とよたま愛読会29回(真善美愛:56巻15章〜最終章)  塩津晴彦


日 時  平成十一年二月二十八日(日) 午後一時から午後四時三十分
場 所  八王子市北野市民センター七階カルチャールーム

★ 報告
 二月の愛読会は、老若男女八名で春の陽気に包まれながら『霊界物語』第五十六巻第一五章から最終章までの通読を無事に終えることが出来ました。  いよいよ拝読は第五十七巻に入ります。

★ 拝読箇所で気のついたこと
○第一五章(猫背)  やっとの事でテルモン山から流れ落ちるアン・ブラック河のほとりにたどり着いた三千彦は強風に煽られ泥田に転げ落ちますが、あわやと云うところを初稚姫の命をうけた霊犬スマートに助けられ、その上バラモン教の宣伝使服をあてがわれて小国姫と会見ををし、バラモン教師と偽ってテルモン館へ同道することになります。猫のような格好になったスマートを背中にくっつけたままで。

○第一六章(不臣)  この時から三千彦の不思議なおつとめが始まります。場面は小国彦のテルモン館です。まづ彼は小国姫から神勅を請われ、ご神前にかしずくと、なんと背中からムクムクと動きだしスマートの精霊が三千彦の耳元で神勅の内容をささやきます。紛失した如意宝珠は必ず戻る事、娘のテリナも無事に帰ってくること、しかし小国彦は程なく帰幽する事、がその内容です。

 この内容を聞こうとした小国姫は「今の宣伝使はむつかしい小理屈ばかりいつて、朝から晩まで経文の研究に日を暮し、肝腎の信仰が欠けてゐますから、神様のお取次でありながら、ちつとも大神の意志が分らないのでございますよ……」、チクリと小言を云います。

 その場に現れた家令のオールスチンが三千彦に神勅の事を尋ね「……(如意宝珠を)隠した人の姓名まで明白りいふことは出来ませぬ。丸顔の色白い男だといふ事だけは確かに分かつてをります」と三千彦から聞き、「はてなア、妙な事を聞きまする。……」といいながら、小国彦の病床に行き、小国彦がうわごとで「ワックスワックス」と呻いているのを聞きハッと胸を打たれ我が家に向かいます。

○第一七章(強 請)  家令オールスチンの館では馬鹿息子ワックスと彼の悪友エキス、ヘルマンが内輪もめの最中。 ワックスは、小国別の娘デビス姫を獲得しようと思えば宝珠を盗み「小国別夫婦が百計尽きて、如意宝珠を探した者があつたらデビス姫をやらう」と言い出すのでは、と悪友からそそのかされ、玉を床下に隠し、彼等に金を渡していたのです。

エキス、ヘルマンはそれを良いことに、度々ワックスに金の無心をし、今もそのことで揉めていたのでした。 エキス「親の財産あてにすれや 薬缶頭が邪魔になる」  そこへオールスチンが帰ってきたので舞台は一気にドタバタ劇の展開となり、あわやオールスチン親子はエキス・ヘルマンに殺されそうになるがそこへ小国別の下僕エルが飛び込み、二人の危難を救います。

 ちょっと話はそれますが、親の財産当てにして、と言うことは古今東西を問わずいつの世にも起こる事ですね。しかし私の仕事上の経験でいうと、親子関係もさることながら、兄弟姉妹・親族間の財産をめぐる骨肉の争いの方がもっとすさまじかつたように思います。バブル期に一気に価値が上がった不動産や株をめぐって我欲がぶつかり合う修羅場を度々見てきました。

○第一八章(寛 恕)  さてテルモン館では、オールスチンの態度に不審なものを感じた小国姫が三千彦と話します。 もし家令の倅が宝を隠した犯人だった場合どうされるか、との三千彦の質問に姫は、「玉さへ還れば、皆が助かるのなら、事を表沙汰にしない」と返事をしたので三千彦は事の真相を告げます。

