしまい、聖地を出て若彦・玉能姫を連れて鷹鳥山に庵を結びます。そこで神の試練に合った高姫、若彦、玉能姫らは悟りを得て新たな境地に進みます。
バラモン教の悪人だった金助が、娑婆即浄土の真諦に思い至った途端に弥勒の神体を現す場面や、第十四章初稚姫の説教など、天国も地獄も自らの心が生み出すものであり、本来完全無欠の天国であるこの世界を暗黒の娑婆世界と見るのも、自分自身の心の迷いなのである、ということが説かれています。
★ 拝読箇所で気のついたこと
霊界物語 第二十二巻 如意宝珠 酉の巻
第一篇 暗雲低迷
第四章 玉探志(六九六) たまさがし
- 黒姫、鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンスの五人は、言依別命にしたがって錦の宮に参拝して帰る途上、高姫、紫姫、若彦に出くわした。
-
高姫は、自分が参拝する間に、五人に自宅に来るようにと言い渡して行ってしまった。黒姫、テーリスタン、カーリンスはてっきり黄金の玉紛失の件がすでに高姫の耳に入ったのではないかと恐れている。
- 果たして、戻ってきた高姫は黄金の玉紛失の責任を一同に対して問い始める。そして無関係の紫姫と若彦に対しても当たりだした。
高姫に覚悟を問われた黒姫、鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンスの五人は、世界中を探し回ってでも黄金の玉を見つけ出す決意を表した。そしてそのまま高姫宅を出ると、錦の宮を拝して旅装を整え、黄金の玉探索の旅に出立して行った。
第二篇 心猿意馬 しんえんいば
第五章 壇の浦(六九七)
- 三つの玉が揃って一時は活気が出た聖地も、五人が黄金の玉紛失の責を取って探索に出かけたことが神人の間に喧伝されると、物寂しい感じが聖地の空に漂った。
-
三五教の幹部も信徒もこの話題でもちきりであったが、高姫がこのことについて演説会を開くという。三五教徒たちは高姫が何を言い出すのかと先を争って演説会につめかけた。
- 高姫は壇上で前口上を述べた後、黄金の玉紛失という一大事の際に誰も高姫のところにこの件で相談に来た者がないことを憤慨し、聴衆に八つ当たりをした。
-
国依別は壇上に上がり、逆に高姫が五人を追放同然にして玉探索の旅に立たせたことを詰問した。高姫は追い出したのではなく、理屈を説いて聞かせた結果、五人が自発的に探索の旅に出ることになったのだ、と反論する。
-
聴衆の中から、しきりに高姫を野次り、国依別の方を持つ者がいる。高姫は怒って怒鳴りつけるが、満座の聴衆は手を打って笑いさざめく。高姫は、自分の言が気に入らない者はすべて退場しろ、と言い渡す。
-
それに対してまた聴衆の中から高姫に対して野次が飛び、場内は騒然となった。そこへ言依別命は若彦、紫姫、玉治別を連れて壇上に現れた。聴衆は拍手で迎え、散りつつあった者たちも席に戻ってきた。
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言依別命は悠然として何事があったかを問いかけると、聴衆の中から、黄金の玉紛失事件について高姫の論がまったく要領を得ないと、不服の申し立てがあった。言依別命は、何事も神様の御経綸であってこの件も心配するに及ばない、と答えた。
-
高姫は言依別命の態度がこの一大事に対して軟弱だと責め立てる。言依別命は、自転倒島の中心点に玉照彦・玉照姫の神人が守る三五教に心配はない、あまり黒姫を責めると高姫自身が玉を探しに行かなければならなくなる、と忠告する。
- 絶対にそんなことはない、という高姫に対して、言依別命は、人心が不安になっているから如意宝珠の玉を今皆に拝ませてもらいたい、と要求する。
-
高姫は売り言葉に買い言葉で、自分は厳重に秘密を守って保管していたと自信満々で、八尋殿の畳をめくって下から桐の箱を取り出した。そして得意顔に蓋を開けたが、中を見てさっと顔色が変わった。
- 国依別が中を見ると、ただ石が入っているのみであった。高姫は、一同の身魂が悪いので玉が石に見えるのだ、と強弁するが、聴衆から野次の嵐を受ける。
-
言依別命は、これも神界の都合だろうが、責任はすべて自分が取ると言ってその場をなだめた。一同は教主の言葉に免じてその場を退散した。高姫は石の入った箱を抱えて寒風の中、夜叉のような顔をして自宅に走って帰り行く。
第六章 見舞客(六九八)
- 高姫は自宅に帰ると発熱して寝込んでしまった。遠州と武州が看病に立ち働いている。そこへ玉治別夫婦が見舞いにやってきた。
- 玉治別とお勝が病床に来ると、高姫は自分は病気なんかじゃない、演説会で癇癪玉が詰めて熱が出ただけだ、と強がりを言う。
-
高姫は玉治別に、この件でどんな噂が立っているか聞いた。玉治別は、いろんな意見があってまとまっていないが、高姫に責任があるから聖地を出て玉探索にでるべきだ、という者もいることを伝えた。
- 高姫は日の出神の生き宮である自分は絶対に聖地を離れない、と言う。玉治別は、玉を現に紛失した責任を高姫自身はどう考えているか、と問いかけた。
-
高姫は青二才が心配することではない、と返して言依別命や杢助、お初にも八つ当たりをはじめた。玉治別は抗議するが、高姫は自分は生き宮だと権威を嵩にかけ、逆上して吠え立てる。
