とよたま愛読会38回(真善美愛:60巻序文〜8章) 塩津晴彦


日 時 : 平成11年11月28(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所 : 八王子市北野市民センター八階会議室2

★ 報告 
   暖冬になりそうな気配が漂う小春日和の半日愛読会は参加者六名で『霊界物語』第六十巻の序文から第八章までの拝読を無事に終えることが出来ました。

★ 拝読箇所で気のついたこと
○序文  まづ聖師さまは仏法を例に引きながら、神のお教えの体得について、いわゆる知識階級の陥りやすい傾向を指摘されています。「神を信ぜず、その存在を認めず、神を愛せざるものは決してその関門さへも窺ふことは許されない。

而して大乗は歯に合はず、小乗は馬鹿にして耳を傾けず、暗中模索の境涯に迷ふものは、科学本能主義の学者の通常たどるところの経路である。之を神諭には途中の鼻高と称へられてゐる」  一方で聖師さまは、神的知識者という言葉で、「途中の鼻高」と対照的な人々を「凡て天国に昇るものは、小乗を聞いて、直ちに神霊界の消息を感知し得る」、と称されています。

余計な説明は要らない訳です。そこでこの序文には大乗に関して多くの梵語(サンスクリット語)が登場します。その幾つかを調べてみました。
九十五種外道…六師外道に十五人の弟子があり、 その総数が九十となる。
          つまり師匠と合計で九十六種外道となる。
          しかしこれは概数として使われてれていたものである『コンサイス仏教辞典』大東出版社。

つまり外道(仏教側からみた異端学説)の総称だったという訳ですね。 なぜ聖師様は九十五種外道とされているのか判然としません。ちなみに六師外道(ブッダの時代に反バラモン主義として登場した唯物論的な自由主義思想家)の一人は、インド・ジャイナ教開祖ヴァルダマーナ、後にジナ(真理を悟った勝利者の意味)あるいはマハーヴィラ(偉大なる英雄の意味)と呼ばれた人物なのです。『世界の宗教と教典』自由国民社版 七大乗…大乗の大なる理由として挙げられるもの。

○十二部経あるので法大。

○菩提心(仏果を求め仏道を修行しようとする心)を求めることを求大。

○菩薩蔵(仏果を求める修行者の行法と結果を示す大乗の教典の名前)を解することを解大。

○見道(見締道ともいい、正智を発して未曾見の締理を初めて見照する位)の浄心(みんなが持っている清浄心)を浄大。

○福徳(いっさいの善行によって得る福利)智慧を荘厳大。

○三大(体大、相大、用大のことで真如が本能を発揮し衆生に理解させる)阿僧祇劫(非常に長時間のこと)修行を時大。

○相好具足して菩提を得るを具足大。

無量義処…無量義経に「人間の性欲(しょうよく)無量なるが故にまた説法無量なり……」とあることにもとづく。

五濁……四劫(しこう)とは世界の成立から破滅に至る四大期。
      世界が成立する期間を成劫(じようこう)、
      成立した世界が持続する期間を住劫(じゆうこう)、
      世界の壊滅するに至る期間を壊劫(えこう)、
      次の世界が成立するまでの何もない期間を空劫(くうこう)という。
五濁は四劫のうち、住劫の減劫に起る五つの悪い現象のことで、 劫濁(飢饉・悪疫・戦争など時代の汚れ) 衆生濁(身心が衰え苦しみが多くなること) 煩悩濁(愛欲が盛んで争いが多いこと) 見濁(誤った思想や見解がはびこること) 命濁(寿命が十歳まで短くなっていくこと)の五つのにごりをさす。『広辞苑』

大通智勝…法華経の教典にある久遠の説法伝説。大通智勝仏がすでに釈尊出生はるか以前に十六王子を通じて長期間法華経を説いていた因縁で現在の仏法聴聞者は仏縁を持つという説。

大荘厳…「方廣大荘厳経」の略か。仏が兜率天宮から降生し成道し仏の教えを説くまでの八段階が書かれている。

宝音…仏の真の教え。

以上ですが、幾分かは意味が通じると思います。何分、仏の道に通じない私の判断が入っていますので、その点はご承知下さい。ただ調べれば調べるほど、仏道の最奥に聖師様のお姿がダブって浮かんでくるようでした。おそらく仏道の真摯な探求者にとっても大乗の世界の最高点に在る究極の存在を意識せざるを得ないのではないでしょうか。弥勒の実相に遭遇されるのではないでしょうか。

○総説 地の上の人は悉(ことごと)おどろかむ大怪物(おおばけもの)の正体見る時(六頁)

○第一章 清 浄 車(しやうじやうぐるま) 伊太彦が指揮する二十艘の猩々舟は歓呼の中を帰還し、途中で湖中に飛び込んだヤッコス、サボールも三千彦と真澄彦の救助で助かり一同は山車を先頭にバーチル館へ向かう。

チルテルの歌 ……イズミの国の隆昌を 祝ぎまつることだらう
            三五教やバラモンの 教の司が村肝の
            心を一つになし玉ひ  真善美愛の神の道
            完全に委曲に立て玉ふ 聖の御代とはなりにけり……
この後玉国別はアズモス山の材木を使って一同とともに新宮の普請を始めます。

○第二章 神 森(しんしん) 宮普請を始めたバーチルの歌が出てきます。
……汗をタラタラ流しつつ 励む見れば惟神
   神の仕組と知られけり 玉国別は越三界
    天下に稀な宣伝使 弥勒の神国を
    築かむために産土の 館に現れます瑞御魂
    月光の命を受け 満月の照り渡る
    これの神山に現れまして ……(二八〜二九頁)

