とよたま愛読会32回(真善美愛:57巻16章〜58巻1章)        塩津晴彦


日 時 : 平成十一年四月二十三(日) 午後一時から午後四時三十分
場 所 : 八王子市北野市民センター八階会議室2

★ 報告
 今年の夏を予感させるような暑い一日となった愛読会は参加者七名で『霊界物語』第五十七巻十六章から最後までの拝読を終え、さらに進んで、第五十八巻の第一章までの通読を無事に終えることが出来ました。

★ 拝読箇所で気のついたこと
○第一六章 犬 労(けんろう)
 三五教の宣伝使三千彦はケリナ姫を背負いテルモン山の岩窟に着き、デビス姫とケリナ姫は無事に再会します。霊犬スマートの護衛を受けながら三千彦は二人を背負ってテルモン館に帰り、小国別と娘は無事の再会を喜びます。 再び岩窟にとって返した三千彦とスマートは半死半生の求道居士とヘルを救い、悪酔怪員たちを蹴散らします。

 ところで章題に掲げられた犬労とはスマートの縦横無尽の活躍を指しているわけですが、この章の末尾に、「三五教の魔法使、ならびに狂犬が現はれたといふので、悪酔怪員や宮町の老若男女は戦々恟々として、魔法使および狂犬撲殺の相談会をあちこちに開いていた」という一節があり、その後に前回も触れました「惟神神のまにまに述べてゆくテルモン館にありし次第を」のお歌が口述されています。

 「犬」は第二次大本事件に関連して、聖師様の事件回顧歌である『朝嵐』(愛善苑で復刊済)の中で当時の警官を皮肉った言葉として使用されています。

またこの『朝嵐』の一四三頁には、
☆芋坊主五十万円投げ出してデッチ上げたる芋大根事件
☆甘い汁吸ひて動ける尾賀屁の臭い運動鷲を動かせり
☆大空の大鳥数多があまき汁吸はされ坊主の奸計を助くる
☆此の度の芋大根事件も糞坊主の尻の穴より吹き起したり
などと歌われています。

 第一六章の場面での宮町相談会は京都の坊さん連中の「大本撲滅」相談会とも受け取れます。私はそのように感じました。ちなみにお歌の、「芋大根は」昭和三年三月三日綾部での「みろく大祭」の際に聖師様が大本幹部たちにお祭りの神撰物であった大根や芋を手渡されたことが当時の治安維持法にある「不逞結社」の結成であると疑われた事を揶揄されての表現です。尾賀は東本願寺などからの意向を受けて動いた政治家、鷲は政治家たち、大空の大鳥とは権力の頂点にいる人達、を意味しているように思います。

○第一七・一八・一九章
 小国別の症状は二人娘の帰還もあってか回復を早めた。そしてデビス姫は三千彦に、またケリナ姫は求道居士に対して胸の思いをうちわけて情約の締結を迫るが、いずれも迷惑がられる。

○第二○章 犬 闘(けんとう)
 家令オールスチンの倅ワックスは執拗に三千彦等を排撃しようと煽動を繰り返すが、そのたびにスマートに蹴散らされてしまう。

○第二一章 言 触(ことぶれ)
 オールスチンは遂にことぎれ、逆上したワックスは看護婦に八つ当たりしましたが、何と看護婦の持っていたトランクからデビスとケリナが出現するという珍事が起こります。

○第二三章 薬 鑵(やくわん)
 オールスチンの天葬式も無事に終了したが、新主人ワックスと町人の宴会の席に一頭の猛犬が飛び込み、忽ち「薬鑵」に変化しオールスチンの精霊だと告げ、自分が「犬(スパイ)」の役目を長年勤めてきた事、そのため精霊がまづ犬として現れ、さらに厚顔無恥、鉄面皮とののしられていたことから薬鑵に変わったことを皆に告げます。
「……もはや私は三五教の宣伝使の教訓によりて罪から救われ、霊界に参りますから、どうか私の財産はこの国の規則通り、皆様で分配して下さい……」と宣告します。

