とよたま愛読会49回(真善美愛:63巻18章〜64巻上2章) 記:塩津晴彦
日時:平成12年10月22(日)午後1時から午後4時30分まで
場所:愛善苑豊玉分苑(京王線下高井戸駅下車 徒歩八分 川崎方)
★ 報告
何となく気候が温順でなく、秋と夏が交互に来たような半日を、愛読会は参加者九名で『霊界物語』第六十三巻第一八章から最終二章までの通読を無事に終わり、引続き第六十四巻の第二章まで通読を進めました。
★ 拝読箇所で気のついたこと
スーラヤ山の洞窟でウバナンダ龍王から夜光の玉を受け取った伊太彦一行は玉国別、初稚姫と合流してスーラヤ湖を西南の方向に向かい、エルの港を目指します。船上、真澄彦や三千彦はブラバーダ姫を娶り、宝玉を渡された伊太彦をからかう。
一方伊太彦は姫との結婚を玉国別に諒解してもらおうと問いかけるが、
玉国『神ならぬ玉国別は皇神の 結ぶ赤縄を如何で論争はむ
伊太彦の神の司は皇神の
御言のままに従へば宜し
皇神の任さし玉ひし神業を
遂げる終るまで心しませよ』
という返事が返ってくる。
そんな中で船頭が謡い始めた歌
「スーラヤの山は霞に包まれて 今は光もみえずなりぬ
夜光るスーラヤ山も伊太彦の
神の身霊に暗くなる
これからは百里を照らした山燈台も
消えて跡なき波の泡
毎晩光つていたスーラヤ山も、 夜光の玉が伊太彦の懐に入つてからは光を失ひ、今船頭の謡つたごとく唯一の燈台をとられて了つた。
十六夜の満月は東の波間より傘のやうな大きな姿を現はして昇りはじめた。
(221〜223頁)きわめて分かりやすい表現ですね。世界(日本)建直しの霊的な方法が表されているように思います。
○夜光る珍の宝珠も瑞御霊 昇り給へば見る影もなし 今ひとつ、この船頭の謡の中で、 「エルの港越えて進むはエルサレム 一度詣りたや神の前……とあります。第六十四巻がエルサレムの物語になる事が予告的に書かれています。日本国内での御神業と中央アジア経由でのエルサレム方向への御神業の展開が深く結びついていることが判ります。
☆第一六章 諒解 (1623)
エルの港に帰ってきた一行は、そこから次の宣伝の旅に向かうが、伊太彦とブラバーダ姫はここで涙ながらの一人旅の決意を迫られる。
初稚姫『大神のまけのまにまに進む身は
如何でか人を力とやせむ
三五の神の御規は唯一人
道つたへ行くぞ務めなりけり』
ブラバーダも潔くこれに従い、デビス姫と同様にエルサレム目指して一人宣伝の旅に赴くこととなりました。
☆第一七章 峠の涙 (1624)
ここはハルセイ山の峠の頂上、一人旅を始めた伊太彦の台詞「ハルナの都に上る途中とは知りながらも、同僚の三千彦の嬪に做らひ、師の君の許しも得ずして、神勅を楯にに自由の結婚談を定め、それより夫婦気取りなつて……死線を越えて岩窟に忍び込み……高姫の精霊の試しに会わされ……初稚姫様のおとりなしによつて此の通り夜光の玉を頂き、一先づエルサレムを指して上るこの伊太彦が体の痛み、……もはや一歩さへ進まれぬ。吾
は如何なる因果ぞや……」と嘆いているところへ二人の樵に担がれたブラバーダ姫が彼の元にやってきて「この世の名残に一度だけ握手を」と嘆願する。心の動揺を振払うように伊太彦は姫を突き除ける。
きこりはこの様子を見て大笑いし、「これこれ夫婦の方、未来があるの、神様が恐ろしいのと、そんな馬鹿な事をいふものではない。……」などと語る。そして杣人の言うことを聞かない伊太彦にたいして、「天地経綸の司宰をする人間が、些々たる女一人に愛を注いだと言つて、それを罰するといふやうな開けぬ神があらうか。もし神ありとせば、そんな事をいふ神は野蛮神の、盲神よ」などと突っ込んでくる。そして夫婦水入らずになるように立ち去ろうとする杣人に「吾々は痩せても倒けても三五教のい宣伝使、決して外面的の辞令は用ひませぬ。それゆゑに天地の神に恥づることなき二人の行動……貴方代わつて何卒これをエルサレムまで行つて大神様へ奉つて下さいませぬか」と告げる。樵から「宣伝使なら人に泣き顔を見せるといふのは不心得ではござらぬか……」とねじ込まれると、伊太彦「……喜怒哀楽を色に現はすぬ人間は偽り者か化物ですよ。今日の世の中は、それだから虚偽虚飾、世の中が真暗になるのです。吾々宣伝使は……」と反論します。
「なるほど一応ご尤もだ。しかしながら一枚の紙にも表裏がある。最愛の妻が臨終の願ひ、それを聞かない道理がございませうか。あなたは余りに理智に走りすぎる」などと伊太彦の決意を解きほぐすかのような台詞が連発しますが、伊太彦は「どうあつても私は神様が恐ろしうございます。神様の教のためには如何なる愛も、如何なる宝も総てを犠牲にする考えですから」と答える。
☆第一八章 夜の旅 (1625)