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玉治別はなだめようとするが、高姫は荒れ狂って人に責任をなすりつけようとするのみである。玉治別は仕方なくお勝の手を取って高姫の館から逃げ出した。すると、見舞いにやってきた杢助・お初と門のところでばったり出くわした。
- 玉治別は杢助に、高姫が杢助・お初にも当り散らしていると忠告すると、帰って行った。
第七章 囈言(六九九) うわごと
- 高姫は精神錯乱状態になって、その咆哮は館の外にまでびりびりと響いてきた。遠州と武州はうろたえてしまっている。
- そこへ杢助がやってきた。杢助とお初は高姫の床に来ると、天の数歌を唱えて鎮魂した。荒れ狂っていた高姫は鎮静し、ばたりと床の上に倒れて唸っている。
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杢助は高姫に心配しないようにと声をかけるが、高姫はやにわに杢助の胸倉をつかんで、杢助とお初が如意宝珠の玉を吐き出させたからこうなったのだ、と八つ当たりをはじめた。
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杢助は強力に任せて高姫を引き剥がした。お初は高姫に、有形の玉三個を失くした代わりに、もっと立派な無形の玉をみなそれぞれ神様からいただいたのだ、と高姫を諭す。
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しかし高姫は、お初に飛びかかろうとする。お初は身軽に高姫をかわしている。そこへテルヂーと雲州が高姫の見舞いにやってきた。遠州が出迎えて、高姫の病気が昂じて危険な状態になっているから、今は帰った方がよい、と忠告する。しかしテルヂーと雲州は忠告を聞かずに中へ入っていく。
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中では高姫がお初に飛び掛りお初がよける、というのを繰り返している。杢助は煙草を吸いながらそれを悠々と見物している。高姫はテルヂーと雲州の姿を見るや否や、二人が玉を盗んだのだろうと飛び掛って玉を吐かせようとする。
- 杢助は強力を発揮して高姫を引き剥がし、蒲団の上につまみ降ろした。高姫はうわごとを言い始めた。
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そのうわごとは、素盞嗚尊の立派な身魂に感心して三五教へ来てみたが、ハイカラ教主の言依別命に愛想をつかしたので、自分が三つの玉を飲み込んでふたたびウラナイ教を立てようと考えていたのに、黒姫は玉を邪神に取られ、自分の如意宝珠も取られてしまった、と自分の心のうちを白状するものであった。
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一同は高姫が恐ろしい考えでいたことを知り、肝をつぶしている。そのうちに高姫の館の門前には、見舞い客がごった返してきた。杢助は高姫のうわごとが漏れては大変なことになると、面会謝絶にしてしまった。
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しかし国依別は遠州が止めるのも聞かずに奥に入ってきた。高姫は杢助に介抱されて寝ていた。杢助は、高姫は取りとめのないことを口走り精神錯乱に陥っているから、もう駄目かもしれない、と悲観する。
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お初はにっこり笑って、これには深い仔細があることでしょう、と一同を元気付ける。言依別命は教団の幹部を連れて枕頭に訪れ、天津祝詞と天の数歌を歌って回復を祈った。
第八章 鬼の解脱(八〇〇)
- 高姫は荒野原に居た。頭の取れた地蔵が左手に玉を載せている。その玉を如意宝珠だと思って、高姫は地蔵の手から玉を取ろうともがいていた。
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すると地蔵の後ろから、黒姫、鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンスが現れた。高姫は黒姫に、黄金の玉探索の首尾を尋ねる。黒姫は、自分たちは身を投げて死んだのだが、高姫を取り殺してこの地獄に連れて来たのだ、という。
- 高姫が自分の頭を探ると、三角形の紙帽子が被せられていた。どうやら自分が死んだらしいと悟ると、高姫は逆上して五人を怒鳴りつけた。
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しかし五人は数を頼りに高姫に掴みかかり、高姫は追い詰められてしまう。荒野原を逃げていくと、大川に突き当たった。高姫は濁流に飛び込んで向こう岸に渡ると、ぬれた着物を抱えて薄の原を傷だらけになりながら逃げて行った。
- 五人はなおも追いかけてくる。高姫は薄の中に隠れている。見ると五人は鉄棒を引っさげた鬼の姿になって高姫を探している。
- 鬼は高姫は先に行ってしまったと思って駆け出すが、一人の赤鬼だけが、ここでもう少し高姫を探すと言って残った。赤鬼は黒姫であった。