 そこへ玉を持って家令が息子を引っ立てながらやってきます。オールスチンは罪を謝罪し切腹をしようとしますが三千彦に止められます。ここで三千彦は自分が三五教宣伝使であることを告白します。そして雑多の罪科を祓い浄めるための宣伝歌を歌います。そこに居た全員が涙を流して神恩に感謝し、小国別に陳謝しようと宝珠をもって病室に向かいます。

○第一九章(痴 漢)  小国別への謝罪を済ませた後、三千彦の居間へ帰ってきた小国姫、三千彦、ワックスは小国姫が娘デビスの安否を三千彦に聞いた事から事態は再び大きく展開し始めます。 デビス姫が無事に帰還しそうな事が分かると、ワックスはこれまでの殊勝な態度を一変させ、「……実のところはエキス、ヘルマンの両人が盗み出したのでございますが、私がいろいろと苦心をして玉の所在を白状させ、……やつとのことで如意宝珠を手に入れたのでございます。あなたは家中一般に玉の所在を探し、持つてきたものはデビス姫の養子にすると仰有つたぢやございませぬか……」と開き直る。

そして三千彦が彼を非難すると「吾々を威喝して二人の恋仲を遮り、後にヌツケリコとお前さまが養子に這入りこむ考へだらう」と逆ねじを食らわせ、あげくの果てには、宮町に飛び出し大声で虚構演説をやり始める。 「テルモン館に三五教の三千彦という悪神が入り込み如意宝珠の宝を盗み出し、その不調法によって、小国別夫婦を始めこの宮町の人民の首を大黒主様の手でチョン切らすという悪い計画を実行している。

三千彦は魔法で小国姫をチョロまかし小国別様を病気にして殺し、デビス姫の婿になろうとしている」  宮町の人民は馬鹿息子の演説を皆信じたわけではないが、テルモン山のバラモン教の館に三五教の者が来ていると言うことが分かり、俄に怒りだし、群衆心理も手伝って館に押し寄せた。

○三五教の宣伝使としての三千彦の不思議なおつとめ、それは霊犬スマートが持ってきたバラモン教の宣伝使服を着用し、一時とはいえ小国別夫婦を騙したことに始まり、テルモン館の危難を解決したかに見えた瞬間、次の難問に遭遇していったことです。

○宮町の人民がワックスの尻馬に乗って三五教に反発し三千彦を捕らえていく過程にはバラモン教信徒を言向和す神様の一つの仕組みが伏在しているように感じます。テルモン館の立直しと宮町人民の悔悟改心は三千彦のこうした一見無謀に思える行動を端緒として始まっていきました。さて次の第五七巻ではこの騒動はどうなっていくのでしょうか。

今回の愛読会で、「祝詞」と「四拍手」について意見とご質問がありましたので、少し説明します。
1、「天津祝詞」については『霊界物語』第三○巻の附記、に掲載されています。
2、「大祓祝詞」、現在の「神言」は『霊界物語』第三九巻に付録として掲載されています。いづれも聖師様の詳しい意義解説が書かれていますので是非参照して下さい。
3、「拍手」ですが、愛善苑の先輩方にお尋ねしたところ、教えていただきました。

聖師様の如是我聞(聖師様が仰有ったことを書き留めたもの)の『玉鏡』に「拍手」と題して一文があります。 「拍手は神様を讃仰する行為である。今日の官国幣社では御神前で礼拝のとき、みな二拍手することになつているが、大本は四拍手する。古い祝詞にも「八平手を拍ちあげて―」ということがある。八平手というのはすなはち四拍手である。つまり大本は古式をそのまま採用しているのである。……」とありました。

さらに如是我聞の『水鏡』には「拍手の意義」と題して、 「左手は火を表象し、右手は水を表象す。拍手すると左右合わして神(火水)となりて声を発す、その音タカとなる。アーの言霊は上るの意、マーの言霊は円満具足を示し、ハーの言霊は四方に開くの意を現わし、ラーの言霊螺旋を現わす。すなわち拍手によりて、神なる声が天地の間に拡がりゆくなり」と示されています。

これらの意義をかみしめながら四拍手と祝詞を真心込めて実践していきたいと思います。いづれ『霊界物語』の中でも繰り返しこの点は登場すると考えますので、是非拝読をしっかりと続けていきたいものです。

以上


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