とよたま愛読会34回(真善美愛:58巻11章〜20章) 塩津晴彦


日 時 : 平成十一年七月二十五(日) 午後一時から午後四時三十分
場 所 : 八王子市北野市民センター八階会議室2

★ 報告 
 梅雨開けから猛暑に見舞われ気温三六度となった午後、愛読会は参加者九名で『霊界物語』第五十八巻第一一章から二○章までの拝読を無事に終えることが出来ました。

★ 拝読箇所で気のついたこと
○第一二章 素 破 抜(すっぱぬき)
 東西百里南北二百里のテルモン湖を渡る初稚丸の船上ではツミの島から乗り込んできた囚人のダルとメートにバラモンの小役人ヤッコス、ハール、サボールの間で内輪もめが始まる。

○第一三章 兎 耳(うさぎみみ)
 ダルがヤッコスの偽装改心を暴露する歌を歌うとヤッコスがダルの耳を引っ張って応戦し、そのヤッコスの耳をメートが引っ張りヤッコスの耳は血だらけになる。その様子を見て船頭のイールは、

 人を陥て自分の望み 経と緯との悪企み
 百里二百里遠くはないが 神の御国は近くない
 西は照国東は木国 北はテルモン南はイズミ
 中に漂ふキヨの海、と歌います。

○第一四章 猩 々 島(しょうじょうじま)
 印度の国の北端、テルモン湖の南にイズミの国
があって、スマの里に豪農のバーチルが住んで居た。彼は妻の諫めも聞かず、湖で魚取りにうつつを抜かしていた。ある日、僕のアンチーを連れて魚取り出かけ、遂夢中になり、暴風雨に遭い遭難する。バーチルは猩々ヶ島に流され、島に住む鳥獣の王たる猩々姫と暮らすことになり、二年後半人半獣の子をもうけるが、そこへ初稚丸に乗った玉国別らが通りかかり、猩々ヶ島の浜辺にいたバーチルを見つける。

○第一五章 哀 別(あいべつ)
 バーチルの心では、帰りたい気持ちと猩々姫への惜別の念が交錯していく。玉国「人間であろうが獣であろうが、決して愛情に変りはない。まして人間といふ奴は少しく気に喰わぬ女房を放り出したり、夫を捨てたりするものだが、畜生はその点になれば偉いものだ。空飛ぶ鳥さへも……かりにも二度目の雄を持つたり、雌を持つたりしないものだ。これを思へば、人間は鳥獣に劣ってゐるやうだ」と諭し、バーチルに乗船を促します。しかし猩々姫は島と我が子を捨てずに子供ともろとも自決してしまう。 そして船はバーチルを乗せ、逆に島に上陸したヤッコス、ハール、サボールを置き去りにしたまま魔の海に迷い込む。

○第一六章 聖 歌(せいか)
 玉国別は船上で、天地剖判からハルナの都に宣伝使が遣わされるまでの大神の御経綸の流れを歌い、聖歌となる。船はフクの島近くに着いた。

○第一七章 怪 物(くわいぶつ)
 そこで遭難以来バーチルは僕のアンチーと再会する。アンチーは孤島での生活を初稚姫に支えられて生きていたことを話す。

○第一七章 船 待(ふなまち)
一方、スマの浜辺ではバーチルの妻サーベル姫の言いつけでアキスとカールがご主人の帰りを待っていた。実は、最近サーベル姫が神懸かりして主人が帰ることを告げられ、二人に命令したものである。そこへ沖合に船影が見えたが、忽ちバラモンの捕り手の船との間で交錯している様子。

○第一九章 舞 踏(ぶたふ)
ここで聖師様はアキスとカールの口を借り、四季に満ちあふれた国で暮らす人間の覚悟を説かれる。 「夏は人間にとりて休むべき時ではない」など一三頁にわたって語られるその内容を私どもも十分に味わい実践していくべきものでしょう。特に今年の夏は蒸し暑く、そんな中で懸命に働く人間こそが貴重な経験をしているわけですね。 「けだし真の安息は……自然法界の霊運に順応せる生活活動の中に存するのみである」というような心境に一日も早く到達したいものです。

 この章の余白歌に、
聖雄の全く地上にあらはれて 森羅万象生かす世近し
とありますが、この時代に生きることの出来る現代人の幸せを感じます。

○第二○章 手 談(しゅだん)
遂に初稚丸がスマの磯端に到着し、一同感激に浸っているところへ、バラモンの木っ端捕り手テクが現れ、絡んでくるが、玉国はとっさに酒好きのテクに御神酒を出し懐柔してしまいます。そして一同はアズモス山の麓にある広大なバーチルの邸宅に向かう。

○猩々ヶ島の不思議な物語
この猩々姫が登場する場面には、どんな意味があるのでしょうか、興味が尽きないのですが。

まず猩々のことから始めると、☆【猩猩】シヤウジヤウ「広辞苑」
  @中国で、想像上の怪獣。体は狗いぬや猿の如く、声は小児の如く、毛は長く朱紅色で、面貌人に類し、よく人語を解し、酒を好む。
  Aオラン‐ウータンのこと。
  Bよく酒を飲む人。大酒家。C能のひとつ。唐土の潯陽江にすむ霊獣の猩猩が酒に浮かれて舞を舞い、孝子高風を祝福する。
と言うことですね。

『霊界物語』に登場する猩々はテルモン湖(実はキヨメの湖)の孤島に住み、この島の禽獣虫魚を守護し、その王に成っています。そしてこのあたりの章全体の篇は題名が「猩々潔白」となっていますね。第一五章でダルが歌います。
「何事も心の罪の播きし種 猩々の島に生えしなるらん
  少々過ちなればとも角も  空恐ろしき曲神の罪」  二○三頁

 最初は私もバーチルの罪は魚取りのことだろうくらいに考えていたのです。事実アンチーも「キヨメの湖の魚を掻きまはしつつ殺生したその天罰が報いきて……」歌います。もちろん自分達の飽食の為にだけに大量のマグロや魚介類を乱獲している現在の日本人への警告と考えれば、それは大切な意味があると思いますが、ダルの歌はそれ以上の何かの罪がバーチルに因縁としてあることを意味しているのだと感じました。 それにつけてもまず猩々には罪がないことは明白ですね。 キヨメの湖の魚を乱獲したバーチルが背負っていたという因縁の罪は何なのでしょうか。
 第二一章からの拝読によってその疑問が解けてきます。お楽しみに。

以上


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