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赤鬼となった黒姫は、高姫を助けようとの心で、他の鬼が行ってしまったのを幸い残って高姫を探していたのであった。赤鬼の黒姫は、高姫を背負って幽界の安全地帯に運んでいった。
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しかし山をいくつも越えていった先に、玉草の生えた池のほとりに着くと、赤鬼はにわかに高姫を降ろすと、池の中に飛び込んでしまった。高姫は不審に思って、赤鬼が残した鉄棒を手に取ると、それは張子の棒であった。
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しかし鉄棒を持つやいなや、高姫は黒鬼と化してしまった。池の中から黒姫が元の姿で現れて、鉄棒は執着を表しているから、捨ててしまうようにと高姫の黒鬼に呼びかけた。
- 黒姫は、執着を捨てて池に飛び込んだところ、池の中に立派な女神が現れて元の姿に戻ることができたのだ、と高姫に忠告した。
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そこへ残りの四人の鬼がやってきて、高姫の黒鬼に襲いかかろうとする。高姫は鉄棒で応戦しようとするが、黒姫の忠告の声ににわかに我に返り、鉄棒を投げ捨てて池に飛び込んだ。他の四人の鬼たちもそれにならった。
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水底に麗しい女神が現れて、一同に対して、まだ幽界に来るべき者ではない、執着心の悪魔に引きずられてこんなところまで来たのだから、一刻も早く立ち返れ、と諭した。そして女神は、小和田姫命またの名を地蔵菩薩だと名乗った。
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高姫はたちまち麗しい原野に花に囲まれているかと思うと、気が付けば杢助に介抱されながら、言依別命らが天の数歌を歌うのを聞いていた。これ以降高姫の病気は拭うがごとく消えてしまった。
第三篇 黄金化神
第九章 清泉(七〇一) きよいずみ
- 高姫は相変わらず玉を取ったのは曲津神の仕業だと思い込んでいた。そして夜に出立すると、鷹鳥山に小さな庵を結んで二三の供人と共に潜んで時を待っていた。
- 高姫は鷹鳥山の庵で三五教を楯に教えを説いていたが、それを聞きに近隣の老若男女が集まってきて、栄えていた。
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バラモン教のカナンボールとスマートボールは、鷹鳥山に現れて鷹鳥姫と名乗るこの婆が、如意宝珠の玉と紫の玉を飲み込んでいると噂に聞いた。そこで二人は、蜈蚣姫に献上するために鷹鳥姫を襲って玉を奪おうと画策した。
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二人は鷹鳥姫の侍女・玉能姫が清泉に水を汲みに来るところを狙うが、逆に白狐につままれて気絶してしまう。スマートとカナンは気が付くが、お互いを化け物と勘違いして喧嘩を始め、清泉に落ちてしまう。泉は真っ黒になってしまった。
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スマートとカナンの首尾を確かめに来た部下たちは、清泉に人が落ちた音を聞いて、てっきり玉能姫と思い込み、蜈蚣姫のところへ連れて行こうとして泉にやってきた。泉ではスマートとカナンが取っ組み合いの喧嘩をしている。
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薄暗がりの中、バラモン教の部下の金助、銀助、鉄助はスマートとカナンを水に落ちた玉能姫ら鷹鳥山の侍女だと思って助けようと、水に飛びこんだ。しかしスマートとカナンの喧嘩に巻き込まれてますます混乱してしまう。
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そこへ先ほどの三人の女神が現れて、金助、銀助、鉄助を恩人だと言って真っ白な肌に変えてしまった。また美しい着物を着せられて三人は喜び、女神たちと手を取って踊っている。
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スマートとカナンはそれを羨ましそうに眺めている。また残りの二人のバラモン教の部下、熊と蜂も三人を呼び止めるが、金、銀、鉄の三人は、鷹鳥姫のお目にかかってくる、と言い残して、女神たちと山を登って行ってしまった。
第十章 美と醜(七〇一)
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三人の女は上枝姫、中枝姫、下枝姫と言った。金助は上枝姫と夫婦気取りで話しかけたが、あたりの様子が鷹鳥山と少し違うことに気がついた。上枝姫は、鷹鳥山からすでに三百里離れたところに来たのだ、と答えた。
