とよたま愛読会33回(真善美愛:58巻2章〜10章) 塩津晴彦


日 時 : 平成十一年六月二十七(日) 午後一時から午後四時三十分まで
場 所 : 八王子市北野市民センター八階会議室2

★ 報告 
 いよいよ梅雨が始まり、曇り一時雨となった当日、愛読会は参加者九名で『霊界物語』第五十八巻第二章から一○章までの拝読を無事に終えることが出来ました。

★ 拝読箇所で気のついたこと
○第二章 多 数 尻(たすうけつ)
 小国別の神館で三千彦たちが神徳話にふけっていると、バラモン軍と悪酔会員との争闘の声が聞こえ、三千彦とニコラスの部下のハンナが表に出る。そこで玉国別はじめ真純彦、伊太彦が門内に入ってくるのと出くわす。ハンナは争いを鎮め、ワックス、エキス、ヘルマン、エルは捕縛される。その機に乗じて、トンクとタンクが次期会長選挙運動を行い、金をばらまいたタンクが会長になる。

○第三章 怪 散(くわいさん)
 タンクは新会長として小国別館に挨拶に来て、「これに繋ぎし四人連れ これの聖地を朝夕に掻き乱しゆく曲者ぞ 必ず許し給ふなく厳しく笞を加へつつ これの聖地を追ひ出だ  し……」と訴えます。三千彦はそれに対して、「悪酔怪の綱領は 弱きを挫き強きをば 助くるよしに聞き及ぶ 悪魔に等しき団体は 天地の神の御心に 背反したる暴挙ぞやいとすみやかに改めて この団体を解散し…」と応じます。そこでタンクは、「いざさらば君の教え従ひて これの集団を解き放ちなむ」と答えて、悪酔会を解散したうえ、町民一同 神館に恭しく詣でて感謝祈願の言葉を奏上した。この時中空に天人が舞い狂い、優雲華の花びらが落ちて来たと書かれています。

○第四章 銅 盥(あかがねだらひ)
 その夜、やむなく四人の笞打ち刑を行うが、三千彦は四人のお尻にたらいをくくりつけ、刑を済ませてしまいます。

○第五章 潔 別(けつべつ)
 玉国別「テルモン山の山の嵐もおさまりぬいざ立ち行かむ月の御国へ」と出発の歌を交わすおり、デビス姫が三千彦に 「三千彦の神の司よ若草の妻をともない進ませ給へ」と希望します。最初は躊躇した三千彦は、小国姫の薦めもあって玉国別の許しを得ます。 求道居士はケリナ姫と共に小国館に残ることになり、一方ニコラスは玉国別に、「玉国の別の命に物申す、これの館を如何に治めむ」と訊ね、玉国別は、 「バラモンや三五教の隔てなく 斎きたまはれ大本の神」、「さりながらこれの館はバラモンの 神をば捨つるわけにはゆかず」 三五の神を斎きてバラモンの 皇大神に厚く仕へよ」と答えます。ニコラスは「バラモンの軍の君を今日よりは離れて厚く神に仕へむ」と歌い、はっきりと軍国主義バラモン的世界との決別を宣言します。なかなか含蓄のある言霊だと思います。 戦前の現人神天皇制の下での軍国主義政策や現代のアメリカにみられる軍事優先の世界統治方法と対照してみるとここの箇所の素晴らしさが際だってきます。 そして皆は盃を取り交わし、玉国別・真純彦・伊太彦・三千彦・デビス姫の五人一行はテルモン山を南に降り、テルモンの湖へ向かいます。

○感謝祈願の祝詞
 さて今回、参加の方から感謝祈願詞について質問があり、「……諸(もも)血(ち)夜出(よろず)の大元霊(もとつみたま)……」となっているが、何故〈血〉という字が使われているのか?ということでした。 そこで少し、この感謝祈願詞(みやびのことば)について調べてみました。 

聖師様は「感謝祈願詞」をご自身が明治三九年九月京都の皇典講究所ご卒業の際にお作りになったと聞いています。そして『神霊界』誌大正六年二月一日(第二号)に発表されています。そして血が〈地〉と印刷されています。愛善苑の『善言美詞(みやびのことば)』と『霊界物語』第六○巻の第一六章 祈 言(いのりごと)にも同じ〈血〉の文字が出てきます。

 ところでこの祝詞の解説について調べると、古くは『神霊界』誌の大正八年六月一五日号に岩田鳴球氏の「感謝祈願詞略解」と題する記事があり、そこでは「諸、血、夜出 百、千、萬(多数を意味す)」とありました。また最近では、大本本部の「祝詞の解説」と題する少冊子で「血は宇宙造化の血という意である」(六五頁)と出ておりますが〈血〉は千のことであると思います。

 聖師様が『神霊界』誌大正七年三月一日号に発表された言霊学によると、〈チ〉という言霊は、チ声の言霊体水中の火の霊、体内の火也、血也、地中の火也、草也、剣也、風也、一也、父の霊也……」とありました。別紙でその写しを添付しましたので「用」の部分も含めて参照して下さい。感謝祈願詞全体の意味の流れと言うことを考えることが大事だと感じました。『霊界物語』第六○巻の拝読の時には再び祝詞と言霊の点を取り上げたいと思っています。

○第七章 神 船()
 さて、テルモン湖についた一行の前に再びワックス一味が船で待ち受けていました。今度は湖上で玉国別の天の数歌が響き渡り、天候一変して大波が船を翻弄します。しかし大波は敵味方共に苦しめてしまい、結局は初稚姫とスマートが助け船を漕ぎ着けて無事に一行は救われます。そして「ワックスの乗ってゐた大船は肝腎の船頭を失ひ、櫓を操る事を知らず、歯がみをなしながら水面にキリキリ舞ひをやつてゐる」(一○一頁)なんだか戦後の日本の為政者達と見まごうばかりの記述ですね。

○第八章 孤 島(こたう)
 このテルモン湖の真ん中には「ツミの島」という島流しの島があり、五人の男達が食物を求めて必死で争っていた。ここでは時として人肉の争奪があったという。
(注)【遠島】〔広辞苑〕
 江戸時代の刑罰の一。博奕をした者、女犯の僧、誤って人を殺した者などを財産没収のうえ、遠島に送ること。追放より重く死罪より軽い。伊豆七島・佐渡・薩摩・五島・天草島・隠岐おき・壱岐などに送った。島流し。遠流(おんる)

○第九章 湖 月(こげつ)
玉国別に救われたメートの歌
 「人喰鬼の住むといふ 浪風荒き浮島に
  流されゐたるぞ悲しけれ 仁慈無限の大神は
  珍の使を遣はして いよいよ吾らを
  救ひまし」

同じくヤッコスの歌
 「小人下司の常として 窮すれや乱すという譬え
 心ならずも悪行を 企みたるこそ是非もなき
 優勝劣敗弱肉強食の世界に傚うて果敢なくも
 皇大神の御教を 忘れたるこそ苦しけれ」
などと述懐する。

○第一○章 報 恩(はうおん)
 そこへ、海賊船七八艘が玉国一行の乗った初稚丸めがけて襲ってきたが、ヤッコスが
バラモン軍の目付頭の威光を使って「三五教の宣伝使捕まえてキヨ港の関所に送るとこ
ろだ」と言って退去させる。そんな一行を乗せた船は一路南へ進みます。

以上


[前回レポート]  [次回レポート]  

[愛読会の拝読一覧表] オニ(王仁)の道ページ