とよたま愛読会30回(真善美愛:57巻序文〜7章) 塩津晴彦


日 時  平成十一年三月二十一(日) 午後一時から午後四時三十分
場 所  八王子市北野市民センター八階会議室2

★ 報告 
 三月の愛読会は合計八名が参加され、あいにくの雨模様の半日でしたが『霊界物語』第五十七巻序文から第七章までの通読を無事に終えることが出来ました。

★ 拝読箇所で気のついたこと
○写真
 本巻の口絵写真に「東京豊玉支部における出口聖師 昭和三年一一月一日」と記されています。この写真と現在の愛善苑豊玉分苑との関連について、去る平成九年一二月号の愛善苑機関誌「神の国」に紹介されていますので、少し長くなりますが引用しておきます。「…当時豊玉支部というのが東京杉並の高井戸町大宮前の羽籐氏邸にあって、昭和三年十一月一日の夕方に聖師様は東日本巡教の帰途ここに立ち寄られています 。……」現在の豊玉分苑には「佐渡の赤玉石」と呼ばれる国魂石があります。この石は旧大本時代の豊玉支部(羽籐邸)にあったものですが、聖師様が、佐渡産の赤玉石に魂かけて支部の国魂命じけるかなと歌われ、自らこの日、満天星ツツジの枝を御髪にさされて赤玉石を抱かれたのでした。その伝統を継ぎながら国魂石と共に豊玉分苑は川崎分苑長のご自宅に置かれています。

○序文
 聖師様はいつも『霊界物語』の各巻の口述を終えられた後で序文や総説あるいは総説歌を書かれたいます。この序文もそうですが、聖師様御自身のまとめの中には巻全体の意義や意味合いがより分かるようになっている場合があります。ここでは伯耆の国大山を観ながら、スサノヲ大神が八岐大蛇を言向和した由緒のある場所を選んでの口述の意味が語られています。高熊山での神教開道(開教)から満二五年の当日五七巻が完成したこと、八大竜王が聖師様の御到来とこの五七巻の御口述を鼓を拍って歓喜したこと、五七(ごしち)のルビがふってあるように五七は三五であり、アナナイ教の数字であること。

○総説歌
…三五教の御教は最後の光明艮(とどめ)なり、神の生宮予言者の、貴の言霊守るべし、あヽ惟神惟神、御霊幸はへましませよ、朝日は照るとも曇るとも、月は盈つとも虧くるとも、地震り海は浅すとも、誠一は世を救ふ(四、五頁)ここで歌われている内容を吟味しますと、聖師様の御神業の広大無辺な事が分かります。唯一無比の救世主が空前絶後のご活動をされる事が述べられているわけです。「誠一」とは聖師様だけが天地を愛動させる言霊を駆使出来る事を述べられているのだと感じました。

○第一章 大山(だいせん)
聖師様の御神業の意義が再び説かれています。「……いかに現世において聖人賢人、有徳者と称へらるるとも霊界の消息に通ぜず、神の恩恵を無みするものは、その心すでに神に背けるがゆゑに、たうてい天国の生涯を送るは出字難いものである。

ゆゑに神は前にシャキームニ・タダガータ(釈迦のこと)を下して霊界の消息を世人に示し給ひ、またハリスト(キリスト)やマホメットその他の真人を予言者として地上に下し、万民を天国に救ふ約束を垂れさせられた。されど九十五種外道の跋扈はなはだしく、神の約束を信じる者はほとんど無きに至つた。……ここに至仁至愛なる皇大神は、この惨状を救はむがために、厳瑞二霊を地上に下し、万民に神約を垂れ給ふたのである」(二○頁)

○第二章 煽動(せんどう)
 テルモン山の神館ではいよいよ小国別がいまわの際を迎えますが、オールスチンの息子ワックスは宮町の群衆を扇動し、三千彦をかっさらってテルモン山の岩窟に押し込めます。そして彼の目的であるデビス姫の捜索に人々を駆り立てます。それとは知らずに求道居士やデビス姫一行が宣伝歌を歌いながら宮町にやってきます。