○第二四章 空 縛(くうばく)
 小国別の神館でオールスチンの帰幽報告祭が執行されますがその最中にハルナの都から大黒主の使者としてニコラス宣使が部下と共にやってきます。 この章に登場するニコラスがあの米国軍人マッカーサーであり、日本の掃除にやってきたとの受け止め方があるという風に聞いています。

 確かに、まづ章題の「空縛」は、ここのお話の中でニコラス達が二度に渡って三千彦や求道居士を縛るのですが、白孤の活躍で空振りに終わることを指していると同時に「空爆」ともとれます。日本を散々空襲し、日本降伏後占領軍の代表として最初に厚木に降り立った軍人がマッカーサーだった訳ですから、この章には様々な意味合いが込められている様に感じます。

○第二五章 天 声(てんせい)
 ニコラス登場の意味合いを理解する鍵の一つがこの章で隆光彦がニコラスを諭す宣伝歌だと思いますのでその一部を引用しますと

「天津御神の御言もて バラモン教の神館
 テルモン山の霊場を 救はむために三五の
 珍の司の三千彦を バラモン神の乞ひを容れ
 神素盞嗚の大神は ここに遣はし玉ひけり
 その御心も露知らずバラモン軍のキャプテンが
 ……
 神は怒らせ玉ひつつ  旭高倉二柱
 神の使を遣はして  勝ち誇りたるニコラスの
  軍をことごと目を覚し 尊き神の御教に
 言向和す御仕組   ニコラスいかに勇あるも
 神の力に及ばむや  悔い改めよ省みよ
 ……
 そもそもこれの神館 バラモン教の大神を
 斎き奉りしものなれど 天津国より降りたる
 如意の宝珠のある限り 瑞の御霊の霊場ぞ
 ……
 汝ニコラスキャプテンよ吾がエンゼルの言の葉を
 ただ一言も漏らさずに 胸の奥にと畳み込み
 深く省みよく悟り ……」
 このお歌の中には日本国の立替え立直しについての大神の御心の一端が披露されていると思います。同時に戦後日本についての神の経綸がどんなものであるべきかをも考えさせられる感じがしますね。

○第五十八巻
 次回の報告の時に序文・総説・第一章の紹介をします。

○聖師様の『東北日記』に掲載された豊玉分苑
 愛善苑ではあいぜん出版から聖師様が昭和三年七月から十一月にかけて行われた樺太北海道東北への巡教の間にしたためられた歌日記を復刻出版しました。(全八巻 各巻二、○○○円税別) その第八巻に現在の豊玉分苑の前身である東京豊玉支部に聖師様がお出でになった記事があります。詳しくは是非『東北日記』を読んでいただきたいのですが、とりあえず関連の箇所を抜粋してみました。

 (前日の十一月一日、午後二時半に浦和志賀氏邸を車で出発され、午後三時五分に東京麹町区元町にあった愛信会に到着された聖師様は、午後四時半に愛信会を出発され午後五時半に高井戸町字大宮前豊玉支部羽籐氏邸に入られます。)
☆自動車を数台並べて新宿や荻窪のりこえ高井戸に着く
☆高井戸の豊玉支部に来て見れば神旗にそよぐ秋風すがし昼過ぎて庭前にて記念の少照を撮りし後一般面会をなし、一時半豊玉支部を発す
☆はるばると黒龍会の内田氏は豊玉支部に吾を訪ひけり
☆柳原あき子白蓮はじめとしいとめづらしき女性とひ来ぬ
☆庭の面にたちて宣信もろともに今日も少照とりにけるかな
☆佐渡産の赤玉石に魂かけて支部の国魂命じけるかな、ひる過ぎて庭前にて記念の少照を撮りし後一般面会をなし、一時半豊玉支部を発す。……

以上


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