とうとう伊太彦は愛するブラバーダ姫の最後の望みを叶えようとはしませんでした。「……使命を受けたこの躯、たとえ肉体は朽ち果つるとも、どうしてこの誓ひを破る事が出来やう。本当に心の底から其女を愛するために、かかるむごい処置をするのだ……」。この言葉に姫は懐剣を引き抜き自害をしようとします。
そこで場面は一気に転換し、二人の樵と姫はたちまち高尚優美な三人の女神と化したのでした。
『天教の山より天降りたまひたる 木花姫の恵み尊し』
『さりながら尊き神のましまさば
やすく進まむ女の旅も』
『いざ立ちて珍の都に進み行かむ
国治立の御あとたづねて』
元気を回復した伊太彦はハルセイ山の峠の中程まで下って、一休みの眠りについたがそこへイクとサールが峠の上から下ってくる。
☆第一九章 仕込杖 (1626)
伊太彦、イク、サール達は久しぶりに会話を交わし、その中で、二人が追っかけていった初稚姫は直接ハルナに向かわず、エルサレム街道に向かっていったらしいこと、お互いに持っている玉は見せあわないこと、宣伝使は一人旅との基本にそってお互いが別々にエルサレムを目指すことなどが話されます。そして別れた後の両人の会話、
イクは「伊太彦があれだけの神格者になろうとは予期しなかった。何と人間というものは変れば変るものぢやないか。それに引き替え自分たちは初稚姫のあとを追いかけるだけで、結局、虻蜂取らずになったしまうのでは」という弱音を吐くが、
サールは「神様は心次第で御利益を下さる。真心は必ず通じるのだ、取越苦労はするな」と諭す。そして二人はハルセイ山の西坂を勢いよく下っていく。 」
☆第二○章 道の苦 (1627)
さてこちらはブラバーダ姫、漸くにハルセイ山の峠の中程にたどり着いたが、やはり肉体的な苦痛にさいなまれ悲嘆の涙に暮れている最中に、三千彦が上ってくる。
『三五教の宣伝使 玉国別に従ひて
山野を渡り河を越へ テルモン館に立ちよりて
種々雑多と村肝の 心を砕き身を砕き 館の難儀を救ひつつ 風塵ここにおさまりて
デビス姫を妻となし 吾が師の君ともろともに
キヨメの湖水を横断し アヅモス山の山麓に
広き館を構へたる バーチル主従の命をば
神の恵みに救ひ上げ タクシャカ龍王を言向けて
夜光の玉や如意宝珠 授かりながら師の君と 珍の都へ進み往く ……』
三千彦は最初、ブラバーダの危難を救おうとは考えず、激励を行う。しかし……
☆第二一章 神判 (1628)
ブラバーダ姫は三千彦に「せめてこの峠を向かふへ下るまで、妾と一緒に行ってください」と頼み込む。のっぴきならぬ羽目になった三千彦は一大決心をして姫を背負って峠を下り始める。
三千彦の親切に会い俄に妙な心になったブラバーサは三千彦の胸に食らいつき頬にキスをした。
そんな濡れ場に折悪しく下から三千彦の妻デビス姫がやってくる。
『若草の妻の命を振り棄てて
薊の花は心うつしつ
デビス姫誰も手折らぬ鬼薊と
嫌はせ給ふか怨めしの声』
デビス姫の怒りに三千彦の弁明も通じない。
それを見てブラバーダは自害をしようとするが、その瞬間に大火団が落下爆発し、デビス姫とは実は木花咲耶姫命であった。
『妾こそは天教山に鎮まる木花咲耶姫命であるぞよ。汝三千彦、ブラバーダの両人、ハルセイ山の悪魔に良心を攪乱され、今や大罪を犯さむとせしところ、汝等の罪を救ふべくデビス姫と化相して、汝の迷夢を覚まし与へたしぞ……』
この章題が「神判」とありますように、女神の「審判」があるのですが、三五教の神様は「神は決して汝等を憎みは致さぬ、過失を二度なす勿れ」と判断されます。
☆第二二章 蚯蚓の声 (1629)
『神に体も魂も 供えきつたる瑞月は
体の筋や骨までも メキメキメキと痛めつつ
闇に迷へる世の人を 救はむ為に朝夕に
心を千々に砕けども 知る人稀な今の世は
救はむよしも荒浪の 漂ふ船の如くなり
あゝ惟神 惟神 御霊幸倍ましませよ』
(本書三一○頁) 『山河草木三の巻 いよいよここに述べ終る
また瑞月が出鱈目を 吐くと陰口叩くもの
彼方此方に出るであろう 著述の苦労の味知らぬ
文盲学者や仇人の 如何で悟るむこの苦労
如何に天地の神々が 吾が身を助けたまふとも
神より受けし魂の 意志と想念光らねば
唯一言の口述も 安くなし得るものでない…… (本書三一四頁)
宣伝使達のハルナの都を目指す旅、その途中で起こる種々の出来事、そんな中に確かに信仰の要諦が示されています。そして宣伝使達はハルナの都へ直線的に向かうのではなく何故かエルサレムへと進んでいくようですね。
以上
次回:第50回 ご案内
日時 平成12年11月26(日)午後1時〜午後4時30分
場所 愛善苑 豊玉分苑(京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
連絡先(川崎方)03(3321)3896、03(3321)8644
物語 山河草木 卯の巻 第64巻上 第3章より通読いたします。
(物語をおもちでない方もどうぞ、参加費は不要)