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上枝姫は、自分とここに楽しく暮らすことができたのも、金助が泉に落ちた玉能姫を助け出そうとした一心が凝ったのだ、と答えた。しかしその後、玉能姫に恩を着せて蜈蚣姫のところに連れて行き、手柄を立てようとしたことを指摘した。
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上枝姫によると、玉能姫を救おうという金助の好意が造った世界は短くして終わりを告げ、その後には修羅道が展開するのだ、という。そう言い残して上枝姫は消えてしまった。
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金助は暗夜の道を前後左右に狂いまわると、たちまち千尋の谷に落ち込んでしまった。谷底の川に落ち込んだ金助は、鬼婆に救われた。鬼婆は、自分は金助の玉能姫への執着が生み出した存在だから、自分の夫になるようにと言い渡した。
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鬼婆は蠑?姫と名乗り、金助の色欲と金銭欲が凝って出現した存在だと明かした。蠑?姫は金助に夫になるように迫る。そのおぞましさに金助ははっと気が付けば、泉に飛び込んだひょうしに気絶していたことに気が付いた。
- ようやく夜が明けると、スマートボール、カナンボールと五人のバラモン教の部下たちは、あちこちの叢の中に傷だらけになって苦悶していた。
第十一章 黄金像(七〇三)
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金助は傷を負って苦しんでいる一同を眺めながら、バラモン教のためと思ってやったことがこのような結果になってしまったことを思った。そして、自分の肉体を損壊することの非を悟り、バラモン教が邪教であることを知った。
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金助はここは三五教の地だから、三五教の神様のご教訓をいただいたことを悟り、大神様に懺悔をして許しを請うた。他の一同も気が付いて金助の周りに集まってきたが、金助はにわかに神懸り、威厳のある容貌となった。
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他の連中は金助の気がおかしくなったと思って気をつかせようとするが、金助は妙音菩薩の教えを垂れると、美しい雲に包まれて山上に上っていった。他の六人は金助を追って鷹鳥山の頂上に来ると、金助は黄金の像になって座っていた。
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六人は黄金に目がくらんで像を持って返ろうとするが、金助は仏法で六人に説いて聞かせる。六人は金の像を持って返ろうと金助に武者振りつくが、たちまちふるい落とされてしまった。
- 金助の像は立ち上がって両眼から日月の光明を放射した。鷹鳥山は暗夜でも数十里先からその光を認めることができるようになった。
第十二章 銀公着瀑(七〇四) ぎんこうちゃくばく
- 鷹鳥山中腹には、高姫、若彦、玉能姫の三人が籠もっていた。三人は谷川に降り立って禊を修していると、中空から二十四五の男が落ちてきて滝壷に落ち込んだ。
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若彦は男を救いあげた。天の数歌を唱えて魂呼びをすると、男は息を吹き返した。男は三五教に助けられたことを知ると、銀とだけ名乗った。玉能姫に素性を尋ねられて、銀助は自分は無住所如来だ、と出任せを言う。
- しかし玉能姫は、以前にバラモン教徒に襲われそうになったことがあり、銀助の顔を覚えていた。若彦も銀助の顔を認め、三五教の言霊で清めてやろう、という。
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三五教の言霊に恐れをなした銀助は、金助が黄金仏像になった一件を明かした。若彦が外に出て山頂を見ると、確かに光が煌煌と輝いている。若彦は驚いて鷹鳥姫を呼んだ。
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若彦を留守に残して、鷹鳥姫と玉能姫は山頂に向かった。金の仏像は二人を見ると、鷹鳥姫を掴んで、自分のところに来るにはまだ早い、と言って山の中腹に投げ返した。
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仏像は玉能姫は東に行け、と言って東の方向に投げてしまった。すると仏像はたちまち爆音とともに消えてしまった。後には肉体に戻った金助が、山を降って鷹鳥姫の庵を尋ね、銀公と共に三五教に帰順した。
第四篇 改心の幕
第十三章 寂光土(七〇五) じゃこうど
- 蜈蚣姫の部下と仕えて悪を行っていた金助も、娑婆即寂光浄土の真諦を悟ると、たちまち黄金の肌となって弥勒の霊体を現し、鷹鳥山の山頂から四方を照らした。
- 黄金仏を確かめに来た鷹鳥姫は、元の山腹の庵に投げ返された。一方玉能姫は、生田の森に投げ返された。
