とよたま愛読会53回(真善美愛:64下巻11章〜巻末章) 記塩津晴彦


日時:平成13年 2月25(日)午後1時から午後4時30分まで
場所:愛善苑豊玉分苑(京王線下高井戸駅下車 徒歩八分 川崎方)

★ 報告
   三寒四温とはよく言ったもので、今年は東京に度々雪が降る厳しい冬ですが、久しぶりに暖かな半日でした。愛読会は八名の参加で第六十四巻(下)の通読を無事に終えました。  今、エルサレムでは悲劇的な抗争が続いています。この六四巻を通じて、聖師さまは「救世主の降臨」を切望する敬虔な信仰者の一団に対して、日の出島(日本)の瑞月がそうなのだよ、とお示しになっています。そして日本でまず世界の立直しを宣布する三五の集団を生み出されていったのです。神界からの御神業も間断なく続いています。今の私たちは、聖師さまの神教を宣布し、物語での三五教として、その一翼を担っていると思うのです。

 ★ 拝読箇所で気のついたこと
○第一一章 狂疑会
  お花と守宮別はブラバーサやお寅の向こうを張って新ウラナイ教創設の相談をする。 お花「救世主の役は女性の自分だ。総ての宗教は女をあしらっている」といい、シオンの娘木花咲耶姫命と名乗る事になる。  さてここで新宗教設立に金が要ることが話されます。一五五頁の「○○教は運動費百万円、○○教は五十万円」と出てくるのですが、これはまんざら嘘ではないようです。皇道大本と聖師さまは宗教独立認可の動きに係わっていらっしゃったことがあります。昭和二、三年の事です。詳しくは『神の国』誌の四月号をご覧下さい。そして大事なことは、聖師さまの宣布された教えは「宇宙の表現」なのですから、国家による公認非公認のこととは全く次元が違うわけですね。

○第一二章 開教式
 新ウラナイ教の開教式が僧院ホテルで行われます。お花、守宮別、ヤクの三人で直会をし、同床異夢のから元気を鼓舞するような宣伝歌を歌いますが、甘くなったお花から三千円の運動費をせしめた守宮別は目的のタゴール博士の所へは行かず、駅前の女郎屋に向かいます。

○第一三章 漆別
 青楼に向かう途中で守宮別は警官の取り調べを受けウッカリ財布を落としてしまうが、有明屋に上がった守宮別は綾子を指名し、二人は意気投合、溶けあいます。そして綾子がヤクの娘だと判ります。  さてここでも面白い台詞が出てきます。「日の出島の高等武官」「軍事探偵」「エスペラント会議」などですが、最初のセリフは守宮別のモデルとなった飯盛さんのこと、次は出口清吉さんのことを連想しますね。最後はブラバーサ役の西村光月さんが日本のエスペラント代表として参加した会議のことですね。  綾子に姓名を問いつめられた守宮別は自分のことを「漆別」と云います。この「漆」とは、輪島塗りが有名ですが、守宮別のモデルと言われている飯盛正芳さんの出身地が輪島のある能登半島の穴水です。(詳しくは『神の国』誌平成一二年五月号を参照下さい)それで漆別となったのではないでしょうか。三日後に彼は僧院ホテルに帰ってきます。

    ●なす事も無く日を送りなば    人と生まれた甲斐無かるべし(余白歌)

○第一四章 花曇
 守宮別の帰りを待っていたお花の所へ警官が三千円入りの財布を届ける。帰ってきた守宮別の言い訳が矛盾するので、お花は問いつめ、守宮別は「子母仙」の術で一旦使った金を戻るようにしたと説明する。しかしお花の追求に負けてタゴール博士の所へ行かなかった事を白状する。  守宮別のほっぺたの白粉が引っかかるお花はまんじりともせず、夜を明かす。

○第一五章 騒淫ホテル
 翌日、お花はウッカリ口を滑らせたヤクに小遣いを与えて彼の娘が有明屋で働いていることを知る。そこへ漆別を訪ねて綾子がやってきますが四人入り乱れての乱痴気騒ぎとなります。お花は負傷し入院します。

○第一六章 誤辛折
 一方、お寅は自分の「五六七の霊城」でトンクからお花と守宮別との祝言話を聞いて「憎い憎いお花奴、十年が間、懇篤な教育をうけながら、師匠の私に揚壺をくはし、おまけに人の男を横領して出ていくとは、犬畜生にも劣った代物だ」と興奮し、再び卒倒する。  テクとトンクは相談しトンクが病気平癒のため 橄欖山にお祈りにいくことなる。トンクはそこでブラバーサに会い、お寅の事を話す。話を聞いたブラバーサはトルコ亭のお寅を訪ね、「大国常立尊、神素盞嗚尊助け玉へ、許し玉へ」と祈願するとお寅はケロッと直る。そのことを認めないお寅は強情を張るがテクが「ブラバーサ様がお出でになり、指頭から五色の霊光を発射して、お前様の病気を助けて下さったじゃありませぬか」と諭すがお寅は聞かない。

○第一七章 茶粕
 翌朝、お寅は「……底津岩根の大弥勒の大神、日の出神の命もちて……」と曲津の祝詞をあげ、トンクにお茶の催促をする。トンクは土瓶を買いに行きその中に自分の尿を入れてお寅に飲ます。お寅は今度は二人の留守に自分が料理した干瓢にその仕返しをして、食べさす。  そんな所へツーロが帰ってきて、お花と守宮別が僧院ホテルで新教を建てて活動しているとの情報を伝える。お寅はそこへ乗り込む。