三五教の御教を 心を清め体得し 四聖諦
世の人々に説き諭し 物質的の宝をば
残らず社会に奉還し 貧富貴賤の区別なく
神のまにまに此の世をば 嬉しく楽しく渡るべし …… (三○頁)

このお歌でお示しの天王の森にまつわる物語は当時の日本国天皇制についての事であることは無論ですが、その時々の権力者の姿をも映し出していると思います。

神を恐れず物質的の宝を独占し、人民に塗炭の苦しみを嘗めさせる為政者は古今東西を問わず存在していたのですから。

たとえば三三頁にテクの歌が出てきますが、 巨万の富を里人に  いと平等に分与しつ 上下睦びて世を送る 至誠を発揮し玉ひけり これぞ全く皇神の平等愛の発現か、ただしは人の覚醒か もしくば時代の賜物か 実にも尊き限りなり もしもこのまま頑として 昔のままに地の上の 宝を独占するならば 四民の怨府となり果てて  如何なる凶事が見舞うふやら 図り難なき正念場 よくも改心なされました…

この章の御口述は大正十二年四月ですね。大正六年にはあのロシア革命が起こり当時世界一の大富豪でもあったニコライ皇帝はあえない最後を遂げ国は荒廃していきます。日本国天皇を言向和す御神策を伝える一章ですねこの章は。

さてここでも梵語が出てきますので、文末に一覧で出しておきました。「大荘厳」という語は「かざり」という意味もあります。このお歌ではその意味だと思います。

○第三章 瑞 祥(ずゐしやう) アズモス山の聖場は 須彌仙山の光景を 完全に詳細に現出し 三千世界の鎮めぞと 八千万劫の末までも 照り輝くぞ目でたけれ

○第四章 木 遣(きやり) 前章に続いてアズモス山の神的因縁の内容が説かれます。
 アンチーの歌 …………遠き昔の神世より  天足の彦や胞場姫が
               霊の御末裔と現れませる タクシャカ龍王の出生地
              見るも厳し九頭竜の その猛勢は見る人の
              眼を潰し毒を吐き 人の命を取り喰ふ
              その悪業を懲めむと 高天原に現れませる
             月照彦のエンゼルが 厳の言霊打ち出だし
             この霊場の岩が根に 封じおきしと伝えたる  ………(中略)
またもエンゼル現はれてタクシャカ龍王を救ひ出し五風十雨の調節を守らせ玉ふ御誓ひ……  こうしてアズモス山の新宮建設に至る御神業はその全貌を表してきます。

○第五章 鎮 祭(ちんさい)

○第六章 満 悦(まんえつ) これら各章の祝歌には大神様の宮居のもとでの天地人三才合一の瑞祥が満ちあふれています。 玉国「久方の天津御空も地の上もすみ渡りたる今日ぞ目出たき」ヘール「テルモンの山は霞みて見えねども目のあたり見る神の御恵み」

○第七章 方 便(はうべん) バーチル、サーベル姫が全資産を分配した後にチルテルは「……三五教式の宣伝方法をご教示願いたい」と玉国に問います。 玉国は「……汚れに染まぬ衣をつけ 心も身をも清くして
              始めて宝座に着席し 人の尋ねに従ひて
             極めて平易に道を説け
         ……善言美詞の言霊を 一人も嫌ふ者はない
           もし聴衆のその中に  汝が説を攻撃し
         あるひは非難するあれば  吾が身を深く省みよ
        神にかなはぬ言霊を  心の曲の汚れより
       不知不識に発せるを ……」
と布教伝道の方便を説きます。

一方、サーベル姫「吾こそは猩々姫の霊なり  玉国別に願言やせむ
           天王の宮の 御跡の石蓋を
          開けて竜王救ひ玉はれ」 と願い、一行は天王の古宮の床下を調査に行きます。

○第八章 土 蜘 蛛(つちぐも) さて天王の古宮の床下とは一体なんでしょうか。敢えて推理すれば、天皇家のお墓、つまり古墳ではないでしょうか。 『千早振る昔ながらの秘事を開き初めたる今朝ぞ目出たき』

以下 次号 (梵語略解)
無量力…数量で計れないほどの大きな力。
大力…大きな働きも意味。
不休息…絶え間ないこと。
越三界…欲界、色界、無色界の人間が往来する三界を超越するもの。
弥勒…弥勒菩薩と混同されること多し。現存したと思われる弥勒はインド仏教一派の祖。 弥勒菩薩は釈尊没後五十六億七千万年後に出生して釈尊が三会の法席で行った説法に漏れた衆生を済度する。
月光…本源的な存在。月光王としてバラモンの乞いを受けて菩薩に月光の頭を施した。
満月…満月尊は仏の徳号の意味。 常精進…常に勇猛に善法を修し、悪行を断つ事。
善法…五戒(殺、盗、淫、妄言、飲酒)および十悪(不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄言、不両舌、不悪口、不綺語、不貪欲、不瞋恚、不邪見)をさす。
妙識…神から与えられた絶対的な認識力。
無明…無知のこと。あるいは弥陀の本願を疑う。
四聖諦…迷、悟両世界の因果を説明したもの。仏教の根本教義の一つ。
苦聖諦…この世は苦であるという真理。
集聖諦…苦の原因が世の無常と人の執着にある。
滅聖諦…無常の世を越え執着を断つことがさとり。
道聖諦…滅諦に至るには八正道を修行すること。 度一切世間苦悩…度とは生死の苦海を渡り涅槃に至ること。また混迷の衆生に悟りを開かせること。
須弥仙…世界の中心をなす高山。山の下は金輪・水輪・風輪が重なり山の麓には九山八海が囲みその外に四方の島があり人間は南の島に住むという。

以上


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