○第三章 野探(やさがし)
 ここでは「テルモン館」とは何なのかが少しハッキリするような表現が幾つか出てきます。「……かくのごとく町民一同が脱線的蠢動を始めたのは、ワックスがいつも使役している悪孤の所為である。この悪孤は幼幻坊の手下であつて、三九坊と称ふる数千年の劫を経た古孤で、時々テルモン山に夜中数千火を点し、あるひは文字を持つて大の字を現はしなどして、町民を誤魔化してゐたのである」(四一頁)京都の大文字焼きはつとに有名ですね。そこでこの話の舞台は京都であることを聖師様はにおわせていらっしゃいます。

そういえばこの町は「宮町」です。宮様の居る町は長い間京都でした。但し、いつの時代かはまだ分かりません。ここに数千年の劫を経た古狐が居るんですが、こうなると仏教に関した、それも三九という数字にまつわる佛の関係のことではないだろうかと私には推測できます。その三九坊が自分の正体がばれることを恐れて、ワックスの身体を使って三千彦を排斥する運動を起こしたのだと、聖師様は述べていらっしゃるように思います。そして三千彦達四人はテルモン山の岩窟に運ばれていきます。

○第四章 妖子(ようし)
 テルモン館ではこの期に及んで小国姫から相談を受けたオークスとビルマがワックスを中心として自分たちの都合の良い返答をし法外な要求、門番から執事へというような、を小国姫に突きつけます。

○第五章 糞闘(ふんとう)
 座を立った小国姫を見送ると、館の受付で金玉を蹴り上げられていたエルを交えて三人のヒソヒソ話が始まり、めいめい勝手な夢を見ながらメートルをあげているのを隣の部屋との襖のところで聞いていたワックスは腹を立て、三人に糞尿を引っかけます。そこへやってきた小国姫もその臭いにヘキヘキしますが、糞だらけの部屋にエキスとヘルマンがやってきてこの状況を大黒主に伝えるべく館から逃げ出します。

○第六章 強印(ごういん)
 テルモン山の奥にある大蛇の岩窟といわれた深い穴があって、そこに押し込められていた三千彦は、岩窟の中に押込まれ しばし思案に暮るる折り月照彦の大神の遣はし玉ふエンゼルが現はれ玉ひ忽ちに 真鋳の槌を打ち揮ひ この岩窟に穴穿ち 容易く救ひ玉ひけり初稚姫の遣はせし 神の変化のスマートが今や吾が身に附添ひて …(七八、七九頁)と歌いながら岩窟から抜けだし番人を案内役にしてテルモン館に戻っていきます。

館で小国姫に再会した三千彦は彼女との話の中で、小国姫「これも何かの因縁でございませう。あまり倅が悪党をいたしますので、子の罪が親に報うたのではございますまいか」三千彦「決して決して、子の罪が親に報ふなどといふ道理がございませぬ。

神様は公平無私にゐらつしやいますから、決して人を罰め苦しめるやうな事をなさるはずがございませぬ。まして罪なき本人に子の罪までおきせ遊ばす不合理なことがありませうか。……」と話してはっきりと否定します。見逃したくない箇所です。一方ワックスは明日をもしれぬ病床の小国別に自分の欲望を押しつける内容の遺言状に捺印を迫りますがあわや力ずくで押印させようとしたところへ霊犬スマートが飛び込んできてワックスをくわえて館の外へ運んでいきます。(九二、九三頁)

○ 暗闘(くらがり)
 門番のビルマに助けられたワックスは夜にもかかわらず再び宮町の住人を煽動し、館に押し寄せ門外に出てきた三千彦をアンブラック川(京都の白河か)に投げ込んでしまった。

以上


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