○第一八章 誠と偽
 ホテルで綾子は守宮別に向かって、お寅とお花の仲を直して、自分は一歩下がって下女にでも使ってくれと誠の心で話す。綾子はまた、所謂「良妻賢母」について「孔子とか孟子とかいふ唐の聖人が、女の道徳ばかり説いて、男のことはちつともいつてゐないぢやありませぬか」と喝破して自分は善良な妻としては仕える、と話す。そこへお寅がやってくる。守宮別に代わってお寅と会った綾子は神妙に謝るが、お寅は「自分の男を取ったのはお花で、そのお花から守宮別を取ったのだから、綾子は自分から守宮別を取ったのではない」と話す。  お寅の様子が大人しいので、やや安心した守宮別は部屋に入ってきたが、綾子が気を利かせて退室するとお寅は彼の胸ぐらを掴み追求する。  守宮別は「お花とのことは、単に活動資金をお花の懐から頂戴する目的だった。その軍資金でお寅と活動するつもりだった」と言い逃れをする。

○第一九章 笑拙種
  橄欖山でキリスト再臨のお祈りをしているブラバーサとマリアのところへヤコブとサロメが来て話すが「あなたの小説を拝見いたしましたが、マリアが考えますに、あの材料はどうやら橄欖山を中心として取られたやうでございますな」、「ハイ、実ア、あなたとブラバーサさまのローマンスを骨子とし、私とヤコブさまの苦労話をそへえ拵えてみたのですが…」と小説種について明かします。そして綾子を題材に何か書こうかと、話し合っているところへ当人の綾子が登ってくる。懸命に祈願をこらす綾子にいつの間にか病院から出てきたお花がステッキで打ちかかる。見かねた四人が止めに入る。お花「ヤア、すべた奴、どつかへ逃げよつた。生首引抜かねばおかぬ……」

 ○第二○章 猫鞍千
 縁を戻したお寅、守宮別そしてトンク、テク、ツーロの五人はエルサレム市内で三五教を誹謗する内容が織り込まれたビラを配って宣伝を開始する。「ナザレのイエス・キリストも わずか三年布教して 学者とパリサイ人のため 無惨の最後をとげたぢやないか ソンナ神柱が何になる この世を救はうと思ふたら 水に溺れず火に焼けず 弓の鉄砲も大砲も たてつかないやうな神力が なければ誠の救世主 神の柱といはれない ……」とあり、聖師さまがお示しの救世主像(時代相応の理によって英雄的性格を持つ)を表しているようです。現に聖師さまは蒙古で神軍を建てられたわけです。  ウラナイ教の宣伝車から花が走ってくるのをみた守宮別は車から飛び降りてお花を追いかける。お寅は運転を誤り、車は転倒し乗っていた者は放りだされ、お寅は「大道の正中」に下半身丸出しの姿で転んでしまう。  この騒動でウラナイ教の宣伝は終止符を打ち、やがて官憲のとがめるところとなった。  ウラナイ教に集まった人間の色欲、強欲が生々しく描かれていますね。守宮別を軸に展開する騒動が三五教を率いる聖師さまの御神業に大きな障害となっていた事実も織り込まれているように思います。

○第二一章 不意の官命
 街頭でのひと騒動のあと、僧院ホテルに帰ってきたお花に守宮別が追いつき、くどくどとお寅との宣伝活動やビラのことで言い訳を始めるが、ビラを突きつけられて参ってしまう。そこへお寅が現れ、三角関係の当事者が揃うが、お寅お花両人は守宮別に愛想をつかし、お互いに毒づき会い始めたところへ、エルサレム署の官吏が「本署より守宮別さま、お寅さま、お花さまに対し、聖地の退去命令が出ました」と通告に来る。  ここで聖師さまは「聖地の風紀を紊し、治安に妨害ありと認む」と書かれています。聖地エルサレムなのか大本教団の綾部、亀岡両聖地なのか、意味深長です。

○第二二章 帰国と鬼哭
 エルサレムでは「スバツフオードも非常に乗り気になり、アメリカンコロニーを三五教の出張所となし、自ら陣頭に立つて遠近に布教に出かけていた」  ブラバーサはウラナイ教の一派が聖地追放、と聞いて自分も日本に帰国する意思を固める。お寅達が帰国してどんな噂をまき散らすか不安になったのですね。マリアや綾子についてスバツフオード後事を託して連中より一足早くアラビヤ丸でエルサレムを出発した。  さて混乱と騒々しい一幕、そして多彩な脇役が登場しますが、聖師さまと三五教は、物語の上では、聖地エルサレムに輝かしい、足跡を残すことになります。  特に、キリストの再臨を待望する真摯な教徒達に、その本当の意味を教示するという目的に沿ってこのエルサレム物語が書かれていることが判ります。果たして今後、物語の筋書きがどのように顕現するのでしょうか。楽しみですし、同時に現在の私たちにとって、一つの御奉仕になるのかも知れません。時代の変遷は御神業推進の手段と方法を多様化しています。  しかし、聖地エルサレムでの真神教の宣布はこういう事なのだよ、と聖師さまから諭されているようにも感じます。皆さんは如何だったでしょうか。

エルサレム物語 終わり

以上

次回:第54回 ご案内
   日時 平成13年 3月25(日)午後1時〜午後4時30分
   場所 愛善苑 豊玉分苑(京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
      連絡先(川崎方)03(3321)3896、03(3321)8644
   物語 山河草木 卯の巻 第65巻 第11章より通読いたします。
         (物語をおもちでない方もどうぞ、参加費は不要)


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