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若彦が金・銀の両人に教えを説いていると、突然二人は人事不省に陥ってしまった。若彦はあわてて二人を蘇生させようとするが、突然鷹鳥姫が中空から落ちてきたため、狼狽してしまう。
- その間にも、バラモン教のスマートボールらが竹槍をかざしながら庵を取り囲んだ。信徒たちはこの有様に驚いて散り散りになってしまった。
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若彦はこの惨状の中に、一視同仁の心を思い起こし、神様に懺悔を捧げて自分の慢心の罪のお詫びを始めた。若彦は心中開き、梅香の匂うごとき境地となった。スマートボールたちは今が機会と攻め寄せてくるが、若彦はその場に端座して、感謝の祈りを捧げるばかりであった。
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バラモン教徒が槍で突きかかろうとしたその刹那、中空から火弾が落下して爆発し、四面白煙に包まれ、白狐の声が当たりに響いた。鷹鳥姫、金・銀の三人ははっと目を覚ました。
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中空に女神の声が響き、鷹鳥姫の執着がいまだ去らないために、我を通して自ら地獄を生み出して自らが苦しむ、その憐れさを去り、一刻も早く本心に立ち返れ、と諭した。
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鷹鳥姫は夢が覚めたごとく心に肯き、神界のため天下万民のためとして行ってきたことは、自分の心のおごりであったことに気づいた。鷹鳥姫は一心不乱に感謝の涙に咽びながら、天地の神霊に祈願を籠めた。
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白煙が晴れると、そこは鷹鳥山の庵の庭園であった。上枝姫、中枝姫、下枝姫の三人が現れて、鷹鳥姫、若彦、金助、銀公を幣で払うと、庵の中に導いた。スマートボールらは身体強直したままこの様子を眺めている。
第十四章 初稚姫(七〇六) はつわかひめ
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時置師神の再来である杢助は、高姫、若彦の改心の経緯を宣伝歌に歌い、またスマートボールらバラモン教徒に改心を促す宣伝歌を歌いながら、初稚姫と玉能姫を連れてこの場に現れた。
- 鷹鳥姫、若彦、金助、銀公の四人は嬉し涙に咽びながら杢助の前に首を垂れた。鷹鳥姫や若彦は、杢助に感謝の辞を述べる。
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初稚姫は杢助の背から下ろされると神懸り状態となり、一同に教えを諭した。八岐大蛇を言向け和してミロク神政の神業に参加しようと思ったら、まず自分の心の娑婆世界を天国浄土となす必要がある、と説いた。
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初稚姫は教えを続けた。この世界は心によって天国ともなり、また地獄ともなる。完全無欠の神国に生を享けながら、これを娑婆世界と観じ暗黒無明の世界と観ずるのは、自らの心が暗いからである、と。
- 鷹鳥姫と若彦は感謝の涙に身を震わせていた。杢助、初稚姫、玉能姫、スマートボール以下の人々も、いつしか消えてしまっていた。
第十五章 情の鞭(七〇七) なさけのむち
- 鷹鳥姫と若彦は、この不思議を語り合っている。若彦と金・銀の三人は、とりもなおさず杢助にお礼を言いにいくことになって出立した。
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三人が山麓の道にさしかかると、昼寝をしていた数十人の男たちに見咎められた。これはスマートボールらバラモン教徒の手勢だった。若彦は木の上に難をのがれ、金助と銀公はスマートボールに改心を促す。
- スマートボールは怒って金・銀に襲い掛かるが、樹上から若彦が改心を促す宣伝歌を歌った。バラモン教徒たちは散り散りに逃げてしまった。
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三人は生田の森の杢助の庵にたどり着いた。杢助は知らぬ態にて三人を迎える。若彦が玉能姫がここにいないか尋ねると、杢助は何事も神様に任せて執着を去れ、と若彦を諭す。
-
玉能姫は杢助親子に助けられてここにかくまわれていた。しかし杢助は女房を訪ねて教えの館を捨ててくる若彦の態度を、宣伝使として厳しく咎めたてた。また玉能姫は素盞嗚大神の御楯となって功名を表すまで夫に面会できないとのお示しを明かした。
-
若彦は杢助の言葉に胸を打たれ、伏し拝むと金・銀と共に去って行った。一方杢助は、神界の命とはいえ、若彦と玉能姫の間の生木を裂くような仕打ちをした苦しい胸の内をひとり明かして懺悔の涙に暮れている。
以上
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